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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年3月8日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、一般案件が9件、法律案が8件、政令が2件、人事が2件、報告が1件でした。
 この中に環境省関係が3件あり、まず海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案です。これは、1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書の実施等に伴い、廃棄物等の海底下の廃棄を禁止するとともに、二酸化炭素の海底下廃棄に係る許可制度を創設する等の措置を講ずるものです。
  もう一つは、NOx・PM法の改正案です。これは、自動車から排出される窒素酸化物等による大気汚染の防止を図るために、窒素酸化物対策地域等のうち、大気汚染が特に著しい地区について、都道府県知事による窒素酸化物重点対策計画等の策定及びこれに基づく特定建物の設置者への勧告・公表の制度を導入すること等を内容とし、局地汚染対策及び流入車対策を進めていこうというものです。
  また、報告案件として、循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第3回点検結果についてです。これは、中環審から政府に対して第3回点検結果について報告され、これによると、循環型社会形成推進基本計画の数値目標の達成状況は概ね順調ですが、循環型社会形成に向けては、関係者間のより一層の連携が必要であることや、国際的な視点からの適切な資源循環確保のための取組を強化すべきことなど、政策上の課題が指摘されています。この指摘も踏まえ、環境省としては、脱温暖化社会の構築との相乗効果の発揮も図りながら、幅広い関係者との一層の連携の強化を図るとともに、東アジア地域における国際的な循環型社会形成の取組をさらに進めるなど、3R推進のための総合的な取組の強化に努めてまいります。

 私から二つほどお知らせをさせていただきたいと思います。地球温暖化問題は、人の健康、あるいは食料、水、居住地や平和と安定など、世界中の人々の生活基盤を脅かす可能性があるものとして認識され、気候変動という表現に留まらず、気候安全保障の問題として取り組む必要があると言われています。この度、環境省では、地球温暖化により、感染症を媒介する動物、蚊などがそうですが、この分布域が広がるなど、温暖化と感染症との関係が指摘されていることを踏まえ、こうした知見を広く国民の皆様に提供し、関心を高めることによって、感染症を予防するとともに、温暖化問題への取組を促進するために、「地球温暖化と感染症~いま、何がわかっているのか~」というパンフレットを作成しました。この後、皆様に記者発表資料とともにお知らせ致します。感染症とは何か、温暖化とどのような関係があるのか、今、何が問題なのか、私たちにできることは何かということで、地球温暖化と感染症について、わかりやすく、図などを入れながら説明したものです。
  このパンフレットは、昨年度開催致しました「地球温暖化の感染症にかかる影響に関する懇談会」のメンバーの全面的な協力を得て作成されたものです。パンフレットの内容については、後ほど資料をお配りするときに概要も入れておりますので是非見ていただきたいと思います。
  温暖化の進展に伴い、日本脳炎やデング熱を媒介する蚊などの、感染症を媒介する生物の分布が北方に拡大するとともに、個体数も増加する可能性があります。また、コレラのように、汚染された水が原因となる水媒介性感染症は、特に上下水道の設備が不十分な途上国を中心として、温暖化が進むと水温が上がり、汚染の原因となる菌が増加し、悪影響が大きくなることが懸念されています。日本においては、居住空間や生活様式、公衆衛生状態がよいことなどから、今、温暖化によって直ちに大規模な流行を起こすとか、感染するというものではないと思いますが、温暖化がもたらす媒介生物の分布域が拡大することにより、感染リスクが高まることが考えられます。こうした高まるリスクに備えて、社会全体として注意を払うとともに、今後とも一層の調査研究を進めていく必要があります。
  詳しいお問い合わせは、地球環境局総務課の研究調査室が担当ですので、お問い合わせいただきたいと思います。
  もう一点は、これもこの後お配り致しますが、「地球温暖化の影響 資料集」を作りました。特に我が国へ及ぼす様々な影響について、国民の皆様に理解を深めていただくことができるよう、様々な文献を参考にわかりやすく編集したものですので、是非ご参考にしていただきたいと思います。特に、我が国の農業、漁業、海面上昇や健康への影響など、身近なものとしてどういう影響があり得るのかということを、図表を主体としてシンプルにとりまとめたものです。
  私からは以上です。


2.質疑応答

質問
NOx・PM法の改正案ですが、流入車対策の部分で、荷主などに対する義務が努力義務ということで、排ガスの削減に向けて実効性を確保できるとお考えでしょうか。

→今回のNOx・PM法は、大きな柱として局地汚染対策と流入車対策があり、関係者との議論の末でまとめていったものです。ご質問の流入車対策については、まず自動車を使用する運送業者等を中心としたものの他、荷主についても今回、義務を課そうと、努力義務ではございますが、窒素酸化物等の排出の抑制に係る努力・配慮をお願いしたいということです。また、ステッカーなどを活用し、車種規制適合の確認を行うといったことも含めての、いわば流入車対策のパッケージとして出しておりますので、私どもとしては、前進であるし、かつ効果も大いにあり、NOx・PM対策として大きく改善を図ることが期待されるものだと思っております。


質問
今、東京の大気汚染公害訴訟の和解協議中ですけれども、その原告の皆さんが、大気汚染対策を強化してほしいと言っておりますが、そういう要望をいささかなりとも採り入れた部分はあるのでしょうか。

→私どもとしては、大気汚染対策、これまでも新長期規制をはじめ、いろいろ進めてきたと考えておりますが、今回のNOx・PM法の改正は、今のご質問にお答えしたように、局地汚染対策と流入車対策のどちらも揃え、かなりの前進を図れるものだと思っております。大気汚染訴訟の件については、私どもも誠意を持って対応したいと思うし、原告の方々と直接話し合いもしています。今回の法案がその中でどう位置付けられるかというのは、まさに協議自体が今やっていますので、原告の方々のいろいろな思いや考え方もあるでしょうし、今はコメントを差し控えたいと思います。


質問
水俣病の関係で、明日、久しぶりに与党のPTが開かれますけれども、そのPTでの議論も含めて、今後の見通しや、一斉調査のスケジュールなどはどのようにお考えですか。

→これは与党のプロジェクトチームですから、環境省として今後の見通しを申し上げる立場ではないと思いますが、私どもとしても、できるだけ早くこの問題を進めていきたいと思っております。4月から調査に入っていくわけですから、明日はそういうことも含めて議論されると思いますので、与党のPTと連携しながら、環境省としてもしっかり進めてまいりたいと思っております。できるだけ早くということです。


質問
昨日、新潟水俣病の審査会が始まったと思うのですけれども、これは国の認定基準で考えているのでしょうか。

→昨日、新潟県、新潟市合同で審査会が開催されました。私どもとしては、まずご質問に答える前に、認定審査会の開催への新潟県、新潟市、それから委員の先生方のご尽力に敬意を表したいと思います。また私どもとしても、今申し上げたことと関係しますが、与党PTと連携しながら、そして関係地方団体とも協力し合いながら、水俣病対策の一層の推進に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  それから、今のご質問については、審査会自体は従来の認定基準に基づき審査が行われるものと私どもは認識しております。


質問
従来の認定基準で行われているということですね。

→行われるものと認識しています。


質問
その関係で、新潟県知事が最高裁判決で示された審査基準も検討をしなければならないというようなご発言をされたとお聞きしたんですが、それに関してはどう思われますか。

→新潟県知事は、まずは公健法の認定申請については、認定基準に基づいて審査が行われると、それから認定基準に達しなかった者についても、何らかの救済がなされるべきだというお考えであると新潟県から聞いてます。認定基準を満たさないものの、救済を必要とする方々への対応を、まさに今、与党PTにおいて検討が進められているところですから、私どもも、新潟県を含めて、地方公共団体と協力しながら取り組んでまいりたいということです。


質問
それは、知事が最高裁の基準を県の基準に上げるというものではないという捉え方でよろしいでしょうか。

→知事は、自分の希望みたいな言い方でそれに近い表現もされているようですが、知事の希望として述べられているものについては、コメントを差し控えたいと思います。いずれにせよ、知事がいろいろお答えになっている基本は、新潟県から聞いているところでは、今申し上げたように、認定基準に達しなかったものについても、何らかの救済がなされるべきだというお考えから申されているのだと、我々は理解をしております。


質問
一部報道では二人が認められそうという話らしいのですが、それに関して、何か思われることがありますか。

→認定審査会の対象は、今回は3名と聞いておりますが、その詳細については、私は特に申し上げる立場でもないので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますし、承知しておりません。


質問
新潟県知事の希望だとは思うのですが、明確に救われない人たちを最高裁基準で救っていきたいと。そして、新潟県独自でも、何か救える方法がないかというのを模索したいというところまで踏み込んでおっしゃっているんですね。それを考えると、今、環境省及びPTがやろうとしている考えは、ちょっとずれが出てくることになると思うのですが、その辺をどのようにお受け取りになられていますか。

→結局、認定基準で救われない方々、しかしやっぱり手を差し伸べるべき方々をどうやって救うかというのが最大のポイントだと思いますね。


質問
新潟県知事の発言のポイントは、最高裁基準を使うかというところだと思います。PTが考えているのは、現行の基準で救えない人をどう救うかという大きな広がりがありますが、そう考えると、PT及び環境省が考えようとしていることと、新潟県が考えようとしていることは、微妙に違うと思うのですが。

→私は今申し上げたように、まず新潟県知事の記者会見では、いろいろな質問がありましたので、幾つかお答えになって、私は議事録を拝見しただけですけれども、そこから見てもやはり知事のお考えは、今回の認定審査会は、まず認定基準で審査をするけれど、認定基準で救えない方々についてもやはり救うべきだから、これをどう考えるかということに近いと思います。ただ、もちろん、県独自にとか、あるいは希望として云々などいろいろと言っておられますが、それについては国としてコメントする立場にないと考えております。


質問
昨日の築地市場の豊洲移転の関係で、市場の関係者がこちらに陳情に来て、豊洲の新しい用地の土壌汚染対策を改めてしてほしいと言っています。今月、一応土壌の処理が終わるということですけれども、もっと不安を取り除いてほしいということらしいのですが、環境省としては、何か新たな対策を特に用意するということは今のところあるのでしょうか。

→事実関係から申し上げると、昨日ですが、東京都築地市場の「市場を考える会」の方々から、環境大臣宛の請願書の提出があり、請願対応窓口である政策評価広報課長が受け取りました。その内容は、豊洲の新しい予定地が、土壌汚染地であるので、生鮮食料品を取り扱う市場を作るべきではないというご主張です。この市場で取り扱うのは、まさに生鮮食料品そのものでございますし、その安全性の確保については、豊洲新市場の事業実施主体であり、かつその条例に基づく環境保全の責任者である東京都が、土壌汚染対策はもちろんですけれども、施設の構造管理も含めて、万全を期し、責任を持って対策を講じていくべきものであると認識しています。
  環境省といたしましても、今後とも必要に応じて、東京都に対して指導、あるいは助言に努めてまいりたいと思っております。


(了)

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