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大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年3月27日(金))

1.発言要旨

 私から3点ご報告させていただきます。まず閣議で、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令の一部を改正する政令が了承されました。温室効果ガスの排出量の報告義務の対象となる事業者の規模を定める等の改正を行うものでございます。改正法は、これまで「事業所」単位であったものを「事業者」単位にする、企業、フランチャイズチェーン単位でその対象に入ってくるという改正でございます。
 それから2点目として、昨日政策手法分科会が開催されまして、排出量取引の試行的実施について、参加申請者の目標水準の審査結果等について議論が行われました。数百社の参加申請者について目標審査を行った結果、今般、77社の目標水準が確定したということでございますが、正直、参加申請者数に比べて物足りない数との印象を受けております。また分科会においても、試行実施が「意味ある実験」となるよう、今後、制度の改善を行っていくべきとの発言が相次いだとも聞いております。一方一昨日、いわゆるJVETS、これは環境省が行ってまいりました自主参加型国内排出量取引制度に関するシンポジウムが開催されまして、私も一部冒頭参加をさせていただきました。排出量取引に関する知見・経験・ノウハウが蓄積されているということを実感いたしました。今後この排出量取引の試行に、このJVETSの知見がより一層反映されるように努力していきたいと思っております。
 それから3つ目ですが、国立環境研究所のニュースレターにずっと連載されていた「ココが知りたい地球温暖化」が本となりまして、刊行されることになりました。この本は、第一線で活躍中の研究者たちが、温暖化の「科学」、「影響」、「対策」について、29の質問形式でまとめられたものでございます。一般の多くの方々に科学的な正確な情報を分かりやすい言葉で伝える解説書として大変良いものが作られたと思っておりますので、どうか皆様も参考にしていただければと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日午後に政府の中期目標検討委員会が開かれて、選択肢ごとの分析結果が示されます。韓国とEUは90年比で20%削減、米国は0%という目標を掲げていますが、IPCCで示されている先進国で25%削減という点については、日本が高い目標を掲げても達成は難しいのではないかと思われますが、大臣のこの件のご所見をお願いします。

(答)これは今検討会が行われている最中ですので、私がここで断定的なことを言う訳にはいきませんが、これまでのように、科学の要請に基づくものでありかつ発展途上国の参加を促すものであること、すべての主要排出国が参加できる枠組になること、そしてグリーン・ニューディールと言われておりますが、新しい社会を作っていく、新しい経済を作っていく原動力になるもの、この3つの基本的考え方が重要と申し上げてまいりました。特にいよいよ国際交渉が始まりましたが、中国が入るためには野心的なものでなくてはならない。中国が入らなければ、アメリカは入らない。こういうことを考えれば、日本が先進国としての責任をしっかりと示していく野心的な目標が必要なのではないかというように思っております。そういう議論が中期目標検討委員会でされるものと期待しております。

(問)中期目標の関連ですが、温室効果ガスの削減率が高くなればなるほど、失業者数が100万人以上になるとか、1世帯あたりの負担が10万円以上になるとかといった試算もあるようですが、大臣は実際、温室効果ガスの削減率を高めればこれだけ大きな国民的負担が生じるとお考えでしょうか。

(答)国民的負担があることは確かだと思いますが、それと同時に新しい需要、雇用を生み出してくるという面も同時に考えなければ、不公平だと思います。これまで経済界から出ている分析結果については、その面が抜け落ちているのではないか。そういう意味では正しい情報を国民の皆様に与えていないのではないかという感触を持っております。

(問)経済界から出ている分析結果とおっしゃったのは、今検討委員会で示されている案も念頭に置かれてのご発言でしょうか。

(答)検討委員会に出される分析結果については詳しく聞いておりませんので、よく分かりませんが、例えば先日の広告に出されたような分析結果を念頭に、ということでございます。

(問)平田財務副大臣が株の売却ということで辞任されましたが、この点に関するご感想をお聞かせいただきたいのですが。

(答)政府要職にある者、株の取引等についてはこれを自粛するという規範がございます。その規範に違反したということは、甚だ遺憾で、辞職されたのは当然だと思います。

(問)これまで何度かお伺いしていることで恐縮ですが、小名浜の火力発電所について改めて大臣としてのご所見をお願いします。

(答) 小名浜の火力発電所については、経済産業大臣の意見提出が本日期限と聞いておりますが、2ヶ月ほど延期されると聞いております。小名浜火力発電所に関する私の考えはまったく変わっておりません。これから新設する発電所は30年、40年という寿命を持ちます。40年といいますと正に2050年、長期目標のゴールです。その長期目標として今からマイナス60ないし80%削減していこうと言っている時に、原単位が0.8kg-CO2/kWhというもの、これは今一般の電気事業者は0.3kgのレベルで努力している時にこういうものが許されるはずはないと思いますし、私たちの子供や孫に大きなツケを残すということは私は許されないのでないかと思っています。私はしかしながら、石炭火力を否定するものではありません。電力の安定供給ということから、石炭火力も非常に大きな存在意義があると思いますが、例えばIGCC、ガス化複合発電でありますとか、CCS、回収貯留等の最先端技術の技術を組み合わせて出来るだけ0.3kgに近づけていこうという努力をしている時に、そういう努力は一切なく、安易なPPSという特殊な守られたところで0.8kgというまったく論外な原単位を出す火力発電所が認められるとは私は到底考えられません。エネルギー政策基本法の基本方針、環境適合性ということからも大きく逸脱していることだと思います。

(以上)

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