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大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年3月19日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、一般案件1件、政令9件、配布は月例経済報告の1件でした。環境省関係のものは特にありません。
 私から3点ほど報告があります。
 まず1点目はG8環境大臣会合についてです。若林大臣はドイツのポツダムで開催されたG8環境大臣会合に、3月15日から17日まで出席するとともに、米国、中国、ドイツ、イギリスなどと二国間会談を行いました。今回の会合では、G8各国のほか、プラス5ということで中国、インド等の主要な途上国からも閣僚が参加し、「気候変動とエネルギー」及び「生物多様性」について議論が行われました。
  気候変動に関しては、若林大臣は、我が国の6%削減約束を確実に果たすこと、次期枠組みについてすべての主要排出国が参加する実効ある枠組みの構築が重要であること、来年のG8サミットにおいて日本が議長国としてリーダーシップを発揮していくことについて決意を表明されました。
  また、生物多様性については、2010年に開催予定の「生物多様性条約第10回締約国会議」の招致に向けて我が国が立候補したことを紹介し、世界の生物多様性の減少をくい止めるという「2010年目標」の達成に向けて意欲的に取り組むということをお話されました。
  2点目は、野生のクマタカから鳥インフルエンザウイルスが検出された件についてです。昨晩、野生のクマタカから、H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスが検出されたことについて公表しました。これについては、まず野鳥に関して過度に心配する必要はありません。鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常では人には感染しないと考えられています。日常生活においては、鳥の排泄物等に触れた後には手洗い、あるいはうがいをしていただければ過度に心配する必要はありませんので、冷静な行動をお願いしたいと思います。環境省としては本日から、熊本県と連携して、クマタカが発見された地域周辺での野鳥の生息状況、あるいは野鳥のウイルス保有状況等を調査するため、本省から1人、地方環境事務所から2名、計3名の職員を派遣します。地域の方々に安心していただけるように正確な情報提供に努めていきたいと考えています。なお、宮崎県での発生事例との関係については現時点では明らかではありません。ウイルスの毒性検査、あるいは遺伝子分析の結果を踏まえて専門家に検討していただく必要があると考えています。
  3点目は、公害対策会議幹事会の件です。後ほど概要資料をお配りしますが、愛知地域等4地域における公害防止計画と霞ヶ浦、印旛沼、手賀沼、琵琶湖及び児島湖に係る第5期湖沼水質保全計画に対する環境大臣の同意です。特に湖沼水質保全計画については、平成17年の湖沼水質保全特別措置法の改正等を踏まえて策定された最初の計画です。特に対策が必要と指摘されてきた農地や市街地等の汚濁負荷削減対策としての流出水対策推進計画などが盛り込まれています。
  私からは以上です。 


2.質疑応答

質問
昨日の鳥インフルエンザの件ですが、2004年に京都周辺で発見されたカラスを除けば、実質的に野鳥から見つかったのは今回が初めてと言ってもいいような気がするのですが、その点に関して環境省の受け止めについてお伺いします。

→まず一つはクマタカは哺乳類や鳥類を捕食するわけですから、感染がわかったということで九州地域の野外に鳥インフルエンザが存在していたとことが明らかになったということだと思います。ただ、これまでのところは野鳥が大量死しているなどの報告もありませんし、環境省のウイルス保有調査についてすべて陰性だったことから考えると、我が国の野鳥の間にウイルスが蔓延しているとは考えられないと思います。また、衰弱死したクマタカの発見が1月4日で、1番最初に宮崎県で高病原性鳥インフルエンザが発生したのが1月11日ですので、養鶏場で感染した鶏を捕食して感染したという二次的な感染ということではないと思います。いずれにしても今後とも情報提供をきちんと進めていきたいと思います。特に農林水産省や厚生労働省などの関係省庁に連絡を行いつつ、国民への情報提供も進めていきます。また、感染発生状況の把握について、特に発生地周辺での野鳥への感染状況調査や広域的な状況把握の観点から近畿以西で実施しているカモ類等の調査を更に継続してしっかり行っていきます。


質問
クマタカは1月4日に発見され、2月10日には鳥インフルエンザは陽性であるという結果が出たそうですが、なぜ陽性が出た時点で公表されなかったのでしょうか。

→簡易キットによる検査で陽性が出たということだけで、毒性もわかりませんでした。このクマタカについては主として鉛弾の影響が疑われていたもので、そうしたことでずっと調査をしておりました。念のために簡易キットで鳥インフルエンザ検査を行ったところ、陽性の結果が出ましたので、鳥取大学に依頼をして、きちんと検査したところ、H5N1亜型鳥インフルエンザだったということがわかりましたので、直ちに御報告をしたということです。


質問
熊本県に隣接する宮崎県で鳥インフルエンザが発生した中で、簡易キットによる検査結果であっても、やはりできるだけ早くウィルスが陽性であったことは発表されるべきではなかったかと思うのですが。

→今までもあたりをつけるために簡易キット検査を行うことがありますが、陽性が出ることが時々あります。ただ、簡易キットで陽性が出ても、H5N1亜型なのか、あるいは福井県であったような通常マガモが持っているような弱毒性のものなのか、よくわかりませんので、通常は簡易キットだけでは発表しておりません。簡易キットだけではなく、きちんとした大学の専門家の調査によって判明した場合に発表することにしています。


質問
農水省の場合には、県レベルでの簡易キットの結果で発表しています。環境省の野鳥調査では確定しないと発表しないということですが、この違いはなぜ出るのでしょうか。

→1つは今回のクマタカについては、まず鉛弾が疑われていたこともありますが、これは各省の判断だと思いますが、これからもケースバイケースで、もし簡易キットであっても早めに発表した方がいいという場合にはそのようにしたいとも思いますが、今回の場合はクマタカでしたので、まずきちんとした調査を経て、H5N1亜型となったので発表するという判断をしたということです。


質問
潮谷熊本県知事もなぜこんなに時間がかかったのかと、かなり不快感を示されていましたが。

→この周辺地域の調査もそうですが、インフルエンザウィルスがH5N1亜型かどうかという調査にはどうしても時間がかかります。これまでも4つの養鶏場の調査をしていますが、やはり1週間以上かかっています。さらにこれから遺伝子検査等も行いたいのですが、これについても一定の時間がかかることは御理解をいただきたいと思います。


質問
発表前に、他省庁と情報をやりとりしたことはないのでしょうか。

→特に聞いておりませんが、例えば鳥取大学や環境省釧路湿原野生生物保護センターでクマタカの検査を行っていますので、その間に事務方同士では相談をしたかもしれません。


質問
簡易キットの段階では発表しないのは、京都でカラスが発見された時もそうだったのでしょうか。

→簡易キットの結果では今までは発表しておりません。簡易キットでの結果の後、きちんとした検査でH5N1亜型が検出されたのは今回が初めてですので。


質問
環境省でのルールということでしょうか。

→そうですね。これまでも陽性になったことは若干あると承知していますが、特に発表していません。今回、H5N1亜型であると専門家の調査によりきちんとした結果が出ましたので、1つの大きな情報として、昨日、日曜日でしたが、すぐに皆さんに集まっていただきました。


質問
情報提供はこれで徹底できているとお考えでしょうか。

→鉛弾の話を中心に考えていたこともあり、少し遅れたという面はあるかもしれませんが、今回、H5N1亜型ということがわかった直後に報告しているということです。


質問
簡易キットの結果の段階で公表されないのは、情報提供の観点から問題ないとお考えでしょうか。

→環境省としては問題があるとは思っておりません。


質問
このクマタカが発見された場所は村道なのでしょうか。また、地域周辺の調査はどれぐらいの区域で実施しようと考えているのでしょうか。

→発見された場所は、林道の道の上です。また、調査区域については、まだはっきりとは決めておりませんが、今日から日曜日までにかけて調査を進めることを考えています。森や林道など、非常に幅広くと考えています。


質問
もう調査は始めたのでしょうか。

→本日もう調査に出ております。まずは全体のまわりの状況として、例えば野鳥の大量死がないかなど、それは場合によっては本日の夕方にでも現地で多少御報告ができるかもしれません。


質問
今のところ何か報告はあるのでしょうか。

→まだ報告は聞いておりません。まだ現地に向かったくらいのところではないでしょうか。あるいは始めたかもしれませんが、そのような状況です。


質問
行動範囲は狭いので、宮崎の鳥インフルエンザと直接どうこうということではないと思いますが、クマタカはこの地域では生態系の最上位なわけです。それがこうした形で感染していたということについてはどのように把握されていますか。

→これから感染経路究明チームに情報提供するとともに吟味していかなければならないと思っていますが、今いろいろな推測をすることは避けたいと思います。


質問
クマタカから見つかったことで、感染経路が野鳥である可能性が高まったとは言えないのでしょうか。

→確かに専門家の中にも、クマタカが感染していた野鳥を捕食して、そのようになったのではないかという見方もあります。そういう意味では感染経路が野鳥という説も、クマタカを通じて更に強まったという議論もあるかもしれませんが、まだ確たることは申し上げられないというのが今の現状だと思います。


質問
こうした絶滅危惧種の猛禽が感染してしまうケースが出てくると、対策のとりようもないのではないでしょうか。

→今申し上げたように、まずは2点あると思います。1つは情報をきちんと提供していくこと。もう1つは今回行うような付近の調査を徹底して進める必要があると思います。付近の水鳥のフンがどうか、あるいは陸鳥の状況がどうか、今回は100羽ほど捕まえ、調査する予定です。


質問
新潟水俣病に関してですが、先週、新潟市長が、新潟で独自の認定基準を作りたいということをお話しされていました。これまでの最高裁判決の考えを当てはめたらどうなるかという話もあったのですが、更に独自の道を行くような姿勢を示しております。これについては環境省としてどのように受け止めていらっしゃいますか。

→新潟県知事の記者会見で、県に設置した懇談会で検討する意向だとお話されたことは報道を通じても聞いております。県独自で具体的にどのような救済策をということは、まだお聞きしておりませんので、現時点での環境省としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、いずれもにしても、認定基準は満たしていないけれども、救済すべき方々に手を差し伸べていかなければならないという観点から、与党PTと連携し、関係地方公共団体と協力しながら、きちんとした対策に取り組んでいきたいと思っております。


質問
先週、国の審査会から、県の認定での棄却がおかしいということで差し戻された熊本県の方が、今回熊本県で認定されました。国の差し戻した結果が熊本県で採用されましたが、これはどのようにお考えでしょうか。

→個別の診断所見、それについて審査会がどのように判断するかということについては、その詳細については知りませんので、具体的な個別の事柄についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、いずれにしろ、認定されるまでに膨大な年月が要されたわけです。そのことについては、昨年の総理大臣の談話にもありますが、長い期間にわたり適切な対応をなすことができず、水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて政府としてその責任は痛感しておりますし、率直にお詫びを申し上げたいと思います。


(了)

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