本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年7月14日(火))

1.発言要旨

 今日は私の方から最初に2点お話させていただきます。
 1つは、産学官連携環境先端技術普及モデル策定事業、いわゆる最先端技術普及事業でございますが、採択する事業を決定しました。有識者に提案内容を評価していただいた結果、早稲田大学が代表で埼玉県等と協同で実施する事業と慶應義塾大学が代表で神奈川県等と協同で実施する事業の2件を採択することとしました。どちらも地域密着型で電動バスの普及モデルを策定するというものでございまして、環境省としても、低炭素社会づくりに向けて、これらの事業が着実に進むようにしっかりと頑張っていきたいと思います。
 もう1点は、G8とMEFが終わりました。この中で1つはMEFの方で産業革命以前から世界共有で2℃以内に収めるという目標が決まりましたし、また、G8では先進国として2050年までに80%以上削減することが合意されました。2℃以下に抑制することは、科学を基にして長期パスで考えなくてはいけないということだと思います。そして究極な目標が先進国で80%以上の削減ということでございますので、私は早速この80%削減を目標にした計画を作る作業に政府として着手しなければならないのではないかということをこれから発信していきたいと思っております。先日、サミットの前の関係大臣会合で2℃抑制目標、それから80%以上の削減についてMEF及びG8で日本が率先してリーダーシップをとって発言すべきだと言わせていただきました。結果として、日本が発信していることが世界に伝わらなかったのは少し残念です。率先してこの計画づくりに取り組むべきだと発信していきたいと思っております。具体的にまだ政府のどの会合でどう言うかは決めておりませんが、私自身がそのように思っております。来週解散そして8月30日選挙と決まりました。その間、環境省として何も発信しない、また環境行政としてその間停滞することが無いように、しっかりと発信をして行きたいと思います。また、緑の経済と社会の変革、日本版グリーンニューディール構想を4月20日に出させていただきました。その実現に向けて一つ一つ具体的なことを8月30日までの間にも発信していきたいと思っておりますし、また総選挙に臨むにあたって、我々の政策は民主党とはここが違うということを問うような発信もしていきたいと思っております。今の時点でその政策はこれだとはまだ言えませんが、総選挙に向けて我々与党は政府と一体となって、こういう政策を進めて行きますというある意味で環境政策における民主党との対立であることを明確にしながら進めて行きたいと思っております。
 私の方から以上です。

2.質疑応答

(問)昨日も夕方お伺いしましたが解散詔書にはサインをしますとおしゃっていただきましたが、改めて総理の解散に絡む決断をどう受け止めていらっしゃるか、与党、公明党を含めて厳しい選挙になると見られていると思いますが、特に大臣が訴えていきたいと思っていらっしゃるところを教えていただけますでしょうか。

(答)麻生政権としてこれまで策定し、実行してきた経済政策、また、私の所掌範囲で言えば環境政策について一定の成果が上がってきていると思います。そのことをしっかりと訴えていく選挙にしたいと思います。ただ、都議会議員選挙の結果に現れているように、与党に対して大変厳しい有権者の皆様の意見があり、これは、判断基準が政策だけではなく、その他のいろいろな与党内の政権運営の仕方でありますとか、そういうことに対しての評価も入っていると思います。この点はしっかりと何がいけなかったのか、何処を変えなければいけないのかをしっかり議論して次の選挙に臨むべきでございます。その時間的余裕は少しあると思っておりますので、それを早急に行っていかなければいけないと思います。いずれにしましても、解散は総理がお決めになることですので、総理がそのようにお決めになられた以上、反省すべきところは反省し、改めるべきところは改め、その上でこれまで訴えてきた政策と実績、その成果等を訴えて頑張っていきたいと思っております。これまで訴えて、実行してきた成果が中断することによる大きなデメリット、国民生活や日本経済に与える影響を国民の皆さんにも是非分かっていただけるように分かりやすい形で提示していきたいと思っております。

(問)先ほど80%削減に向けた計画づくりに乗り出すべきではないかというお話がありましたが、先ほどおっしゃっていた長期目標に向けてのいわゆるパスみたいなものを描く狙いと考えてよろしいのでしょうか。まだ具体的なことは何も決まっていないとおっしゃっていましたが、イメージとしては、中環審のような審議会なり検討会なりで議論するということを考えていらっしゃるのでしょうか。

(答)政府として2050年までに60~80%削減ということしか決めておりません。これを政府として80%ないし80%以上の削減を目指すという決定に変更しなければいけないと思っております。その上でその80%削減をどのように行っていくのか、これは大きな技術革新等がなければ達成できないことでございまして、その技術革新そのものはまだ見えていないわけですから、具体的な工程表という形ではなかなか指し示すことができないと思います。まだ見ぬ技術ということも想定に入れて、そのためにはこれだけの技術研究開発を行わなければいけない、そのためにはこれだけの研究開発費用を投じなければいけないということは言えると思います。そういう形で80%削減ということを国民全体が意識の中に共有して努力をしていくことがイメージできるものを政府として決めなければいけないのではないかというイメージでございます。80%削減と一言で言いますが、例えば製鉄やセメントでありますとか生産プロセスの中で本質的に二酸化炭素や温室効果ガスを出す産業がございます。その産業は、日本の経済力にとっても大変重要な産業です。そのような産業の国際競争力を考えますと、実質はその他の部分でほぼゼロミッションにしないとこの80%は達成はできないと思います。まだ実質的にゼロミッションの世界は、「環境大臣だから今その姿を示してください」と言われても示せません。そういうことを今から真剣に考えていかなければいけないということをまず我々が率先して言うべきだと思います。特に総選挙など国民の皆さんがこれからの政策に対して高い関心を持っていただいている時にそれを指し示すことが非常に重要だと思います。

(問)60~80%と今まで言ってきたものを80ないしそれ以上と改めるべきということですが、それは総理に言える局面かは分かりませんが、大臣として訴えていかれたり、あるいは、与党のマニフェストみたいなものにも反映させて選挙戦でも訴えていくようなお考えと受け止めてもよいのでしょうか。

(答)環境省としてもそういう方向性、こういうプロセスで計画を作っていきますという大まかな工程表といいますか、それをまず環境省、環境大臣がこう考えていると指し示すことが最初だと思っております。それを国民の皆さんにも通し、政府の中でも80%削減でやりますということがすんなり政府の中で共有できるとは思っておりません。かなり大きな混乱や説得という作業が入ってくると思います。そのような作業を環境大臣として、また環境省としてスタートしたいということです。

(問)それは選挙がありますが、その前にできるところからやっていくということでよろしいでしょうか。

(答)ある意味ではこれからの日本のあるべき姿を議論する総選挙にあって、非常に重要なテーマに成りうる、その問題提起を環境大臣にさせていただきたいということでございます。例えばアメリカは、80%目標に対して具体的な排出権取引という手法で具体的にこうやっていきますというのが、まだ上院を通っておりませんから、国家の決定にはなっておりませんが、少なくとも下院は通っております。具体的な削減目標を担保する手法まで見えております。そういうものも具体的には日本でも明確にしなければ、環境税でやるのか、それとも排出権取引でやるのか、両方でやるのか、その他の手法でやるのか、またそれを実現する技術開発は一体どれだけのお金を使ってどこから出てくるのかを明確にしなければいけません。少なくともそういう方向に向かって日本は一歩踏み出しましょうということを選挙までにやりたいと思います。 

(問)今言われたのは選挙までに、つまり8月末までに用意するということでよろしいでしょうか。

(答)私としてはそうしたいと思っております。

(問)アメリカのサブミッションの中では2050年の目標とそれに向けての低炭素実行計画のようなものを用意してくださいという要求が出ているのですが、それに沿うものになるのでしょうか。

(答)2050年までに80%ないしそれ以上の削減ということになりますと、2040年、2030年までにどう達成し、2040年までにどうしていくかは当然入ってくると思いますし、それを達成する手段というのも書かなければいけないと思います。

(問)これは中環審か何かにかけるのでしょうか。

(答)いずれはそうなると思います。

(問)8月末までということでしょうか。

(答)8月末までには環境大臣としてあるいは環境省として、ある意味では緑の経済と社会の変革を4月20日に発表させていただきましたが、その中の一つの具体例としてこういうものを私たちは考えています。また、政権をもし今の自民党、公明党政権に託していただけるのであれば、こういう形で低炭素社会の実現を諮りたいというものです。

(問)その後、中環審にかけていずれは正式なものにしていくというイメージですか。

(答)はい。そして国民の皆さんから付託していただければ、きっちりと政府の国家のプロセスに則ってそれを決めていくことになります。ある意味では8月に出すものは政府の中で調整して政府として決定したものというところまではとてもいかないと思います。環境大臣としてはこう考えているというものです。もしそれで信を問うてご支持があれば、それは実行するために政府の中で最大限努力をしていきたいと思っております。

(問)技術があって政策がありますが、それをどう組み合わせていったら、80%削減を実現するためにどんな段階でこういう技術を入れるとか、こういう政策を打つとかそういったことを具体化して見えるようにすると、そういうものと考えてよろしいでしょうか。

(答)未だそこまで具体的に考えておりませんが、革新的な技術、例えば水素による製鉄ですとか、セメントですとCO2がプロセスとしてCaCO3からCO2を取り出すのがセメントを作る基本的な行程ですので、そのCO2をどう処理するのか例えば安全な方法で何処かに貯留するとというような技術、当然これから起こりうると思います。そういう大きく二酸化炭素排出抑制に貢献する技術というものを、2~3挙げないといけないと思います。その技術を達成するためにどういう研究開発工程があるかという大まかなものは、出さないといけないと思っております。

(問)8月末までに環境省としてとりまとめるということでしょうか。

(答)環境大臣としてこういうものを2050年までに80%削減、これを政府として決め、それを達成するための大まかなものでしかありませんが、こういう手段で達成しますというものを選挙までに出したいということです。

(問)与党が低炭素社会づくりの基本法案を出しておりますけれども、それとの整合性というか方向性は一致するものということでしょうか

(答)与党からも基本的な低炭素社会づくりの基本法案が出ております。方向性としてはそれらのものと一致するものです。野党の具体的な中身について未だ整合性について云々するという段階にはありませんが、環境省としてこう考えている、環境大臣としてこう考えているというものを出したいと思っております。基本的に与野党から出ている基本法と大きく考え方が対立するというものではないと思っております。

(問)80%以上削減となる一方で中期目標は大分低いと世界から見られておりますが、それが足かせになって、いわゆる後年度負担が増えるという懸念がありますが、場合によっては中期目標の見直しというものも視野に入っているのでしょうか。

(答)中期目標については、これからの国際交渉をスタートさせるにあたってのワンステップという意味で、また国内の真水、国内排出量のだけものですので、当然これに海外での技術協力や資金援助による削減量というものも加わってくるわけです。そういう意味で2050年の80%削減目標に向かって整合のあるものでなくてはいけないと思っておりまして、国内排出量だけで15%というのが長期目標と不整合になるものとは考えておりません。当然最終的には整合させるものだと思っております。

(問)基準年はいつということなのでしょうか。

(答)2005年です。昨年決めた60~80%削減も現時点からという表現になっているかと思います。そういう意味では今回政府としては、2005年を基準にして表現しようと、もちろん基準年が複数あってもかまわないということですが、一応2005年を基準年にするということだと思っております。

(問)都議選の応援にも行かれたと思いますが、実際有権者と接してみて麻生政権に対してどういう中央批判、要望を持っているとお感じになりましたか。

(答)与党に対して大変厳しい風が吹いていたということは実感しました。しかしながら、具体的に与党が取っている経済政策や、例えば都議選でテーマになっていると言われました新東京銀行又は築地の移転等について大きな批判の声があったとは感じませんでした。では、その逆風の実態は何かということですが、これはじっくり分析をしなくてはいけないかと思いますが、我が党は何とか全員当選させていただきましたが、自民党の惨敗が今回自公での過半数割れということになった。その自民党の中でのいろいろな一枚岩になっていないゴタゴタというようなことが有権者の批判を浴びたのではないかと感じておりますが、これは私が感じただけで、まだ詳細に分析したわけではありません。是非公明党としても今回の都議選をしっかり反省して次の衆議院選挙に備えなくてはいけないと思いますが、自民党も十分今回の都議選の結果を分析されて臨まれるということは必須ではないでしょうか。

(問)ゴタゴタというのは郵政の問題であるとか、党の役員人事の問題とかでしょうか。

(答)そういうことです。

(問)本日の閣議、閣僚懇で総理から解散総選挙に関してどういう説明があったのかと、大臣から発言されたのかをお聞かせください。

(答)総理からは、閣僚懇の最初に昨日の政府与党会議における発言について説明がありました。それに対して私からは何も発言しておりません。

(以上)

▲Page Top