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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成20年2月25日(月))


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、一般案件4件、法律案4件、政令4件、配布、これは月例経済報告1件です。一般案件の中に、地球温暖化問題に関する懇談会の開催についての決定の事後報告がありました。この他特に環境省関係はございません。
 私からですが、先週2月20日から22日まで、モナコ公国において、国連環境計画(UNEP)の特別管理理事会及び閣僚級環境フォーラムが開催されました。日本からは、私が代表として21日、22日の閣僚級フォーラムに出席しました。「気候変動に対処するためのファイナンス」と「国連改革」、具体的にはUNEPの組織の議論等が主な議題でした。私からは、「気候変動に対処するためのファイナンス」につきましては、福田総理が1月にダボス会議で表明されました100億ドル規模の新たな資金メカニズム、「クールアース・パートナーシップ」についての紹介を中心に説明しました。また、「国連改革」につきましては、議論が大分わかれましたが、日本からは既存の多国間環境条約の整理統合を含めた合理化・効率化の必要性を指摘いたしました。なお、スウェーデン、中国、インドネシア、ツバル、セネガルの環境大臣等やUNEP事務局長とバイ会談を行い、環境分野における日本と各国、日本とUNEPとの協力等について意見交換を行いました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

質問
 経産省や経団連の方で排出量取引について、今までの反対のスタンスから、若干ニュアンスが変わってきているようなことがありますが、これについての次官の御所感をお願いします。また、環境省、経産省、経団連で、今後の排出量取引について何か連携してやっていくことがあるのかどうかお伺いします。

→国内排出量取引の問題について、経産省も検討会を開始する動きがあることは承知しております。環境省としてもそうしたことを進めていただくことは大変望ましいと思っております。今後とも、いろいろな角度から、いろいろなところで排出量取引を巡って議論が活発化することについては、ぜひそうあってもらいたいと思っております。
 環境省は御存知のとおり、自主参加型の国内排出量取引制度を2005年度に発足しましたし、既に2000年頃から検討、勉強しております。自主参加型の実績も少しずつ出てきておりますから、そうした評価なども中心に、国内排出量取引全体を広く視野に入れて、これまでの、またこれから得るであろう自主参加型取引からの経験などを一つの参考として、国内排出量取引としてこれからどのようなものを描いていくかという検討会をスタートさせております。
 EUは第3期のEU-ETSの検討も公表されておりますし、アイキャップ等を通じて、アメリカ、オーストラリアなど、いろいろな国との連携も進めながら、世界の動きとして排出量取引が進んでおりますので、やはり日本の経済・社会風土に合った日本型の排出量取引の検討をしっかり進めていきたいと思います。EU型はこれまでは過去の実績をベースにする、グランドファザリングという方式が中心でしたが、EUも少しずつ直しながら、例えばオークション方式を取り入れるなど、いろいろな検討を進めております。さらにこの他に、ベンチマーク方式といったものもあり、そうしたいろいろな方式を加味しながら、EUの経験も参考にしつつ、検討を進めていくべきではないかと思っております。

質問
 よく経産省の審議会などと合同で行ったりしますが、この件について合同でやろうという話などは出ているのでしょうか。

→例えば中環審、産構審合同会議でというような具体的な話はありませんが、経産省は経産省でいろいろな知見を集めて議論をされるのでしょうし、環境省もただ今御説明したように既に進めております。いろいろな形でそれらが有機的にお互いに意見交換することも当然あるでしょうし、あるいは総理の下で今般発足する地球温暖化問題を中心とする有識者会議でも排出量取引の議論もあろうかと思います。これからのことですからまだわかりませんが、その中でいろいろと検討・勉強されたことも有機的に相互活用され結びついていくのではないかと思います。

質問
 再生紙の偽装についてですが、製紙連合会が今朝、検討委員会を開催し、「再生紙」という表現をやめることと、古紙の配合率の実数表示に踏み切ることを決めたようなのですが、これについてはどのようにお感じになりますか。

→製紙連合会の方で検討委員会を設けて、例えば以前の報道でも、再生紙を4種類ほどに分けるなどいろいろな検討はされており、ただしそれは必ずしも適正ではないのではないかという議論もあったりされているのだと承知しています。環境省としてはやはり、まず大臣がおっしゃった現在の問題にどう対応するのかということを踏まえた上で、今後の話としても、再生紙の問題、特に古紙配合率の問題をグリーン購入法上どう考えるかということは必要な議論だと思っております。
 27日に次の検討会、その次は3月に行いますが、そうした中で配合率についての議論、古紙と環境の問題等全般について、あるいはその結果としてグリーン購入法上どのように対応すればいいのか、どのような基準を設ければいいのかということも含めて、議論を進めたいと存じております。

質問
 仮に「再生紙」という表現をやめる、また実数表示が決定された場合、グリーン購入法は、今は自主申告というようなところでやっているのが崩れてくるのではと思うのですが、これについてはいかがでしょうか。

→仮に、と言われても直ちにはお答えできませんが、製紙連合会の検討委員会で更にどのような議論がされていくのか、それはそれとして環境省としても見守っていきたいと思いますが、環境省での検討会ではそうした考え方もきちんと含めて、しっかりとした議論、検討をしたいと存じます。

質問
 知床調査団による現地調査についてですが、トドとサケについて指摘がありましたが、これについてはどのように受け止めていらっしゃいますか。また、今後対応すべきことがあるとすれば、どのような対応になるのでしょうか。

→世界遺産委員会の決議に基づく調査につきましては、2月22日に予定通り終了したという報告を受けております。天候にも恵まれ、流氷なども御覧いただくことができました。調査団には、2005年の勧告事項に対して迅速に取り組んできたことを評価していただき、また、取組を進める際のプロセスとして、地域の行政機関や漁業者などと連携して十分に議論を行ったこと、科学委員会の助言を踏まえて科学的に検討してきたことが高く評価されたことを喜んでいます。同時に、海域管理計画の効果的な実行や、河川工作物、ダムの改良に関する長期的な検討、あるいはトドの捕獲について代替措置の検討など、個別の課題についてはいくつかのコメントをいただきました。
 今回の調査を踏まえた調査団からの正式なコメントは、今後ユネスコとIUCNにより作成され、日本政府とのやりとりを踏まえて、本年7月の世界遺産委員会に報告される予定であります。今後も林野庁や北海道などの関係機関と連携しながら、今回の調査において高く評価された取組の方向性とプロセスを維持しながら、知床の適切な保全管理に向けた取組を継続していきたいと思っております。
 なお、トドについては、確かにIUCNのレッドデータブックでⅠB類となっており、保護について適切に対応することが求められています。強化網や花火弾での追い払いなど漁業被害を軽減する様々な努力をした上で、最終的な手段として個体数調整を行うべきとの指摘をされておりますので、完全な禁漁を求められたものとは認識しておりません。

質問
 流氷が減少していることに関して、温暖化の関係も調査したらいいのではないかという話もあったようですが、これについてはいかがでしょうか。

→担当局から直接にはそのお話は聞いておりませんが、私も報道では拝見しました。実際に調査団がどのような問題意識で、どのような具体的な質問をされたか、調べて後ほどお答えしたいと思います。確かに流氷などから温暖化の長期的トレンドの研究というような話は報道等では耳にしたこともありますので。
 なお、調査団からのコメントについては、先ほど申し上げたような海域管理計画等が中心でしたが、気候変動について言えば、知床地域自体が温暖化の影響を極めて受けやすい遺産ですので、気候変動に関して注意深く、かつ長期的にモニタリングしていくことが必要とのコメントをいただきました。今後、環境省としても科学委員会での議論を踏まえながら、具体的な調査項目、調査方法の検討をすると同時に、知床における気候変動に関するモニタリング体制を構築してまいりたいと存じております。
 流氷に関して更に付け加えるようなことがあれば、後ほど何かの形で申し上げます。

(了)

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