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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年8月3日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件2件、国会提出案件1件、公布・条約2件、政令4件、人事・配付資料1件。環境省、農林水産省ともに閣議案件はございません。
  閣議後の閣僚懇談会においても、特段ご報告するようなことはございませんでした。
  私の方から1点、皆さん方にご報告をしておきたいと思います。それは「ペットフードの安全確保に関する研究会の設置」に関することでございます。
  メラミンを含む中国産原料を使用したペットフードによる米国での犬や猫の死亡事件が発生したこと、また米国でリコール対象とされた当該ペットフードが我が国で輸入販売されていたことなどを踏まえまして、今般、農林水産省と環境省が共同で、有識者等からなる「ペットフードの安全確保に関する研究会」を立ち上げて、検討を進めることとしました。
  本研究会においては、ペットフードの安全確保について、法規制も含め、幅広く検討することとしており、詳細については、後ほど担当課より資料を配布いたします。
  今後の進め方としては、概略8月下旬に第1回立ち上げた後、9月、10月、11月と研究会、各方面からのヒアリングなどを続けて、論点の整理をして11月下旬には中間の取りまとめをして公表をすることとしたいと、このように考えております。
私からは以上です。


2.質疑応答

(問)赤城前大臣が事務所費等の問題で辞任され、急きょ登板ということになられましたが、赤城大臣の辞任に対する率直なご感想と、今後の農林水産大臣としての抱負をお聞かせください。

(答)事務所費の問題については、松岡元大臣をはじめ他の閣僚についても国会において指摘があり、質疑が行われてきたところでございます。そのことが原因であるかどうか分かりませんけれども、松岡元大臣は不幸な結果として亡くなられたわけであります。その後を受けて私は6日間ほど臨時代理をやっておりましたが、皆さんご承知のとおり正式に赤城さんが大臣として任命をされたと、その赤城さんについて、私も新聞で報道されたことなどしか実は知りませんけれども、いろいろな納得できるような説明がされていないなど、大変批判を受けたことでございました。それで選挙にもつれ込んで入っていたわけですけれども。
  私の今度の選挙は、地球を一回りしたぐらいの実感の応援を各地域をしてまわりましたけれども、やはり、いろいろな課題が取り上げられ、そして選挙での与党批判の種になったわけですが、そういう中の一つに「政治とカネ」と事務所費の処理をめぐって不信を拡大したというようなことがあったことは、実感しております。
  しかし、これは任命権者が判断をすることでありまして、そのことが判断の基礎であったかどうかということは、任命権者、総理から聞いておりませんけれども、少なくても事務所の事務処理について的確な処理が行われていなかったという事実については、ご本人もそれを明らかにしたようでございまして、その結果として批判を受けたことを深く受けとめて辞任をしたと承知をいたしております。

(問)今後の抱負もお願いします。

(答)私は、皆さんもご承知かと思いますが、昭和32年に農林省に入って58年の1月まで25年間、農林水産省で仕事をさせていただきました。うち2年間は国土庁に出向しておりましたので、農林水産省自身の行政に関わったのは23年間ということになります。
(農林水産省を)やめて郷里長野で衆議院に出て当選をして以来、落選した空白期間を含めて、23年間国政に関わっておりますが、この国政に関わっている間も常に農林水産業、農山漁村、そして食の安全・安心、さらに言えば地域の環境保全に果たしている農林水産業、農山漁村の役割といったようなことを、常に念頭に置いて自由民主党の中にあっても、あるいは国会におきましてもそれなりの役割を果たし、また自分自身もこのような課題に取り組んできたつもりでおります。
  そういうことを前段として申し上げた上で、皆様、ご承知とおり国内で言えば農業従事者が大幅に減少していく、高齢化が進んでいく、また一方世界経済、グローバル化が進んでいくということで農業の体質が弱まってきております。そういう意味で農業の体質強化を図るということは、待ったなしの課題でありますと同時に、国際関係でもWTO交渉が大詰めを迎えておりますし、日豪をはじめとするEPA交渉などに的確な対応が必要になってくる。解決しなければならない課題が山積みになっているというふうに認識をしております。
  ですから農林水産業、農山漁村の持つ総合的な力というものを最大限に発揮をして、これを国の活力につなげていかなければ行けないという思いを強く持っております。
  農業について言えば、品目横断的な経営安定対策の導入などを梃子(てこ)とした担い手の育成を通じて、産業としての農業の体質強化を図ると同時に、先ほども申し上げていますけれども、やはりこの資源としての地域資源、地域環境との関わり合いが深いわけでありますから、農地・農業用水などの地域資源を共同で管理する「農地・水・環境保全の向上対策」とか、「農山漁村の活性化プロジェクト」の推進などを通じて、農村地域を活性化するということが大事だと考えておりまして、その意味で産業政策と地域振興政策を車の両輪として一体的に推進すべきだと、このように考えております。
  実は、こういう問題の捉え方は、それこそ50年前に私が農林水産省に入った時から、こういう問題意識でおりまして、農業外の人たちからは「きっちり分離してやらないと、一緒にやっていくというのは無理ではないか」ということを、ずっと言われ続けたわけです。言われ続けましたのが、これは分離不可能なんですね。生活の場が生産の場であるという特徴を持っているわけで、そしてその生活を通じて地域の活性化の基になっております伝統とか文化とか景観とか、そういうようなものを維持していくというのは、やはりそこに住んでいる人たちでもありますから、だから生産者としての側面と地域居住者として地域を支えている面と、両面持っているというのは、これは切り離せない話ですので、これを機能によって政策を分けて、そして車の両輪として進めていくということが大事だというふうに思っておりますが、昨今の問題として言えば、コメの中国への輸出などに象徴されるように、やはり日本の優れた農産物の輸出というものをもっと強力に推進する。同時に、私は環境問題をずっと扱ってきておりますが、国産のバイオ燃料の促進というようなものを通じて新しい面にも目を向けた積極的な農政の展開が必要だというふうに考えております。

(問)今回の参議院選では、自民党が地方で大敗したと、その原因として、民主党の方が戸別所得補償を掲げて戦ったわけですけれども、今回の結果を受けて、品目横断的経営安定対策の要件の緩和、要件の見直しについてはどのようにお考えでしょうか。

(答)要件というご質問の要件というのが何かということがありますがね、だから4ヘクタールとか北海道10ヘクタールとか、集団的な生産組織20ヘクタールと、これは基本は変えることはないというふうに思います。
  やはり、それを基本にしながらも今でもいろいろな例外を設けております。その中山間地の例外であるとか、あるいは果樹とか野菜とかのそういう特例とか、いろいろやっていますが、そういう意味でこの誤解もあると思いますけれども。
  流れとしては大変な批判を受けていたということは、私も実感をいたしておりますが、選挙に入ると上手く説明している時間がないんですよね。そういう意味では、この説明が十分でなかったということもありますが、しかし、感覚的に「おかしいじゃないか」という批判を受けていることも事実ですから、これからそういう声もしっかり受けとめて、きめ細かな対応をしていくと。
  決して、いわゆる昔言われた「小農の切捨て」とでも言いますかね、小規模農業者を排除するということではないという趣旨で集団的生産組織の中に取り組むための、そういう意味での要件といいますか、取り組み方などについて見直しすべきことがあれば見直していくと。
  大筋はやはり、競争力のある担い手を育成していくんだというその基本は、これは変えるわけにはいかないと思っております。

(問)民主党が掲げた戸別所得補償制度自体については、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(答)かねて民主党が戸別の生産者の直接的な所得補償政策をするんだということを言っておりました。しかし、中身はですね、私も親しい関係者がいるんですが、関係者に聞いても、大変アバウトでしてね。実務的な詰めが、まだ私としては納得できる説明を受けたことはないんです。
  しかし、この責任者になりましたから、今までどういう説明をしてきているのかということも担当部局の方からも聞き、さらに聞くところによれば、この国会に法案を出すというふうに伝えられております。昨年出された法案ということを前提にすれば、かなり基本的な問題があって、これを我々政府与党として容認するようなことはできないというふうに考えております。
  しかし、法案が出されれば、この法案を中心にしっかりとした議論を必要とする分野だと私は思います。曖昧(あいまい)にしたまま先に送って、抽象的、観念的ないわば論争をするよりも、具体的に民主党がどういうような制度設計をしているのか、ということを明らかにしていただいて、財政負担の問題も含めてきちっと公の論争をすることは、望ましいことではないかというふうに思っております。

(問)昨日、安倍首相が予算の概算要求基準で、地方重視と言いましょうか、地域再生を重点分野に盛り込むように指示されましたけれども、先ほど大臣おっしゃっていたように農林水産省の分野は地域活性化ということも大事になってくると思うんですけれども、概算要求に向けての大臣のお考えをお聞かせください。

(答)総理からの指示というのは、まだ僕らは受けていないんですよ。たぶん財務大臣の方に概算要求基準、シーリング基準を作るでしょ。10日に閣議決定したいということで作業が進んでいるようですけれども、そのことで財務大臣の方にお話になったんではないか、あるいは骨太(の方針2007)の方に重点政策として概算要求、予算要求ということではないんですけれども、骨太の政策の中に4項目ほど入っておりますが、そういう意味合いからすれば、かねて(からの)重点の項目だと思うんですね。さらに付け加えて環境省の方のことで言えば、環境立国戦略というのも、その4項目の一つに入っているんですよね。
  これは限られた予算で、しかもプライマリー・バランスを11年には確保するという、大きな絶対的な枠組みの中での予算編成ですから難しいと思いますけれども、今お話しになったようなことを含めてメリハリを付けた予算編成をする必要があり、その基礎になる概算要求の時点からそこははっきりさせておかなければいけないと思っております。

(問)非常に選挙後、安倍総理への逆風が強い中で、改造とかあるいは(自民党)総裁選とか、あるいはその先の解散とか自民党再生のためにいろいろ報道でも取りざたされていますけれども、大臣がお考えになる自民党再生へのプロセスみたいなものが、今もしあればお伺いしたいんですけれども。

(答)これは党の方が10日ですか、自民党党改革本部を新たに立ち上げると。この参議院選挙の総括の総務委員会をまず開いて、それを党改革に反映していくということですから、これはもうこの選挙を通じて自由民主党の体質の劣化というようなことがかなりはっきりしてきていると私は思うんです。
  そういう意味では、選挙の総括というのをきちんとやらなければいけない。もう例外なしに全て拾い上げてきて何が問題であったのか、そういうことを自らに厳しく拾い上げた上で、それらを乗り越えていくためにはどのような党改革が必要なのか。これはもう国会議員だけではなくて地方の党組織の皆さん方、さらに組織に入っていないけれども自由民主党に期待をし支持をしてきた人たち、そういう人たちの声も吸い上げた上でやらないと、国会議員だけでこれを区切るということはいい結果が出ないように私は思います。
  各種の世論調査を見ると「自由民主党を支持してきたけれども、今度ばかりはそうはいかないよ」と言って、他党を支持したと言っている人の割合が非常に高いんですよね。だからそういう人たちが出ているということを、もう一度その人たちに自由民主党に対する不満、不信、そういうことをしっかりと説明をしながら、その人たちの気持ちを引きつけていけるような自民党にしないといけないと思います。
  だから今お話で、私は今政府の側ですから、党のそのような意向をしっかり受けて政府として従来の政策路線にもしも修正を要するようなことがあれば、修正も検討しなければいけないと思いますがね。

(問)事務所費問題に絡んで、1円以上の経常経費すべて領収書を添付する、それの対象がすべての政治団体という話で改正案をまた出したらどうかと出ていますが、それについての見解を聞かせてください。

(答)そうですね、閣僚という立場離れて、私も国会議員の滞空時間と言いますか、20年からに近くに及んでおります。そういう選ばれて国政に関わってきたというそういう立場でものを申し上げますと、1円という話がありますが、当然透明性を高めるためにやったらいいと思いますね、私は。これは、もちろん事務体制というのをもう一度見直して、きちっと整理をして整理をしてから。人件費なんか上がりますよね、かかりますよ、かかるけれどもかかるからいやだと言っているような話ではないと思います、私は。かかっても、そこは信頼を得るためには透明性を高めていかなければいかんと思います。
  そういうことはルールとして明確にしないと、日頃の意識があっても日頃の事務処理というのは、厳密さを欠いていろいろ脱落があったり齟齬(そご)があったりします。ルールを明確に決めるというのが大事だと思いますね。その際にその政治資金管理団体のみならず、他の政治団体も対象にするかどうかということについては、どこで仕切るかという技術的な問題が私はあると思いますけれども、聞くところによれば、まずは立法措置の前に自民党自身が規約をきっちり作って、自民党がその他の政治団体も含めてきちっと第3者のチェックを受けるというような体制を作るとか、いろいろな提案がなされるようですね。それはもう私は、積極的に自民党の中で自浄作用を発揮してちゃんとやるべきだとこう思っております

(問)農政課題に戻るんですけれども、農政改革の中でもう一つの柱であります「農地・水・環境保全向上対策」について、今年度、県の予算から見ますと、実際、対象になるのは役所で見込んでいた200万ヘクタールの半分ぐらいではないかという報道がありましたけれども、現状としてどのくらいの面積を今年度見込むのか。
  また、その評価と今後増やすためにどういう対応をされるのかお聞きしたいと思いますけれども。

(答)数字に当たることですから、事務的にまた皆さん方に、そういうご要請に応えて詳細説明をさせます。
  これはスタートを切ったばかりですから、はじめのスタート台として言えば、よく広がっていったと思うんですよ。地域協議会の結成も進んでいますから、面積的に出てくるのはおっしゃるように、期待したものの半分ぐらいだったと思いますけれども、これは23年に200万ヘクタールなどを念頭に置いているわけですから。かなりの面積がカバーできるんではないかというふうに思っていますけれども。

(問)ダボス会議の東京版はどうでしたか。

(答)エグゼクティブの人たちの、個人としての自由な意見の発表なんですね。3つのグループに分けてやったのですが、私はAグループという、地球温暖化対策のグループに所属しました。最後の集約のところまでは私はいなかったのですが、国民運動が大事だなというようなことは、それぞれの意見の中で出ていましたね。横浜市長の中田さんなどは、国民運動という言い方自身も、いかにも上から旗を振って引っ張っていくという感じがするが、そうではないのではないか、国民参加型の活動というふうに言い換えてもらいたいというような意見もありました。市民と、企業と、公的な立場の政府あるいは自治体、これらが一体になってライフスタイルを変えていかなければいけないという問題意識でやっていけば、かなり効果が上がるのではないかという趣旨の取りまとめがなされていくのではないかなと思っておりました。私は2時間くらい居たのですがね。

(以上)

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