本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年3月20日)


1.発言要旨

  本日の閣議ですが、一般案件3件、国会提出案件4件、政令9件、人事と資料配布でした。環境省の主請議、共同請議ともにありません。
  私から閣議で、15日から17日まで出席したドイツのポツダムでのG8プラス5の環境大臣会合について報告しました。また、閣議終了後、安倍総理に個別にお会いし、詳細に御報告しました。それと、本日18時15分からは官邸において地球温暖化対策推進本部を開くことになっており、関係閣僚に改めて温暖化対策の推進について報告します。
閣議では、ポツダムで開催されたG8環境大臣会合に、3月15日から17日まで出席するとともに、米国、中国などと二国間会談を行ったこと、今回の会合では、G8各国のほか、中国、インド等の主要な途上国からも閣僚が参加し、「気候変動とエネルギー」及び「生物多様性」について議論が行われ、私から地球温暖化に関して、京都議定書における我が国の6%削減約束を果たす決意を表明するとともに、2013年以降の国際枠組みとしてすべての主要排出国が参加する実効ある枠組みの構築が重要であることを主張したこと、さらに先日、安倍総理から21世紀環境立国戦略の策定指示を受けたことを踏まえ、G8議長国になる来年に向け、地球温暖化対策のリーダーシップを発揮していく決意を表明したこと、また、生物多様性に関しては、2010年開催予定の生物多様性条約第10回締約国会議の招致に向けて我が国が立候補したことを紹介し、世界の生物多様性の減少をくい止めるという「2010年目標」の達成に向けて意欲的に取り組む決意を表明したこと、国際的に環境問題への関心が高まる中で、我が国がG8議長国となる来年に向け、今後とも、できるだけ多くの国と協力し、様々な環境問題において国際的なリーダーシップを発揮していきたいということを報告しました。
今回のポツダムでの会合で、初めて生物多様性問題をG8の議題にしたことは非常に大きな意味を持つと私は思います。かねてから途上国の皆さん方は生物多様性問題について、森林保全や海浜保全などに大変な努力してきていますが、種の活用となると遺伝子資源の活用ということで、ごく限られた先進国が利益を得ていることに対してかねて不満がありました。生物多様性条約の中で逐次問題を取り上げながら議論してきていますが、利益を主として受ける先進国にもっとしっかり取り組んでもらいたいということで、それは保全の義務を課するだけではなく、どのようにすれば多様性が守られるかについて先進国としてもその責任を分担してもらいたいという意味です。そうしたことを先進国がサミットで取り上げることになったことについて、非常に高く評価し画期的なことであると、それぞれの途上国代表から発言がありました。この背景にはやはり、ドイツの首相が環境大臣出身で環境問題に非常に積極的な取組をしてこられたことがあると思います。温暖化対策にも通じることでもありますが、特に種の保存という意味での生物多様性問題は温暖化問題と表裏の関係であり、密接な対応を必要とするという考えから、G8の議題に取り上げると決めたわけです。そうしたことで今回2つの議題を取り上げましたので、会議自体は非常にタイトで密度の濃い会合になりました。
気候変動については、最終的に5事項に集約しました。第1点は、温暖化対策と持続可能な開発や経済成長を同時に取り上げていかなくてはならないですし、両立させていくことを探っていかなくてはいけないということ。第2点は、排出抑制と並んで、特に途上国が温暖化に伴う被害を受けるので、これへの対策、適応対策と言っておりますが、それを並行して進めることが必要だということ。第3点は、先進国、途上国の排出抑制に向けた更なる取組強化が必要だということ。先進国も、アメリカを除いてですが、京都議定書第1約束期間でキャップをかぶせて努力をしています。途上国はその義務を負っていませんが、先進国だけでは対応できません。かといって途上国もそれぞれ努力していますので、先進国、途上国含めて更に水準を上げて取組強化が必要だということを確認し合ったということです。第4点は、途上国における森林伐採を削減することです。これは森林国、特にアマゾンを抱えているブラジルなどに代表されますが、森林での収入が減りますので、同時に雇用機会もなくなるわけです。このことによって大きな損失を受けると、林業関係の経済あるいは雇用問題において大変な苦痛を味わいます。正当にこの努力を評価し、国際的な支援措置を検討することが必要ではないかという概ね共通の認識を持っています。第5点は、各国それぞれの独自の取組だけでなく、国際的な促進のための措置が必要不可欠であり、特に、技術移転の促進にインセンティブを与えていかなくてはいけないということです。この技術移転は、省エネ技術の更なる新技術の開発あるいはイノベーションを主として先進国側は期待を込めてコミットしていますが、それだけではなく、先進国では普遍化している技術をどのように途上国に移転させていくか、新しい技術も大事だが今ある有効な技術を途上国に対して利活用できるように努力する、その効果が大事だということであり、国際的に技術移転を促進するための措置、それにどうインセンティブをつけていくかが大事だということが論議されました。
  ちょうど会合直前にEUの委員会が温室効果ガスを2020年までに1990年比で20%削減することを決めており、それより更に一歩進めた形で英国が法案を出すことを決めていましたので、EUを中心に新しい枠組みについて、どのような規制、キャップをかけていくかという論議が進展するのではないか、それが主たる議題になるのではないかと予測されていましたが、議論はそれ以前の問題として、今申し上げたような途上国側の置かれた状況などから、中長期的に見てどのような考え方で対策を講じたらいいかということが中心の議論になりました。構図的に言えば、EUの立場と、多くの途上国の主張との間の入口のところからかなり激しい応酬がありました。議長は、ここで何かを決めるということではなく、それぞれの主張、考え方を自由に闊達に述べ合うという議事を進行した結果、先ほどお話したような5つの点に集約されましたので、新しい枠組みの中でEUあるいは英国が先行している2020年に20%ないし30%、あるいは2050年に50%以上あるいは60%というような話は議論としては一切出ませんでした。
  それと、クマの問題についてですが、春クマ猟を抑制することについて、室長名で各県にその趣旨をお話してきましたが、山形県を除いては大体、春クマ猟は抑制しました。山形県も通常年よりも半分ぐらいに抑えたということです。昨年11月からクマ類の出没にかかる対応のあり方など、緊急調査専門家会合を設置してきました。結局、中山間地域の自然社会環境の変化を念頭におき、クマの里地への出没をどうしたら減らせるか、出没してきた場合の被害を減らすにはどうしたらいいか、そして、出没を減らすことで有害の捕獲数を減らしていくことを目的にマニュアルをつくる作業をしてきました。このマニュアルが各地方公共団体で有効に利用されることを期待しており、マニュアルは、本日の専門家会合を踏まえて今月の末までにとりまとめ、改めて公表する予定です。皆さん方にはその時点で資料配布いたします。
  私からは以上です。


2.質疑応答

(問)G8環境大臣会合の結果について、閣議後に総理に報告されたということですが、総理から何かお話はあったのでしょうか。

(答)うなずきながら聞いていらっしゃいましたので、状況の理解、把握はされたと思います。今日は地球温暖化対策推進本部がありますし、日頃から主要国の動向については総理にも直接的、間接的に情報提供をしてきておりますので、事態はしっかりと把握しておられるということだと思います。

(問)公務員制度改革について、行革担当者を中心に省庁による再就職のあっせんを廃止する案が出ていますが、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

(答)私の海外出張中に、各省官房長に、大臣の意向を聞いた上で返事をするようにというような話があったそうです。出張から帰ってきて昨日、どういうことになっているか話を聞きましたが、渡辺大臣から早急にこうした考えだという趣旨を各省大臣に出すので、それを見た上で、それぞれの大臣としてこれにどう対処するか検討の上、協議してもらいたいという話があると聞いています。たぶん、人材バンクなどのことだと思いますが、私は趣旨は結構なことだと思います。
私も25年間も農林水産省と国土庁におり、役人の立場で人事管理もしてきましたし、仕事をしてきた体験、経験などを踏まえると、それができれば結構なことだと思います。人事はその人の将来、第二の人生を規定することになりますので、人事情報というのは非常に難しいです。その人のいい点、悪い点、得意な点、不得意な点というものを整理しなければならないわけで、そうしたことを自己申告するようにいっても客観性がありませんので、やはり人事担当者が関わり、当該職員の職務に関わる体験、経験、実績、性格も含めて人事情報をきちんと持っていないと、その人の能力は次の人生で活かしていけないわけです。今度の人材バンクの中で、はたして活かしていけるようなシステムがとれるかどうかですが、私はとれる思います。
技術的な組織管理上の基本のようなものは、もう少し詰めて構想も聞かないと一概に全部お任せというわけにはいかないかもしれませんが、私は積極的です。各省庁が省庁限りで退職者あるいはOBも含めて、人事の世話を見てきているという今の仕組みは、そのままではやはり改善を要すると私は強く思っています。

(問)ポスト京都議定書に関して閣僚会議を開くという一部報道がありますが、これについて大臣のお考え等はございますでしょうか。

(答)今、お話したようなことをまずは報告するということだけです。

(問)今日は閣僚会議が設置されるということですか。

(答)今日の段階ではそれは聞いておりません。夕方の地球温暖化対策推進本部の中で出てくるのではないでしょうか。中国の温家宝首相が来られますが、日中間にいろいろな政治的問題、外交上の政治問題からエネルギー問題などがありますが、環境の問題も関心事項の一つです。また、総理は月末に訪米される予定ですが、環境問題は訪米された時の幾つかの課題のうちの一つだと私は思っています。そうしたことをしていくには、やはり今の温暖化問題について、総理がその胸の中に収めて出かけていくための関係省庁間の意見交換はしておかなければと思います。

(問)設置されること自体はまだ聞いていらっしゃらないのでしょうか。

(答)聞いておりません。今日の夕方の会合で決まるのではないでしょうか。

(問)熊本のクマタカから鳥インフルエンザウイルスが検出されましたが、これについてはいかがでしょうか。

(答)初めは鉛の害があって、体が弱り死亡したのではないかというおそれがあるので、検体として北海道に送って調べたということです。鉛の被害はありませんでしたが、ちょうどその頃に鳥インフルエンザの問題が起こったので、鳥インフルエンザの関係として調べてもらうため、鳥取大学に依頼をしました。詳細を調べたところ、H5N1亜型だということがわかりましたので、緊急に鳥類の調査も深め、更にそれが悪性のものか、悪性のものでないかということも調べていかなければなりません。人への伝播、伝染はないということを改めてはっきりと皆さん方にアナウンスして、冷静に対処してもらいたいということと、悪性かどうかの検体検査を更に早急に進めるということです。同時に、渡り鳥を含めて鳥類のフンその他からウイルスの発見があるかどうかの調査について、これは今までもやってきていますが、これをしっかり強めていきます。また、農林水産省、その他省庁にしっかりとした情報を提供して、公開していくということではないかと思います。

(問)出たこと自体についてはよく評価できないということでしょうか。

(答)どうしてそうなっているかわからないですね。

(問)公表までに大分時間がかかっているのには何か理由があったのでしょうか。

(答)今、お話しましたように、初めは鉛被害ではないかということで1月に検査に送りました。2月になってそうではないという結果が出てきましたが、その頃に宮崎での鳥インフルエンザの話が出てきましたので、そちらの方も調べなければならないということで、今度はそれを鳥取大学に送って、検査をしてもらいました。私は技術的なことはわからないのですが、鳥の血液やその他から出してきて培養してとなると時間がかかるのだそうです。それで今になっているということで、担当者、技術者に言わせれば、そのことで特段遅くなったというわけではありませんが、初動として鉛被害だということを考えて北海道に送ったので、その結果が出るまでの期間は鳥インフルエンザのことは考えていませんでした。その時はまだ鳥インフルエンザが出ていませんでしたので、そこでスタートが遅れました。

(問)今、人への伝染はないとアナウンスしていきたいとお話されましたが、もう少し具体的に言うと、どのような理由で人への伝染、伝播はないということなのでしょうか。

(答)鳥インフルエンザが変異して人に伝わっていくということですが、変異ということがない限りは、鳥対鳥の範囲にとどまっているという意味です。それは養鶏に関する部分でも、そうした変異は認められないわけですから。

(問)先週ですが、熊本県の水俣病認定審査会で第1号の認定を出されて、県知事が認定されましたが、率直に御感想をお願いします。

(答)長い間この問題で争ってこられた方々が認定という結果が得られたことについて、長い時間がかかったことについては申し訳なかったという気持ちと同時に、関係の審査会、熊本県などの行政の皆さん方の御努力に敬意を表したいと思いました。

(問)それは熊本と新潟、両方に関してということでしょうか。

(答)そうです。同じです。

(以上)

▲Page Top