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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年1月16日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件1件、政令1件、人事案件です。
 一般案件は、環境省共同請議で、生物の多様性に関する条約第10回締約国会議及び生物の多様性に関する条約のバイオセイフティに関するカルタヘナの議定書第5回締約国会議の日本での開催について閣議了解をしました。愛知県名古屋市で行うということを私から報告をし、了解を得ました。政令は、厚生労働省の医療法施行令等の一部を改正する政令です。
 私は本日、大阪府堺市で開催される建築廃木材を原料とするバイオエタノール製造施設の開所式に出席します。
 また、既に報道されていますが、熊本県の水俣病への対応について、昨日、熊本県知事と前認定審査会長の岡嶋先生が共同で会見され、従来の委員全員から委員就任の内諾が得られ、現在、委員就任手続きを行っている状況であることが発表されました。認定審査会の再開については、その努力に敬意を表したいと思います。与党PTと連絡を取りながら、関係県とも協力しながら、水俣病対策の一層の推進にこれからも全力で取り組んでいきたいと考えています。
 以上の2点を申し上げました。
 それと昨日、アル・ゴア氏と30分ほど、地球温暖化に関していろいろと意見交換を行いました。ゴア氏は、地球温暖化に関する活動のドキュメンタリーフィルムが日本でも20日から公開されることになり、そのPRを兼ねて来日しましたが、経団連首脳とお会いになるなど、いろいろと活動をされて本日帰国されました。
 昨日の私との面会では、私の方から、昨年ナイロビで開催されたCOP12での関心はポスト京都議定書に集まっているという状況の報告をした上で、予想を超えるスピードで温暖化が進行しているという認識をお互いに共有しながら、ポスト京都議定書については世界的にそれぞれの国が参加する形で枠組みを作りたいということを私が強く訴えてきたこと、しかし、途上国側からはこうした状況になっているのは、先進国による豊かさを求めての経済成長の結果であり、地球環境が温暖化を通じて厳しくなっていることは理解するが、そのことでこれから豊かになろうとする途上国の活動を規制、抑制することには、にわかには賛成し難い、とりわけアメリカが参加していないことについては非常に批判が強かった、という話をしました。ゴア氏の努力を評価しながら、アメリカの方はどうか、このことについてどういう認識であるか、特に京都議定書に参加する可能性についてどう思うかというようなことを問いかけ、これを巡っていろいろな意見交換を行いました。ゴア氏からは、京都議定書という形で参加を求めていても現政権では難しいだろうということ、さらに言えば、来年の大統領選挙でこうしたことが論議されると思うが、京都議定書に入ることは政治的になかなか難しい問題があるということ、そこでポスト京都議定書という意味でいえば、2012年を待たずに、2010年からポスト京都議定書の枠組みが発効するように、交渉をスピードアップして前倒しする積極的な役割を日本に果たしてもらえれば、アメリカとしても対応しやすい、ぜひ総理に伝えてもらいたいという話がありました。
 私からは以上です。


2.質疑応答

(問) 本日、大臣が行かれますバイオエタノールのプラントに関して、現時点でガソリンの供給について石油業界の協力が得られていませんが、これについてどうお考えでしょうか。

(答) バイオエタノールを3%ガソリンに混入する、いわゆるE3については、政府においては合意されていますし、そのことによる危険物、環境への影響などについては問題ないという結論を出しています。京都議定書目標達成計画においても、50万キロリットルの部分は、バイオエタノール3%混入のE3で対応しようということも決められています。ぜひ、石油業界、具体的には石油連盟に御理解をお願いしなければいけませんが、現在、経済産業省が説得しているということですので、その状況を見守っていきたいと思っています。

(問)今日、実際にプラントが完成し、エタノールだけできても、混合ガソリンがで きないのではしょうがないと思いますが。

(答) そうですね。まず、ガソリンと混ぜる仕組みが必要です。このことについては予算上の手当てがあり、設備投資もしなくてはいけないことになっています。そこででき上がったE3をどうやって流通ルートに乗せるかです。実証事業に取り組みますが、関西・関東の両地域において実証的にユーザーに利用してもらうというもので、おっしゃるように、流通ルートに乗らなければ機能を発揮できないわけです。ぜひ、流通には乗せなければいけないと思っています。元売りの関係である石油連盟には、所管である経済産業省が協議をし、説得すると言っていますので、今、見守っている状況です。

(問)経済産業省は、どちらかというとETBEというか、石油連盟と同じようなスタンスが見受けられますが。

(答) 業界内部でそうした意見があるということはもちろん承知しており、副産物としてのETBEとして活用していくことを理解はしても、それだけで50万キロリットルを供給できません。ETBEを活用しても、21万~22万キロリットルぐらいしか供給できないわけです。いずれにしてもこのE3を流通に乗せないことには、その目的が達せられないということは経済産業省も十分理解していますし、先日の東アジアの会議でも、バイオエタノールを大いに開発、普及していこうと、総理も行って協議してきました。政府として、日本でバイオエタノール開発についての人材育成をする、あるいは日本から技術者が行って指導するというようなことも協議してきています。これについては当然、経済産業大臣も承知の話です。今、お話されたようなことは、業界所管の役所としてはあるものの、だからといってE3を流さないというわけにはいかないということは十分承知していると私は思っています。

(問)ETBEもE3も両方ともきちんと供給すれば良いのではないかと思いますが。

(答) 私はそう思います。ETBEを流通させても、それを超えるE3がこれから期待されますし、そうした流れになっていくと思います。現実に、ブラジルにしても、アメリカにしても、カナダにしても、E10あるいはE20というような、10%なり 20%を混入したものの混入を義務化しようというところまで来ており、走らせている車は日本車が主です。だから、技術的な問題があるとは思えません。

(問)技術的な問題がないとすると、どのような問題で協力しないということでしょうか。

(答) やはり、流通、経済といったようなものがあるだろうと思います。そこは、私も直接話し合っていませんが、話し合えば理解が得られるという期待をして、所管の経済産業省にもう一歩努力をお願いしています。やりますと言っていますので、やってもらえるものと思っています。

(問)東京大気汚染訴訟で、和解協議が徐々に進んでいるように思うのですがいかがでしょうか。

(答)どういう意図かは分かりませんが、メーカー側が協議の土俵に乗ってもいいという意向のようだと聞いています。

(問)国のスタンスはいかがでしょう。

(答)以前からお話ししているとおり、因果関係があると言えないわけですので、原 告側の主張に乗って和解をしていくという考えは今のところありません。

(問)因果関係が認められない形での出資はないのでしょうか。

(答)裁判上のことでありますし、因果関係がないのに国が何か負担するということは、考えられないのではないでしょうか。私はそう思っています。

(問)東京都が出さない部分は国を訴えるという考えがあるかと思いますが。

(答) いろいろとやりたいことをやったらよろしいのではないでしょうか。東京都は、小笠原諸島や多摩地区のようなところも、ぜん息患者に医療費を見ると言っているわけです。都民の健康管理のためにいろいろ手当をするのは自治体の仕事ですので、それをとやかく言う立場にはありませんし、それに対して国も関わって負担をするようなことは考えられません。

(問) 生物多様性に関する条約第10回締約国会議の関係ですが、10回目ということで、見直し、節目の年だと思いますが、その辺も踏まえて、大臣のお考えをお聞かせください。

(答) いろいろな課題があると思います。これは国際間でよく協議をしていかなければいけないことです。我が国は議長国となり、まずは論議の場を提供し、実りある成果が得られるように努めていくということです。事務局長が24日から27日に来日されますので、そのことを念頭に置いて、早めに日本国政府として手を挙げて、積極的な姿勢を示しておこうという趣旨で、本日、閣議了解を取りつけたと御理解いただきたいと思います。

(問)大阪府と名古屋市が候補地として出ていたと思いますが、名古屋市を選ばれた理由についてお聞かせください。

(答) 関係局長会議で協議をし、大阪府も名乗りを上げたのですが、判断諸要素を整理、議論しました。大阪府の積極的な姿勢は多としながら、現地で事情調査も行ってきました。開催能力については、もちろん大阪は国際的な都市ですし、会場や設営能力などについては何ら問題ありません。大体10項目にわたりチェックポイントを決めて検討をしてきましたが、国際会議ですので、参加国に対して国際的にアピールできる条件をどちらが持っているかということ、また、会議開催の経験、知見を考えますと、愛知万博は環境をテーマに開催しましたし、ラムサール条約における藤前干潟の保存も行っています。国際的にもそうした場所も見てもらいながら、生物多様性の問題について参加各国へアピールするということについては名古屋市の方が一歩進んでいる、ふさわしいという判断をしたということです。

(問)事務所費の件についてはどう思われますか。

(答)私は、会館に事務所を置いていませんから。

(問)では、特にそういうものはないということですか。

(答)そうです。

(問)国会で審議されると思うのですが、そういったものをきちんと個別に証明していくべきという話がありますが、これについてはどうお考えでしょうか。

(答) 私自身は、積極的な関心を持っているわけではありませんし、新聞報道を見ている限りです。資金関係の事務処理について、特段不都合に感じていることは、私自身は何もありません。それを更に処理しやすいように明確にすることを立法上措置をするというのであれば、それは結構なことだと思います。いわば区分けの問題でしょう。その区分けが不明確だと、人によって政治活動費の方に振ったり、あるいは事務所費の方に振ったりと、解釈でぶれがあるということが問題になっているようで、そのぶれがないように法制上きちんとしておいた方がいいというのは、それはそうだと思います。

(問) 水俣病についてですが、認定審査会が再開するということで、ずっと膠着状態だったものが前に進んだのは歓迎すべき話だと思われていると思いますが、さらに一歩進んで、その次の大きな課題はいくつもあると思いますが、大臣の御認識として次はどのようなことが大きな課題としてあるとお考えになりますか。

(答) 予算上調査することになっており、幅広く調査を行います。ただ調査をして引き延ばしをする、時間稼ぎをするというような意図は全くありません。これは次の救済策をどうするかという意識で調査を行いますので、救済策を立案するのに有効な調査設計をして、調査の結果をいかしていきたいと思っています。

(問)特にその中で何かお考えはありますか。

(答)まずは調査をきちんとするということです。

(問) 認定審査会が動くといっても、年間の作業能力は非常に小さいわけで、熊本県だけで今3,000人という、千人規模でまだ滞留されています。非常に時間がかかり、頭が痛い話ではないかと思うのですがこれについてはいかがでしょうか。

(答) 審査会は審査会として動き出してもらうということで、調査は調査でもっと幅広く調査するわけです。一般的な調査とサンプル調査を組んで、深掘りした調査の設計を考えています。その深掘りした調査には医療関係の方々にも御協力いただかなければなりませんので、医療関係の方々との協力体制がここでできるという意味合いで、次期対策を考えていくために、我々としては力強い御協力だと思っています。

(以上)

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