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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成19年8月27日 一般紙)


1.発言要旨

 はじめまして。この度環境大臣を拝命しました衆議院議員 鴨下一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問) 安倍総理が選挙後、4本柱の中に環境立国を位置付けておられましたが、それを担う抱負をお願いいたします。

(答)御質問にありましたように、安倍総理から環境大臣として、環境立国というようなことも含めて環境行政の諸問題に取り組むようにというお話でした。日本が世界に貢献できる、あるいは日本の国際社会の中でのある種のステイタスを実現していく上で環境という分野は極めて重要だと私は思っております。加えて、京都議定書等につきましても、日本が提案国であったということも含めて、これからの世界の気候変動、あるいは温暖化に対して日本がいろいろな意味で主導的な立場、イニシアティブをとっていくことと同時に、環境技術、つまりCO2削減のための技術、あるいは省エネの技術などについても、一つの産業、特に環境産業というような意味での日本のリーディングインダストリーの一つに位置付けられるようなことも可能性として探るべきだと思っております。そういう意味で国際社会に対するイニシアティブ、あるいは日本の国のリーディングインダストリーとしての省エネ技術というようなことが、日本の立国ということに繋がるのだろうと思っております。

(問) 特に京都議定書の削減目標の実現については、非常に厳しい数字が出ております。見直しの具体的な対策を早急に詰めなくてはなりませんが、これについてはいかがでしょうか。

(答)今までもそれぞれの分野で努力はしてきたのでしょうが、これから第一約束期間に入っていくわけで、その中でより一層努力をしないといけないということは、各分野でもそうなんだと思います。たまたま私は京都議定書の批准の時の産業界、外務省、環境省、それぞれの立場を調整する特命委員会の事務局長を仰せつかっていました。その時につくづく思ったのが、やはり経済界、産業界においては、環境はある意味で成長のブレーキになる可能性がある一方、我々は地球温暖化を含めた気候変動については抑制していかなくてはいけない、こういう中でのフリクションというものが非常にあると感じました。私は大臣を仰せつかったわけですから、より一層、産業界や運輸部門、そして安倍総理から御指示のあった国民運動を含めた環境に対する意識、特にライフスタイルの変容に繋がるようなキャンペーンなどを通じた国民への働きかけなど、どの分野とも少しずつ痛みを分かち合って、次世代のためにより良い環境を残していこうという努力をより一層しなくてはいけないという節目にあるのだろうと思っています。

(問) 今のお話と官邸での会見でもありましたが、経済界、産業界にそれなりの負担を求めるという趣旨だと思ったのですが、例えば環境税や国内の排出規制量などについていろいろ議論されていますが、大臣のお考えをお聞かせください。

(答) ストレートな環境税というものをどのような形で仕組むかということは、これからまだ議論しないといけないことがあるでしょうが、少なくともこの秋の税制改革に向けて、税制のグリーン化のようなものを様々な分野で少しずつ前に進めていくということは現実的にできることもあると思います。何が現実かということも含めて、この秋までに結論を出してやっていきたいと思います。ただ、大上段に構えて環境税をというような話を、いつ、どこでやれるのかということについては、少し勉強させてください。

(問)国内の排出量取引についてはいかがでしょうか。

(答)その決め方といいますか、それぞれ企業の排出権の在り方というようなことを決める時にかなり難航するのではないかと思います。まずは排出抑制をあまねく努力をするということが第一だと思っており、どうしても達成できないところについては、そうしたこともメカニズムとして考えていくことは、苦肉の策といいますか、最後のところでそうしたこともあり得るかと思います。とにかくまずは、それぞれの立場でCO2排出についてどれだけ抑制できるかという最大限の努力をもう一度改めて考えてみようというところから始めたいと思っています。

(問)洞爺湖サミットに向けて、2050年に半減という目標を打ち出しましたが、ポスト京都のあるべき枠組みについてはどのようにお考えでしょうか 。

(答)京都議定書に参加していない国がたくさんありますが、特にアメリカ、インドのような国が形としてこれから参加してくれるような枠組みをどう作るかという話で、私は安倍総理のイニシアティブで、今回のサミットにおいて、2050年に半減という、緩やかですが、そうした枠組みについて合意ができたということは極めて意義があったと思いますし、それを日本が提案したということについては非常に評価をしています。ただ、現実的なこともありますし、加えて途上国の方々にもこの問題についてはコミットしてもらわなければいけないのですが、先進国の言い分と途上国の立場はかなり差があります。
 私は13年前にCSDという、リオのサミットを受けてすぐの国連での国際会議に出席した時に各国の環境大臣と話をしましたが、その時から13年間経ってもメンタリティは変わっていないと思います。途上国と先進国の立場を乗り越えた枠組みをどう作るかという話は、なかなか言うは易く現実的には大変なところがあると思います。そういう意味で安倍総理が提唱したことについては緩やかだけれども囲い込んでいくという努力を、日本が洞爺湖サミットに向けて、より外向的にも努力しなければいけないと思います。

(問)今日は何時頃に連絡があったのでしょうか。

(答)14時30分頃でしょうか。正式に官邸に来てくださいと言われたのは15時30分ぐらいです。

(問)これは秘書に連絡があったのでしょうか。

(答)私の携帯に直接です 。

(問)安倍総理からでしょうか。

(答)どなたからとは言えませんが。あまりいろいろなところに行かないように、この周辺にいてくださいというようなお話でした。

(問)それが14時30分の連絡ということでしょうか。

(答)そうです。

(問)15時30分には総理から連絡があったということでしょうか。

(答)いえ、総理からではなく、それは事務的な話です。

(問)事務所経費のことですが、自民党第13選挙支部の事務所経費1,582万円を計上されているということなのですが、これについて御説明いただけますか。

(答)ほとんどが家賃や合理的な事務所経費と考えています。全て明らかにできます。

(問)大臣御本人は医師ということですが、厚生労働大臣の方が良かったと思われますか。

(答) 環境というのは最終的には人の健康に直接関わる話ですから、今日もいろいろとレクを受ける中で、例えば水俣病の問題、あるいは公害ぜんそくの問題もありますし、医学的知識のある者が携わる分野としてはやり甲斐があると思っています。

(問) 水俣病についてですが、与党PTが新たな救済策について、11年前に政治決着したものの第2回目というような感じで検討作業が進んでいるのですが、大臣としてどのようなお考えをお持ちなのか、また今後どのように環境省としても取り組んでいくのかお聞かせください。

(答) 平成7年の政治決着の直前に、ほんの短期間ですが、環境省にいたことがありました。多少それに関わった記憶はあるのですが、ある意味で広義の解釈をしようというようなことが判例等含めて出てきましたので、これについては、今日大臣になったばっかりですので、与党PTの動きもいろいろと直接、園田先生などにも聞いて、対応すべきところ、どこに核心があるのかということを少し掴ませていただきたいと思います。少し時間をいただければより詳しいお話をさせていただきます。

(問)水俣病については、50年間解決をみていないという現実をどのようにお考えでしょうか。

(答) ある意味、公害の象徴的なことですから、被害者の方々が納得をするような解決を我々は努力するべきですし、それについて国民の皆さんも納得してくださるようなやり方をどうするのかということについて、私なりには問題意識はありますが、PTの流れなどを詳しくわかっていませんので、1~2週間ほどの時間をいただいて少し検討させてください。

(問)今年に入って光化学スモッグの観測が目立っていますが、これに対してどのように対応していくお考えでしょうか。

(答) 原因がどこにあるのかについては、かつては日本の排ガスが一番起因していたということなのでしょうが、この度出てきたのが、国内の問題なのか、それとも他国からのオキシダント物質の流入なのかということについては、情緒的なことで向こうから流れてきたとおっしゃる人もいますが、本当にそうなのかどうか、まだはっきりしない部分があるかと思いますが、少なくともそうしたことも含めて国際的な問題としてでも位置付けないといけないこともあるのかなと今の段階では思っています。北京などに行ってみるとよくわかりますが、すごく曇っていて、これが黄砂とともに飛んでくると困るなという印象はありますけれど。

(問) 京都議定書の時に、外務省、経済産業省と詰めたということですが、これまで4大臣閣僚会合を官邸で行って、詰めてきたのですが、これは今後も開かれるのかどうかということと、経済産業省が甘利大臣で、外務省が町村大臣と、かなりベテランの議員の方とやり合う心掛けをお伺いします。

(答) 京都議定書の時も、甘利さんと激しくやり合いました。私は環境省側についていたわけではなく、中間的に両方の利害を調整する係でしたが、申し訳ないですが、大臣が先輩でもそうしたことは一切関係ありません。やはり私の背負っている立場できちんと言うべきことは言います。

(問)安倍改造内閣を何内閣と表しますか。

(答) マクロで言えば、歳入歳出一体改革推進であり、成長戦略推進という意味では、改革持続推進内閣です。環境については、今回のサミットで「美しい星50」を提案したり、環境立国という話は極めて重要で、日本の環境カードというのは国際社会の中で切れる、かなり有力なカードだと思っていますので、そこに安倍総理が着目なさったということは重要なことだと思いますし、それを受けて私も努力をしたいと思っています。

(問) 洞爺湖サミットのホスト国としては環境大臣は重要な役割を担うと思いますが、サミットに向けてリーダーシップをどう発揮していこうと考えていらっしゃいますか。

(答) 国内的にも産業界や国民に向けて、いかに洞爺湖サミットにおいて環境問題が重要かということをキャンペーンとして訴えていくということも一つですし、環境のカードは、日本が切れるカードとしては極めて有力な、しかも重要なカードです。国内にも国外にも、環境ということを日本がやっていることについて、もっともっと先頭に立ってわかっていただく努力をしなければいけないと思っています。これから1年かけて、任期がどこまで与えられるかわかりませんが、洞爺湖サミットをめがけてしっかりとやっていきます。東アジア諸国も巻き込むし、インドやロシアにも働きかけますし、場合によると、これから大統領選挙が行われて、アメリカのスタンスも変わるかもしれませんから、そういう中でのアメリカに対しても努力をしたいと思っています。
 私は、京都議定書を日本が批准した時に、産業界との調整などで日本も苦しみました。それで、こういう経緯で苦しんだけれども批准したという話を、アメリカの上下院議員全員にメールで送ったことがありました。返事はありませんでしたが、やはり政府間のいろいろな働きかけも必要ですし、議員間の働きかけも必要ですし、グラスルーツの働きかけも必要ですし、そのようにしてサミットに向けて問題意識が修練していくように、いろいろな仕掛けをしたいと思っています。

(問)政治資金については、最近、訂正や修正はされていらっしゃいますか。

(答) 8月にという話はありましたが、それはありません。そうした問題が起きないように努力はしてきております。100%大丈夫だということは申し上げられませんが、私なりには自信を持っています。

(問) 御挨拶の中で、産業界にそれなりの負担をとお話になりましたが、具体的にどのようなことをイメージされていて、どう説得されていくのかお考えをお聞かせください。

(答) CO2の排出削減について、これから産業界にもより努力をしていただかなければいけないということを、今までは遠慮がちに言っていましたが、もはやそうした時期ではなくなったので、多少フリクションがあっても申し上げるべきことは申し上げるし、実効が上がるようにどのようにしたら良いかということは産業界とも話し合いながらやりますが。最終的には産業界の論理だけでこの問題は解決できないと思っていますので、協力していただかないといけないということで、強く説得したいと思います。ただ、安倍総理の成長戦略とのバランスをとりつつです。あまり成長戦略に水を差すようなことにならない方策があると思っています。

(問)水俣病の認定基準は一部の被害者からは厳しすぎるという批判もありますが、これについてはどうお考えでしょうか。

(答) 判例もありますし、平成7年の政治決着もありますし、被害を受けた患者の方々の考えもありますし、それから既に与党PTの中でいろいろな議論があります。こうしたことを踏まえて最終的に少し勉強をさせてください。

(以上)

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