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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年1月27日(火))


1.発言要旨

 今朝、吉川洋先生と伊藤元重先生にお会いしました。日本版グリーンニューディールについて有識者のご意見を伺う2回目の会合を持ち、幅広いご意見を伺い、また意見交換を行い、特にこのような話しが出ましたということは言いにくいのですが、吉川先生から、基本的に現下の経済の状況の中で、新しい需要を生み出していく、その切り口に環境を置くという基本的な方向性については重要ではないかというご意見を伺ったと思っております。また、内需を呼び起こしていくことが大切で、その切り口として環境があるというお話がありました。それから、やはり、ある意味で革命を起こしていくためには削減目標等については、日本として積極的な提案をする必要があるのではないかというお話も伺いました
 伊藤先生からも基本的に不況期の経済政策の必要性、そこで21世紀型産業と環境エネルギー産業が大切である、アジアとの協力が重要であるのではないかというお話がありました。
 1時間半にわたって広範囲の意見交換会であったため、これはというものをここでうまく表現できませんが、以上のことが印象に残っております。
 もう1つは、少し古い話になりますが、GOSAT(いぶき)の打ち上げが成功しまして本当に良かったと思っております。私自身は、文部科学省に設置されました大きな画面で打ち上げ中継を塩谷文部科学大臣と一緒に見させていただきました。現地には野田宇宙開発担当大臣が行きまして、打ち上げ後電話でお話をしました。飛躍的に観測地点が増え、宇宙から地球上の二酸化炭素濃度が発生しているところ、濃いところ、吸収しているところも観測することができます。それを世界に無料で提供するということで、今後の飛躍的な科学的知見の蓄積に、また科学を基礎にして我々は応じなければならないと言っておりましたが、その基礎を提供してもらえるものと期待をしております。私は、宇宙議連の幹事長をやっておりまして、H2Aロケットが9回連続して成功したということ自体を非常に喜んでおります。意外に知られていないのですが、日本のロケットは水素と酸素で、出てくる物はH2Oと非常に地球に優しいものです。他の主要ロケットはケロシン、いわゆる化石燃料を燃やして、特に空気が濃いところを行く第一段ロケットは化石燃料を使って打ち上げているのがほとんどである中、日本のロケットは環境に優しいということを強調しておきたいと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)1点目は、先週開かれました中期目標検討委員会で温室効果ガスの削減可能量が研究機関によって幅が大きいと出ていたようですが、このモデルについてどのように受け止められましたでしょうか。
 もう1点は、今朝も大臣が主催されました日本版グリーンニューディールの会合ですが、既に専門家との会合は2回目、一般の意見の公募も並行されているということですが、 現在の検討状況、他の方向に関して現在のお考えをお願いします。

(答) 1点目の中期目標検討委員会についてですが、先日、RITEと国環研で仮分析の結果が出されたということで、前回の中期目標検討委員会では、どこに絞り込んで本分析を行うかまでは議論がいかなかったと聞いております。私も勉強はしましたが、突然見させられてもその場では理解できません。じっくり読み込んで、一体この分析結果は、どういう前提で計算されて出てきた結果で、どういう意味を持つのかを理解するには、かなり一人で考え込まないと理解できない内容です。私自身も一生懸命、この数字の持つ物理的意味は何かを勉強しているところです。おそらく委員の先生も同じような段階ではないかと思っております。今後、本分析をどのように形にしていくかということを各委員の先生方から意見を募るということのようです。ご質問のご趣旨は、今後大臣としてどう考えているかということだと思いますが、検討委員会で選択肢を提示していただき、その選択肢の中から政治が決断するということです。何度も申し上げているように地球を救うという大目的から科学を基礎にして我々の行くべき道を決めなければならないという基本的な考え方で、大きな方向性を決めて、そして、その大きな方向性の中でこれを達成するために各国がどのように分担していくかという議論になると思います。これからの国際社会の議論を踏まえた上で検討委員会で選択肢を示していただけるものと思っております。
 それから、我々は「緑の経済と社会の変革」と呼んでおります2点目の日本版グリーンニューディールの検討状況ですが、前回の第1回目の有識者との意見交換、今日の第2回目の会合に加え、我々環境省の中でも議論しているところですが、色々議論が出て、こういう方向性でまとめるというような話ができる段階ではありません。もう少ししましたらお話いたします。土日に地方に行きますと日本版グリーンニューディールに対して非常に期待が大きく、東京では、太陽光発電、次世代自動車、ファイナンス、お金が環境分野に回るようにするにはどのような金融システムが良いのか一生懸命議論をしているのですが、地方では、新たな農業政策として考えていらっしゃる方、森林政策として捉えている方が多くいらっしゃいます。地方を回りますとそういうものを通して地域活性化に結びつけていきたいと強く考えている方が沢山いらっしゃいます。そういう面での提案をしていかないとなかなかご期待に応えられる提案にならないのではないかと感じております。今、募集をしておりますが、募集はぼちぼちというところです。地方に行き、募集していることを言いますと「是非、私もまとめて提案しよう」という方も沢山おり、今後募集していることもPRして、集まってくることを期待しております。

(問)中期目標検討委員会で国環研の試算の中の1つに先進国全体で25%、要するに日本単独で25%ではなく、先進国全体で25%削減すると仮定したときに、概ね日本の負担率は15%程度ですみそうだと出てきました。日本単独で25%は難しいという声も聞きますが、トータルで25%達成するという選択肢が1つあるとして、大臣はそのような発想についてどう受け止められますか。科学に基づいているとも言えると思いますが、率直にどう感じているかお聞かせ下さい。

(答)大変難しいご質問ですが、今の段階でこのシナリオが良いとは言えません。私は、IPCCの第4次レポートがこれだけ世界で受け入れられ、かつそれを元にこれからの地球なり世界のあり方を探っていこうという中で、450ppmシナリオ、そしてそれを達成するためにアネックスワンカントリーは25~40%を達成しなければならないというのは、ある意味では揺るがせられない大きな流れだと思います。今、世界がそのような方向で考えているのではないでしょうか。そこを見誤ると私は日本の将来を見誤ることになると思います。その中で日本がどの役割を果たしていくのかという議論になってくると思います。先ほどの15%というのは、その中の1つの選択肢ということで、率直に申し上げて、1つの選択肢になるとは思っておりますが、今後日本が世界の中でリーダーシップを取って、イニシアチブを取っていくためということを考えたときに、そのような数字で良いのか、世界の国々を説得できるのかというのは、また別の問題で、新たに考えなければいけないと思います。大きな方向性の中に入っている考慮に値する選択肢と考えております。

(問)率直な印象としてですが、数字に全体的に大きな開きがあると思いますが、出てきたものに関して、想像以上に色々な案が出てきたという感じなのか、まとまっているという感じなのかいかがでしょうか。

(答)想像以上に負の方向に大きな広がりがあるものが出てきたというのが、率直な感想です。負の方向と言いましても数字ではプラスとなります。当然、日本としてはこんな選択肢をしたら世界に見放されるというようなものも出てきました。しかし、まだ議論の段階ですから、こういう選択肢を取ればこうなる、この選択肢を取ればこうなると議論の材料として提供されただけではないかと認識をしております。

(問)今日の有識者懇談会の件ですが、大臣として今後の取りまとめにあたって参考になるとか、反映させていきたいと思った点はありますでしょうか。

(答)色々な議論の中で2つありますが、1つはエネルギー構造そのものを根本的に変えていかなければいけないのではないかというお話がありました。つまり、燃料電池であるとか、次世代自動車の蓄電の技術等が大切であって、政治家を目の前にして言うのは申し訳ないが、これまで世の中を変えてきたのは、政治家のこうあるべきだとか、こうやるべきだということではない、1つの社会の片隅で生まれた小さな技術が大きなうなりとなって社会を変えてきた、そういう意味でエネルギーの技術が非常に大きな低炭素社会を築く上で大きな要素になるのではないか、お2人とも経済学者なので技術のことは分からないと言われましたが、そこが大切だというお話が印象に残っております。
 それから、例えば、冷蔵庫がこの10年間でエネルギー効率が良くなっているかというのは実は知られていない、そういう家電の買い替え等が非常に大きなインパクトとして残ってくるのではないかということでした。
 色々な意見が出ましたので、これから整理をするのですが、私の印象に残っているのはその2点です。逆にそういうことを促すようなファイナンスも重要ではないか、やはり社会の隅々までそういう意識なり、効果なりを行き渡らせようとすると環境税とか排出権取引等、経済的な仕組みを盛り込むことが必要になってくるのではないかという意見も印象的に残っております。

(問)そういうものを活かしていきたいということでしょうか。

(答)活かしていきたいと思います。

(問)再生可能エネルギーの国際機関がドイツのボンで作られたわけですが、結果的に日本は正式加盟を見送る形になりましたが、改めて所見をお聞かせ下さい。

(答)これから再生可能エネルギーを、我が国としても、世界でも推進していく必要がありますので、私、環境省としては、積極的に我が国は関わっていくべきと考えております。 ただし、これは政府として決めることですから、政府の関連部署とよく連携しながら決めていかなくてはなりません。1つは、IEAの組織との重複を問題としていますが、それに類する重複している国際機関は沢山あるわけですから、これは何とかなると思います。もう1つは、国連と同じく分担金の話しも出てきます。アメリカ等が入っていないということで、日本が今入りますと日本だけに大きな分担金がかかってくるという問題があるようです。そういう問題についてもある意味で国民の皆さんに納得していただけるような形で入らなければなりません。そういうことも含めて検討し、しかし、再生可能エネルギーはこれから地球全体で低炭素社会を作っていく上で大きな2、3の柱の1つと言えるくらい重要な柱の1つと思っておりますので、積極的に関わっていくべきだと思っております。

(以上)

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