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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成19年11月30日(金))


1.発言要旨

 おはようございます。
11月30日の閣議案件ですが、一般案件が4件、国会提出案件が21件、公布が5件、政令が1件です。環境省請議ですが、主請議が1件、民主党の高井美穂衆議院議員の提出書類に添える封筒に関する質問に対する答弁書についてです。共同請議はありません。
 私からの発言ですが、一つは、明日、12月1日から改正食品リサイクル法が施行されますので、私は一昨日は山崎製パン武蔵野工場を、昨日は東京湾臨海部の飼料化施設やメタン化施設等を視察してまいりました。今回の視察を通じて国民の皆様にアピールしたいことは、まだ食べられる食品が捨てられているという事実について、いろいろと我々は考えさせられるところがあるのではないかということです。具体的には、食品の製造業者は食品の生産工程でロスを減らす発生抑制の取組が必要だと感じました。また、コンビニエンスストア等の小売業者と消費者は、食品が売れ残ったり廃棄されたりということについてはそれぞれのところでお考えもあるでしょうが、売り方・買い方にも多少工夫が必要だと思いますので、是非そういうことを御留意いただきたいと感じました。また、その上でやむを得ず廃棄される食品については、家畜のエサとする飼料化を中心にリサイクルを進めていく必要があると考えております。またメタン化施設については、一つの先進的な取組として、私は非常に感ずるところがあり、メタンを作って電力に変えていくという方法については大変関心を持ちました。
 次の話ですが、12月は「大気汚染防止推進月間」及び「地球温暖化防止推進月間」です。「大気汚染防止推進月間」は、国民の皆様には大気環境に対する意識の向上ということで、今年はもう20回目を迎えます。「地球温暖化防止推進月間」については、COP3を契機に、この時期に国民、事業者、行政が一体となって地球温暖化防止に向けて国民運動の展開を図るものです。環境省では、地球温暖化防止活動環境大臣賞の授賞式等を行います。地方公共団体や各地の地球温暖化防止活動推進センターにより、各地でキャンペーン活動を展開します。
 また、本日の夕方に日本を発ちまして、12月1日に北京で行われる日中ハイレベル経済対話に出席します。詳しくはお手元の資料をご参照いただきたいと思います。本対話は、日中の関係閣僚が一堂に会しまして、経済分野についての議論をするものですが、今回が初開催であり、気候変動を含む環境・エネルギーについても議題として取り上げられるということで、私も参加させていただきます。私は会議の前に周生賢国家環境保護総局長と会談し、環境分野の諸課題について意見交換を行います。それからコベネフィット協力について具体的な取り決めを行い、協力の体制、進め方、期間などを定める予定で、具体的なプロジェクトについては今後検討させていただきます。なお、周局長は4日から富山で行われる日中韓三カ国環境大臣会合に出席できなくなったことから、この機会を活かして、黄砂や酸性雨などの課題についてもしっかりと議論してまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)来週、12月3日月曜日から、インドネシアでCOP会議が開かれます。ポスト京都に向けたロードマップの作成がメインテーマになると思われますが、日本として会議に臨む姿勢をお聞かせください。

(答)再三申し上げていますが、バリでのCOP13の最も重要なことは、すべての国が入る新たな交渉の場を作ることであり、そのための最初の会議と考えております。2009年のCOP15までの間にしっかりとした工程表を作る、それをバリ・ロードマップと言っていますが、これがきちんと作れるということについて、日本としても非常に簡単ではないと思っておりますので、このことについてしっかりやってまいりたいと思っております。  加えて言えば、主要排出国であるアメリカ・中国・インド、新興国であるブラジルや南アフリカ連邦、そういった国が参加できるような「共通だが差違がある責任」ということを踏まえて、我々は今、いわゆるAWGでの議論と、新たな交渉の場の中でのすべての国が参加する議論のツートラック・アプローチを提案しています。このあたりが最終的な落としどころなのかなと思っています。前回のボゴールでの準備会合で、すべての国が参加する交渉の場ということだけ申し上げたときには、それに対して途上国等のさまざまな異論もありましたので、ツートラック・アプローチをしっかりと具体的にしたいと考えています。

(問)食品リサイクル法の改正なのですが、明日施行されるに当たりまして、改正法で期待される効果を教えてください。

(答)先ほども申し上げましたが、食品すべてについて、まずリデュース、いかに無駄を出さないかということが、生産のレベル、消費のレベル、あらゆるところで必要だと思っています。改正食品リサイクル法が施行されることによって、皆さんの関心が少しでもそういうことに対して向いていただくということがあるだろうということと、加えて、いわゆるリサイクルループをしっかりと構築し、最終的に廃棄されるものがしっかりと活用されることになるだろうと思っております。

(問)環境税ですが、党税調で来年度見送りという方針が決まったようですが、これについてお聞きかせください。

(答)党の中での議論はいろいろとあったということは存じておりますが、まだ見送りが決まったという結論ではないと思います。4部会長で議論するということのようですから、私としては引き続きお願いをし続けたいと考えています。

(問)COPの話ですが、オーストラリアが新しい政権になり、新首相も京都議定書への批准を表明される予定だと伺っているのですが、先進国の中で唯一アメリカだけが離脱状態になるということで、大臣は就任直後の会見でも、京都議定書について思い入れがおありになって、アメリカの各議員にも批准を訴えるメールを送られていらっしゃったと伺いましたが、今回、実際にCOPの場で、アメリカ政府代表団に対して京都議定書の批准の呼びかけをどのような形でされるのでしょうか。

(答)具体的な日程はありませんが、多少遅ればせながらもアメリカが京都議定書に批准してくれるような事態になれば、次の枠組みに対しても大変なインパクトがありますので、もしそういう機会があれば、批准に向けての努力をしてくださいという働きかけはしたいと思います。

(問)チッソの分社化について、自民党の中で特措法を作る方向で進んでいるという一部報道がありましたが、大臣は先日、それには反対だとおっしゃっていましたが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

(答)この前は、分社化されて責任の所在がはっきりしなくなるということが懸念されるという話を申し上げました。今回どういう議論がされているのか、私も詳しく聞いていませんから、今の段階では何も申し上げられませんが、患者さんあるいは被害を受けられた方々があらゆる意味で救済されるということが最優先ですから、そういう中でどういう仕組みがいいのかということについていろいろな議論がされるのかなとは思っています。ただ少なくとも私自身は、先日申し上げたとおり、分社化してどこが交渉の相手なのかということが不明確になるような形での、責任が拡散するようなことについては慎重であるべしと、今日は基本的なことだけ申し上げておきます。
 内容については全く聞いていないし、知らないから、今は何ともコメントのしようがありません。

(問)次期枠組みの議論の中で、2009年に何らかの枠組みを作りたいという目標の中で、わずか2年くらいしかないということで、京都議定書のスキームをある程度活かすような形で、結果的に京都という名前が残ることになるかも知れませんが、いわゆる京都議定書の改定みたいなものにしていくというような意見が、他の国からもあるようにも聞いているのですが、そこら辺について、大臣の私見でも結構なのですが、京都議定書の次期枠組みにおける位置付けは、どういうふうにあれかしと思っているのでしょうか。

(答)COP3で日本は議長国を務めて、京都議定書がまとまったわけですから、私もそれなりの思い入れはあります。この枠組みについては、世界がこれを活かして次のステップという意味では、我々は「クールアース50」で京都議定書を超えるすべての国が参加する枠組みと申し上げているので、本当に超えてくれるのであれば、そこで発展的に解消されるということについては一つの考えだろうと思います。
 それからもう一つは、IPCCの第4次統合報告書の中でも、京都議定書については、京都メカニズム等も含めて評価をいただいていますから、これが基本路線になって次の枠組みの議論がされるべきだと考えています。

(問)中国に行かれるということで、中国がCOPの議論に入る前の段階で、自分たちに対して削減義務のように何らかの求められるものがあるのならば、COPの議論に入ることにも反対する姿勢もあるようにも聞いているのですが、実際に中国に行かれて、COPの場でどういう働きかけをされるのでしょうか。

(答)今のところの感触としては、中国も気候変動枠組条約下でそれなりの役割を果たしたいということについては異論はないと、私なりには感じています。ただ、これから削減義務を負うとか、今までのEU、日本並みのいろいろな義務を負うことについて非常に警戒をしているというのは、特に中国だけでなくインドもそういうスタンスですが、そこのところが国際交渉で最も難しいところだけれども、今まさにアメリカと並ぶCO2排出国なわけですから、やはり世界の中での役割を果たすという意味においては中国も応分の役割を果たすべきだと思っています。けれども、これは国際交渉ですから、そこはいろいろと硬軟併せて、あるいは先ほどの話で言うとツートラック・アプローチのようなものは、ある意味で二つの価値観をどういうふうに連携させるかという話ですから、できるだけ中国にも協力してもらえるように、さまざまなレベルでいろいろと話をしたいと思っております。

(問)役所の中で、COPの最終決着、ロードマップ採択に向けては極めて厳しい見立ての声も聞いているのですが、大臣としては、相当紛糾するのではないかとか、どのように見てらっしゃいますでしょうか。

(答)私は三つの考え方が錯綜すると思っています。一つはEUを中心とした先進国の考えと、排出量の多い新興国の考えと、それから最貧国あるいは島嶼国といった適応の支援を期待しているようなところ、それぞれの思惑が錯綜する大変厳しい交渉になると思っていまして、単純にバリ・ロードマップというのがきちんとできあがるかどうかというのはまだまだ不透明だというように思っています。
 国際交渉の中では、大体シナリオができていてシャンシャンというわけにはいかない話なので、ここで予断を持って、バリ・ロードマップはできますなんていうことは言えるようなものじゃないと思っていますし、そういう気持ちで臨みたいと思っています。ただ最大限の努力をいたします。

(以上)

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