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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年6月4日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、政令2件、配布1件です。特に環境省関係のものはありません。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
 明日、閣議決定される平成19年版環境・循環型社会白書についてですが、前年は水俣病問題について特集を組まれて力を入れられていたのですが、今年は記述が少なくなっているのですが、水俣病問題が依然として厳しい状況にある中で分量が違うということは、どういうことなのかご説明ください。

→環境・循環型社会白書が明日、閣議決定されます。確かに環境白書は昨年は総説を2つ組み、その一つが公式確認から50年ということもあり水俣病についてでした。今年の環境白書の中心である総説の部分は、技術ということで、温暖化対策に対する、特に技術面を中心に掲げています。循環型社会白書の方も、循環型社会に向かう技術ということに着目して記載しております。水俣病問題については、昨年は総説に組んでいたということもあり、おっしゃるように記載している分量は昨年と比べて減っておりますが、当然、講じようとする施策、あるいは講じた施策といういわば各論の部分で記載しておりますし、環境省自体では今まさに救済策の調査が行われており、6月中旬には与党PTに出そうということで進んでおります。これからも水俣病対策をきちんと真ん中に据えて進めようとしておりますので、白書において今年は総説には取り上げておりませんが、水俣病対策に対する環境省のスタンスが変わったということは全くありません。


質問
 基本的にずっと重視されているということでしょうか。

→ずっと重視しております。これまでと同じです。


質問
 先週、米国が温暖化政策を出したということで、また中国も国家計画を決めたという話もありますが、この辺の情報をどう見られているのでしょうか。

→まず米国側の新たな提案ということです。2013年以降の新たな次期枠組みに対してアメリカも積極的に参加するということを大統領の強い意思表示として出されたわけです。これについては高く評価しております。2008年末までに新たな長期目標に関する合意を得るということが入っていたかと思います。もちろん我が国は安倍総理が提案されました「美しい星50」にも盛り込んでおりますし、これから様々な機会で長期目標に関し、いろいろな議論が出る時は、日本は是非、積極的に議論をリードしたいと存じますし、またアメリカも積極的に議論に入ってきていただきたいと思います。ハイリゲンダム・サミットも今週開かれますので、気候変動に関し、前向きな成果が上がることを期待しています。
  中国については、新聞報道は拝見しました。非常に興味を持っているところですが、詳細がまだわかりません。わかり次第皆様方に御説明できると思います。


質問
 高く評価するということですが、ヨーロッパの方の反応を見ていると、ただ単に今回のハイリゲンダム・サミットをやり過ごすための目くらましと言いますか、正当な評価をすべきではないというような声が出ていると思うのですが、日本政府としては言葉のとおりとっているということでしょうか。

→いろいろ議論はあると思います。その中において、例えばきちんとした削減義務が書かれていないとか、定量的なものが明らかでないとか、それはいろいろ議論があると思いますが、政府として考えているのは、やはりアメリカという国が今回、これまでの経緯を鑑みて、2013年以降のポスト京都議定書の次期枠組みに向けて、自分たちとしてきちんと枠組みに参加していこうということを大統領自身が意思表明したことは事実ですから、それはやはり大きな前進だと思いますし、そのことを高く評価すると申し上げております。


質問
 東京都の石原都知事が新たな取組を出されましたが、これに対する評価をお伺いします。

→東京都が、カーボンマイナス東京10年プロジェクトという
基本方針を出されたということは承知しております。その中に例えば、大規模CO2排出事業所に対して削減義務あるいは排出量取引制度の導入、あるいは家庭のCO2削減の本格化、都市作りでのCO2削減などいろいろ入っているようです。それぞれの詳細については東京都から聞いてみようと思います。いずれにしても、地方自治体が積極的に、先駆的な温暖化対策に取り組むことは意義があると思いますし、是非、効果のある対策が進められるように環境省としても期待をしているところです。


質問
 法律的なことですが、自治体が大気の規制をかけることは可能なのかどうか、これについてはどのようにお考えでしょうか。

→東京の基本方針自体の内容がまだよくわからないのですが、東京都気候変動対策方針とあり、どれが条例事項で、どれが指導してやっていくようなものなのか、その辺が定かではなく、わかりません。東京都の条例でできるものもありますし、できないものもあるかと思います。例えば自動車対策でもそうですが、環境関連でもそれぞれの条例で地域の実情に応じてやっているところが東京都含めていろいろあります。できるものもありますし、むしろ全国レベルでかけた方がよいものもあります。そこは一概には言えないと思います。


質問
 本日午前中、公害被害者の方々と環境大臣との交渉がありましたが、その中で、水俣病の認定基準を満たさないものの救済が必要な人たちがいると思っているのかという問いかけに対して、大臣が、そうした方々がいるという前提で、今調査もしているし、今後そうした方々のための救済策をまとめたいというような御発言がありました。環境省としては、この認定基準というものをどのようなものと位置付けておられるのかを改めてお伺いします。
  つまり、基準を満たさないけれども救済すべき人がいるということは、それでは基準というのは何の基準なのかということです。いわゆる公健法上の認定基準ということでしょうか。

→公健法上の認定基準は御承知のとおりのものとして存在しています。それを満たさない方々も現におられると思いますし、また、実態調査においても、どのような症状を抱えておられるかということを中心に進めているところです。そうした認定基準を満たしていない方々でも、やはり国として手を差し伸べて救わなければならないという実態があると思いますから、そうした方々についてどういう措置をとるか、それは全体の救済策として必要だと思っているからこそ、与党PTで施策を6月までに方針を作ろうということです。大臣はそうしたことをおっしゃったのだと思います。


質問
 そうした方々も一応水俣病というふうに環境省は認識しているということでしょうか。

→言葉をどのように言うかはともかくとして、認定基準を満たさないけれども、しかし、やはり水俣病の被害といいますか、公害として実際にそれぞれの方々の身の上において生じており、国として、あるいは県として、やはり公のものから救済すべき方々が現に存在しておりますので、そうした方々に対してはやはり手を差し伸べるべきだと思うからこそ、どのような政策で、どのようなものでやっていくか、実態調査も行い、またこれから対策を練ろうとしているわけです。


質問
 本日の交渉で大臣が、大気汚染訴訟で60億円出すということで、東京だけでなく、他の地域でも出すべきじゃないかというような意見もあったんですけれども、それについてはいかがですか。

→基本的に今回60億円を取り崩し、東京都のほうに拠出しますと、今までの基金の元本である500億円がその分減りますので、従ってそこから生まれる運用益も減るわけですから、他の県の方々に対する今まであった措置が不十分になるのではないかという御質問だと思いますが、環境省としてはそうしたことがないようしたいと思っています。例えば運用益をどのように回すかは別として、できるだけ効率的にしないといけませんし、調査・研究にかなりお金を充てているのを、予防検診といった直接被害者に関わる施策の方にもう少しお金を重点的に充てたりするなど、東京に拠出したからといって、他の県の方々が今まで以下の予防事業しか受けられないというようなことがないように、いろいろ工夫はしたいと思います。それは単に運用だけでは片付かないかもしれませんが、他のことも含めて、他の県の予防事業がこれによって減ったりすることのないよう、様々な施策を考えてみたいと思っております。


質問
 60億を東京都のために取り崩すとなれば、他の地域のためにも取り崩しをすべきではないかという意見もあったのですが、これについてはいかがでしょうか。

→東京大気汚染訴訟は長年、確か11年くらい続いている訴訟で、残された唯一の訴訟でございましたし、非認定患者を含むといった事情もございましたし、そうした意味で今回そのような措置をとったわけです。


質問
 他の地域については取り崩さず、東京都にだけ取り崩すという、その理屈はどういうことなのでしょうか。

→公害健康被害予防事業補償基金に基づくものが、きちんとこれからも充実して行っていかなければならないわけですから、それをこれからも充実してやっていこうということで、今回のことによって各県への予防事業の分が減らないようにしっかり対応を考えていくということを申し上げました。今回のことは、東京大気汚染訴訟としてずっとやってきた話で、ただ今申し上げたような背景のもとで総理が決断を下されたということです。何か他に大きな訴訟があって、それをまた総理が決断してというような話が今あるわけではありません。今大事なのは、各県における予防事業が、これによって減らないことだと思います。


質問
 ワシントン条約常設委員会において象牙の輸入が認められましたが、これに対する御所見と、今後も輸出を続けたいという提案が一部出ているようですが、これについてもどのようにお考えかお聞かせください。

→南部アフリカ三ヶ国から輸出される象牙は全て自然死したゾウから得られた象牙に限っているようですし、またその取引による収益自体もゾウの保全、それからゾウと共生する地域住民を支援するプログラムに当てると限定されています。このため、今回のワシントン条約常設委員会において、南部アフリカ三カ国から日本への象牙輸出が認められたということです。他にも手を上げていた国があったようですが、日本はきちんとした流通管理を行っているということです。これは、先程申し上げたような使途に充てられるわけですので、ゾウの保全にも大きく寄与するものだと思います。もちろん野生生物資源がこれから持続可能に利用できるような、一つのよい事例になるように、環境省が関係省庁、関係団体に協力し、国内流通管理の充実に努めてまいりたいと考えています。
  もう一つワシントン条約で付言しますと、まだワシントン条約締約国会議が続いておりまして、ヨーロッパウナギやノコギリエイといったものについて、条約付属書に掲載するかどうか、あるいはアフリカゾウの取扱いや、例えば、仮に付属書Iに掲載が決まれば、それによって商業取引が禁止されたりしますので、その辺についてまだ議論が続いているということです。


(了)

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