本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年7月10日(金))

1.発言要旨

 今日は私の方から最初に3点お話をさせていただきたいと思います。
 まず環境省の幹部人事でございます。7月14日の閣議において、承認を得た上でのことでございますけれども、環境省の幹部職員を異動させたいと思います。まず西尾哲茂環境事務次官の勇退を認め、その後任に小林光総合環境政策局長を充てることを内定いたしました。総合環境政策局長には白石順一水・大気環境局長を、その後任には大臣官房付で、英国王立国際問題研究所に派遣している鷺坂長美を充てることといたしました。また黒田大三郎自然環境局長の勇退を認め、その後任には鈴木正規大臣官房審議官を充てることとしました。これらにつきましては7月14日付の閣議で御了承が得られた後、同日付で発令をいたします。またこの7月14日付で、大臣官房審議官に、三好信俊大臣官房秘書課長、渡邊綱男自然環境局自然環境計画課長を承認させることといたします。なお略歴等の資料につきましてはこの会見後に事務方より配布をいたします。
 それから2点目でございますけれども、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法が、一昨日、参議院本会議で可決成立をいたしました。水俣病の公式発見から53年以上という長い時間が経過しておりますが、今なお多くの方々が救済を求めておられます。国会において、救済を必要とする方々を水俣病被害者として受けとめ、救済するための枠組みをお示しいただいたことは大変ありがたいことと考えております。今回の法律成立に至るまでの関係者の御尽力に深く感謝を申し上げます。環境省としては、立法に関わってこられた方々の思いを十分に体しながら、一刻も早い救済の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
 それから3点目でございます。イタリア・ラクイラでのG8サミット及び主要経済国フォーラムにおきまして、気候変動などに関する議論が行われ、首脳宣言がとりまとめられました。G8及び主要経済国フォーラム首脳宣言では、世界全体の気温の上昇を産業革命前の水準から2℃以下に抑制するという科学的見地を認識することが盛り込まれました。これは、私がかねてから申し上げてきたように、IPCCなど科学による警鐘に耳を傾け、温暖化が危険なレベルに達しないようにすべきということが、途上国も含めて認識されたことを意味し、重要な一歩と受けとめております。またG8サミットの首脳宣言では、世界全体の排出量を2050年までに少なくとも半減させることを確認した上で、先進国全体で2050年までに80%またはそれ以上の削減が盛り込まれました。このように、今回の一連の首脳会合では、コペンハーゲンでの合意に向けた力強いメッセージが発出されたと受けとめております。温暖化交渉の担当閣僚として、今回の首脳レベルでの合意を受け、COP15に向けた国際交渉の進展に尽力していきたいと思っております。
 私の方からは、以上3点です。

2.質疑応答

(問)省の幹部人事ですが、今この時期に人事を行う背景、あるいは決めるに当たって重視した点などをお願いします。

(答)まずなぜこの時期にということでございますが、通常国会の中で、環境省に関わります重要法案が一段落をした時期でございますし、また人事については定期的に行っていくことが人材の有効活用という意味では重要だと思います。それから今回の人事の基本的な方向性、考え方でございますが、COP15が12月に控えております。このCOP15の成功に向けて、これまで担当してこられた方のその経験と能力をそのままCOP15まで引き続かせる、有効に使うという観点も今回の人事の中にはあると思います。

(問)サミット及びMEFですが、改めて評価をお聞きしたいのですが。MEFでは、大臣は2050年半減を新興国も交えて合意することが今回重要だとおっしゃっていましたが、そこまで明確なコミットメントは得られなかったと思いますが、その点についてどう評価するかということと、先ほどもおっしゃっていましたが2℃ということの意味についてどうお考えかお願いします。

(答)今回MEFで、世界全体で2050年までに半減、いわゆるフィフティフィフティと呼ばれているものですが、これが明文化されなかったことは率直に言って、残念です。しかしながら、産業革命前からの気温上昇を2℃以内に抑えるという意味は、正に世界全体で温室効果ガス濃度をある一定程度に抑えなければならないということで、私は世界全体で50年までに半減する、フィフティフィフティのことを、ある意味で表現したものではないかと考えておりまして、大きな前進であったと思います。

(問)2℃という話になると、IPCCの知見では中期目標で先進国全体で25%から40%というのがシナリオでは入ってきますが、やはりこの2℃というのは最終ゴールだと思いますが、今回のサミット、MEFの合意を経て、日本として改めて再検討すべきことが出てくるとお考えでしょうか。

(答)先ほどと同じ言い方になりますけれども、2℃以内に抑えるということで、ある意味で世界全体の大きな枠を示し、かつG8ではその部分を占めるものとして、先進国で80%削減するということが合意された訳でございます。先ほどは中期目標との関連で御質問がございましたけれども、2050年までに半減をするということは、正に2℃以内に抑える、そして先進国全体としての責任分という意味では、長期パスを明確にしたものということで、大きな前進ではないかと思います。

(問)2℃についてですが、大臣はかねてから科学の要請を大切にしなければならないとおっしゃっていましたけれども、必ずしも政府内では統一見解に至ってなかったのですが、今回、ある意味では唐突に日本政府は合意したのですが、政府内で何か調整があったのでしょうか。

(答)先日、関係大臣会合がございました。その場で、2℃以内に抑えるという科学の要請に従い、地球全体で2050年までに半減を達成し、そのためには先進国が率先的な姿勢を示さなければいけないので、先進国全体で80%削減ということを、リーダーシップを持って発言すべきではないかと関係大臣会合で発言させていただきました。それに対して、他の大臣から大きな反論はありませんでしたし、その後の官房長官談話におきましても、官房長官もそのような認識をされたということでございます。もちろん、その場で政府の方針を決定したという訳ではありませんで、これは国際交渉の場で総理が決断されることでございますので、今回国際交渉の場で総理が決断されたものは、私が発言したことがG8の中に盛り込まれたということで、大変大きな進歩ではなかったかと思います。あともう一言言わせていただくと、今回のMEFはあまり成果がなかったのではないかという論調がありますけれども、私は決してそうではないと思います。今回のMEFの宣言、2、3時間前にきたもので、まだ精査はしておりませんけれども、この文章を読んでますと、2050年までに半減という数字を入れれば、そのまま論旨がつながるような文章になっております。2℃ということを入れたということは、途上国も今回、大きな決断をしたということであり、今後COP15までの間にまた国際交渉をしていくということですので、大きな意味があると思っております。その上で日本が先進国として、80%削減をするというG8の合意をしたということは、低炭素社会づくりの先頭を日本が走らなければいけないということを世界に宣言したものと思っております。またG8では排出権取引についても言及がありました。具体的に先進国間で、この80%削減をどう達成するのか、その具体的な方法として排出権取引ということが言及されました。途上国にもこの仕組みの中に入ってくるべきだという表現もG8宣言の中にございます。そういう意味で、日本は先進国として、この排出量取引を試行しておりますけれども、この試行の次には排出権取引ということをしっかり行っていって、2050年までの長期パスを明確にしていく、その具体的な削減策として、こういう方向でこういう形で行っていくということを明示しなければならないということを今回のG8宣言で、私は実感したところでございます。そういう意味では今回のG8及びMEFでの合意は、これからの世界の在り方、そして日本の行くべき道を明確にしたという意味で非常に大きな意義のある会合だったではなかったかと思います。そういう意味で2050年までに半減がMEFで入らなかったから成果がないということではなくて、大きな方向性が出されて、日本はそれを先取りして今後生きていかなければいけないということが明確になった非常に大きなサミット、主要経済国フォーラムではなかったかという認識です。

(問)事実関係の確認ですけれども、関係閣僚会議で大臣は2℃について言及されたのでしょうか。

(答)はい、その通りです。

(問)MEFの方で、資金についてドラフトの段階では4億米ドル、それを途上国に援助するという文言があったのが、最終的な首脳宣言では落ちているのはどういう経緯があったのかということと、途上国側が強く求めている資金と技術について、今回具体的なものを示すことができなかった点についてどうお考えでしょうか。

(答)なぜ具体的な数字が落ちたのかということについて、その経過についてはまだ私は報告を受けておりませんので、今ここで何とも申し上げることはできません。しかし、一つ私が言えるのは、地球全体の削減量と途上国の義務、先進国の役割、義務と資金援助、技術支援、移転はある意味ワンパッケージで語られなければならないものだと思っております。この間も申し上げましたが、一つ一つの項目で議論していくとどうしても袋小路に入っていってします。全体を一つのものとして議論しなければいけない、そういう中でCOP15までの間に解決しなければいけない問題として、例えば2050年までに半減の問題と途上国支援の資金の問題、こういう形で今回はかちっと決まりませんでしたけれども、今後ワンパッケージとして決まっていくものと考えております。途上国がBAUからこれだけの努力をする、そうすることによって2050年までに半減を達成するというようなことが明確になれば、当然それを達成するために、先進国はこれだけの技術支援をする、これだけの資金援助をするということが明確になってくる。今回は少し言い過ぎになるかもしれませんけれども、片方がちょっと不明確になってしまったので、片方も不明確のままで残っていると私は理解をしています。いずれにしましても、COP15までにはワンパッケージでセットされるものと認識しております。

(問)水俣病の特措法ですが、施行日が決まったのかということと、救済実現に向けて取り組むということですが、省としてまず何から具体的に始めるおつもりかお聞かせください。

(事務方)公布、即施行ですので、公布されれば施行されます。公布は官報の都合だけですので、一週間程度で通常は公布されて、施行されます。後は、官報にいつ載るかという官報の事務所の版の都合だけでございます。

(答)それから今後何をするかということでございますけれども、まずは今回、立法府の方で、与野党でいろいろな議論がされて、法案が成立いたしました。その経緯もよく見ながら、法律の内容について反芻し、環境省として何をすべきかということを、立法の趣旨を整理し、理解することをまず一番初めに行わなければならないことだと思っています。かといって、何もしない訳ではありません。そういうことと同時に、まず被害者の皆様、地元住民の皆様にこの法律の成立の経緯、それから条文そのものについても、御理解していただけるように説明をしていかなかればならないと思いますので、そういう説明会の開催等も計画をしたいと思います。それをいつやるのかというのは、今検討中でございますので、お答えできませんけれども、できるだけ早い時期に行なわなければならないと思っております。今後決めていくべき細かい点がございますので、これは立法に関わってこられた議員の方々に立法の趣旨を確認しながら、御指導いただきながら、また患者団体や地域の皆様によく相談をしながら決めていきたいと思っています。

(問)政府が作るとされている方針のスケジュール感はどのようにお考えでしょうか。

(答)これは今、いついつまでにということは申し上げられませんけれども、先ほども申し上げましたように、立法の趣旨を再確認しながら、反芻しながら、できるだけ早い時期にということになると思います。

(事務方)当然ながら、いろいろな重要事項を決めるものですから、いろいろな方の意見、要望もございますので、ちょっとまだ明確にはできません。できるだけ急ごうと思っております。

(問)今回の法律、成立いたしましたけれども、一部には今回の法律はチッソの救済、チッソの免責ではないかという批判もありますが、そこの点はどうお考えでしょうか。

(答)チッソの救済、チッソの免責ではない、ありえないということは、ここで明確に申し上げたいと思います。そういう観点からも法律の中に、株式の売却やそれぞれキーポイントになる時点において、環境大臣の同意が必要であると法律に盛り込まれている訳でございます。逆に私はチッソが加害企業として、責任を全うさせるための被害者救済法であると認識しておりますし、地域の方々からも要望を受けましたけれども、チッソが地域に根を張った、また雇用を確保し、今後の地域発展に貢献をする企業であって欲しいという強い要望も地域の皆様からいただいたところでございまして、その加害企業の責任を全うするということと、地域で、ある意味永久に地域に貢献しながら生きていくということの両方を達成するための今回の法律であったと考えております。

(問)前回、平成7年に政治決着がされていて、それにもかかわらず、今回新たな政治決着が必要になったという局面だと思いますが、今回が前回の繰り返しにならないように必要なことというのはどのようなことだとお考えでしょうか。

(答)先ほどもありましたけれども、これから法律の趣旨に則って、一つ一つの細かいやり方を決めていく訳ですけれども、そこにおいて被害者の皆様とよく、また地域の皆様とよく議論しながら、相談しながら、一つ一つ、太宗の方に納得していただきながら進めていくことが非常に重要だと思います。

(問)週末に都議選の投開票日があるのですが、結果次第では自民党内に麻生総理の退陣論が起こる可能性もあると言われていますが、改めて都議選の結果が、国政や政権に与える影響についてどうお考えかお願いします。

(答)都議選の結果が国政にまったく影響を与えないことはないと思いますが、しかしあくまでも一地方選挙ということでございますので、決定的な影響を与えることはないと思います。我々与党の勝利に向けて、それぞれが所属する政党の選挙に向けて全力を挙げているところでございまして、最後まで頑張れば、それなりの御理解を都民の皆様から得られるものと思っています。私も今日、明日、都議選に全力を挙げます。

(以上)

▲Page Top