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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年3月13日(金))

1.発言要旨

 私の方から最初に2点お話をさせていただきます。1つは今週月曜日にイタリアのローマでG8環境大臣会合の準備会合が開かれました。我が省から森谷審議官に参加してもらいましたが、その結果の報告を受けました。この4月にイタリアで開かれるG8環境大臣会合に引き続く重要な会合ですし、今年はCOP15が控えていることでも重要な会合だと思っております。そのテーマですが、気候変動と生物多様性を主要なテーマとすることはコンセンサスがあった訳ですが、それに加えて日本が主張して、子供の健康と環境についてもテーマの1つとして取り上げることになったということをご報告させていただきたいと思います。また気候変動については、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の交渉プロセスと重複しない形で、現在の経済金融危機に対応する、また寄与するということからの論議も必要なのではないか、いわゆるグリーン・ニューディールについての議論も今後環境大臣の間でしていかなければいけないということで意見が一致したと聞いております。生物多様性につきましてはCOP10の成功に向けて、気候変動との関連、生物多様性と経済、二次的な自然の重要性、科学と政策の間の関係強化などに関して、なんらかのメッセージを発出できるよう、今後調整・交渉を行うこととなったと報告を受けております。この準備会合を受けまして、4月22日からの本会合に国会の了承を得て、ぜひとも出席したいと思っておりますが、この本会合において実りのある議論、そして結果を得られるように今後調整・連絡を十分行っていきたいと思っております。
 第2点目は、「緑の経済と社会の変革」に関して、これまで意見交換を4回行ってまいりました。5回目を来週の17日(火)の夕刻6時から大臣室で行うことになりました。今回は、環境の各分野でNPO活動、市民活動、またその支援に携わってこられた方々からお話を伺うことにしております。気候ネットワーク代表の浅岡美恵先生、環境カウンセラーで、ジャーナリストの崎田裕子先生、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット所長のあん・まくどなるど先生、グットバンカー代表取締役社長の筑紫みずえ先生、以上4人の有識者をお招きして、お話を伺うこととしております。それぞれ、浅岡先生は低炭素社会、崎田先生は循環型社会、あん・まくどなるど先生は自然共生社会の実現に向けて頑張ってらっしゃっておられますし、筑紫先生は環境金融のあり方ということでご意見を頂戴できればと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日の夕方、欧州連合の議長国のチェコと次期議長国のスウェーデンの環境大臣と会談なさるということですが、その会談の狙いについてお願いします。

(答)今日の夕刻、大臣室にチェコとスウェーデンの環境大臣、及びEUのディマス環境委員が来られる予定でしたが官房長がお越しになります。EUトロイカと呼んでおりますが、会談をさせていただきたいと思っております。今年のCOP15の成功に向けて、今後日本とEUが連携して、主要排出国であるアメリカ、中国、インドを積極的な参加を促すために行動していかなければならないと思っておりまして、その話し合いができればと思っております。

(問)佐渡のトキについてですが、今日環境省に佐渡市長がいらして、繁殖のためにも本州に渡ったトキを佐渡島に連れ戻すべきだという中身の要望をされるということですが、それについてご見解をお願いします。

(答)トキの放鳥につきましては、佐渡島においてトキを自然な形で定着させるということが国の基本方針でございます。その基本方針はまったく揺らいでおりません。現在どのような形でトキが行動するのかということを観察させていただいておりますが、それも大方針の下で行っている訳でございまして、私としては今しばらく様子を見させてもらいたいと思っております。佐渡島のみなさんには、ビオトープを作ったり、えさ場を作ったり、また農薬を使わない農法に変えたりと大変なご協力をしていただいております。その佐渡島にトキを定着させるというのが国の基本方針であり、その基本方針を貫徹させたいからこそ、今は自然なトキがどのような行動をするのか見させていただいているということでございます。近々専門家会合を開いて、またご検討をいただく訳ですけど、この点についてはご理解をいただきたいと思います。また連れ戻すということは、捕まえなければならない訳ですから、これも大変ある意味ではリスクのある、トキにストレスを与えることになりますので、そういうことも考えながら今しばらく様子を見させていただきたいと思っております。繰り返しになりますが、国の基本方針は先ほど申し上げた通りで、その大きな方針は少しも揺らいでおりません。

(問)G8の環境大臣会合で、UNFCCCの交渉と重複しない形ということは、そこで中期目標の話ですとか突っ込んだ話をしないと考えてよろしいでしょうか。

(答) いえ、中期目標についても先進国の間で、温度上昇を2℃に抑えるために、25%ないし40%削減すべきだというIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告を尊重して、それをどう達成するかということも当然気候変動のセッションでの議論になると思います。そういうこと議論すること自体が、UNFCCCの議論と重複することにはならずに、サポートといいますか大きな柱になると思います。ただ、イタリア政府もいろいろな意見があったということで再検討をしている最中であるとのことです。

(問)政府の追加経済対策で、今月末から地方の高速道路が一律1000円で通れるようになりまして、一部システムの不備で本格化は来月からだそうですが、それによってマイカーの利用者の増えるとマイカーを使わずに公共交通機関の利用を奨めている環境省の方針とはズレが起きると思われますが、大臣はどうお考えでしょうか。

(答)私はモーダルシフトということを大きな方向性として進めていかなくてはならないと思っておりますし、公共交通機関を使っていただいて、CO2排出抑制ということを目指した社会にしなくてはいけないと思っております。大きな方向性はそういうことでございますが、今回の措置は現在大変厳しい状況にある経済を活性化させるという意味で、それなりの意味あるものとも思っておりますが、方向性としては二酸化炭素排出抑制に結びつく交通体系を目指さなくてはいけない。大きなトレンドの中の小さな波打ちという理解でおります。

(問)小さな波打ちということは少し後退しているということでしょうか。

(答)二酸化炭素排出抑制という面からは後退だと思いますが、今経済を活性化させること、日本社会を活性化させることも非常に大きな政治に課せられた課題ですので、そういうことを兼ね備えれば、致し方ことないかとも思います。またこういうことで、いよいよ自動車の次世代自動車化、ハイブリッド車や電気自動車といった二酸化炭素を排出しない車の開発にこれが結びつけば、私はひとつの意義はあるのではないかと思います。これで二酸化炭素の排出が少し増えました、京都議定書の目標から少し離れてきましたということになれば、しかし社会の活性化ということを考えれば自動車交通も必要だということになれば、その2つの方向性から、では二酸化炭素を出さない車を開発しましょうというインセンティブに結びつけば、ひとつの意義はあるのではないかと思います。また高速道路を使うことによって渋滞を緩和するということで、一概には二酸化炭素の排出が増えるとは言い切れないということもあります。

(問)EUが1月の終わりに欧州委員会の方で、EUが先進国全体で30%削減達成するには、いろいろな指標から日本は24%の削減が必要だという試算をまとめたということになっていますが、24%削減ということをどこまでEUが求めてくるか分かりませんが、大臣はどう受け止められていらっしゃるでしょうか。

(答)そのような試算をしているということは承知しています。ただ、その試算もまだある意味で仮のものという位置づけとも聞いております。またヨーロッパの30%という数字もいわゆる京都議定書におけるCDM的な途上国での削減分も含んだ数字だということもありまして、そうした場合の日本の24%というのはどういう意味があるのかということもまだはっきり定かではありません。そういう意味では、まだその数字を使って、向こうが日本に、日本はこうあるべきだという段階ではないとは思っておりますが、今後、議論をする際のレファレンスとしてはあるとは思います。そういう意味では今日の会談の議論の材料になる可能性はありますが、そういう位置づけで今後日本が削減目標を決める時のひとつの材料、レファレンスになる部分だと思っています。難しく言いましたが、要するにEUの計算はまだまだ前提のはっきりしない、交渉の材料に使い得るものではないという認識でおります。

(以上)

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