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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年2月22日(金))


1.発言要旨

 

 本日の閣議案件ですが、一般案件4件、国会提出案件27件、法律案1件、政令5件です。環境省請議はございません。
 私からの発言ですが、一つは、本日の閣議で、低炭素社会に向けた様々な課題に向けた議論を行うため、「地球温暖化問題に関する懇談会の開催について」が閣議決定されました。地球温暖化の克服には、社会や経済が新しいステージに移行することが必要であり、来るべき低炭素社会について、日本の様々な知恵を集め、政府一体となって議論し、世界に発信していくことは、環境省にとっても大変有意義であると受け止めています。総理のリーダーシップの下、環境省も最大限の貢献をしてまいりたいと思います。
 第2点目は、既にそれぞれ御指摘もいただいていますが、製紙メーカーから報告をいただきました。詳細についてはそれぞれ分析してありますが、それについて環境省、そして私なりの見解を述べさせていただきます。
 製紙メーカーと製紙連合会に対する追加調査、2月20日締切りのものへの回答がありましたが、資料がないため近年の実績しか確認できないとするなど、依然不十分なものがあり、得られた資料の範囲で判断しても、総括すると極めて広範な偽装があったと考えられます。全般的に言って、再生紙偽装はグリーン購入法による基本方針の策定の頃から、多くのメーカー、多種類の製品で大量に、かつ大幅な配合率不足をきたす形で意図的に行われてきました。
 なお、個別のメーカーごとにみれば、責任の程度には相違がございます。一つは、早い時期から多種・大量、大幅な不足率で意図的に行われ、改善努力もされていない、すべてに当てはまるケースです。もう一つは、今言った点の多くに当てはまるケース。それから3番目に、配合率不足の製品が限定的、更には過去に処理済みなどの事例がみられるケースといった形で、我々としては3段階あると考えております。
 今般の製紙メーカーによる過去の偽装行為は、極めて責任重大と考えます。第一に、企業として、偽装して製品提供をした信用失墜に係る責任、いわゆるコンプライアンスです。第二に、環境に配慮した製品と信じて購入した消費者の信頼を裏切った責任があります。特にグリーン購入法の不適合は、直接は国が、そして引いては国民が被害者と言えます。第三に、循環型社会の実現を目指し、無償で日常の分別収集を行うなど、様々な努力を行ってきた国民一人一人の善意を踏みにじった責任は極めて大きいと考えます。
 特に大企業が最初から偽装を行い、発覚後技術がなかったと弁解するなどは、リサイクルそのものに大きな不信感と失望を与え、深い傷を付けたものと非難する他にございません。偽装発覚前の行為について、国民の納得がいく対応が取られること、言い換えれば「けじめ」をつけることが不可欠です。
 環境省としては、製紙メーカー等が先に挙げた責任を深く認識し、標榜した環境保全価値が偽装により毀損され、国民の不信と失望を招いたことに対し、どのような経過でそのようなことをしたのか、さらにはどのように償っていくつもりかを明らかにして、これを誠実懸命に実施していく決意を示すよう強く求めるものであります。
 環境省としてもこうした偽装の経過に鑑み、グリーン購入の適正な推進の見地から反省すべきところは反省し、今後の製紙メーカーの対応に対し、十分に目を光らせていく決意でございます。
 製紙メーカーの報告書に関する見解について述べさせていただきました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)再生紙の関係で、北越製紙などは社長が引責辞任し、一方で王子製紙などは減俸みたいなところで止まっています。先ほど、責任・けじめの問題というのがありましたが、その辺について大臣はどのように捉えられていますでしょうか。

(答)今申し上げた中にも、かなり問題が深いケースと、それなりの努力をなさってきたけれどもやむを得なかったのではなかろうかというようなケースと、それぞれ濃淡がございますので、まず中間的な報告書を出された企業が、今日の私の見解を深く噛み締めていただいて、社会的責任を果たしていただきたいと考えています。

(問)排出権取引の話ですが、経産省がキャップアンドトレード方式の検討に入ったということがありますが、これに対する所見と、環境省の自主参加型の取組との連携があるのかどうかということについて、いかがでしょうか。

(答)今日の閣議でも、地球温暖化問題に関する懇談会の開催が決められたわけですけれども、昨年のバリ会合を一つのきっかけに、ダボス会議、それから今後の洞爺湖サミットという一連の流れの中で、日本もきちんとした形で排出量取引について知見を蓄積していく必要があるというような共通認識ができてきたのではないかと思っています。産業界にはいろいろなお考えの方がいらっしゃることは重々承知していますが、政府の全体的な流れとしては、排出量取引も一つの行政的な手法として重要視すべきという認識が広がってきたと考えていまして、私としては歓迎すべきことだと思います。

(問)新たに追加調査というか、先ほど中間的な報告という表現をされていましたが、また新たにされるとか、答が十分でないので最終的な報告をまだ求めているとか、状況はどうなのでしょうか。

(答)今日、こういう見解を示させていただきましたから、それを受けて、メーカーがどういうふうに御判断なさるかということだと思います。私たちは、国民あるいは消費者がどういう受け止めをして、環境に対して配慮なさって善意で頑張ってきてくれた方々が裏切られた気分になるようでは困るという認識ですから、是非、今日の私の見解についてメーカーがしっかりと噛み締めていただいて、誠実に対応していただきたいと、現在は申し上げておきます。

(問)去年、グリーン購入法の基準の引き下げを求める動きが各社からあったと思いますが、それについてトップの方々は知らなかったと一応主張しているわけですが、それは偽装隠しというふうに考えられるのでしょうか。

(答)中味については、各社それぞれのケースがあると思います。一概にそういうことを言うべきではないと思いますが、おっしゃるように、場合によると、そもそもそういうことをやっていなかったことを追認するような形での改正をしてくれという話もあったのかもわかりませんが、事実関係については、十分に私たちが把握しているわけではありませんから、各メーカーがそれぞれどういうお考えだったのかということを、もう一度、この報告書を受けて、さらに真相に迫りたいと思います。

(問)20日締切りで来た報告は公表していただけるのでしょうか。

(答)中味については各社の都合もありますので、我々のところに報告をしていただいたということに留めたいと思います。それぞれの社の内容について特定されるような資料を公表するつもりは今の段階ではありませんが、これからの対応が十分でないなど、場合によっては、順次、公表も含めて考えていきたいと思います。

(問)けじめをつけるとか、償っていくというコメントが多かったのですが、これは今辞めていない社長に対して辞任を求めたと判断してよろしいでしょうか。

(答)それは各社が御判断なさることですから。社会的な責任を果たしていただきたいということだけ申し上げておきます。

(問)社会的責任の中で、製紙連などは、とりあえず10億円を環境保全活動にという表現で発表しておりまして、環境省の検討会ではいろいろな数式を示して、こういう考えができますということを提示しているのですが、それと今回の回答を踏まえて、10億円という金額の評価を改めてお願いします。

(答)その10億円がどういう意味を持った金額なのかということについて私は十分に理解していません。一つの考えとして、十分な基準を満たしていない紙を4月以降も購入せざるを得ないという状況において、ある種のオフセットのような形なのかなと思っていますが、過去分について、すべてこれで免罪かというような話とはちょっと違うんじゃないかなとは思っています。
どういう性質の10億円なのかということを私も十分に把握していませんし、製紙メーカーからもそのことについての十分な説明を受けていませんから、わかりません。

(問)足りないとも足りているとも言えないということでしょうか。

(答)私の認識としては、緊急避難的に購入せざるを得ないところについてのオフセット分かなとは思っていますが、製紙メーカーがどういうふうにお考えになっているかというのは、私自身は十分に把握していませんのでわかりません。

(問)これからのものという理解で、過去分ということではないということでしょうか。

(答)こういう事態が発覚したけれども購入せざるを得ないという、緊急避難の部分についてのオフセットの分なのかなというふうには、私なりには理解しているけれども、メーカーから直接伺ったわけじゃないからよくわかりません。

(問)前回の調査結果が出たときに三ヶ月分だけを答えたという社が多かったのですけれども、今回追加調査したことで随分根深いものが出てきました。前回こういうことを調査結果として示されてもよかったのではないかという気もするのですが、その辺についてはどうお考えですか。

(答)グリーン購入法については、あくまでも自主的に、技術に添った形で基準を守っていただくというのが趣旨でありますから、そういう意味で言うと各社の自主性にゆだねていたわけですけれども、それだけでは社会的な納得がいかないのではないかということで、今日の見解を発表するに至りました。

(問)メーカー各社が前回は三ヶ月分だけを回答したことについては。追加調査した結果ようやくこれで深いものが出てきたのですが。

(答)過去ずっと探っていくと大変根深いものもあるということがわかってきましたけれども、3ヶ月でいいというふうに判断されたのは、それぞれメーカーが自主的になさったことだろうと思います。ただ、私はそれでは甚だ不十分という認識がありましたから、今日の見解に至ったわけです。

(問)官邸の懇談会ですが、新日鐵と東京電力の社長も二人入ってきましたが、この2社だけで排出の6割近くを占めていると思うんですけど、このお二人が入った部分でどういうことを期待されますか。

(答)主要な排出のセクターの代表の方々に入っていただくということは重要なことだというふうに思っています。ここで合意されたことが、これから産業界も含めてすべての業界に協力をいただくことになるのだろうと思いますし、逆にそういうところに参加していないで、勝手に決めたというようなことにはならないわけですから。前向きな議論が展開されることを期待しています。

(問)紙の話ですが、今回の調査の結果を見ても、やはり横並び的な体質が明らかになったと思うんですけど、その点についてどんなふうにお考えですか。

(答)横並びでも、やはり濃淡がありますから。それなりには努力していった企業もあったと思います。ただ、全くそういうようなことに頓着せずに、御指摘のような偽装を続けていたところもあるわけで、そこはやはりそれぞれ自ら反省をして、まず自ら公表すべきだと思います。

(問)環境省としても反省すべきところは反省すべきだとおっしゃいましたが、具体的にはどのような点を反省して、どのように変えていくということでしょうか。

(答)購入をするときに、我々は信じて買ってきたわけですけれども、残念ながらそれについては裏切られた部分があります。相手を信じ過ぎたということについては反省すべきだと思うし、それから先ほど申し上げたように、国民の皆さんが善意で、無償で紙のリサイクルに努力をしてくださってきたことに十分報いられなかったということについて、反省をしています。
 今後は、きちんとした形でリサイクルがされるように、そして上手に資源が活用されるようにしっかりと目を光らせたいと思いますし、こういうようなことについて、もう一度、襟を正したいと思います。

(問)紙について、グリーン購入法の基準見直しなどは、方向性としてはどのようにお考えでしょうか。

(答)現段階では、これからのメーカーの対応を待ち、できるだけ早い時期に、技術的なこと、あるいは最も古紙の配合率で環境負荷にとって効率の良い部分について、冷静に判断をして、合理的な結果を出したいと思います。

(問)排出権取引の関係なんですけど、今、環境省の方でも検討会があって、経産省も新たに自主的な研究会を設立されて、官邸の方でも始まるという、それぞれに検討の場があるということに関しては、どういうふうにお考えでしょうか。

(答)単純にEU型の排出権取引をそのまま踏襲するということではなく、日本型のルール、あるいは制度設計については、さまざまな場所で立案して競い合えばいいと思います。ただ、官邸に置かれた懇談会については、私も経産大臣も入りますし、加えて総理の下で行われるわけですから、最終的にはそこに集約されるのだろうと思いますが、その中で排出量取引が議論されるかどうかというのもまだ決まっていません。さまざまなところで、それぞれ周到に準備を進めるということが、現段階では重要だと思います。

(問)環境税についての検討を進めていくということは。

(答)懇談会で発言する機会をいただければ、排出量取引や環境税など、様々な経済的手法について提案したいというふうに思っています。国会の答弁でも申し上げていますけれども、炭素に価格をつけるということが、これからの低炭素社会を誘導していく上でのある種のモメンタムになると確信していますから、もちろん環境税についても議論をさせていただきたいと思っています。

(問)確認ですが、先ほどの紙の話で、調査結果が近年分しかなく不十分だとおっしゃっていましたが、近年というのは、それぞれ差があるとは思いますが、例えばどれくらいの幅があるのでしょうか。

(答)メーカーによって最初から資料を保存しているところもあるけれども、そうでないところもあるようです。ですから非常に短期間の資料しか提出していないところもあるようですので、できるだけ合理的に、全体的な流れがわかるような資料であるべきだというふうに思っています。

(問)一番短いところで大体1年という感じですか。

(答)いや、もっと短いんじゃないかな。

(問)1年以内の報告を出していたところがあると。

(事務方)2006年くらいから、どういう状況になっているかというデータは出してもらっています。ただ、データがないということがあるので、それ以前はヒアリングを行うということで対応したところが多く、そのヒアリングも現役の職員だけに限られているものや、OBまで丁寧に聞いたもの、いろいろあります。

(問)これだけ長い期間配合率の偽装が行われていた背景にある、理由というのでしょうか、どういうものがあったから、業界ぐるみでやったのだと推測されますか。

(答)環境について甘く見て、それで容認されると思っていたのでしょう。やはり10年前と今とでは、環境について、あるいは企業の社会的責任について、相当価値観は変わってきています。私の個人的な意見ですけれども、そういう中で漫然とやってきたんじゃないかなと思います。

(問)水俣の話ですが、20日に後藤会長とお会いになったと思いますが、まだ救済策の目途が立たない中で、大臣が直々にまず動くというのは、役所の行動原理としては非常に異例だと思うんですけれども、そこを踏まえて、それでも大臣が動かれたその狙いと、後藤会長に改めてどういうことを伝えられて、後藤会長はどういうふうに答えられたかということをお聞かせください。

(答)それぞれ裁判中の方々、あるいは与党PT案について合意をしようという方々、それぞれいらっしゃいますけれども、困っている方々はだんだんと年を経ていっているわけですから、早く解決するということについては、これはどなたも異論はないと思います。そういう中で、それぞれの立場の人たちがそれぞれの意見を言って収れんをするということがなければ、解決に至りません。私としては約半年間、与党のPTについて、後藤会長がどういうふうにお考えになるかということを見守ってきましたけれども、やはりある程度方向性を、いよいよ決断していただかなければいけないというふうに思い始めていました。
今回は、後藤会長と内容についての議論は一切しませんでした。それぞれ立場はあるでしょうけれども、5月1日に水俣で慰霊祭があります。そこまでの間に是非、一定の方向性を出していただきたいということを要請いたしました。内容についてはこれからそれぞれの立場での議論を、さらにスピードを上げていただきたいというようなことだけ申し上げました。

(問)5月1日というと2カ月ちょっとしかないんですけれども、今のところはチッソ側に国としてボールを投げたという形だと思いますけれども。

(答)ボールというのは、これでまとめてくださいというボールは投げていませんけれども、慰霊祭のときを節目に、チッソとしての、PTに対しての意思を示してくださいというボールですね。

(問)5月1日までに意思を示すということについては、後藤会長も。

(答)特別それについてどういうふうにしますというような話はありません。ただ、私からそういうふうに努力をしてくださいという要請をしたと、こういうことです。

(問)回答と言いますか、大臣のその重い発言に対して、後藤会長は強く拒絶したんでしょうか。どういうふうに、大臣にお答えになったのでしょうか。

(答)拒絶はしないですけれども、ただ私はボールを投げただけです。相手が受け取ったのかどうかということについては、先方のお考えだろうから。

(問)5月1日までに何らアクションがチッソから出なかった場合は、また別の新たな局面が出てくるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

(答)5月の1日までというよりは、5月1日を一つの節目にしたいと思っていますから、この3月ぐらいにはまた各ポジションでいろいろと折衝もさせてもらいたいと思いますし、できるだけ精力的に話をしていきたいというふうに思います。

(問)次回というのも。

(答)あり得るかもわからない。それはある程度方向性が見えればということですね。私は要請したのは5月1日という節目までに一定の結論を出しましょうよというようなことを申し上げただけですから。中身は一切触れていません。

(問)今後、トップ交渉で中身について話す可能性も、場合によってはあるということですか。

(答)どうなんでしょうか、まだ今そこまでは何とも申し上げられません。

(以上)

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