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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年5月8日(金))

1.発言要旨

 私の方から最初に2点申し上げたいと思います。
 ちょうど一週間前の記者会見の際に、これから水俣に行き、語り部の方々、そして患者団体の方々から意見を伺って参ります、と言って出発をしましたけれども、体調の関係で、記念式典に出席し、政府を代表して祈りの言葉を申し上げた後、こちらに帰って参りました。したがいまして、語り部の方、団体の方々から意見を直接聞くことができず、このことについては大変申し訳なく思っております。
 体調の関係で、本来5月2日よりアメリカに出張予定でしたが、1日ずらしまして、3日に日本を発ち、4日、月曜日にアメリカで大統領府、環境保護庁、そして国務省、それぞれの環境、気候変動担当の方々と会談をして参りまして、翌日帰って参りました。このことについて一言皆様にご報告をしたいと思います。
 まず、大統領府のナンシー・サットリー議長と45分間に渡って懇談をすることが出来ました。主な議題は、グリーン・ニューディールについて、日本で発表した我々の案、そして今審議をしている補正予算の内容について説明をしました。今後アメリカでのグリーン・ニューディール政策の試み、そして日本での試み、財政出動を伴った環境を軸としたこのグリーン・ニューディールがどのような経済効果を生み、またどのような、ある意味社会変革の姿を示すことができたか、お互い検証をする必要がある訳で、そのことについて情報を交換し、共有をしていこうということ、またアメリカと日本、双方でグリーン・ニューディールを行っていることについての相乗効果についても検証していこうということで合意をしたところでございます。
 それから環境保護庁、EPAのリサ・ジャクソン長官とG8環境大臣会合に続いて、2回目の会談を約1時間行うことが出来ました。アメリカのEPAと日本の環境省、これまでブッシュ・アドミニストレーションの下で、どちらかといえばあまり協力関係がしっくりいってこなかった中で、改めて両国の環境省、環境保護庁がしっかりと連携をしてやっていこうということで合意をしました。具体的なテーマと致しましては、子どもの健康と環境、温暖化防止、コベネフィットアプローチ、低炭素社会づくりネットワーク、メタンガスの市場化等について、具体的な項目について協力をすることに合意を致しました。それぞれの項目について、来週、竹本地球環境審議官が向こうに行きまして、今後の具体的な進め方について詰めて参ります。ある意味では新たなEPAと環境省の協力関係のスタートという大きな節目の会談になったのではないかと自負しております。
 それから国務省ではトッド・スターン気候変動担当特使とお会いをして参りました。スターン特使は、今日4日にUNFCCCにアメリカの協定案を出すが、ただし今日出したということをオープンにすると、どういう内容だと電話が殺到するので、そのことについては記者会見等で言わないで欲しいと言われておりましたので、その後の米国での記者会見等で言いませんでした。もう時間が経ちましたのでいいかと思いますが、正にその当日にスターン特使と1時間近くお話をすることが出来ました。2回目の会談になった訳ですけれども、特に私が強調したのはCOP15での合意に向けて、アンブレラグループの中での意見調整と団結ということを強調して参りました。アンブレラグループの中心として、日米がしっかりと情報を共有し、同じ先進国グループの中でのEU、また途上国の内、77プラス中国というグループと協議する上で、次期枠組が実効的な、主要排出国が入った一つの枠組になるべく、しっかりと連携していこうということで合意をしたところでございます。スターン特使が強調していたのは、いろいろなこと、中国の参加を促すために日米が協力していかなければいけないという意見もありましたが、2050年に向けての長期的な温暖化効果ガスの排出抑制の道筋を各国が明らかにすることが重要でないかとこのことを強調されていたように記憶しております。
 以上、その三方とお話をして参りましたけど、総括的に申し上げますと3つの点を申し上げたいと思います。第一に環境が経済の制約ではなく、正に環境を軸にして新しい社会を作っていく、また経済を牽引していくという共通の認識に日米両国が立てたということで、これは画期的なことではないかと思います。2番目に現下の最大の課題である気候変動問題のCOP15での合意に向けて、主要経済国フォーラム、MEFの役割が非常に大きく、中国など新興国の削減枠組への参加が不可欠であって、日米がそのために協力していかなければいけないということが、また共通認識として持たれたということ。それから3番目に、日米協力のもう一つの側面ですけれども、私も向こうの記者会見で申し上げましたけど、リサ・ジャクソン長官から子どもの健康と環境について、ナンシー・サットリー議長からブラックカーボンについてどう考えるかという問題提起がされました。ブラックカーボンというのは、いわゆるススですけれども、調理をする時に燃料から出てくるススを子どもが家庭の中で吸う。そのことによる健康被害が途上国では非常に大きいのだということです。このススの問題ついては、日米ともに国内的には解決済みの問題ですけれども、しかしこういうことについて、日米が協力をして、子どもの健康ということを考えた時に当たっていかなければいけないのではないか、こういう分野でも日米が協力する必要があるのではないかと強調された点、これは私の考えが至らなかったところを突かれた気がいたしましたけど、こういう分野でもこれから日米協力が必要になってくるし、そういうことについての方向性も今回見いだすことができたとこのように感じた点、以上が総括でございます。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)体調はもう快復されたのでしょうか。

(答)はい、完全に快復をいたしまして、少し鼻声が残っていますが大丈夫です。ありがとうございます。

(問)先ほどあった、アメリカ政府が出したポスト京都の提案についての大臣の評価、ポイントと思う点があれば教えていただけますでしょうか。

(答)今、分析中でございますので、このアメリカの新しい提案についての評価はまた後日、きちんとさせていただきたいと思います。ざっと見させていただいた感じでは、スターン特使が当日、一生懸命強調しておりましたが、2050年に向けての長期パスが重要であるということを強調しているのではないか、そこにポイントがあるのではないかという点と、それから、中国、インドといった主要排出国の温室効果ガスの削減の道筋について、記述をしております。日本としては、それがきちんとした強制力のある目標ということを提案している訳ですけれども、そこのところがどのような関係になるのか、もう少し詰めなければいけないと思います。ただ、一つの枠組の中で主要排出国にも何らかの排出削減に向けて道筋を示させるという点では、日本の提案と方向性が一致しているのではという印象を持っておりますが、より具体的にはその強制力の有無ですとか、京都議定書との関係ですとか、ということについてはもう少し分析をさせていただきたいと思います。

(問)水俣では残念ながら患者団体との交流はできなかった訳ですが、もう一度改めて行かれるご予定はございますでしょうか。

(答)今のところ、具体的な予定はございません。4月15日に省内で患者団体の方とお会いをして、いろいろなご意見をお伺いしました。また今回も西尾事務次官から皆様からのご意見について、報告を受けました。内容については理解しているつもりでございますが、今のところ具体的な予定はございません。

(問)臓器移植法に関してですが、WHOが渡航移植ガイドラインの改定を1年先送りしたということですが、B案の提出当初との状況の変化についてどのように捉えていらっしゃるかお願いします。

(答)正確には今、私は政府の方に来ておりますので、B案の提案者からは外れております。ただ、4年前に最初にB案を提出した際のオリジナルのメンバーという立場でお答えさせていただきます。1年先延ばししたということで、私は、今、国会を中心に臓器移植法についていろいろな議論がされておりますけれども、脳死を人の死として規定することについての国民的なコンセンサスが得られているというところまで、きていないと思います。B案が臓器移植を、また子どもの臓器移植も増やすという意味において、着実に一歩進める最適な案だという私の意見は変わりませんけれども、1年先送りしたという状況も踏まえて、もう少し国民的な議論がなされるように時間を設けて、議論を進めるということも一つの選択肢ではないかと思います。

(問)アメリカに行かれた件で、今回議会関係者とはお会いになっていないようですが、今出ているマーキー法案でしょうか、この今後の審議の見通しについて何か情報があったかどうかということとそれと関連するのですが、アメリカとして中期目標をいつ頃のタイミングで、どのような内容のものを出すかという手がかりのような情報は得られたのでしょうか。

(答)今回、議会関係者としてケリー上院議員ともぜひお話したいということで、申し出はしたのですが、いろいろな都合が合わなくて実現できませんでした。法案の状況についての情報は、スターン特使やジャクソン長官からも話をお聞きしたところです。今、正に議会の中で議論をしている最中で、今後その中身について大きく変わる可能性もあるけれども、しかしながら2050年目標を達成するための一つの具体的な方法として、キャップ&トレードをその中心に置くという基本的な位置付けと考え方は変わらないと、いろいろ今後、議会を通すためにその中身についての修正、変更はあるだろうけど、基本的に成立するのではないかという感触は得て参りました。中期目標の話が出ましたけれども、正に2050年目標を達成するための担保としての手段、その手段としてのキャップ&トレード、中期目標自体が長期目標を達成するための手段なんだというような考え方が強いなと感じたところです。具体的に中期目標をどうするかという数字については、こちらも水を向けたりしたのですが、はっきりした答えはなくて、正に長期目標を担保するための道具はこれなんだというような言い方だったような印象がします。

(問)柏崎刈羽原子力発電所が近く、7号機が再稼働ということになりそうなんですが、改めて簡単にどのようにご覧になっているかお願いします。

(答)私も、数ヶ月前になりますが、柏崎刈羽原子力発電所に現職の環境大臣として初めて原子力発電所の視察をさせてもらいました。安全に徹底的な配慮を行った上で、再開を目指して頑張っている現場の皆さんからご意見を伺ってきたところでございます。今、原子力発電所の稼働率が通常80%強から60%前後まで落ちております。そのことによって二酸化炭素の全排出量の5%分が上乗せをされている状態ということで、これを通常の稼働率にぜひ戻すことによって、京都議定書の達成をより近づけたいと私も思っておりますので、今回、泉田新潟県知事があのような決断されたことは敬意を表したいと思います。当然、その決断の前には、安全対策への万全の準備また万全の対策が施されたものと考えておりまして、そういうことを評価していただいた地元の皆様にも敬意を表したいと思います。環境省としては二酸化炭素排出抑制、特に京都議定書の目標達成期間内に入っておりますけど、大きく寄与する原子力発電所の再稼働は評価をしたいと思います。

(問)水俣の慰霊式ですが、大臣が直接現地にお入りになって、被害者団体の方々と直接やりとりをする貴重な機会になる予定だったと思いますが、次官からいろいろ今回の救済策についての皆さんの懸念や要望などをお聞きになっているかと思いますけれども、それをお聞きになってのご感想ともし直接やりとりができたら、大臣の側から何らかのメッセージというものがあればお願いします。

(答)一つは、現在国会で与党案、民主党案が議論されている、そしてどういう決着になるのか、そしてそれが正に救済を求めていらっしゃる方々の救済に繋がるのか、等々いろいろなご不安があるという声を次官からも報告を受けました。ある意味で不要なご不安もあるということで、そういう不安の解消には努めてきたということで、今後もご心配いただかなくてもよい点については我々もしっかりアピールをしていきたいと思っております。基本的には今、国会で与野党、議論をしていただいておりますので、それを見守りたいというのが基本的な姿勢でございます。

(問)関連ですけれども、 今おっしゃった不要な不安というのは、具体的にはどの部分を考えていらっしゃるのでしょうか。

(答)内容としては、手帳所持者の方々の扱いなどですが、今それを具体的に正確に言えませんので、また後でお話したいと思います。

(以上)

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