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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年9月9日(火))


1.発言要旨

 私の方から4点申し上げさせていただきます。
 1つは今朝、4大臣会合が行われました。官房長官、外務大臣、経済産業大臣、環境大臣で、今回は総理と奥田最高顧問も参加されました。テーマにつきましては、これからの国際交渉、特にCOP14までにどのような国際交渉があり、どのような方針で進めていくかということ、国内での取引制度が10月からスタートいたしますが、その準備状況等がテーマになりました。最初のテーマにあがっておりませんでしたが、中期目標についても議論の中ではテーマになりました。中身については申し上げられませんが、私は基本的にこれまでの考え方を強く主張してきたところでございます。すなわち、科学を根拠に置くべきであるということです。それから、低炭素社会作りは、第二の産業革命で日本の新しい未来を切り開くものであるという希望のメッセージを出さなければならないということ。それから、国内排出量取引については、キャップアンドトレードの練習こそが目的である。キャップに向けて企業が技術開発をし、努力し、達成できなかったときは、その取引をする。その取引のあり方、試行が目的であるということを強調してきました。4点目は、クールアースパートナーシップ、気候変動対策円借款制度について、4大臣会合で出てきた話しでありますが、この調整会議を中心に今後強力に進めていくべきという4点を申し上げたところでございます。
 それから、2点目ですが、今日の閣議で「石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が決定をされました。この石綿健康被害救済法ですが、今年の通常国会で成立したのは皆さんもご存じのとおりです。6月18日に公布されました。施行期日については、交付の日から6ヶ月を超えない範囲内で政令で定める日となっておりまして、その施行日を平成20年12月1日とするという政令でございます。この石綿健康被害者の救済は大変重要ですので、事務を実施する環境再生保全機構とも協力してしっかり行っていきたいと思っております。
 3点目ですが、先日お話を申し上げた沖縄の化学弾についてでございます。9月4日に陸上自衛隊が沖縄県那覇市内で回収した砲弾7発のうち2発について、化学弾の可能性があると発表した件につきまして、9月5日金曜日に環境本省の職員1名、九州地方環境事務所の職員1名、この他九州地方環境事務所那覇自然環境事務所の職員1名、合計3名が発見現場の確認を行いました。現場におきまして地元自治体等から発見時の状況等についての聞き取りと発見場所及びその周辺についての確認を行い、地元自治体に現場の安全確保措置を要請したところでございます。今後、内閣官房や防衛省と連携しながら発見された砲弾が化学弾であるかどうか、更に精査する作業を進めるとともに地域の住民の皆さんの安全を第一に必要な対応について早急に検討を進めていくことにしております。とりあえず、立入禁止等の柵を作って安全措置を施したところでございます。
 最後4点目ですが、今週の13、14日ですが名古屋に出張してまいります。第16回アジア太平洋環境会議、エコアジア2008が開催されますので、議長として出席する予定にしております。今回は2010年のCOP10が名古屋で開催されますので、プレCOP10という位置づけになろうかと思いますが、生物多様性をテーマに意見交換を実施いたします。現時点ではアジア太平洋各国から11カ国17名。この17名のうち4名の方が閣僚級でございます。ジョグラフ生物多様性条約事務局長、国際自然保護連合IUCN、ASEAN生物多様性センターなど、様々な国際機関からも出席をいただくことになっております。
 今回のエコアジアにおいては、5月に開催されました神戸でのG8環境大臣会合で合意された生物多様性のための行動の呼びかけやボンで行われました生物多様性条約第9回締約国会議COP9の成果を共有するとともに、それらの成果を踏まえ、日本が提案しておりますSATOYAMAイニシアティブや東アジアを中心としたサンゴ礁海洋保護区ネットワーク形成等との取組をアジア太平洋地域において推進することを目指しております。そして、同時にこの機会に国、地方自治体、企業、NGOなど様々な主体が2010年の目標の達成のための取組を宣言するカウントダウン2010に加盟するため環境省、愛知県、名古屋市による署名式も合わせて行う予定にしております。  
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)排出量取引ですが、10月に試行を開始するというスケジュールにしておりますが、現在の準備状況でそれが可能なスケジュールでだいたいの検討は進んでいるのでしょうか。

(答)これにつきましては、内閣官房、環境省、経済産業省と一緒になって進めておりますが、順調に進んでいると私は認識しております。今日の4大臣会合でも経産大臣からも経済産業省としても全面的に努力をしているというお話がございました。私も総理から「人任せにするのではなくて環境大臣自らが先頭に立って作り上げて行け」という指示を就任時に受けましたので、先日、経団連の三村副会長と各業界の方やことあることに産業界のリーダーの方にお願いをしているところでございまして、軒並み参加の試行が始められるものと思っております。

(問)中期目標ですが、福田ビジョンでは来年のしかるべき時期に公表するとなっておりますが、大臣は、どういう条件の時に公表するのが最も国益あるいは地球益に叶うとお考えでしょうか。

(答)どういう時期かは今は明確に申し上げられませんけれども、日本の中期目標は2つの意味で重要だと思います。1つは、アメリカ、中国、インド、主要排出国を含んだ体制にすること。そのためには、どういう目標でどういう時期が良いかということを考える必要があるかと思います。もう一つは、今の主要排出国を含むということにも関連しますけれども、産業界や世界各国に対して説得力のある内容であること。そのためには、どういう状況の中で発表した方が良いのかということを考えていかなければならないと思っております。その2点を基準にしかるべき時期というのを選んでいきたいと思っております。

(問)今日の会合の中でもそういう議論がありましたでしょうか。

(答)私としてはそういう発言をさせていただきました。

(問)排出量取引の試行についてですが、軒並み参加としたとしても制度を骨抜きにして、実体的にあまり機能しないようにするのではないかという懸念も一部にあると思うのですが、大臣はキャップアンドトレードの練習にならなければいけないということでしたが、その辺の動きはあるのでしょうか。

(答)キャップというものを明確にするということが大事だと思っております。いわゆる排出量目標を持たない中小企業への技術支援でクレジットに変えるというのは、当然認められなければならないかと思いますが、そこが主体になってしまいますとキャップアンドトレードの練習になりません。目的は世界的に統合されたシステムの中に日本の主張や利益を守りながらいかにとけ込んでいくかということが試行の目的ですから、その目的から逸脱するようなことしても意味がないということでございます。そういう意味で趣旨を失わず、かつたくさんの方に参加していただけるということを目指して頑張っていきたいと思っておりますし、その希望は大いにあると思います。二階産業大臣も経済産業省としても協力するとおっしゃっていただきましたので、頑張っていきたいと思います。

(問)先々週くらいに三村さんとお話をされたということですが、今週にはまた経団連の幹部の方々とお話をされると思いますが、今大臣が思っている経済界の反応、排出量取引や環境税に対しても色々お話をされるかと思いますけれども、どういう感触、今受けている感覚はどうでしょうか。

(答)私は、昨年、一昨年と党の政調会長をやっておりまして、環境税や排出量取引等について、経済団体からも党の政策責任者として要望を受けました。その時に感じた感じと、私が環境大臣になりましてお話を伺っておりまして随分と変わってきたなと思っております。環境税についても排出量取引、そしてそれを達成するための経済と環境の両立、技術開発についてのインセンティブ等、経済界の方も随分積極的になってきたと感じております。それはやはり、その間にダボスの会議があり、総理があそこまでおっしゃり、そして、洞爺湖サミットの主要議題になり、私は洞爺湖サミットは大きな成功、大きなエポックメーキングな出来事だったと思っております。そういう認識も経済界の方にはあって、そういうところが、経済界の認識の大きな差、違いになって現れてきているのではないかと思っております。経済界の中でも色々な立場の方がいらっしゃいまして、産業別に意見が違うのは当然だろうと思いますけれども、このままでは日本はつぶれてしまうという認識については、皆さんも共通されております。ここで新しい産業革命のリード役になっていくということは、産業界の方も理解をいただけると思っております。

(問)かなり手応えというか、排出量取引についてもかなり企業の参加を認めるのではないかと期待をされておりますが、例えば三村さんのように鉄鋼業業界を代表して 我々からすると反排出量取引の急先鋒の方みたいに映るのですが、必ずしもそうではない。今回の制度についても前向きな姿勢を示していると感じているのでしょうか。

(答)個人の方がどう感じているかは控えさせていただきます。たしかに非常に否定的な見解を述べられる方もいらっしゃるわけですが、大半の方は積極的になってきたと思っておりますし、ここを避けて通れば日本の経済、未来はないということは皆さんご認識されてきたと感じております。反対という立場をおっしゃる方も私はその必要性については心の底では解っていらっしゃる。今後の落としどころを作っていくうえでの今の時点のスタンスとして、ここからスタートしなければということもあると思っております。

(問)4大臣会合で奥田さんは、キャップアンドトレードの練習という説明を受けて どういう反応をされておりましたでしょうか。

(答)お答えしたいのですが、中での誰がどういう議論をしたかについては外には話さないという約束になっておりまして、自分がどういう主張をしたかについてはそこまでは許される範囲です。

(問)発言はありましたでしょうか。

(答)ありました。

(問)排出量取引制度の試行を本当に意味のあるものとするには、キャップを明確にするということをおっしゃいましたが、どちらかというと既存の制度を組み合わせるような形でしかイメージしかできないのですが、キャップを明確にするということをもう少し具体的にどこがどうなれば意味のある制度になるのか教えていただけますか。

(答)キャップアンドトレードの練習、そしてたくさんの方に参加していただく。この両方を満足するというところからスタートしていかなければならないと思います。例えば、キャップを現在の自主取組目標で目指している目標としていただいても構わないと思います。その上で努力をしていただく、その時にあまりクレジットの方にいきますと意味がなくなってきます。そういう意味で最初はある意味では低い目標でも構わない。低い目標ではありません、自主取組目標というのは、企業、産業界にとってはかなり高い目標かと思いますが、まずはこれまでに宣言されているところを目標にしていただくということでも良いと思います。中にはカーボンオフセットですとか色々な手法も百家争鳴のごとく提案されているところでございまして、新たな提案や知見もありますので、そういうものを組み合わせて、これまでの取組にプラスして目標を立てるという企業も当然たくさん出てくると思っております。そういうイメージでおります。

(問)クレジットの流通よりも削減努力そのものに力を入れるべきということでしょうか。

(答)もちろんクレジットを否定しているわけではありません。そちらばかりでは、キャップアンドトレードの練習の趣旨が薄まってくると試行の意味がなくなってくるのかなという意味です。

(以上)

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