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大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年5月26日(火))

1.発言要旨

 今日、私の方から2点最初にお話をさせていただきます。
 1つは、クールビズの実施についてでございます。本日の閣僚懇談会において、クールビズの実施をお願いしました。今年も6月1日から9月30日までの間、適切な服装をすることで過度に冷房に頼らず涼しく過ごす「クールビズ」の実践を呼びかけてまいります。これに関連しまして、5月31日には京都におきましてデンマーク大使館や日本百貨店協会会員百貨店、関西の自治体・経済界などのご協力をいただきまして、クールビズのスタートを呼びかけるイベントを開催する予定です。この日は、デンマーク大使館の主催で地球温暖化防止を呼びかける「COP15サイクリングツアー」が併せて開催される予定です。クールビズのイベントには私もホストとして出席しますので、皆様にも是非ご覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 もう1点は、小名浜火力発電所の新設計画についてでございます。本日、小名浜火力発電所の新設計画につきまして、環境影響評価法に基づく環境大臣意見を経済産業大臣に提出いたしました。本件は、電気事業用の石炭火力発電所を新設する計画であり、温暖化対策に及ぼす影響が極めて大きいことからこれまで慎重に対応を検討してまいりました。何度も申し上げているとおり、石炭火力の必要性は十分理解しておりますが、長期目標や今後の中期目標との整合性を考えれば、新たに建設される施設は、少なくとも二酸化炭素排出原単位が最先端でなければならず、古い性能の悪い施設と置き換わるなど、真に必要なものに限定すべきと考えております。こうした観点から、今回の計画について検討したところ、結論から申し上げれば、現状では温暖化対策上問題があり、今回のアセスの前提となった計画内容については是認しがたいとの大臣意見といたしました。
 具体的には、主に次の問題点を勘案したものです。1つ目は、小名浜火力の排出係数の悪い電力が一般電気事業者の電力に置き換わることにより、第一約束期間の目標達成に支障を及ぼすおそれがあること。2つ目は、最先端の二酸化炭素排出原単位でなければならないが、小名浜火力は従来技術による石炭火力の計画であり、実行可能な最大限の対策が講じられていないこと。3つ目は、PPS事業者も含めた電気事業全体として、二酸化炭素排出原単位を着実に低減する枠組みがない現状では、今回の計画は長期的な二酸化炭素削減に支障となるおそれがある。この3点を考えたものでございます。
 しかし、これらは、今回の計画に留まる問題ではなく、電気事業全体としての石炭火力に係る長期的な方針がないことが、より本質的な問題と受け止めております。そのため、異例ではありますが、経済産業省に対する協力要請として、1つは、電気事業全体の二酸化炭素低減枠組みを早期に整備すること、もう1つは、長期目標が実現できる電源構成の見通しを明らかにすること等を併せてお願いする大臣意見といたしました。詳しい内容は、この後資料を配布いたしますので、それをご覧いただければと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)24日に最終的な節目を迎えました中期目標の件で2点ご質問させていただきます。大臣は常日頃から科学の要請、途上国への参加を促すもの、産業社会の変革を促すものの3点を申し上げておりましたが、その物差しで照らし合わせた場合、24日の懇談会に示された世論調査の7%減の件をどの程度満たすものとお考えでしょうか。
 また、真水以外の海外からの排出額が森林吸収源を中期目標に上積みする可能性はあるのか、4大臣会合の詰めの作業前に改めて中期目標の打ち出し方についてのご所見をお聞かせください。

(答)最初のご質問のマイナス7%というのは、私がこれまで申し上げてきた基本的な考え方に照らしてどうかという質問かと思います。私は、今回の世論調査でもマイナス7%を支持する案が一番多かったと聞いております。これは、ある意味でプラス4%を主張される産業界がある中で国民の皆さんの地球環境に対する危機感、また健全な意識を反映されたものと考えております。今回この中期目標を巡る議論が提起されて、やっと国民的議論が盛り上がってきた、もう少し議論する時間があればと率直に感じているところでございます。まだ議論する時間はありますので、私はこれまで申し上げてきた科学の要請に応えること、主要排出国が参加できる枠組みになること、日本の社会の変革・経済の変革、つまり競争力強化、グリーンニューディールに繋がるものであること、この3点の主張をこれからも国民の皆さんにご理解いただくように頑張っていきたいと思っております。
 2点目は、この間の地球温暖化問題に関する懇談会でも申し上げたことでございますが、今後国際交渉となりますと、ある程度の幅を持った中期目標の方が交渉はし易いこと、各国の中期目標についての提案を見ておりますと、国内削減分にプラスして森林吸収源や海外途上国からのクレジット等、いわゆる柔軟性メカニズムと言われているものを含んだものになっております。したがいまして、日本も真水で減らす部分と柔軟性メカニズムの部分を併せて考える方が交渉上やり易く、有利であると思っております。

(問)中期目標について、一部のメディアのインタビューで国内では15%減、森林吸収なども併せて25%減だったら対応できると述べられておりますが、大臣の6つの選択肢を勘案した上での望ましい水準と考えるのはその辺りにあると考えてよろしいのでしょうか。

(答)私がインタビューでお答えした内容を正確に少しお伝えいたしますと、先ほど申し上げたようにマイナス7%というのは、国民の皆さんの健全な意見、意識が現れているということ。もう1つは、現在行っております経済対策、太陽光導入、次世代自動車、エコ住宅等の政策は、いわゆるマイナス15%、つまり選択肢5番に非常に整合が取れているということで、このマイナス15%も選択肢の1つではないかと申し上げました。そして、真水の部分にプラスして森林吸収源、途上国への国際貢献分を付け加えれば25%は、科学側から一律に先進国に要求している、ある意味非常に重要な意味を持つ数字ですので、そこに到達することも可能ではないか、これも選択肢の1つではないかという主旨で昨日インタビューにお答えしたものでございます。
 したがいまして、今後4大臣会合が来週予定されておりますが、その場でどのような発言をするかは、今後検討していきたいと思っております。選択肢の1つという発言をさせていただきます。

(問)その15%減なり25%減は、最終的にはもちろん目標自体は総理が決められることだと思いますが、環境大臣として選択肢の1つとして考えていると受け止めてよろしいということでしょうか。

(答)はい、その言葉どおり選択肢の1つです。

(問)石炭火力の件ですが、おっしゃった主旨は小名浜は小名浜として、石炭火力の増設に何らかの歯止めが必要であろうというご認識だと思いますが、経産省に何らかの対策や施策を打ってほしいという主旨の要望と考えてよろしいのでしょうか。

(答)環境アセスメント上の環境大臣意見ですので、今計画されている案では認めないと明確に申し上げたところでございます。その理由は、先ほど申し上げたとおりでございます。それ以上のものでもそれ以下のものでもないという認識です。これを受けて経済産業大臣が環境大臣の意見を勘案してしかるべき勧告をしていただけるものと思っております。

(問)経産省に協力を要請をされるということもしましたが、そちらの部分がそれにあたるのでしょうか。 

(答)今回のポイントは2つありまして、1つは小名浜の現在の計画はまさにコンベンショナルな石炭火力であり、第一約束期間、中期目標、長期目標、特にこれから30年、40年動く火力発電所ですから長期目標に対してその整合性上認められないという、個別案件についての環境大臣意見を言ったこと、2つ目は経済産業省に対しての要望という形になりますが、これから電力全体としてどのように二酸化炭素排出抑制を行っていくかの枠組みが無いことが本質的な問題ということが今回の検討で浮かび上がってまいりました。つまり、石炭火力を100%否定しているものではないと何度も申し上げましたが、全体の枠組みの中で火力発電はこういう風に位置づける、しかしその分、電力全体としては二酸化炭素排出抑制を行って長期目標を達成するという枠組みが無いということです。もっと具体的にいうと、一般電気事業者とPPS事業者と全く別の枠組みになっております。たとえば、PPS事業者については、自主達成目標自体が設定時点で既に達成されているような、ある意味チャレンジングなものではなかったことなど、いろいろな問題点が今回浮かび上がってきましたので、経済産業省には、今回の個別事案とは別に全体の枠組みを作ることが今後一つ一つの火力発電所の計画があった時にこれを環境アセス上判断することに必要ではないか、そういう枠組みを作ってくださいと申し上げたことが今回の2点目のポイントになろうかと思います。

(問)関連して、今小名浜にこだわらず、既存の石炭火力について、排出係数1を越えるようなまだ効率の悪い火力発電所がありますが、そちらの方の対処についてはどのようにお考えですか。

(答)長期目標の達成に向けて、先ほど申し上げました電力全体の中でその計画を出してください、そういう中で新設の火力発電所についてもそれが確実に古い排出原単位の悪い火力と置き換わっていくことが明確であれば、十分検討に値する、というわけでございます。今回はそのような枠組みやこれだけ確実に減りますというものが無かったということで、認めないと判断したわけでございます。そのような全体の枠組みを作ることがコンベンショナル、より原単位の悪い火力発電所を減らしていくことに繋がっていくと思っております。 

(以上)

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