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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年2月2日)


1.発言要旨

 おはようございます。
 まず閣議の報告を致します。環境省が主請議の案件が1件、環境物品等の調達の推進に関する基本方針の一部変更で、これを決定致しました。一部改正ですが相当膨大なので、解りやすいように、全部リニューした形で資料配付を致します。国会提出案件は4件、法律案2件、あと人事案件です。
 私の方から閣僚懇談会で発言をしまして、ごみの不法投棄対策の推進について、「美しい国」日本を目指し、持続可能な社会を構築するため、その一環として、全国各地域で取組が進められているごみ不法投棄対策について、関係各省庁連携の下、「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」を設けるなど、国民運動として推進する必要があります。ついては、政府として取組の強化を図りたいと思いますのでご協力をお願い申し上げます、ということでした。
 それから、私の方から申し上げたいことは、21世紀環境立国戦略についてです。このことについては、既に皆さんにもご報告をし、総理の施政方針演説で明らかにされているわけですが、これを具体的に進めるために、中央環境審議会に、21世紀環境立国戦略特別部会を設置することとし、他の府省の協力を得ながら検討を行うこととしたいと思います。併せて、そのための省内体制として事務次官をチーム長とするプロジェクトチームを設置致しました。この構成員、その他については、事務的にお話が行くのではないかと思います。
 次に、既に一部報道されていますが、IPCCの第4次評価報告書に関わる、第1作業部会の総会の結果についてです。第一次作業部会、これはパリで行われておりますが、先程終了したという連絡を受けております。詳細な内容につきましては、現在整理しているところで、私として、第4次報告書は、一つは温暖化がこれまで以上に厳しい状況になっているという事実を科学的に明らかにしているということ。二つ目は、これまで以上に、温室効果ガスの削減を急ぐ必要があるとの警鐘を鳴らすものであると、このように理解を致しております。
 また、このことに関連して、鈴木基之中央環境審議会会長他の有志の先生方が、このIPCCの第1次作業部会報告が採択された機会を捉えて、気候安定化に向けた科学者から国民へのメッセージを本日出されると聞いております。そのような意見にも、しっかりと耳を傾けていきたいと思います。
 それから最後ですけれども、東京大気汚染公害訴訟に関する国の今後の対応についてご説明をさせていただきます。ご存知のとおり、本訴訟については昨年9月の東京高等裁判所における控訴審弁論終結の際、判決の作成と並行して、和解の可能性、可能な場合の条件について、関係者の意見を聞いていくこととされ、東京高等裁判所における原告、被告双方への意見聴取が行われてきました。本訴訟は提訴から既に10年以上が経過しており、原告団の中には訴訟の解決を待たずに亡くなられている方も多数いらっしゃると聞いております。国としても東京高等裁判所の意向を真摯に受け止め、いたずらに訴訟を長引かせるべきではないという思いを強くしております。そこで国としては、関係省庁と相談の上、今後の解決点を探るべく、原告との話し合いを進めてまいりたいと思います。東京高等裁判所にも既にその旨をお伝えしてあります。詳細については今後の調整において決めていく話ですし、現段階でご説明することはできませんが、環境省としてできることは、自動車排出ガス規制などの公害防止対策ですので、今後はこの点において何ができるかについて、原告の要望や裁判所の意向も踏まえながら、本訴訟の解決に向け、最大限の努力をしてまいる所存です。
 私からの説明は以上です。


2.質疑応答

(問)21世紀環境立国戦略特別部会を設置されるということですが、具体的にどのようなことをお考えでしょうか。

(答)総理が施政方針演説で述べたように、内外ともに環境をめぐる課題が大きく出ております。総理は内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明記して、今後の世界の枠組み作りへ我が国として貢献する上での指針として、21世紀環境立国戦略を6月までに策定すると言っておられますので、その政府部内における策定のための機関になります。環境省が中心となって、関係各省庁に声をかけて、この総合部会に各省庁のそれぞれの分野の権威者を推薦してもらい、特別委員として参加してもらうという形で全体の意見をまとめていきたいと思っております。
  これは審議会ですが、その前に環境省内のフレームを固めなければいけません。環境省として一体どう考えるのかということを、各省庁の所管に関わることもあると思いますが、環境省としては、どういうような課題に対して、どのような目標を定めて取り組むべきかということついて環境省内のチームを作りたい。早速にチームを作って3月中にたたき台をまとめられるように作業を急ぎたいと思います。チーム長を田村次官に、小林官房長と西尾総合政策局長と南川地球環境局長の3人を主査とし、窓口は柴垣政策評価広報課長という体制で取り組んでいきたいと思っております。

(問)IPCCについてですが、京都議定書の目標がマイナス6%、現在日本はプラス8%で、2050年までにはマイナス50%ということですけど、このままですとマイナス50%どころかマイナス6%も危ういと思うのですが、大臣として何か具体的な対策というのは考えていますか。

(答)今、御承知のように、いよいよスタートを切るに当たって、今年は大事な年ですから、見直しをやっています。これで2008年からの第一約束期間がきちんとできるかどうか、今、見直しを個別の事項ごとに詰めております。
  難しい、難しい、と皆さん方がよく予測されますが、なぜ難しいと言っておられるのか私にはよくわかりません。決して楽ではないけれども、やる気をおこせばできないような課題じゃないと私は思っています。これができないようであれば、これから温暖化対策に取り組む世界の中で、相手にされなくなってしまいます。京都議定書で定め、日本が議長を務めて決めたこの枠組みについて、日本自身が第一約束期間中の数字が達成できないということになれば、ポスト京都の問題も含めたこれからの論議で相手にされなくなるのではないでしょうか。これは真剣に取り組んでいくことによって、クリアできると私は思っています。

(問)地球温暖化に対し、大臣はどれくらい危機意識をお持ちですか。

(答)大変持っています。ゴアのフィルムにもありますし、スターンレビューも出ていますし、イギリスと組んで2050年を目標にした研究作業も進んでいますし、今度はいよいよIPCCが出てきますが、いろいろな作業過程を見ていても、予想を超える速さで進行していくと。それによって生態系への影響を含め、地球の気候・諸現象に対して、大変な影響を与えるのではないかと考えていますし、以前にもナイロビでお話ししましたが、その影響はすべてに及び、特に農林漁業、第一次産業というのは自然が順調に推移していることが前提にできている産業ですから、その産業部門への影響が非常に大きいわけです。これは食糧問題になってしまう。同時に、そういう産業に多く依存しているのは途上国の方々が多いです。貧しい途上国に、さらに大きな被害がでてくるという意味では、非常に深刻な問題になるだろうと私は考えております。

(問)大気汚染訴訟の関係で、今日、若干踏み込んだような発言をされたと思うのですが、原告と話し合いをしていきたいというのは、公式の場ではなく、直接的に話し合いの場を持ちたいということでしょうか。

(答)どういう場面でやるかということは、裁判所の意向をしっかり踏まえた上で、有効な施策をとっていくことです。公式の場だけではないと私は考えています。

(問)費用負担についての立場はこれまでと変わるのでしょうか。

(答)因果関係あるいは法律上の責任問題については、私の方は今までの考え方を変えておりません。

(問)被害者にとっては前進ということになりますか。

(答)どうでしょうか。どういう受け止め方をされるのか、どのような期待値を持っておられるのかわかりませんが、今までは国側としては、和解をすると受けているわけではないのですが、そういう解決策を探るためにいろいろ努力してほしいということに対して、そういった姿勢を示したということです。原告側がどのように受け止めるかはわかりませんが、真摯に、誠意をもって対応していきます。

(問)方針転換なのですが、どなたのご決断なのでしょうか。

(答)誰ということではないのですが、今まで、法務省や国土交通省の皆さんとも話をしてきて、東京都の考え方と国の考え方とが、基本的にかなり違うわけです。こんな状況でこのまま推移していくと、訴訟も長引いていくし、関係者の苛立ちを高めるだろうと思いますので、もう少し寄っていって、何か早急に解決する方法があるかどうか探るべきだ、という意向は自然と出てきているわけです。

(以上)

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