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大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年1月8日(火))


1.発言要旨

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の閣議ですが、一般案件3件、政令1件です。環境省請議はありません。
 私から、ツバル訪問について申し上げます。総理からの指示を受けて、元旦に日本を出発してツバルを訪問し、5日に帰国しました。今回の訪問では、ツバルのイエレミア首相に福田総理からの親書をお渡しするとともに、気候変動問題、特に適応の問題について意見交換を行いました。さらに、浸食が進んだ海岸や、海水に浸ってしまったタロイモを栽培している畑、嵐が来たときに大波を被って破損した家、また、島の突端のごみが蓄積しているような場所などを視察してまいりました。これからツバルに専門家を派遣して、日本が具体的にどのように支援すべきかということについて、先方とも十分に協議しながら進めたいと思っています。
 私の印象としては、南太平洋に浮かぶすばらしい宝石のような環礁ですが、飛行機から降り立ち現状を見ますと、ごみが散乱していたり、住宅が無計画に建っていたり、いろいろな意味で改善すべきところもあるなと思っております。単に個々の支援というよりは、全体的なグランドデザイン等についても提案した方がいいのではないかという印象を受けて帰ってきました。単純に土木などの専門家だけではなく、街づくりの専門家にも協力してもらい、日本がツバルに対して、あるいは島しょ国に対して何ができるかということに ついて積極的に関わってまいりたいと思っております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今年にかける大臣の意気込み、抱負をお伺いします。

(答)皆さんのおかげもあって、年頭から一週間ぐらいの新聞、テレビの報道を見ていますと、特に気候変動、地球環境問題についての記事も大変多く、国民的にも、7月の洞爺湖サミットに向けても、環境に対して非常に関心をいただいている年初だったと思っています。私としては今年は環境の年にしたいと思っております。特に洞爺湖サミットに向けて国民の関心をより高めていきたいと考えています。昨年、清水寺貫主が書いた文字は「偽」という字でしたが、今年の年末には「環」という字を書いていただけるように我々もがんばらせていただきたいと思っています。

(問)ツバルの支援策についてですが、これから専門家を派遣すると思いますが、大臣がイメージされる街づくり以外にも、率直にどのような感想をお持ちなのでしょうか。

(答)訪問したフナフチ島では、本当に狭い国土に約5,000人ほどの方が住んでいて、一番大きなインフラは空港です。皆さん猫の額のようなところに住んでいて、申し訳ないですが、ごみなどが無秩序にいろいろなところに積んであるというような印象を受けました。住み方やごみの処理方法、また、狭い島ですが自動車が走っていて、インフラのあり方も少し工夫が必要かなとも思います。ただ、他国のことですから、国内での国民的合意の中で物事は進んでいくのだろうと思いますが、いろいろと工夫が必要だなと感じて帰ってまいりました。単純に島が温暖化で浸食される、あるいは海水が押し寄せるということだけではない対応策が必要だと思っています。

(問)専門家はいつ頃に、どれくらいの規模で派遣される見通しなのでしょうか。

(答)規模はまだはっきりしていませんが、環境省からとJICAからで、2月に1陣、3月に2陣で行くような予定になっています。2月上旬に環境省の調査団、2月下旬か3月にJICAの調査団という形です。必要であれば後ほど詳しく皆さんにお知らせします。

(問)適応問題についてですが、COP13でも議論になりましたが、ツバル訪問を踏まえて、日本として適応問題にどう取り組んでいくお考えかお伺いします。

(答)今回のツバル訪問は、ツバル単独のためではなく、ツバルという島しょ国、途上国の象徴的な国ということで行かせていただきました。日本がCOP13の様々な議論を受けて、G8で途上国支援をきちんと打ち出せるかどうかということが、バリロードマップに求心力を与えることになるだろうと私は考えています。
こうした趣旨でツバルという最も象徴的な国に行かせていただきましたが、それを受けて途上国支援について、日本が単独で、あるいはG8でどのように合意形成し、資金メカニズム、技術移転、適応などあらゆる面でどのような支援ができるかを打ち出せるかどうかが非常に重要だと思っています。

(問)グランドデザインというお話がありましたが、現地のニーズはどのようにお考えでしょうか。

(答)首相からのお話を聞く限りでは、例えば堤防を作ってもらいたいというような直接的な適応についてのお話が主でした。調査団と具体的に話をしてくださいということで今回は帰ってまいりましたが、私が見た感じでは、例えば高床式の家を建てればいいとか、かさ上げして堤防を作るというような話では根本的解決にはならないのかなと思います。狭いところに過密に住んでいるわけですから、我々としては、住まい方ということも含めた全体的なバランスをどう取るかということを提案できたらと思っています。ただそれを先方が受け入れるかどうかという話もありますから、十分に協議しながらやらないといけません。それぞれいくつかのコミュニティになっているようですから。

(問)今年から約束期間が始まりましたが、日本としてどのように取り組んでいくかお伺いします。

(答)京都議定書目標達成計画も新たになりますが、私はやはり1年ごとのフィードバックでは十分ではないと思っています。半年ぐらいで速報値のようなものを見つつ、十分でない場合には更に深掘りするような様々な工夫、これは規制的なものも必要でしょうし、今議論になっているキャップアンドトレードのようなものについて裾野を広げていくような工夫、更にその上の制度的なものも含めていろいろとやらなくてはいけないことが出てくるかもしれないということを想定して、環境省の中で準備を進めたいと思っています。

(問)キャップアンドトレードのところで、裾野を広げる工夫と、その上の制度的なものが必要だとお話されましたが、その上の制度的なものというのは自主参加型ではない制度ということでしょうか。

(答)そういうことも想定しつつということです。自主参加型のこともありますし、産業界の自主行動計画もありますし、いろいろなことを見ながらです。日本は最終的には5年でマイナス6%を実現しなければいけませんから、4年経ってみてだめだったから、だめでしたというわけにはいきませんし、4年経ってみてだめだったから、その分を全部、排出権を買うというようなことで済む話だと私は思っていません。
やはり環境立国としての日本の立場ということを考えれば、ある程度窮屈な思いをしつつ、イノベーションを更に促進していくような仕掛けをできるだけ早く仕組んでおかないと、4年経ってから始めては間に合わないと思っていますので、今年が勝負だと思っています。

(以上)

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