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大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年2月15日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、一般案件が1件、政令が4件でした。特に環境省関係のものはありません。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
昨日、東京大気汚染訴訟で国と原告との初の協議がありましたが、国としてはどれくらい強い意志で和解をまとめようとお考えですか。

→事実関係から申し上げますと、2月14日、昨日ですが、午後1時から東京大気汚染公害訴訟の原告の方々と国の担当者が会い、原告の方々から具体的な要望等についてお話を伺いました。そのときに国としては、謝罪や一時金の支払い等を前提とすることはできませんが、今後の解決点を探るべく国としてもできる公害防止対策の検討を進めるために、原告側の要望等を伺いたいということを説明しました。そして、もちろんこれからもこういう話し合いを続けていきたいと思っておりまして、そういう意味では途中段階ですので、具体的なやりとりまでは明らかにできないことはご理解願いたいと思います。やはり国としては、大臣からお話しされていますように、まず原告側の方々のおっしゃっていることをよく聞いて、そしてそれらに対して誠意を持って対応したいと思っておりますから、どれだけ強くというご質問ですが、私どもとしては、真摯に、誠実に対応していきたいと考えております。


質問
場合によってはまとまらないで、判決になるという可能性もあるのでしょうか。

→我々としては、よくご要望を聞いて、できる範囲のことをきちっと提示していきながら、取りまとめる方向に向かって努力していきたいと考えております。


質問
大気汚染訴訟の関係で、先程、原告との協議の中で謝罪や一時金を前提としたような話し合いはできないとおっしゃったということですが、東京都が提案した医療費の助成制度に対する資金負担に関しても態度は変わっていないのでしょうか。今後変わる可能性はあるのでしょうか。

→繰り返しになりますが、私どもとしては、因果関係や、国の法律上の責任といった問題を前提としての議論に対する対応は、今までと全く変わっておりません。ただ、国としてできることとして、自動車排気ガス対策を一層進めていくということや、あるいは金曜日に大臣がお話しされたような、健康管理等でお役に立てることができれば、拡充できるのかどうか、これから原告と色々お話しをしていく中でそういうご要望があるかどうかということも、なるべく幅広く検討していきたいとは思っております。


質問
それと、明日が京都議定書の発効からちょうど2年になりますけれども、削減義務を負っている国の中で、日本は今8.1%と逆に増えているような状況ですけれども、国際社会の中で日本はどのような立場にあるというふうにお考えですか。

→おっしゃるように足元の数字がプラス8.1というような数字でございますから、何としてもこのギャップを埋めていかなければならないし、2008年から2012年に向けての約束期間はもちろんのこと、その後のポスト京都に繋げていくためにも、今年、きちっとした見直しをしっかりやっていかなければならないと思っております。それは内外に向けて、おっしゃられたようにアメリカ、あるいは中国、インド等にもそれぞれ働きかけも進めながら、温暖化対策を今まさに待ったなしの課題として対応していくことです。来年のサミットは日本で行われ、その中で気候変動というのは1つの大事なテーマとして位置付けられていると思いますので、日本としてリーダーシップを発揮しつつ、きちっとした役割を担っていかなければならないと思います。
 また、ちょっと敷衍して申し上げますと、先週私は、UNEP、国連環境計画の会議に出てまいりました。今回のテーマの1つはUNEP自体の組織改革、UNEPをもっと専門機関化して、例えばWTOのようなものにしてもっと強化する、UNEO、国連環境機関というのでしょうか、それについてどう考えるかということについて、さまざまな議論がなされました。その議論の大きな流れの中に、気候変動枠組条約の事務局長も来ておりましたけれども、やはり温暖化対策が、世界のどの国にとっても極めて大事な課題だという、そういう雰囲気といいますか、それは端々に感じました。
 もう1つ、これは化学物質管理の問題で、水銀の問題だったのですが、私どもはやはり水俣病という、貴重な経験といいますか、今の問題でもありますが、それを経験している国ですから、そういう国際的な枠組みに向けて、ぜひ前向きに貢献したいと考えて発言をしてまいりました。結局、専門家グループを作って、2年がかりになりますが、次の管理理事会に向けて、途中の中間報告も含めて、きちっとした議論をしていこうということになりましたので、それはそれで一歩前進だと思っております。


質問
UNEPの水銀の話ですが、次官もご出席になって、前向きにというご発言をされたということでしたが、ご発言のもう少し詳しい内容と、それと法的枠組み、いわゆる条約作りに関しては米国が非常に反対したと聞いているのですが、アメリカが反対した理由と、他に反対した国々というのはどういった国があったかということをお聞きしたいのですが。

→賛成した国々は、条約を提案した国々はもちろん、ドイツをはじめとしたEU諸国でした。それからアフリカ等を含めて開発途上国の一部もおおむね賛成でした。反対していたグループは、もっといろいろな意味でのメリット、デメリットを分析して考えなければいけない、考え方は大事だが、法律的に縛ってしまうのはどうかというのがアメリカの立場で、むしろボランタリーなベースでそういうことは進めるべきじゃないかということなんですね。アメリカ、それからロシア、中国も、ニュアンスは分かれますが、そういう感じではないかと思いました。
 私どもは、こういう水銀問題の重要性というものについて十分まず再認識してもらいたいし、今までの取組は不十分ではないかというのが第一点です。第二点として、不十分だから、何かきちっとした形で国際的枠組みが必要なのではないかということをはっきり申し上げました。ただ、国際的枠組みといってもいろいろ問題もあります。例えば、輸出はすべて禁止するといっても、やはり色々な用途によっては代替手段がなく水銀が必要なものもあるから、それはよく吟味する必要があるでしょうと。それから、国際的枠組みもできるだけ多くの国が参加することが望ましいというようなことを主張しました。


質問
評価としては一歩前進だったと思うが、とおっしゃいましたが、日本としては、国際的な枠組みが必要だという認識、これはイコールいわゆる法的拘束力を持つ条約というものが必要だという認識と捉えてよろしいでしょうか。その上で、今回そこまでは行かずとも、2年かけて議論しようということになったということは一歩前進という意味で評価できる、という意味合いでよろしいでしょうか。

→そうですね。私どもとしては、きちっと拘束力を持った国際的枠組みが作られるというのが一番望ましいとは思っております。ただ、これは例えばカナダがそうなのですが、まずは両方の議論を含めながら、法的拘束力を持ったものにするのか、あるいは自主的なものにするのか、両方のメリット・デメリットがあるだろうと、それをきちっと検討しようと。言い合っているだけではなく、まず専門家チームを作らなければいけないと、そういうような議論で展開していきました。そういう意味では決して十分な成果ではないとは思いますが、一歩前進だと考えます。


質問
鳥インフルエンザについて、昨日、農水省のチームが、直接的ではないにしろ、渡り鳥が媒介したという可能性を指摘していると思うのですが、今後、環境省としてはどういった方針なのでしょうか。

→整理して申し上げますと、まず宮崎県清武町の野鳥のウィルス保有状況調査の結果が判明しまして、すべての検体から高病原性鳥インフルエンザウィルスは検出されませんでした。その後の宮崎県日向市、岡山県高梁市、宮崎県新富町の3つですが、この発生農場の周辺においても、捕獲した野鳥の検体とか、採取したカモ類のフン等について、現在ウィルス検査を進めていただいております。少し時間はかかりますが、この結果もやがて出てくると思います。
 それから今ご質問の、昨日午後に開催された農水省の感染経路究明チームの会議において、現時点で判明している結果等について環境省からご報告し、それも踏まえた議論がなされたところで、今おっしゃられたような野鳥の感染、あるいは野鳥及び野生動物、例えばネズミやハエ等を経由して、というような議論がされたと承知しております。もちろん鶏舎自体の防疫対策等が進められていく必要がありますが、私どもとしてはこれからも野鳥の調査・モニタリングを中心として、よく農水省とも連携をしながら、感染経路の究明に対して情報提供を行って参りたいと思います。
 なお、昨日の会議においては、2段階に分けて議論がされました。一つは、我が国へどうやってウィルスが持ち込まれたか、もう一つは、発生した養鶏場の中にどうやってウィルスが持ち込まれたかであり、その時に、我が国へのウィルスの持ち込みに渡り鳥が関与している可能性が高いということが指摘されたと承知しておりますので、私どもも含めて、韓国等の発生国における情報や、あるいは今実施している野鳥の調査結果などをこれからも収集・整理して、総合的に判断していくこととなります。


(了)

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