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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年3月13日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件3件、国会提出案件8件、法律案13件、政令3件、人事案件でした。環境省の主請議、共同請議ともにありません。
 政府提出の法律、条約は本日が締切で、法律案88件、条約16件という報告がありました。なお、案件名は出ていませんが、2件ほど追加的に出すことがあり得るということです。
私からは以上です。


2.質疑応答

(問)今週開かれるG8環境大臣会合ですが、大臣は出席されるのでしょうか。

(答)出席したいと思っていますが、本日の参議院議院運営委員会、明日の衆議院議院運営委員会で協議して決めると聞いています。

(問)先日、EUが温室効果ガス削減について、非常に高い目標で合意しましたが、日本として今後、どのようにリーダーシップを発揮していくお考えでしょうか。

(答)EUが意欲的な水準の目標を決定したことは評価しています。しかし一番大事なことは、以前から申し上げているとおり、京都議定書から離脱したアメリカ、あるいは義務を負っていない中国やインドなどの途上国にも同じ土俵に乗ってもらって協議し、少なくとも主要排出国は協力して削減努力を行っていくという体制をどう作るかです。
日本は、来年のG8サミットでの議長国としての協議、決定は非常に大きな意味を持つことになると思いますので、日本が先に、こうした目標でいくとアドバルーンを上げて話を進める状況にはないように私は感じています。
今年のG8サミット議長国はドイツです。そのドイツが中心となって今回のG8環境大臣会合が開かれ、ドイツからEUの立場を含めて背景などの説明があると思います。日本としては、米国や中国を含む主要排出国が協議に入ってくる大枠の枠組みを作れることが大事だという姿勢で対応していきたいと思っています。

(問)今のお話ですと、日本として早く数値目標を掲げると、主要排出国の態度が硬化するということなのでしょうか。

(答)日本もそのような段階までいっていませんし、着地ができるという見通しをどうつけるかということです。EUはそれぞれ発展段階の違った27ヶ国という多数の国々を抱えており、そうした多数の国の意思をとりまとめていくのは大変な作業だったと思います。EUが大変な努力をして、EU諸国の中で合意を見たことは非常に高く評価されると思いますが、日本とは少し事情が違いますので、今、日本が目標をどうするということではありません。
  ただ、少なくとも今回の会合で、排出量と吸収量とのバランスがとれるようにするため、今の排出量を半減するということ、いつまでに半減するかということにはいろいろと議論があるところですが、まず半減するという大筋での合意をとりつけることが大事だと思います。そうしたことに重点を置いて関係諸国と話をしていきたいと思います。

(問)先ほど、アドバルーンを上げる状況ではないというお話がありましたが、今、21世紀環境立国戦略を協議しており、そこでは日本から海外に発信していけるものを出していきたいということだと思うのですが、そこではアドバルーン的なものは出てこないということなのでしょうか。

(答)現在検討中で、6月までに環境立国戦略を作り上げるということですが、予断を持っては中央環境審議会の先生方に失礼にあたります。審議会での御意見をよく伺って決めることになるでしょう。

(問)アメリカとブラジルがエタノールの生産、供給の覚書を交わしたり、EUが2020年に90年比20%削減という目標を打ち出したり、国際的には気候変動の分野でとても変化が目に見えるのですが、そうした中で日本の今の状況を大臣はどのようにお考えでしょうか。

(答)地球温暖化をこのまま放置したら大変なことになるという認識は、かなり広く世界に広がったと思います。それには今までの経過がありますが、少なくとも国連の下に置かれたIPCCの科学者の第1作業部会報告が出てから、世界中の皆さんが強い関心を持ったということなのだと思います。その影響と対応については、4月、5月に行われるIPCC第2作業部会、第3作業部会で出てきます。それぞれが関心を持ち、コミットしようとしていることは結構なことだと思います。
ただ、問題は、中国やインドは何も言っていませんし、アメリカもエタノールの話はしていますが、実際にトータルとして、アメリカ国内の排出量をどのような考え方で抑制するのかということは全く見えない状態です。東部7州、西部5州などそれぞれの州レベルでキャップアンドトレードを作る動きが出てきていますが、全米としてはまだそうしたことになっておらず、議論が出始めたということではないでしょうか。

(問)本日、ブラジル農務大臣と面会されますが、どのようなお話になるのでしょうか。

(答)昨日にはブラジル大使館で大臣主催レセプションがあり、非公式ですが、そこでブラジル農務大臣と懇談いたしました。本日は13時30分に面会することになっています。ブラジルは20%から25%の範囲でエタノールを入れていますが、どの割合であっても対応できるような車の開発のメドがついており、日本車も大変な技術水準でフレキシブルな対応が可能になっていると昨日お話されていました。そのような状況をお話いただけるのではないかと思います。

(問)日本がリーダーシップを発揮しようとするからには、何らかの率先をしないと中国やインドを動かすにも説得力がないのではないかと思うのですが。

(答)必ずしもそうしたものを高らかに掲げて引っ張っていくことがリーダーシップだとは私は思えません。つまり状況をどのように作っていくかということで、状況を作るためにどのような役割を果たすかということだと私は思います。

(問)今の目標であるマイナス6%ですら、おぼつかない状況ですが。

(答)マイナス6%は国際約束であり、それをきちんと守るために最大限努力し、これを達成しなければ話になりません。問題としては、先ほどもお話しましたが、排出量と吸収量との間でバランスをとらないことには間違いなく温室効果ガスが広がっていきます。これを止めるにはどうしても半減しなくてはいけません。世界全体で半分にするとなると先進諸国と途上国との間で全く同じというわけにはいきません。先進諸国が更に重い責任を負わなければ、途上国もそれなりの負担を負うということにならないと思います。それをいつまでに達成するか、どのように分担するかというのはこれからの話です。世界のそれぞれの国々が協力するなら、EUは削減目標を30%まで上げる用意があると言っています。更に将来的に言えば、非公式ですが、70%まで覚悟しているというような報道も入ってきています。EUがそうした意味で先行して危機感をはっきりさせてくれていることは全体を進めていく上で非常に結構だと思っていますが、日本がそうした役割を果たせば更に前進していくという状況だとは私は判断していません。

(問)来年のG8サミットまでのスケジュールの中で、今回のG8環境大臣会合で何をしなければならないとお考えでしょうか。

(答)まずは現状の認識です。今回、プラス5の方々も参加しますので、まずは協議を通じて危機感を共有することがスタート台だと思います。おそらく、いつまでにバランスを回復するかという話にまではいかないのではないかと思います。しかし、少なくとも世界全体で半減しなければ温暖化は更に進行していくという認識を共有したいと思いますが、そうした形でできるかどうか、というような段階です。中国、インド、ブラジルなど発展過程にあって高成長している国々は、経済成長に伴ってエネルギー消費量が増えていくことは避けられません。それらの国々では、エネルギー消費量をどこまで抑制できるか、そのエネルギーの中でクリーンエネルギーをどこまで導入できるかが課題になるはずです。まだまだベースが違いますし、国益で対立した意識、利害関係を抱えての話です。
もう一つテーマとしては、生物多様性の協議についてもドイツが非常に熱心です。生物多様性の保持、確保についても相当危機感を持っているようですので、今回の環境大臣会合はこの2つがテーマになっています。日本も生物多様性の国際会議に名乗り出ていますので、それぞれ関係国に理解を求めるお願いをするという課題を持っています。

(問)3月10日に熊本県の認定審査会が再開されました。最高裁判決後2年あまり経ち、環境省としても救済策と審査会の再開は車の両輪として一生懸命取り組んでいた中で、ようやく再開されたことに対する評価をお伺いします。また、再開されたとはいっても、物理的に審査会が審査をこなせる人数は非常に小さい中で、申請者はまだ3,000人、全国で見れば5,000人以上の方々がいます。まだ楽観はできないと思いますが、これを含めてどう受け止めているかお伺いします。

(答)まず、関係者の御努力に心から敬意を表したいと思います。紆余曲折があり、大変難しい課題を抱えてのことでしたので、審査会の各委員が就任を了承され、審査会を開くことができるようになったことは、事態を進めていくにあたって大変喜ばしいことですし、ありがたいことだと思っています。
  今後の展開については、4月から調査を開始し、6月には調査結果を得たいと思っています。与党PTはそうした状況を受けながら6月には救済策を打ち出したいと言っています。審査会での審査の対象にならないような方々も含めてどこまで救済できるかということが救済策の意味だと思います。審査会が機能していくためにも調査を急ぎ、その調査結果を早くとりまとめ、新しい救済策を定めていくことが、審査を進めていく上にも有効なのではないかと思います。

(問)棄却された方や基準に満たない方を救済策で救済しようという基本原則はわかりますが、審査会自体がどんどん審査できるわけではありませんので、審査するのに長い時間がかかると、何年か待たされて審査を受けて棄却され、その時には救済策の受付窓口が閉じられているという事態も想定できないこともないと思います。これについてはいかがでしょうか。

(答)そのようなことにならないように、幅広く救済できるような救済策を考えていかなくてはならないと思います。御心配されているように、救済策は出たけれども、審査がずっとずれて、それが終わってみたら救済策がなかったという方が多く出るようではだめだと思います。訴訟で解決したいと思う方が残るのはやむを得ないと思いますが、そうした方もできるだけ納得の上で救済の対象になって、それに乗ってもらえるような救済策を出せればいいと思います。

(以上)

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