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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年6月1日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件3件、国会提出案件11件、法律の公布3件、人事です。環境省の主請議として、21世紀環境立国戦略について提案をし、決定を見ました。後ほどお話しいたします。共同請議はございません。
  まず21世紀環境立国戦略についてですが、中味は事前に皆様方にも説明していると思います。1月26日の総理の施政方針演説で、6月までに策定することを明らかにしたことを受け、総理の指示に従って作業を進めてきたものであります。この戦略では、持続可能な社会づくりに向けて、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の3つの社会の実現を総合的に進めていくことを明らかにし、その持続可能な社会の実現というのは、世界各国共通の、喫緊の重要な課題であるわけですが、それぞれの国がそれに向けた確たる道筋はつけていないと私どもは考えており、そのために、日本の古くからある自然との共生の智慧や伝統、環境エネルギー技術などの日本の持っている強みを環境から拓いていき、経済成長、地域活性化の原動力にすることによって、持続可能な社会についての生きたモデル、日本モデルを構築して世界に発信するということです。中味は皆様既にご承知でしょうが、この中で、今後1、2年で着手すべき地球温暖化対策などの重点環境政策の方向を、8つの戦略として明らかにしております。これからは、関係府省や産業界、国民、NPOなど、各界各層との連携を図りながら、21世紀環境立国戦略に定められた施策の具体化を図ってまいりたいと思います。また、閣議においてその旨の発言をし、総理と官房長官からもそれぞれコメントをいただきました。
  二つめは、昨日の中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合の下に設けられた、プラスチック製容器包装の再商品化手法の検討会で、報告書が出されました。プラスチック製容器のリサイクルの在り方について、事業者、消費者、市町村の各関係者の方々のご意見をいただいて報告書として取りまとめたものですが、結局、高品質のプラスチック製品へのリサイクルが進んでいない現状を考え、品質の高いプラスチック原材料にリサイクルしていくことを優先的に取り扱うということで、新たに関係者の連携協働による効率的なリサイクルを行う地域モデル事業を実施するとしているものであり、日用品として利用されるような、質の高い製品に生まれ変わるようにリサイクルを進めていくということです。これは家庭における分別の意識を高めるだけでなく、国民の「もったいない」という精神がさらに醸成されていかなければ、成果が得られないという性格のものだと思います。
  三つめは、既に各紙がコメントもしておられますが、ブッシュ大統領が、米国による国際的な開発に関する演説が、日本時間で昨日の23時半にありました。大きく三つに分かれています。一つはアフリカへの支援、二つめはエイズの撲滅についての支援、三つめがエネルギー、気候変動に関する米国の方針ということになっております。各紙が論じておられますから、見方はいろいろありますが、今まで米国が、京都議定書を離脱してから、気候変動条約、その枠組みに対して非常に消極的であり、むしろ批判的であるといった見方があったところ、年頭教書の頃から、エネルギーの節約、ガソリン消費の抑制といった方向を打ち出してきました。ドイツのハイリゲンダムサミットを控えてのこのブッシュ演説というのは、米国が将来の枠組みの議論に積極的に参加するという、大統領の強い意志が表明されたものとして、私は高く評価したいと思います。このようにアメリカの姿勢が前向きになってきたことの背景はいろいろありますが、安倍総理が、日中との協議で中国の積極的な協力姿勢を取り付けた上で、日米の首脳会談でブッシュと協議をしたわけですが、そのことが大きな役割を果たしているのではないかと思います。さらに、24日に「美しい星50」という総理の新提案が日本の姿勢を公式に明確にしたこともあり、このような流れの中で、アメリカも新たな意志決定をするに至ったのではないかと思います。高く評価したいと思います。
  閣議が終わった後の閣僚懇談会で、私から、6月は環境月間だということをお知らせしまして、国民一人一人が環境保全の大切さについて理解を深め、生活様式や行動を見直すことが今まさに求められており、そのきっかけになるように環境月間を設け、環境省ではエコライフ・フェア、明日、明後日といろいろなイベントをやりますということをご披露をして、関係省庁の協力の要請をしました。
  私からは以上です。


2.質疑応答

(問)新しい農水大臣は、赤城さんに決まったのでしょうか。

(答)新聞、テレビの報道によればということでありまして、私は何も聞いておりません。
  臨時農林水産大臣としての仕事は、今日の本会議で、昨日の参議院の農林水産委員会で議了をした、水産協同組合法の改正が本会議にかかるものと思います。そこまでは私が行うことになると思います。思えば、3日間3連投で、まず漁業法を審議・議了し、昨日の夜遅くに競馬法を審議・議了、そして水産協同組合法の審議・議了ということで、ピンチヒッターとして空振りしないで三つ打点をあげたと思っております。

(問)今日からクールビズで、お召し物がよくお似合いですが、改めて国民へのメッセージをお願いします。

(答)ありがとうございます。マイナス6%は、京都議定書における世界への公約として、どうしても達成しなければならない重大な日本の国際公約です。いよいよ来年から第一約束期間に入るわけですが、今までの状況としては、減らすどころか、むしろ7.8%と増えています。増えている一番大きな要因は、家庭におけるエネルギー消費が伸びたということにあるわけです。あとは業務用の排出が増えていると。そういう意味では、温度管理を徹底しなければいけないと思います。これから夏に向かって、冷やしすぎにならないように温度管理を徹底してもらうということからすると、このクールビズも始めて3年が経って、定着をしてきていると思いますが、一層これを推進したいと思います。
今日の閣議では閣僚全員が、沖縄振興も念頭に置いてですが、かりゆしウェアで出席しました。この後、三越でクールビズのファッションショーがあります。私も出席致します。そこはかりゆしではなく、もっと幅広いファッションで、私がモデルになるわけではないですが、それを見に行くということであります。
いよいよキックオフということで、クールビズが始まりますから、皆さんもご協力お願いします。省内の温度は28℃設定で、どんなに暑くても28℃までということにします。

(問)東京大気汚染訴訟で国が60億円を拠出しますが、それについてのご所見をお願いします。

(答)これは総理がご決断になったわけです。特に東京都の石原知事が、早々とぜん息患者の状況などをお考えになって、東京都は積極的に取り組むという姿勢を示していて、都の提案によれば、3分の1ずつ負担しようという提案だったわけです。先般、石原知事と総理がお会いになって、協議をして、総理は大変長い間ぜん息に苦しんでこられた方々のことを思い、訴訟の早期解決を図るという見地に立って、これまでの公害健康被害予防基金を活用して、東京都に60億円を拠出することを決断され、そういうことを石原知事との間で話し、石原知事もこれを高く評価され、わかった、解決に向かって一緒にやろう、ということであります。そういう意味で、和解に当たって、これからまだまだ協議をしなければいけない問題は残っていますが、大きな課題について、総理が決断されたことですから、一日も早い和解の成立がもたらされるように、引き続き努力をしたいと思います。

(問)関連で確認なんですが、これまでは一応、因果関係が明らかにならないと拠出できないとおっしゃってきたと思うのですけれども、発言との整合性はどうお考えですか。

(答)総理のおっしゃられたことに尽きるのですが、そこの部分は、どういうふうに仕組むかということだと思います。因果関係が全くないようなものまで国が直接負担できるかということについては、やはり考え方としては、それは無理だという考えがあるわけですね。そこはぜん息対策の幅が広いものですから、東京都が行うぜん息対策の中で、東京都知事は約200億円を予定しておりますが、今までの予防的な措置を含めまして、もっと懐が深いわけですから、東京都が行うそういうぜん息への対策の一環として、国も応分の負担をして、東京都が進めようとする事業に協働するということです。

(問)ブッシュ大統領の件で、まずサミットの見通しですが、安倍首相は2050年半減ということで合意するようにやっているわけですけれども、それがまとまるかということと、大統領演説で、アメリカやインド、中国を入れたら十数カ国になりますよね。気候変動枠組条約とどう関連するのか分からないのですけれども、その辺の見方というのを教えていただけますか。

(答)2050年半減について、そういう長期的な数値目標を合意するということには、ブッシュ大統領はなお否定的ですよね。目標として長期のものを持とうということは良いけれども、それが何らかの数量的な負担、義務に関わるようなことについては、なお否定的なんですよね。話をしていってみなければわかりません。
  中国、インド、その他の国を含めて、十数カ国という情報としては承知していたのですが、ブッシュ大統領の発言の中では、中国、インドを含むということで、その他の国については触れておりませんけれども、この主要な排出国を取り込んで、アメリカがイニシアチブを発揮しながら、ポスト京都について主導的な立場に立つということは結構なことだと思います。気候変動枠組条約自身は幅の広いものですから、その気候変動枠組条約の中で、ポスト京都をどうするかというふうにリードされるのではないかと期待をしています。
  それとは別に、既に報道もされていますが、国連の事務総長が、9月24日と聞いておりますけれども、主要な国の首脳に集まってもらって、懇談をしたいというような働きかけをしておられるんですよね。特別大使3人を任命されて、先般、特使のお一人が日本に来られまして、お話をしました。これはいわゆるG8絡みの対応とは別の流れなんですね。これは9月24日ですから。これは公式の気候変動枠組条約上の国連のいわゆるCOPの流れなんですね。これを受けて、国連の下でインドネシア・バリ島でのCOP13が今年の暮れに行われるわけです。そういう両方の流れが相呼応しながら進んでいくものと思います。ですから、先進国の首脳会議ですべてのことが決まるということではなくて、条約上からいえばCOPで決めていくということになるわけです。トップの相当強いイニシアチブが必要ですから、トップが強いイニシアチブを発揮していくことによって、COPが進んでいくと、こういう相互の好影響の環境が作られることを期待しています。

(以上)

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