環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年9月21日)

1.質疑応答
(問)今回、激戦を終えての再任ということになりました。まずは、再任の抱負を伺えればと思います。

(答)環境大臣としては4回目の任命になり、沖縄・北方担当大臣は、文字どおりの再任になります。
  今日、本会議場に参りまして、今回の総選挙で、いかに自公が大勝利を収めたか、国会の議席の勢力図を体感して、むしろ責任の重さを実感いたしました。
  環境問題についても、また沖縄、北方領土問題についても、国民の皆様方から、今回、たくさんの議席を頂戴し、改革の後押しをしていただいたわけですから、なすべきことは迅速にやりたいと思います。
  今回の総選挙において、小泉自民党が訴えてきたのは、郵政の民営化が改革の本丸であると象徴されるように、構造改革への国民の皆様方からの大いなるエールだったと思います。その意味で、例えば民にできることは民にという、総理のスローガンがありますが、構造改革をあらゆる観点から進め、スピードを速めていくという責任を今回強く感じたところです。そんな思いを抱きながら、今日の認証式に臨みました。もう4回目ですが、陛下の前になると、どうも緊張して足がもつれてしまいます。

(問)ちょうど丸2年の節目でもあるということで、2年間の総括はいかがでしょうか。自己採点するなり、あるいは反省点もあるなら、お聞かせ下さい。

(答)採点は、むしろ皆さんがしてくださることだと思います。
総括については、どれぐらい答えられるかわかりませんが、例えば、クールビズは、地球温暖化防止に対して、国民の皆様方が参加してくださり、意識を高めていただくと同時に、電力消費が、実際に削減されてきています。前からクールビズでホットな経済をと申し上げていたのが、CO2の削減という本来の目的と個人消費の火付け役ともなり、まさにそのとおりになっています。何よりも、日本の男性社会において、サラリーマンを中心として必需品であるネクタイと名刺が、ネクタイの部分を夏の間でも切り崩しました。冬は、ウォームビズでネクタイは推奨させていただいておりますが、こうあるべしという日本のがちがちに固まった社会の意識を変えたことでは、今年のクールビズ導入は、大きな成果があったと大変手応えを感じています。
  来年、再来年とクールビズが進化し、2008年に定着することを目指していると前からも申し上げております。これは京都議定書が、2008年からスタートする年ですので、元来の意味である地球温暖化対策を、国民の皆さんに参加してもらって進めるという大きな目的にかなっていると思います。
  政策というのはまず大義があり、そして、そうだと思う共感があって、初めて有効なものになると思います。クールビズは、大義は地球温暖化防止です。共感というのは「暑いよね、もっと楽になりたいよね」ということ。これは男性側。それから女性側は「こんなに夏暑いのに、オフィスの中でどうして震えなくちゃいけないの」ということに対して、ネクタイを1本取る、上着を取る、冷房温度を変えることによって、「楽になったじゃない」という共感が相まって、本来の大義がいい方向に進んでいると思います。
  今回の総選挙での郵政民営化で思いましたが、大義は改革の本丸とか、構造改革の1丁目1番地ということを言われましたが、共感の部分が最初はありませんでした。むしろ郵便局がなくなるという反対派の人たちに対しての共感の方が強かったと思います。それが、総理の記者会見や、私を含めての今回の選挙戦などが、共感につながっていったことによって、本来の大義が、この期間中に達成されたと思います。
  環境大臣として他の部分で申し上げると、知床の自然世界遺産への登録、それをターゲットにした上で、エコツーリズムの定義付けから、その正しい運営方法を定めてきました。もう一つは、アクティブレンジャーの制度をつくることによって、自然保護官のバックアップシステムができてきました。また、ブラックバスの問題で、私自身が決断させていただいたこともあろうかと思います。
  これからの問題とすれば、やはりアスベストです。閣議の場で、アスベスト問題の取組について、縦割り行政のままではいけないと、関係閣僚会議を提唱しました。今、政府としてスピード感を持って当たっていますが、その先鞭をつけたのかなとも考えています。
  環境問題を2年間やると、国際会議の場でも各国の代表と自己紹介なく本論に入ることができます。また、この国のこの大臣にお願いするとこう変わっていくという戦略戦術が描けるので、大臣の長い任期は、小泉改革のもう一つの大きな成果ではないかと私は思います。
  他にも、循環型社会の構築や水俣など、いろいろなことを手がけました。既に成果を上げているもの、上げつつあるもの、これからのもの、それらを一つ一つスピード感を持って、これからも対応していきたいと思います。

(問)11月にも人事という前提があるので、限られた期間、ある種の卒業というか最後の総仕上げも兼ねてという時期になるのかと思います。今後、場合によっては選択と集中の期間、あるいは特に重点的にということになると思いますが、その辺は、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(答)来年の通常国会に向け、アスベスト対策に新法で臨むことは、かなり力の要ることですから、これについて、重点的な対応をしていくというのが1点です。
  それから今年の11月に、カナダのモントリオールで開催されるCOP11では、MOP1が同時に開かれます。つまり京都議定書が批准されて以降の初めての会議になるので、地球温暖化に対する日本の役割も十分考えながら、これに臨んでいきたいと思います。
  国内的には、この地球温暖化対策を進めるに当たって、必要な措置である環境税導入を進めることも大きなテーマだと思います。既に経済界が反対ののろしを上げていますが、私は、地球温暖化を防止する観点から環境税は必要だと思います。頭を柔軟にし、環境税の実現に取り組みたいと思います。むしろ経済界から一緒にやろうという方向性が出るような形のものにしたいと思います。

(問)週刊誌など、最近、大臣の話題が出ない日はないぐらい、いろいろ取り上げられていて、大分不愉快な思いをされているようですが、逆に環境行政への注目につながるという意味では、悪いことではないのかなと私は感じていますが。

(答)両方書いてくれればいいのですけど、私の身の上環境の方ばっかりでは・・・。
  今回の選挙戦も、私は選挙カーにハイブリッドカーを使ったり、着るものはグリーン、エコを意識したり、また沖縄のかりゆしを着たり、打ち水も各地でやりました。選挙戦というキャンペーンは、単に選挙だけではなく、私は現職の環境大臣ですので、その間注目されているときに、できるだけ環境についてのメッセージが伝わればいいなという思いでいろいろと知恵を絞りました。そういうことが、いろいろなところでキャリーされるということはうれしく思います。

(問)今度、オタワに行くことが決まったわけですが、ここには、皆さん見知ったメンバーが集まると思います。COP/MOP本番に向けて、大臣なりのお考えをお聞かせ下さい。

(答)議長国であるカナダも、どのようなイニシアティブをとっていこうかと、まだ暗中模索の部分があると思います。いろいろな難しい問題もあろうかと思います。
  そういった中で、実際にこれまでも事務方や、書面などで色々とすり合わせはしていますが、生身でそれぞれの責任者が顔を合わせることは重要なことだと思います。カナダのディオン環境大臣が、このCOP/MOPの会合を後ろ向きではなくて一歩でも二歩でも前に進め、成功裏に終わらせられるようなバックアップを日本としてやっていきたいと思います。11月のモントリオールの本番の前に設定をされているという意味合いも十分理解し、すべての国々が参加でき、かといって目的、効果は確保された形のものについての方向性などについて、日本として述べていきたいと思います。
  ドイツのトリッテン大臣が来ると聞いていますが、彼は緑の党ですから、今、ドイツは連立を組むのにどっちにつくか、これは別に環境とは関係なく、実際彼自身が来たならば、聞いてみたいと思います。

(問)日本の役割は、どういう想定になるとお考えでしょうか。

(答)京都議定書を批准している、かつ採択されたときの議長国として日本の役割は、極めて大きいと思います。ポスト京都が既に視野に入っている段階ですから、それを前へ進ませるためには、どのようにして京都議定書に対しての賛同をより多くの国々から得ることができるのか、その説得と、新たなるアイデアなども含めて提案もしていきたいと思います。
  最近は、日本でも去年、今年、台風がより激甚化、巨大化して、その被害たるや甚大なものがあります。目を転じれば、ヨーロッパについても去年と同じようにポルトガルの森林火災、それからアメリカのハリケーンなど、地球温暖化との関係の科学的な証明はなかなか難しいですが、多くの人々は地球に異変があるのではないかという思いを抱いているわけで、こういった点も、日本として今後とも指摘したいと思います。

(問)沖縄担当相としての総括と、在日米軍再編協議の対応を含めた今後の課題について聞かせてください。

(答)沖縄担当大臣として、実際に沖縄に公式には6回足を運びました。できるだけ多くの離島にも足を運んできたつもりです。これまでの成果ということで言うと、さっきのクールビズに関連すれば、かりゆしを全国的に印象づけたということと、実際に販売を驚異的に伸ばしたということで、これからますますこの沖縄のかりゆしがクールビズの一環としてさらに全国に定着すると、全体をマーケットにできるようにしていきたいと思っています。
  それから、美ら島ブランド委員会も一つ大きなコンセプトづくりができましたので、それをどうやってこれから具現化していくのか、沖縄県の実際の美ら島の皆さんと連携をしながら進めていきたいと思っております。
  また、E3の関連で、エタノールの関係で、さとうきびとの兼ね合わせで新たなエネルギーの実験をするという、これも環境絡みとして、環境大臣と沖縄担当大臣も兼ねているという利点も発揮できた部分はあろうかと思っています。
  米軍再編問題については、今回、この大きな選挙が終わって、そしてアメリカ側も、よりこれからラストスパートをかけていこうかという、そういう段階に入ってきたと思います。やはり沖縄の負担の軽減という大きなテーマについては、これからも引き続き沖縄担当大臣としてそれをサポートしていきますし、また、例の6カ国協議も一方で進んでおります。さまざまな東アジア情勢なども刻々といろいろな変化を見せてきている。日本としての抑止力の確保が大前提ではありますけれども、今、申し上げましたようなこれからの米軍再編の仕上げの時期において、私としてもサポートをしていきたいというふうに思っています。

(問)具体的にそのサポートというのは、どういったことでしょうか、負担軽減について。

(答)負担軽減については、これはまさに当局の方々が話をしておられるところであります。それについて沖縄の気持ちを常に伝えるという役割が私でありますので、交渉そのものに関わるわけではありません。

(問)環境大臣政務官に竹下さんが決まったと思いますが、起用の理由と、どのような役割を期待するか、お聞かせ下さい。

(答)竹下先生は、自民党でも衆議院でも、環境分野で大きな役割を果たしてくださって、これまでも環境省として随分頼りにしてきた方です。これから地球温暖化、循環型社会の構築、また環境税という大きなテーマを進めるに当たり、自民党の中の環境問題に実際に関わってこられた竹下先生が政務官として加わってくださるのは、大変大きな力を得たと思っています。

(問)先ほど、大臣を長くやられることの利点をおっしゃっていましたが、長くやることについて、小泉総理大臣に何かご意見されたということはあったのでしょうか。

(答)それはありません。小泉総理が総理になる前、もしくはなった時、私は国対をやっていたので、できるだけ総理は長くやられた方がいいですよと進言したことはあります。ご本人が覚えているかどうかはわかりません。長くやることは、その分恨みも買うわけですが、省内のいろいろな動きであるとか、自らが関与、陣頭指揮をとった予算の執行状況を自分で確認するとか、なおかつ、ここをもっと強めようとか、ここは余り効果がなかったとか、そういうことができるのは、本来どこの国でもやっていることができるのはありがたいと思います。

(問)郵政法案の成立後も、また環境大臣をやりたいと。

(答)環境問題にずっと絡んで、私は大変楽しく仕事をし、環境省も庁から省に格上げされ、これからというときに、私自身のいろいろなアイデアなどに職員の皆さんは、最初は面食らった部分がたくさんあると思いますが、意欲的に取り組んでくれて、環境省ここにありというのが大分大きくなってきたのではないかなと思います。
  環境省は、別に規模とかではなく、21世紀において、より重きを置かれる役所であってほしいし、また、それを念頭にしてこれまで仕事をしてきたつもりです。


(以    上)