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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年4月4日(金))


1.発言要旨

 本日の閣議案件ですが、国会提出案件が15件、法律案が1件、政令が4件です。環境省請議はございません。
 私からの発言は、今、バンコクでAWGの会合が開催されていますが、少し詳細について話をさせていただきます。
 今回の会議は、昨年のバリ行動計画を受けて、具体的な作業計画等について合意するためのものであります。4日s目に当たる昨日から、今回の結論文書の合意に向けて本格的な議論が行われています。我が国は、かねてから申し上げていますが、COP15のデンマーク会議での国際枠組みの合意に向けて貢献したいと考えております。
 具体的には、G20でも申し上げましたが、セクター別アプローチは国別総量目標を代替するものではないということ、さらに、共通だが差異ある責任及び各国の能力の原則を踏まえること、こういう大前提に立って、国別総量目標を掲げて取り組むということと、目標の策定に当たっては、エネルギー効率などをセクター別に割り出し、今後活用される技術を基礎として削減可能量を積み上げること、いわゆるセクター別アプローチを提案しています。
 各国の反応については、ニュージーランドやアイスランドなどの国からは支持する発言をいただいていますが、ツバルや中国などの途上国からは、積み上げ式の総量目標設定では大幅な削減ができないのではないかという意見もあるようですから、そういうことを含めて、これからさらに議論を深めていきたいと考えています。
 また、セクター別アプローチについては、かねてから申し上げていますが、5月頃に国際ワークショップを開催し、その中で知見をしっかりと集めて、G8環境大臣会合の機会を通じて、具体的にどうあるべきかということについて私から発言したいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣は今日から洞爺湖の方に行かれまして、有識者懇談会や国民対話など、いろいろと日程を組まれていると思いますが、成果と言いますか、いろいろあると思いますが、どういうことをしたいといったところがありましたらお聞かせください。

(答)一つは、洞爺湖の地域の方々と交流して、洞爺湖サミット、特に環境問題で御協力をお願いしたいと思っています。
有識者懇談会については、中味について我々だけでとやかく言う話ではありませんけれども、経済的手法などについて、中で発言ができたらと思っております。
加えてその後、明日の午後に国民対話が予定されております。経済産業大臣と私が出席しますから、その中で問題点についてお互いに率直な意見を述べて、これは別に、両方で対立するという話ではありません。むしろ二つの大きな命題、環境と経済というものをどう調和させていくかということを、国民の皆さんに考えていただく、問題提起のようなことをしていきたいと思っております。

(問)おっしゃった問題点というのは、環境と経済の調和というか両立というか、そこら辺を問題提起して、いろいろと話すということでしょうか。

(答)そうですね。例えば排出量の多いセクターというのは、直接国民生活に関係ないという考え方もありますけれども、現実には電気だったり、鉄鋼だったりして、直接恩恵を受けているわけですので、そのバランスをどう考えるかということについては、率直な意見交換ができればと思います。

(問)今年1月のダボス会議で、福田総理が温暖化対策について説明されたときには、国別総量目標と同時に、その手法としてセクター別アプローチというものがあるということを、日本政府として世界的にアピールされたと思うのですが、それがバンコクに来て、セクター別アプローチというものは総量目標を代替するものとしてあるわけではないと説明しているのは、総理の世界的アピールに矛盾しているのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

(答)矛盾はしないと思います。上位概念として国別総量目標というものがあって、それを決めていくプロセスの中にセクター別の積み上げというものもあるし、あるいは、国別総量目標の中には、国民生活など他の分野もあるわけですから。トータルで国別総量目標があって、そのいろいろな算出方法の中にセクター別の積み上げというものも含まれるという意味です。
私は、具体的に国別総量目標を決めるときに、例えばどのセクターがどのくらいの削減ポテンシャルがあるのかとか、過去にどれだけ努力をしてきたのかということは、科学的にきちんと評価できるような計算方法はあって然るべきだと思っていますから、その点においては、セクター別というのは必要なんだろうと思っています。
ただ、ダボスで総理がおっしゃる前の段階では、セクター別と言うと、産業界がおっしゃっていたように、キャップはないんだという話があったので、そういう考え方が国際的に誤解されている部分がまだあるということを、千葉のG20の中でつくづく感じました。ですから、あえて今日も申し上げたけれども、国別総量目標を代替するものではない。しかし、セクター別に、論理的に積み上げるという作業は必要なんだということを、もっと明確にしていかなければいけないと思っています。そのために5月にワークショップもやるわけです。

(問)上位概念というのは、最優先で考えるべきアプローチ方法だということですか。

(答)アプローチというより、国別総量目標というものを作っていく上で、必要条件としてセクター別の積み上げというものがあるんだというふうに考えるということです。

(問)バンコクの会議では、途上国が、議長提案の中に日本の提案したセクター別アプローチが盛り込まれたことに対してものすごく反発して、その提案の中に盛り込むこと自体が非常に難しい状況になってきていると聞いていますけれども、もし仮に、今回、議長国の提案で、実質次の6月のAWGで話し合いで、セクター別アプローチという可能性がなくなってくると、ポスト京都に向けてスケジュール的に難しい状況になると思うんですけれども、今の途上国に猛反発という状況について、大臣はどう受け止めていらっしゃるのかというのと、あと、今後の日本として方針ですが、どういうふうに交渉を乗り切っていくおつもりかということをお聞かせください。

(答)まだ交渉は始まったばかりです。加えて、私たちは猛反発があるというふうには思っていません。むしろ、いろいろな議論があって、それぞれの国がそれぞれの立場を主張するという意味で、このAWGはキックオフの会議であって、最初から1つの方向にまとまっていくという話ではありません。日本は、科学的なセクター別の積み上げというのは必要なんだという意見を述べているわけでありますから、ここで全部がまとまるという話ではなくて、道程はまだまだ先であり、お互いに遠慮なく、それぞれの立場を主張するということです。
途上国は先進国に、より高い削減目標を掲げて、努力をして、たとえば緩和・適応について、技術と資金で援助をしてくれという主張ですから、それぞれ立場は正反対な部分がありますけれども、これをまとめていこうというバリ・アクションプランについて、皆の根底ではある程度合意があるんだろうというふうに思います。私に報告が直接来ているわけではありませんけれども、激しい議論というよりは、きちんとした理性的な議論が今、積み重ねられているというふうに報告を受けています。
ですから、私は悲観的には考えていません。むしろ、こういうようなことの積み重ねで、最終的にコペンハーゲンという出口で、地球のため、人類のために成功すると確信しています。

(問)一方で、古い方のAWGの議長案では、昨日の夜の時点で、古い方のAWGのセクター別はもう特にしないような中身の文章が盛り込まれているので、積み上げて国別キャップにするという議論は、なかなか今後やりづらいのではないかというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

(答)それもまだ、報道でいろいろなことはあるようですけれども、まだ結論にはなっていません。4日目ということですから、我々はこれから主張していくということであります。駄目だったのかとか、そういうことではなく、単純にいえば、京都議定書をやめにしてセクター別に変えてしまうんじゃないか、反故にするんじゃないかというような誤解があることについては、きちんと我々は説明し尽くさないといけないと思っています。

(問)ポスト京都においても、京都議定書の現在ある枠組みといいますか、スキームについては、ポスト京都においても継続するという前提で、今、議論しているということですか。

(答)いわゆるツー・トラックアプローチで、両方のリンケージをきちんとするということが大原則ですから、密接不可分であることは間違いありません。ただ、これから先、その連携の仕方をどういうふうにしていくかということについては、より密接にというふうにおっしゃっている国もあるし、そうでないというふうに思っているところもあるみたいです。私たちはやはりツー・トラックアプローチだけど、二年後、最終的にはきちんと両方が連携をして、整合性が取れることを目指しているわけです。

(問)今回のサブミションを見ますと、基準年の変更だとか、あるいは途上国と先進国の位置づけについて再検討するべきだと、あれだけ項目があると京都議定書というもののスキームを、日本はポスト京都において、全くゼロからもう一回変えたいというようなイメージを受けるのではないかという感じがするんですけど。

(答)私はそういうふうには思っていません。京都議定書というのは十全のものではなかったけれども、一つの大きな形としてはあるわけですから、これを土台にさらに進化させていくということだろうと思っています。
昨年から申し上げているように、すべての国が入る新たな枠組みとは、京都議定書を土台にしてあるわけですから、全く別のものを作って、削減目標をできるだけ緩くしようなんてことを日本が考えているわけではありません。ただ、京都議定書が十全のものでなかったという反省の上に立って、より進化したものにしていきたいというふうに強く思っていますので、そういう方向で議論されるように、我々がリードしていきたいと考えております。

(問)5月のワークショップは、いつごろ、どこの国で開くのか、見通しはあるのでしょうか。

(答)ヨーロッパの、しかるべき花の都で。いろいろな花の都がありますけれども、そういうところで5月の初旬にやるということ、ほぼ決まっています。

(問)大臣も、その花の都には行かれる予定ですか。

(答)私は行けません。もともとその会合は、学者・研究者たちが集まって、本来的なセクターでどういう削減ポテンシャルがあるのかということの、算出方法などを、学問的に検討しましょうという性格の会ですから。

(問)日本政府主催でしょうか。

(答)そういうことになります。日本政府全体での話ですが、環境省はもちろんその中で主導したいと考えています。

(問)初旬というと、ゴールデンウイークあたりですか。

(答)10日より前ということでしょうね。

(問)昨日のPM2.5の影響について、環境省の検討会が一定の報告をまとめて、これから中環審の場に移っていくと思うんですけれども、大臣として、その検討・報告を受けて、これからどういうふうにお考えになっていくのかをお聞かせいただけますか。

(答)PM2.5そのものが健康に与える影響について、きちんと検討しなければいけないということで、最終的な報告書案の審議を4月3日にしたということです。 健康影響については、日本と欧米との間の生活習慣などによって、その影響度というのは違ってくるのだろうというふうに思っています。循環器系や肺がんなどに対して健康影響があるというようなことも示唆されていますので、できるだけ定量的な評価が行われるように、さらに具体的にやっていきたいと考えています。 ただ、循環器系の疾患にどれだけ関連があるのかというようなことについては、私も呼吸器系あるいは循環器系の専門家の方と議論させていただきましたけれども、かなり生活習慣全体が違うということと、もともと持っている基礎疾患などによっても影響が様々だということですので、もう少し具体的に知見を集積しなきゃいけないなというふうには考えています。

(問)知見の集積というのは、何か具体的に考えられているのでしょうか。もう少し時間をかけて調べる…。

(答)まず中環審でさらに議論を深めてもらわないといけません。細気管支や肺胞のところまで至るPM2.5が、実際どのように影響を与えるのかについては、外国の知見や、呼吸器の専門家と話をした感じでは、どこまでリンクするのかということについて必ずしもみんなが納得しているわけではありません。日本の現状の中でどうあるべきかということについては、中環審の大気環境部会においてしっかりと議論してもらいたいと思っています。 できるだけ早く結論も出したいとは思うけれども、規制がどうあるべきか、どう対応するべきかについて、冷静に議論するということなんだろうと思います。できるだけ早く議論が進むように、私としてもお願いしたいと考えます。

(以上)

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