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大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年9月16日(火))


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、共同請議で、農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律施行令、先日通った家畜糞尿等のバイオ燃料利用等を促進する法律ですが、その施行令の署名がございました。
 私から三点お話をさせていただきたいと思います。一つは、今日の閣僚懇談会において、29日に閣議決定した総合経済対策、補正予算について、各大臣から進捗状況について発言がありました。私からは、早急に実施すべき施策として、太陽光発電等の新エネルギー技術や次世代自動車の導入促進、国内排出量取引制度の試行の円滑な実施、不法投棄原状回復措置に対する財政支援、鳥インフルエンザ対策などの取組を進めるため、その追加的な所要額は約80億円になることを申し上げました。それから、とりわけ低炭素社会実現のための施策については、各省庁の連携・協力が必要なので、その協力方お願いしたいということを申し添えたところでございます。緊急総合対策の取りまとめに向けて、これからも頑張ってまいりたいと思っております。
 先週の金曜日と土曜日、アジア太平洋環境会議に行ってまいりました。アジア太平洋地域の11カ国及び16の国際機関の代表の間で、生物多様性をテーマに率直な討議・意見交換を行い、2010年の名古屋でのCOP10に向けて、大きなステップになったのではないかと思っております。
 私も議長席に座って議論に加わらせていただきましたが、大変勉強になりました。一番目に、生物多様性が、人類が生きていく上でいかに大事なことなのかがまだまだ認知されていない、それをどう社会に啓発活動をしていくかということ。それから、そのために生物多様性国家戦略の策定や国際協力が必要であること、名古屋市や愛知県の例にみられるように、地方の積極的な取組が非常に重要であること、日本が提案した「SATOYAMAイニシアティブ」は、生物多様性を保っていく上で非常に重要なポイントになるということ等が指摘されました。最後の討議でも、生物多様性を核に、人間の生き方のパラダイム転換のための大きな力になるのではないか等の発言があり、それを議長総括の中に盛り込むことも決めたところでございます。2010年10月の名古屋でのCOP10の成功に向けて、アジア太平洋地域の話し合いを今後も進めていきたいと思います。
 昨日、北九州エコタウンなどを訪問してまいりました。エコタウンについては皆さまもご存じのとおり、10年来の構想でいろいろな施設がありまして、幅広く施設を見てきたところですが、やはり国と地方公共団体の協力の下で進めることの大切さを感じた次第で、北九州市が環境モデル都市に選定されたことも、むべなるかなという感じを持ちました。最後に曽根東小学校を訪ねまして、曽根干潟を守る、曽根干潟をきれいにする、曽根干潟に注ぎ込む川の清掃などを一生懸命やっている小学生のグループから研究発表を聞き、意見交換を行ってきましたが、これも大変印象的でございました。私が小学生の頃、こんなに意識を持っていただろうかと思うと本当に恥ずかしい思いでしたが、大変有意義でした。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)一部報道にありましたが、内閣改造に関連して、公明党が大臣の再任を要請する方針と出ていましたが、大臣は何かお聞きになっていらっしゃいますでしょうか。

(答)いえ、まったく聞いておりません。

(問)排出量取引試行の話ですが、原案が報告されており、ポイントとしてはキャップをはめるのではなく自主的に目標を定めるということで、実効性の面でどうなのかという声もあるのですが、その点について大臣はいかがお考えでしょうか。

(答)10月からの試行に向けて準備を進めておりまして、明日、例の奥田懇談会の下にある森嶌先生がキャップの政策手法分科会が開かれて、そこでどこまで決まるか分かりませんが、大きなステップになります。準備は着々と進んでおります。最終的にこういう形になったというところまでは入っていないと私は認識しておりますが、最後の詰めを行っているところです。
 今回の試行の最大のポイントは、できるだけたくさんの企業、事業所、団体に参加してもらうことにあると思います。その上で、試行の練習・実験をやることでございます。キャップの考え方ですが、そういうことからすれば、最初は緩やかなキャップに見えるかも知れませんが、自主行動計画の目標を一つのキャップにするということも、スタートとしてはリーズナブルなキャップの付け方だと思いますので、今回の試行の目的からすればそれでもいいのではないかと思っておりますが、目標は目標ですから、キャップ・アンド・トレードの練習のための施策に最終的にならなければ意味がないと思っております。

(問)水俣病問題について、原因企業のチッソの抜本金融支援があると思うのですが、こちらで年間の返済額を毎年決めていると思うのですが、今年に関してはまだ確定していないということで、現在の進捗状況、今後の見通しをお聞かせください。

(答)9月25日が2回目の支払期日ということで、与党が出した救済策の実現に向けて、どのような進展があったのかと事務方に聞きましたところ、何ら進展はないということで、厳しく事務方を叱責したところでございます。
 支払期日が迫っておりますが、原因企業であるチッソからは、私のところに支援方の要請等は一切ございませんし、私が大臣に就任して以来、何の言葉もありません。
 被害者の救済が第一義ですので、9月25日の支払につきましては、国としてやむを得ないと思っております。しかしながら、問題の解決に根本的に当ろうとしない原因企業チッソの今のあり方は甚だ不満でございます。強い不快感を持っていると申し上げたいと思います。

(問)25日の支払が国としてやむを得ないというお話がございましたが、25日の支払については国が支払うということでしょうか。

(答)ご存じのとおり、これは第一義的には原因企業に責任があるわけですが、患者救済を第一に考えて、原因企業と国と県がそれぞれ信頼関係の下、協力をし合って患者救済に当たっていくということでございます。県の状況についてはご存じのとおりで、チッソが誠意ある態度を示さなければ県も動きがたいという状況でございます。そういう中でにらみ合っていても、一番被害を受けるのは患者の方でございますので、患者救済に滞りがないように、9月25日については、県も動けない以上、国が動かざるを得ないと思っております。

(問)それは確定したということですか。それとも、まだこのあと協議があるのでしょうか。

(答)本来であれば、私が動いて事態が打開できる、救済策が前進すると、もっと具体的に言うと与党PT案が前進するということであれば、私は何でもしたいと思っておりますが、今はそういう客観状況にございません。この点は、原因企業チッソに、救済実現のためにこの事態を打開するには、今チッソ側にボールがあるということを強く認識して欲しいと思いますが、それが期日までに改善する状況にありませんので、何度も申し上げますが、患者救済を第一に考えて、9月25日は国が支払をきちんとしたいと思っております。

(問)それは県債の分を国が肩代わりするということなのでしょうか。

(答)国の責任分と、そこに県債の部分が入ってくれば、その分も肩代わりすることになろうかと思います。9月25日までに用意しなければいけないお金を、国が責任を持って用意するということです。
 9月25日は県分はありますか。

(事務方)いっさいございません。発行できません。

(答)9月25日は全部国だそうです。

(問)年間通しての支払額についてはどのようになされるのでしょうか。

(答)年間については、9月1日の第1回目の支払でチッソは払っているから、もう自分たちの責任は済んだと考えてらっしゃるのかも知れません。今、与党で出している救済策については関係ないという態度に見えます。私は、それで原因企業の社会的責任が果たされたとは考えていません。
 我々は信頼関係の下でそれぞれの責任を果たしてまいりました。引き続き、救済策に原因企業が何ら関与しないということであれば、この信頼関係にひびが入りかねないと心配しており、そうなれば、原因企業にとっても決して良い状況ではないのではないかと思っております。

(問)それは金融支援策自体の枠組みを変えるということも視野に入れておられるということですか。

(答)あくまでも患者救済ということを第一義に考えた上で、今の救済策がまったく前進しないということであれば、その信頼関係にひびが入りかねないということでございます。これまでの支援は、その信頼関係の下に成り立っていると御認識いただければと思います。

(以上)

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