環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成18年6月6日)

1.発言要旨
  おはようございます。
  今日の閣議ですが、一般案件が1件、国会提出案件が10件、法律の公布が4件、政令が3件でした。沖縄・北方、環境の主請議のものございません。
  公布には、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保に関する法律の一部を改正する法律が含まれています。
  閣議では、農村白書、防衛庁長官のシンガポール出張報告などがありました。
閣僚懇では、総務大臣から、福岡での地方分権に関してのタウンミーティングの報告がありました。
  以上です。

2.質疑応答
(問)環境とは直接関係ないのですが、村上ファンドについてお伺いします。
  昨日、村上代表が証取法違反で逮捕されましたが、この件についての御見解をお願いします。また、この逮捕事件とは直接関係ありませんが、村上ファンドのように物を言う株主が増えています。一方で、直接金融市場が広がって、個人マネーが企業に直接届くようになって、こういった流れ、大きな傾向が、環境にどういう影響を与えるか、この2点についてお伺いします。

(答)村上さんと個人的なつながりはありませんが、学校が灘で、私は甲南なので、近い地理的な関係なので、灘出身の彼がなあというような一般的な感想です。
  それから、昨日、環境と金融に関する懇談会を開いたのですが、私がキャスター時代に、スイスのアセットマネジメントだったと思いますが、そこの方で極めてまともな解説をされる澤上さんという方がいらっしゃいました。その方が澤上ファンドをやっていらっしゃってます。ただ儲けるというのではなく、志を持ったファンドをやっていらして、昨日の話では、8万人がそこに参加しているとのことでした。それもファンド購入者の多くが30代、40代だというのでびっくりしました。
  前から思っていますが、間接金融から直接金融の時代は当然の話で、タンス預金をやっている国はほとんどないですね。よほど政府が信じられないということでしょうが、タンス預金というのは、結局、金利とかに敏感でないことの現れでもあるし、かつて日銀には貯蓄増強委員会なるものがあって、いかに間接金融を進めてきたのかという歴史的な経緯もあります。これからは、運用が重要と考えられます。その中で、これまで1円でも多く儲けることを良しとするところが、このところ六本木ヒルズを中心に出ていて、それが原因で運用やファンドはダメだという烙印を押されるのはまずいと思っています。
  金融と環境に関する懇談会で議論いただいているのは、例えば環境を良くしたいと思っている人は世の中にかなりおられるわけで、その方々の意思をくんだファンドは、当然商品としてあり得るだろうということです。
  ファンドの形をとらなくても、例えば坂本龍一さんがやっておられるような風力発電を進める資金集めとか、昨日、私はデンマークの例を申し上げましたが、市民が集まって、風力発電や太陽光発電を進め、これに環境省が補助を出している例もあります。多分国民の多くの人たちは、自分のお金が使われることで、こんなに良いことがあったことを肌で感じたいと思うのです。昨今の、社保庁だ、何だかんだと、政府に関する問題点に、国民の怒りや不満が強いというのは、税金や社会保険を払っているのに、ちゃんとその見返りがあるのか、それで国が良くなるのかというのが見えないから、みんなイラだっているのであって、お金の使い道とその効果をみんな知りたいのです。ある意味では、環境ファンドは意外と作りやすくて、目に見える形で、例えば風力発電が、ただ見栄で建てるのではなく、ちゃんと回って、その分で地域の電気代がこれだけ減るとか何かあると、私はかなり日本全国にそういう流れができるルール設定をきちんとした形でやれば、お金に対してその目的と効果がわかりやすくなるのではないかと思っています。
  これまでクールビズ、風呂敷などでいろいろやってきましたが、SRIを含めて金融と環境のことは、環境大臣として、システムとして、意識改革として、きっちり仕上げたいと思っています。
堀江さんが出てきて、村上さんが出てきて、資金の運用ということにすごく目がいき、それに対していろいろな問題点もあったねと、多くの方が感じているところでしょうが、今度は逆に運用の仕方、運用のルールなどが、もっとクリアになっていくことは、この2件、また、投資事業組合も問題になったことなどを含めて残念ではありましたが、ある意味で運用の透明性であるとかあるべき姿とか、直接金融の世界というのがクリアな世界になってくれば、意味があるのではないかと思っています。
  それと、阪神タイガースファンはこれでまずは一安心したのではないかなと思います。

(問)村上ファンドの事件に関連して、2点質問させていただきたいのですが、1つは、村上氏側から政治献金を受けたことはありませんでしょうか。また、村上ファンドに資産運用を任せたことはありませんか。

(答)いずれもないです。

(問)アスベストについて、今日の神戸新聞で、環境省が、クボタから給付金を受け取った被害者についても補償、給付を出すという記事を書いているようですが、それが事実かどうかということと、もし事実であれば、その判断の根拠を教えていただきたいのですが。

(答)神戸新聞は読んでいませんが、朝日新聞で読みました。
これは政府が、実際の対策を出す前に、クボタが一応発表しておられました。そして、政府としての対応が定まった中でのクボタの動きというのは、結果的にお互い共鳴し合っている部分があると思います。クボタなどの救済金の支払いが損害のてん補に該当する場合は、法律に基づいての救済給付の支給と調整されるということですが、被害者の受給権保護の観点から、極めて慎重に検討する必要があります。環境省として、法学者の意見も聴きながら、今明らかになっている情報をもとに検討を進めたところ、救済金の支払いが損害のてん補であると判断するに足る、明確で確固たる事由を見出すには至っておりません。そのため、現時点では、クボタなどが行う救済金の支払いと今回の法律に基づく救済給付の支給との調整は行わないことが適当であると考えています。ただ、最終的な判断については、救済金の支払いに当たって、当事者間でどのようなやり取りが行われたかなどに応じて個別に判断されるべきであるので、今後は具体的な案件に応じて決定することになると思います。

(問)海外経済協力会議が開かれたと思いますが、大臣も出席されたと伺っております。やはり今問題なのは、対中国の金融再開だと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。

(答)今日の会議は、官房長官がその内容については一任という形で御報告があろうかと思います。対中国で言うならば、環境の分野が、額的にも件数的にもODAの占める割合が多い、一方で、中国の環境問題はとても深刻であって、中国政府自身、それは認識をしているということです。我が国としてどうあるべきか、これから政府全体として検討していくということです。そして検討するには十分大きな課題だと私は思っています。

(問)来月のサミットですが、エネルギーサミットというようにも言われていますが、環境省として、何かその場で重要な案件はあるのでしょうか。

(答)ロシアが今回のホスト国であり、エネルギーに熱心ということはわかりますが、環境については、昨年ですとイギリスがホスト国であって、そのための環境大臣会合が開かれましたが、今回ロシアがホストの順番にあって、環境大臣会合という形の明確なものは残念ながら開かれませんでした。
  エネルギー、安全保障、教育、感染症といったテーマが主要議題と聞いており、今後、シェルパが詰めていくという段階にあるようですが、広く環境についても触れてもらえるよう期待するところです。環境省から誰を送るかについては、今のところ未定です。

(以    上)