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大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年3月12日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、国会提出案件2件、法律案13件、政令3件でした。環境省関係のものは特にありません。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
EUが温室効果ガスを2020年までに1990年比で20%削減することで合意しました。これは相当な数字だと思うのですが、G8環境大臣会合を今週後半に控え、日本としてはこの数字をどのように評価し、今後どのようなスタンスで協議に臨むのかお伺いします。

→3月8日、9日で、ブリュッセルで開催されたEU首脳会議で、温室効果ガスの排出量を1990年比で、2020年までに少なくとも20%削減するという具体的目標が決定されました。また、他の先進国が相応の削減を行い、経済的に発展している途上国もその責任及び能力に応じて十分な貢献を行う場合には、EUは削減目標を30%にするとしています。
 EU27ヶ国の首脳が集まり、将来の温暖化対策について温室効果ガス排出量の目標設定を含む真摯な議論を行い合意したことは、環境省としても高く評価したいと思います。
 環境省は、2013年以降の次期枠組みについて、アメリカ、中国、インドを含む主要排出国が最大限の削減努力を行う実効あるものにすることが必要だと思っており、そうした方針で若林大臣を中心に世界に呼びかけています。来たるG8環境大臣会合においても、フランス、ドイツ、イギリスなどのEU諸国の環境大臣御本人が出席すると聞いていますので、今回のEU決定等の議論も当然出てくると思いますので、こうした観点に立って話し合うこととなるのではないかと思います。


質問
EUがこうした数字を出し、アメリカでもいろいろと動きが出ています。来年、日本でサミットがありますが、日本としてはリーダーシップどころか、このままだと非常に恥ずかしいといいますか、もっと何かをしなければいけない苦しい立場になると思います。これについてはどうお考えでしょうか。

→京都議定書のマイナス6%という目標について、2008年からの約束期間がすぐに来ますので、これに向かってまずしっかりと進めていくということです。今年はまさに全面的な見直し、進捗状況をフォローアップする年ですので。それと並行して、次期枠組み、さらにそれを超えたもう少し長いレンジについて日本としてどう対応するか、しっかり固めていく必要があると思います。環境面で世界のリーダーシップをとるぐらいの気持ちでというのが、安倍総理のお考えだと思いますし、そうしたこともあって環境大臣に、21世紀環境立国戦略策定の御指示があったのだと思います。環境立国戦略の策定作業の中心は、やはり地球温暖化対策だと思います。マイナス6%はもちろん、将来に向けても日本が環境問題について世界のリーダーシップをとっていけるぐらいのことをしっかりと議論し、また発信できるようなものを作っていかなければならないと思っています。


質問
今年のG8サミットでも、21世紀環境立国戦略を出すということですが、そこでもたぶん具体的な数字が出ないと思いますし、サミットの場で示しても、あまり注目されないのではないかと思うのですが。

→今年のサミットもありますし、その次は日本でのサミットもあります。またその間にG20を始めとした様々な国際会議も続きますので、日本がきちんとした方針を出していくことは、当然、注目されると思いますし、非常に重いことだと思います。


質問
日本としても次期枠組みについて、今回EUが合意したような数値目標を設けるべきだとお考えでしょうか。

→今後の中長期的な問題について、どのように設計していくかはさまざまな議論があるところであり、まさに今、議論を進めているところですが、排出量の目標数字をきちんと決めて進めるべきだという考え方もありますし、何より大事なことは、まず、アメリカ、中国、インドを含めた実現可能な枠組みを作っていくことであるという議論もあります。
 いずれにせよ、中長期的には、御承知のように地球上の海や陸による実際の吸収量と、人為的な排出量とが大きくかけ離れていますので、温室効果ガスの濃度を安定化させるためにはやはりしっかりした目標を立てていくべきだと思っています。


質問
3月10日に熊本県の認定審査会が再開され、申請者2人の審査が行われましたが、それについての御所感をお願いします。

→3月10日に熊本県の公害健康被害認定審査会が開催されましたが、まず認定審査会の開催に向けての熊本県及び先生方の御尽力に敬意を表したいと思います。それと、認定審査会における審査がこれからも継続して行えるように努めていただきたいと考えています。もちろん環境省としては与党PTとも連携し、地方公共団体とも協力しながら、水俣病対策の一層の推進に力を尽くしていきます。


質問
今まで1年なり2年なり待たせてきた方に対するお言葉はないでしょうか。

→ここで認定審査会が再開ということになったわけですし、環境省も与党PTや県とも連携をとりながら力を尽くしていきたいと思いますので、その方々への思いも頭に置きながら、しっかりした対策を作っていかなくてはならないと思います。


質問
今回、2人の方が審査にかけられ、そのうちの1人の方はほぼ認定相当となっています。その方の年齢からいくと、ほぼ半世紀近く待って、やっと認定されるということですが、これについてはいかがお考えでしょうか。

→認定審査会では、2名ということは出ていますが、具体的にどなたかということは公表されていないと承知していますので、コメントは差し控えたいと思います。ただ、一般的に申し上げれば、御質問にあったように、数十年という経緯があり、重いものだと思いますので、そうしたことについてもしっかり頭に置きながら、4月から調査もスタートしますし、与党PTを中心に救済策の検討を行いますので、その中で早くしっかりした対策を作っていくことが環境省の役割だと思っています。


質問
今回、もし認定という形になれば、最高裁判決後、国の責任が認められた後での初めての認定患者ということになります。つまり国が加害者という立場で認定する方ということになります。加害者が、認定患者だと認定するのは、普通に考えて変な構図だと思うのですが、これについてはどう思われますか。

→新潟県も熊本県もそうですが、基本的にはまだ認定者等について公表されておりません。やがて連絡もいって、きちんとした対応がとれると思いますが、認定されることを前提としたコメントは控えたいと思います。


質問
最高裁判決後、国が加害者になっています。今の認定制度は加害者が加害者の作った制度で、被害者かそうでないかと選り分ける制度になっています。それはいかがかと思うのですが。

→認定審査会は専門的知識を有する方々を中心に客観的に進められていると理解しています。熊本県知事も新潟県知事も認定審査会から出てくる結果に対して十分尊重された判断をなさると思います。そうしたことを通じて、再開されて進められていくこと自体は喜ばしいことだと思っています。認定審査会はあくまでこれまでの認定基準で行われており、認定されない方々でも苦しんでいる方が大勢おられますが、そうした方々にも手を差し伸べる救済策を考えるということで、これから新たなものをまさに作ろうとしているところです。そうしたことを通じてお応えしていくことになるのだと思います。最高裁判決自体については、国として真摯に反省し、今後も水俣問題について発信していこうという見解を出しており、その姿勢はまったく変わっていません。


質問
今後、審査会が再開され、認定される方が出てくるかもしれませんが、国が加害者としての立場が明確になった上で、そうした方々に特別に対応していくということはあるのでしょうか。

→認定されない方々でも救済すべき方々も大勢いると思いますので、与党PTが決断し、環境省も連携してやっていくと申し上げています。御質問の特に認定された方々だけに対して国として特定の追加的措置を考えているということは今はありません 。


質問
今の制度でいくと認定されれば、チッソと直接、補償協定を結ぶことになっており、国や県から何らかの謝罪や補償を受けるものではありません。それについてはいかがでしょうか 。

→国の立場はまさに最高裁判決後明らかにしたとおりです。安倍総理もおっしゃっておりましたが、これからも水俣病対策を環境問題の原点として捉えていきたいと思いますし、現在進行形の問題だと思っているからこそ、調査も進め、また新たな施策も考えていこうとしています。


質問
与党PTは未認定患者を対象に新しい救済策を検討していき、6月中までにまとめたいとしていますが、その内容についてはどのようなものが想定されるのでしょうか 。

→予算が通り次第直ちに4月から調査を開始し、アンケート調査や更にサンプリング調査も行います。6月の半ばぐらいには調査の中間報告を出すべく作業を進めます。中間報告が出たら、それをベースに6月中に与党PTが救済策の骨格をとりまとめると承知しています。調査もまだスタートしておりませんし、その調査を参考にしながら救済の仕組みが作られていくのだと思います。調査を行う前からこうしたことを考えているということは申し上げられませんし、今そうした考えはありません。


質問
例えば現金の支給などといったことになるのでしょうか 。

→そうしたことを含めて、これからということです。


質問
今の時点で例えばこうしたものがあるということは環境省はまったく考えていないのでしょうか 。

→今まで、水俣問題をめぐるいろいろな経緯があります。司法救済や政治解決もありました。そうしたことが続いてきている中で、全体の経緯を踏まえ、今回の調査も踏まえてのことですので、そうした流れを見ながら、きちんとした判断をしていきたいと思っていますが、まだ調査も始まっていない今の段階で、こうしたことを考えていると申し上げるべきではないと思います。


質問
調査項目は決められているのであれば、自ずとどういう結果が出るか分かると思うのですが 。

→まだ調査も行っていませんし、それは結果を見てからだと思います。


質問
こうした調査をして、こういう結果が出るという材料は分かると思うのですが 。

→与党PTは調査の中間報告を参考にして救済策の骨格を判断し、作っていこうとされているのだと思いますし、環境省もそういう判断をしています。


質問
調査項目は決まっているわけですから、どういう支援にしたいということはだいたい決められているのではないかと思うのですが 。

→調査の中間報告は6月半ばには出そうと思っていますが、それを見ての与党PTの判断もありますし、今からだいたいこういうことだということは申し上げられません。


質問
審査会が再開されましたが、実際長い期間閉会されていました。国として再開されたこと自体の評価についてはどうお考えでしょうか。また、休止期間を今までどのように受け止めていらっしゃったのでしょうか 。

→審査会再開を知った時に、大臣の見解も出し、再開までのいろいろな経緯や、実際審査されている先生方も含めて、御尽力に敬意を表すると申し上げました。


質問
国としてこの再開自体について喜んでいるということがよく分からないのですが 。

→喜ぶということより、再開に至るいろいろな経緯の中で、申請者はもちろん、県も先生方もいろいろな思いでいたと思います。環境省の担当者も数十回も現地に行き、審査会の先生方にもお会いし、再開をお願いいたしました。その結果の末ですが、やはり先生方一人一人にとって重い判断だったと思いますし、県も大変だったと思います。そうした思いを全て込めて敬意を表するということです。


質問
熊本県に足を運びながら国としての働きかけも実を結んだということなのでしょうか 。

→国の働きかけが実を結んだというより、県や先生方一人一人の努力だと思います。国も働きかけ、もちろん与党PTの動きなどもあると思いますが、基本は県や先生方の努力で再開に踏み切ったのだと思います。


(了)

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