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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年12月6日(木))


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、一般案件が8件、議員提出法律案関係が1件、政令が8件、人事が2件、配布が1件でした。このうち3件が環境省主請議のものでございます。
 まず一つが、環境配慮契約法の基本方針、正式には国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針についてです。環境配慮契約法は、11月22日に施行されておりまして、国あるいは独立行政法人が契約を結ぶ際に、価格に加えて環境性能を含めて総合的に評価し、最も優れた製品やサービス等を提供する者と契約する仕組みを作り、環境保全の努力が経済的にも報われる、新しい経済社会を構築することを目指すものです。本基本方針には、電力、自動車、ESCO、建築の4分野について、環境に配慮した契約の手続等を定めています。また、併せて、具体的な契約手法等を定めた解説資料を策定しております。
 本日の事務時間等会議でも、私から、本基本方針に従って、各省庁及び独立行政法人等が、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約に取り組んでいただくようにお願いをいたしました。この法律・基本方針により、環境ビジネスが盛んになり、地球環境と共生する新しい経済社会を構築を目指していきたいと考えています。
 あと二つは、指定湖沼及び指定地域の指定及びその政令でございます。この度、湖沼水質保全特別措置法に基づき、秋田県知事の申し出を受けて、八郎湖に関して、指定湖沼及び指定地域の指定を行います。今まで10あった指定湖沼が11になります。この指定に伴い、八郎湖についての汚濁負荷量の規制基準に係る項目等を定めるために、この施行令を一部改正するものであります。八郎湖につきましては、今後一層その水質の保全を図る必要があります。このため、下水道の計画的な整備、その他水質保全に関する各般の施策を総合的に推進するよう、関係省庁の御協力をお願いいたしました。  私から二つ申し上げたいと思います。
 環境省は従来から、国内排出量取引制度を今後の温暖化施策の有力な選択肢の一つであると認識し、これに関する知見・経験を蓄積するため、2005年から自主参加型の排出量取引制度を実施してきたところでございます。本年夏に、第1期のサイクルが終了し、削減や取引の結果を出して公表したところでございます。その後、これに関する分析・評価を行い、近日中、年内にはと思っておりますが、評価報告がまとまる予定であります。これをベースとして1月17日にはシンポジウムを開催いたします。また、こうしたこれまでの成果を踏まえ、来年1月末ごろになると思いますが、地球環境局長諮問の「自主参加型国内排出量取引検討会」を新たに設けることとします。そこでは、今後、より有用な知見・経験を蓄積する観点から、自主参加型国内排出量取引制度をいかに活用していくべきかということを中心に検討します。検討会のメンバーや第1回の日時については、近日中にお知らせいたします。
 次に大手家電量販店の株式会社コジマから、全国の店舗で76,745台の廃家電が製造業者等に引き渡されておらず、家電リサイクル券の管理体制が著しく不適正であることが12月4日に報告されました。同社に対しては、既に10月16日に勧告等を実施しているにもかかわらず、今回さらに、全国での廃家電の不適正処理が判明するとともに、家電リサイクル券の著しく不適切な取扱いが判明し、誠に遺憾です。昨日、経済産業省とともに、同社に対し勧告を行うとともに、一層の原因究明やリサイクル料金の返還状況等について報告を求めました。この措置を受け、コジマが万全の対応策を講ずることを強く期待しますし、環境省としては、経済産業省と連携し、今後とも家電リサイクル法に基づく小売業者の義務の遵守が図られるよう、気を引き締めて最大限の努力をしてまいります。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
 COP13についてですが、現在の状況と、環境省として今後どう対応されていくかをお聞かせください。

→COPは12月3日から開催され、1日目・2日目には、COP、すなわち条約の締約国会議、それからCOP/MOPと言っていますが、京都議定書の締約国会合、AWGと言っているアドホックワーキンググループ、SBIという「実施に関する補助機関会合」、SBSTAという「科学的・技術的助言に関する補助機関会合」といった全体会合が行われており、各国が意見交換を行っているところです。
 昨日の3日目からは、主要議題それぞれについて、例えばバリ・ロードマップをどういうふうに持っていくか、あるいはAWGをどうするか、技術移転、資金メカニズムをどう考えるかということを、十数個のテーマ別交渉グループとも言うべきコンタクトグループが作られており、今、個別の議論がいろいろなところで開始されているところでございます。閣僚級会合が始まる前に、11日頃までにはそれぞれのコンタクトグループから事務方としての結論が出てくると考えております。
 そういう中で、日本はいろいろな会合を通して、新たな場、アメリカも中国もインドも含めた大きな作業部会の重要性、それからそれを含めて現在の先進国だけのAWGと併せての2トラックを進めるということや、あるいは一部NGO等から、日本は京都議定書に対して積極的でないというか、反故にするような態度だと言われたりしたので、そういう意図は全くないということを説明したりしています。
 日本は御承知のように、京都議定書の精神をさらに深めて、新たな枠組みを作っていこうという意味で京都議定書を超える(beyond KYOTO)ということを言っております。この京都を超えるという言葉を、京都議定書を無視して、反故にするというふうに受け取られたのかとも思いますが、京都議定書の精神を十分に尊重し、それを踏まえて、さらにそれを前進させ、実質的にもっとしっかりしたものを新しい枠組みとして作り上げていこうというのが日本の立場ですので、これは全くの誤解です。

質問
 1月の検討会の件ですが、どういう内容について、どういうことを検討していくかということを、もう少し詳しく教えていただけますか。

→第1期のサイクルが終わった自主参加型取引制度について、どれくらいの効果があったかという評価をし、シンポジウムを開催すると申し上げました。そういうことを踏まえて、より有用な知見を蓄積するという観点から、自主参加型国内排出量取引制度をいかに活用・拡充していくかを中心に検討します。17年度から実施を始めて成果も得て、これからもさらにそれを拡大していきたいと思いますし、一方で、排出量取引をめぐる国際的な動きも広がりつつあります。これまで蓄積された知見、さらにこれから検討会等を通じて得られるであろう知見を活用しながら、我が国における排出量取引制度のあり方についても、関係者等の理解を得ながら、検討を加速させていきたいと思っております。
 まずは自主参加型国内排出量取引制度についての知見・経験を十分に蓄積する観点から、検討をしていくということです。

質問
 今の検討会についてですが、これは規制を含めたキャップアンドトレードに繋がるような、その可能性も含めて検討するのでしょうか、それともあくまでも自主参加型だけに限るのでしょうか。

→申し上げたように、この検討会は自主参加型国内排出量取引検討会ですから、自主参加型国内排出量取引というのはどうあるべきかということが中心です。国内排出量取引全般にわたってさまざまな議論を交わすということではありません。
 ただ、今の質問に関連して私どもの考え方を申し上げれば、これはこの検討会とは別の事柄ですが、国内排出量取引というものは、市場メカニズムを活用した有効な政策手段の一つだと思っております。それによって排出量の確実な削減とか、あるいは削減に向けての経済的なインセンティブを与えるし、排出削減コストの最小化といった特性も有しておりますから。御承知のようにEUにおいても、2005年1月からEU域内排出量取引制度も始まっております。先般も、EUとアメリカの九つの州と排出量取引制度の制度基盤作りなどで国際的な連携を強めていこうという動きもあります。そういう世界的な炭素市場の広がりもあり、国内排出量取引制度というのは言わば時代の大きな流れであると考えておりますし、その実現に向けて、幅広い角度から検討を深めていくことが必要だと考えております。ただ、もちろん産業活動や国民経済に与える影響も大きいですから、メリット・デメリットが審議会等でもいろいろと言われております。具体的にどのようなものを仕組んでいくのが温暖化対策として最も実効的なものになるのか、かつ日本の経済社会にとってもふさわしいかということを、是非、産業界からも前向きな意見をいただきたいと思いますし、一緒に考え、協議していきたいと思っております。

質問
 一部報道で、温室効果ガスの余剰枠、ホットエアのことだと思いますが、世界的にかなりの量があり、政府間の取引が活発化すれば供給過多ではないのかというものがあったのですが、これについて、環境省としてそういう数値を把握しているのかを含め、どのように見ていらっしゃいますか。

→我が国としては、京都議定書の目標達成に向けて、国内対策に最大限に取り組み、なお不足する分の補完的なものとして、1.6%に相当するクレジットを京都メカニズムを活用して取得するとしています。
 報道された試算は、まずそれぞれの国の排出見通しと目標値の差分を単純に積算したものですから、ポテンシャルにおいてそういうものになり得るということを示したということだと思います。ただ、実際にどれくらい供給過剰になるかというのは、そもそも排出見通しがどうなっていくのかということにもよりますし、需要側にしても、例えば日本もそうですが、ただホットエアというものではなく、裏にしっかりとした環境対策というものがついている、GISと言っていますが、そういうものを買っていこうとしていますから、実際にどのようになっていくのかはこれからですのでわかりません。
 いずれにいたしましても、環境省はこれから経産省と協力をして、NEDOを通じたクレジットの取得を着実に推進してまいりたいと考えております。報道された数字については経産省が独自に算定したものですから、経産省に詳細はお聞き願いたいと思います。

質問
 この試算はCOPでも示す予定とのことですが、その辺りの議論への影響などは何かありますか。

→COPにおいてもCDM等についていろいろな議論があります。例えば、これは従来から日本政府が言っていますが、原子力の分もCDMとして認められないかとか、様々な議論をやっております。そういう中で、こうしたマクロ的な議論も示していくということではないでしょうか。
 補完的なものとはいえ、日本自体も1.6%を見込んでおりますし、これから一つの役割を果たすものだと思っておりますので、しっかりとフォローしていくし、各国とも議論すべきものだと思っております。

(了)

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