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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年9月11日(金)

1.発言要旨

 閣議が終わりました。私の方から最初にエコポイントの実施状況についてお話させていただきます。
 エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業については、7月1日から個人申請を受け付けておりますが、この度、7、8月の実施状況が取りまとまりました。詳しくは後ほど事務方よりお知らせいたしますが、申請受付件数は、8月末時点で約150万件となっております。そして、昨日までで190万件の受付となっております。また、8月に第2次交換商品提供事業者と環境寄附対象団体を発表いたしました。これを受けて、本日から第2次交換商品の商品交換及び環境寄附の受付を開始いたします。交換商品のカタログも改定し、本日からエコポイント申請サポート販売店等に順次配布していきたいと思っております。これにより、多様な交換商品を選んでいただけるようになっております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今のエコポイントですが、8月末までに150万、昨日までに190万という数字をどうご覧になっていらっしゃるかお聞かせください。

(答)順調に進んでいると認識しております。先程の150万件、190万件の受付件数ですが、いわゆるエコポイントの発行点数は8月31日時点で68万件、約100億点でございます。150万件と68万件とその差はどうなのかということですが、これは、受付後審査等を行うために一定の期間が必要になっており、この差が出てきておりますが、68万件で100億円ということですので、150万件では200億円を超えていると思っております。順調な滑り出しだと認識しております。

(問)どういうところが国民に受け入れられて、逆にこれまでやってきてどういうところが課題というのが見えてきたと思いますか。

(答)この制度を設計する時にいろいろ議論をいたしました。政府の中で、また与党の中で議論をいたしました。その中で直接給付的な補助の方が分かりやすくてよいのではないかという意見に対して、環境省として、また環境大臣としてもこれまでエコアクションポイント制度の下地がございましたので、是非エコポイント制度にしてほしいということで我々の主張が認められて、こういう制度になったわけですが、やはりポイントというもののが国民生活の中でいろいろな場面、局面で使われている、ポイントを貯めるというのも一つの生活の中の楽しみになっているという感覚と非常にマッチしたというところが関心をよんだ大きな原因ではないかと思っております。直接給付的な、ある意味ではばらまきと受け止められかねない施策よりも、このポイント制度という今の国民生活の中でいろいろ使われている制度を使ったというのは、非常に成功の一つの要因になったのではないかと、うまく表現できませんが思っております。問題点ですが、今の時点でまだ詳細ないろいろな総括をしておりませんが、やはり事務手続き等大きな負担がありますので、これをどう最小のものにしていくか、実質的なエコポイントの予算にほとんどの予算が使われる事務手続き費用を極小化するということが一つの今回の課題なのかなと思っております。私としては、次期政権の課題となりますが、このエコポイント制度、是非、環境配慮型商品が市場に普及する、それを手助けするという意味で是非継続してほしいと思っておりまして、そういう意味で、できるだけ事務手続き費用を極小化するということについては、今回の経験を踏まえて、それを次の継続の時に活かしてほしいとこのように思っております。

(問)新政権の構想の中で環境事業に力を入れることによって雇用を増やすという構想があるようですが、一年環境大臣をされてきた経験からすると環境事業から雇用を生むという方法は可能でしょうか。 

(答)可能だと思います。まず、さっと思いつくのは従来型の公共事業型の環境事業を行うことによって雇用を生み出すということが頭に浮かぶわけですが、より本質的な大きな展望という意味では、やはり日本が持っている世界一の環境技術を伸ばしていくことによって、社会全体、世界全体が低炭素社会、循環型社会、自然共生社会を目指しております。その中でこの技術を使っていくことによってその位置のポテンシャルを非常にうまく使っていくことは必要ですし、経済モデルの中でグリーンニューディール的な効果を評価できるモデルがないというのが、現在の環境と経済の分野の課題だと認識しておりますので、その分野についての研究も進めたい、とスタートさせたところです。そういう意味で、学問的にも、学術的にも環境が雇用を生み出していくということをきちんと裏付ける理論を作り上げていきたいと思っております。

(問)今のお話ですと環境省だけではなくて他の省も全部一緒に取り組んでやっていくイメージですか。

(答)まさにそういうイメージです。

(問)環境省だけで雇用を生むことは可能でしょうか。

(答)環境省だけで雇用を生むというのは、最初に申し上げた従来の公共事業型の、例えば廃棄物処理施設の建設や充実等をぱっと思いつくところですが、それは、あまり本質的なこれからの雇用対策ではないと思います。新たな産業、それから社会変革を目指していくうえで、恒常的に続いていくいろいろな変革投資、社会変革、低炭素社会、また循環型社会に向けて社会を変革していくその先頭を切ることによって、恒常的な投資が生まれてくる。そのことによって雇用を生み出していく。そういう形での環境が雇用を生み出していく形にしていかなければいけないと思います。

(問)中期目標検討委員会の試算では、低炭素社会というか、温室効果ガスの排出量を減らせば減らすほど失業者が増えるというような試算も出ていたのですが、その結果については、基本的に間違いだとお考えでしょうか。

(答)あの時福井座長もおっしゃっておりましたが、この経済モデルはいわゆるグリーンニューディール的な効果については、考慮できないモデルであるとおっしゃっておりました。そのようなモデルでエネルギー制約を加えていけば、当然大きな負担が個人や企業にかかっていくわけで、それが経済を下の方向に引っ張るというのは当然出てくる結論だと思います。しかしながら、これは世界の中で先頭を走るということが必要になってきますが、先頭を走るという位置の方向が生み出す利益、グリーンニューディールにはそういう面があろうかと思います。そういう新しい社会を建設していく時に最も優れた技術を持っているグループが私は非常に大きな利益をる、世界全体がそういう社会にならなければいけないと皆が思っているわけですから、特にそうだと思いますが、そのことを考慮すれば、私は、もちろん負担はありますが、負担に相当する若しくはそれを上回る経済的な利益というのはあると思っております。そういうことを確かめる学問的なモデルもきちんとこれから研究していきましょうということで、研究をスタートさせたことも決断したわけです。
 ただ、今の私の確信に過ぎませんが、いろいろグリーンニューディール構想を持っていらっしゃる方の一つの考え方に過ぎませんが、それを学問的にもきちんと検証する必要があると思いますので、新しい形の環境と経済の研究をスタートさせたということです。これは、新政権でも是非この研究は続けていってほしいと思っています。

(問)次期環境大臣に社民党の福島さんの名前も挙がったりしていますが、改めて原発の話でちょっと一言、温暖化政策、原発の関係といいますか、反対をしている党も連立政権の中にはあるわけですが、そのことについて一言お願いします。

(答)政府が出しました中期目標05年比15%減におきましても、そして先日鳩山代表が構想された90年比25%減であればなおさらですが、原子力の役割は非常に大きなものがあります。原子力の新規立地や稼働率向上という柱を取りますと、ほぼ他のものの積み上げではあの数値目標は不可能と言っていいかと思います。そういう意味で原子力について理解のある環境大臣に就任していただきたいと思っております。

(問)この間大臣は、公明党の中で政策責任者として執行部について伺ったわけですが、例えば環境政策、温室効果ガスの問題も自民党とも考え方の差があったりするのですが、今後は連立政権が終わるわけですが、党として独自策を出していくことになるのでしょうか。

(答)今我々の最大の課題は党の再建です。党の再建の中で大きな比重を示すのが立党の原点に立脚した新しい政策、理念を国民の皆様に明示することだと思います。これは自民党さんも同じだと思います。そういう意味では、今それぞれの党が自分たちのアイデンティティー、存在理由をかけてどのような理念を国民の皆様に示していけるのかというのが、今の時点の最大の我々の仕事と思っておりますので、そういう意味では独自色を発揮していくことが重要だと思っています。

(問)民主党が補正予算を見直しを検討している件についてお聞きしたいのですが、宮崎県知事が執行を停止された場合法的措置を検討とか、各地方自治体から声が上がっていることについて改めてどのような影響があるのか、そしてどのような対策をとっていったらいいのか教えてください。

(答)今、各地方自治体で補正予算の凍結は止めて欲しいという意見書が決議をされ、そういう動きが大きくなっているという認識をしております。景気回復の糸口が見えてきて、その大きな、景気回復の大きな一つの柱になっているその補正予算、私はこれを是非執行することによって景気回復を確かなものにしたい、するべきだと思っておりますので、この補正予算の執行停止ないし見直しについては慎重であるべきだと申し上げておきたいと思います。環境省分に関しましても例えばグリーンニューディール基金につきましては各地方自治体に既に内示をしております。地方自治体はその内示に基づき温対法で規定されたいろいろな事業、また海岸漂着ごみの法律で規定されたいろいろな事業についてグリーンニューディール基金を使って計画をしているところであり、この温対法や海岸漂着ごみの法律につきましても民主党さんの意見を入れて、民主党さんの考え方も十分に入った法律になっておりますので、私はこれを凍結するというのは地方自治体に混乱を生じさせますし、また温対法、海岸漂着ごみの法律の精神に反するものであると思っております。

(問)民主党の国家戦略局のことのなのですが、御自身で大臣をやられて政と官の関係とか政策決定のあり方、民主党がどう変えようとしているのか、定かでないところもあるのですが、大臣として率直なご感想をお聞かせください。

(答)まだ国家戦略局なるものの実態がよくわかりませんので何ともコメントのしようがないのですが、全て行政府の中で政策を決めていくというようにも見えます。それでいいのかどうか。では立法府における与党の役割、また立法府における政策決定のあり方、本来国権の最高機関である立法府の役割をかなり低下させるのではないかというイメージを持っておりますけれども、まだ国家戦略局なるものの実態がよくわかりませんので何とも言いようがありません。

(問)現状の政策決定過程で何か改善すべきことをお感じになったことはありますか。

(答)現状というのは今の与党のということでしょうか。

(問)今の与党です。

(答)私は与党、立法府における与党における政策決定と、その与党の人間が内閣を形成している、その一体的なつながりで内閣は行政権を行使する。今のあり方は、三権分立という基本原則に則った、ある意味ではこれまでの長い時間の中でたどり着いた一つの知恵あるシステムかなと感じております。今回の国家戦略局というのは三権分立の基本的なところの考え方にもタッチするようなものなので、これはよほど慎重に考えなくてはいけないのではないかと思っております。国会の機能が立法府としての機能が低下するものであってはならないと思います。

(問)先日鳩山代表が25%削減を表明され、その後二階大臣とか産業界などから難しいのではないかという声が上がっておりますが、大臣はその声に対しどうお感じになりますか。

(答)それにはふたつ答がありまして、ひとつはあのときの申し上げたかったのはそういう高い目標を掲げるということ、科学の要請に基づいて掲げると言うこと自体は評価をしますし、公明党のマニフェストでも一緒です。ただ民主党さんが持っている具体的な施策、暫定税率の廃止、高速道路料金の無料化、それから原子力発電の問題と矛盾した点があるのではないかというところも申し上げたところでございます。そのことに関して先日民主党に公明党の新執行部で挨拶回りをしまして、鳩山さん、岡田さん、山岡さんが迎えていただきました。そのときの話の中で、私の考え方も率直にぶつけさせていただいたのですが、岡田さんの方から「いや高速道路料金は必ずしもCO2排出増に結びつくとは限らないよ」というようなお話がありまして、それに対して私は「いやいや明らかに公共交通機関が減ってくる。これはあるべき姿から逆行しているのではないか」という話をさせていただいたのですけれども、まさにそういう問題提起をしたかったというのが前回の発言の趣旨でございます。それから私は実現不可能ではないと思っております。私自身公明党のマニフェストにも書かせていただきましたし、私自身中期目標の時に閣内でも発言をさせていただきましたが、高い目標を掲げそのことによって世界の議論をリードし、そしてその目標に向かってひとつひとついろいろな技術を積み上げていく。そしてどうしても足りないところはでてくる。到達できないところはギャップが出てくるかも知れませんけれども、これはまだ時間があるわけでございますので、それなりの技術開発というものを見込んで良いし、これまでの人類の歴史は荒唐無稽な技術開発ということではなくて、ある程度戦略的に可能な技術開発という範疇の中で私はこのギャップは埋められる。それが人間の歴史でした。そういう意味で先頭を切ることこそが日本の利益につながる。こういう意味で先頭立って進んでいくことが大事だということを言いたかった訳でございます。

(問)25%に関してなのですが、国内で色々批判がある一方で海外からは高く評価する声が届いておりまして、麻生首相が05年比15%といったときと海外の反応が大きく違うと思うのですが、このことに関してどのように見ていらっしゃいますか。

(答)日本が世界の排出抑制に向けて先頭を切るという姿勢について高く評価されているものと思います。麻生総理の15%減も私は先頭を切る御決意でおっしゃったわけですので、そのことも評価されてしかるべきだと思いますけれども、今回数字がより大きいものですからその点その姿勢が鮮明になったのではないかと認識しております。

(以上)

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