環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年7月12日)

1.発言要旨
  本日の閣議ですが、国会提出案件が2件、公布が2件、政令が3件、沖縄・北方、環境関連はございません。
  閣議では、天文衛星の話、G8、G4それぞれの報告がありました。それから私から、今回の北方領土訪問についての報告をさせていただきました。
  閣僚懇では、ロンドンのテロに関しての総理の御発言がございました。これからテロ対策をしっかりやるということと、今回のロンドンにおける被害者、犠牲者の方々に対してのお悔やみがその中身であります。
  私から2点、環境関係でお伝えをしておきます。
  まず、7月6日から8日までのグレンイーグルズG8サミットでありますが、会合は7日の朝にロンドン市内でテロが起こったため、途中でブレア首相がロンドンに帰還されるということで、非常事態の中での会議となったわけです。私の方からも被害に遭われた方々、御家族にお見舞いを申し上げたいと思います。
  そうやって、スケジュールがかなり凝縮される中で、2つのテーマ、気候変動問題とアフリカ問題が語られたわけです。気候変動問題では、3つ進展があったと認識しております。
  1つは、科学についての認識を共有したということ。2つ目が、具体的な行動についての前進があったこと。そして3つ目が、中国、インドなど新興経済諸国とのパートナーシップの強化について進展があったことだと考えております。
  この中で、我が国は、気候変動問題への取組、3Rイニシアティブの推進、そして違法伐採への対応を含む日本政府の気候変動イニシアティブを発表するなど、リーダーシップを発揮したと考えております。
  今回の成果については、いわゆるポスト京都、次期枠組み交渉などに直ちにつながるものではありませんけれども、気候変動問題に対しての世界的な取組を進めていく上で前進があったと考えております。この成果がさらに実りあるものとなるように、今回会合で合意された行動計画の実施、そして対話の推進などに向けて、今後とも我が国として積極的に貢献をしていきたいと考えております。
  それから、もう1点がアスベスト関連です。
  御承知のように、関係省庁が連携して対応していく必要があることから、先だって閣僚懇の場において私も発言させていただきました。早速その体制がとられて、アスベスト問題に対しての関係省庁会議が開かれております。
  7月8日に行われた第3回の関係省庁会議の結果を受けて、7月11日、昨日ですが、石綿・アスベスト問題への対応が正式に合意されました。これについては、後ほど皆さんに資料をお配りさせていただきます。
  この合意の中身は3つあります。まず実態調査・報告を通じて情報を共有するということ。2つ目が、健康相談窓口を開設するということ、これは保健所になります。3つ目が、大気汚染防止法、労働安全衛生法などに基づく規制的な措置、それから労災補償などのこれまでの対策の徹底についての点検などを各省が連携・協力して進めていくこと、こういった内容がまとめられたところです。
  環境省として、これを踏まえまして、今日にも都道府県知事、保健所設置市長などに通知を出します。そして健康相談の受付をお願いする予定としております。
  また、大気汚染防止法に基づくアスベストの大気環境中への飛散防止対策の徹底、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃アスベストの適正処理の徹底についても、同時に通知を出す予定であります。
  私からは以上です。

2.質疑応答
(問)アスベスト問題についての実態調査というのは、もう少し具体的に言うとどういう中身になるのでしょうか。

(答)例えば経済産業省で石綿を作ってきた工場などについての実態を調査しておりますし、また労災ということでも、これまでも厚生労働省が調査しております。基本的に、これは厚生労働省と経済産業省による事業所への立入調査、それから業界団体を通じた調査などの実施ということであります。それぞれの担当の省庁で必要な調査が行われるものと考えておりますし、既に行ったところもあろうかと思いますけれども、ここは、情報を共有することが一番の大きなポイントではないかと考えております。

(問)その件について、事業所や労災などについては、もともとデータがありますし、ほかの省庁が担当することだと思うのですけれども、特に一般住民の影響を考えるときに、人口動態統計などでは中皮腫による死者は、かなりの数にのぼっているようなのですが、環境省として、住民に被害が出ているかどうかということなどについて、特に何か実態調査を行うのでしょうか。

(答)さまざまな検討を進めていきたいと思っております。

(問)北方領土の訪問の件ですけれども、今回の訪問の成果と、プーチン大統領の来日の日取りも決まりましたので、それに向けて今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせ下さい。

(答)いわゆるビザなし交流で、実際に私自身がそこに加わって現地に行って感じたことは、平成4年から毎年行われてきたこのビザなし交流というのが大きな成果を上げているということです。
  訪問団とロシア人住民との間での率直な意見を出し合い、それからホームビジットで、まさに島民の方々と直接をお話しして彼らの感覚を聞くことができました。私は今回が初めての訪問ですけれども、ずっと定点観測しておられる方のお話によると、最初はやはり大変なぎくしゃくがあり、何で来たのだ、自分たちの生活がこれで壊れるのではないだろうか、といった不安があって、なかなか対話や交流にならなかったということです。
  それが今や率直に意見交換ができ、この点が不安であるとか、これはどうなるのかといったような、例えば私が参りましたホームビジットでも、年金はどうなるのだろうかとか、具体的にいろいろな話が出てまいりました。このように何に対して不安を抱いているのか、どういうことを日本に期待しているのかということが直接わかったということは、私としても現地に行った意義は非常に高かったと思っております。
  ですから、このビザなし交流というのは、非常に重要な役回りを演じていると思っております。
  それから、特に今回は、択捉島にあります紗那という地域に日本の建築した建物が2つ残っておりまして、択捉水産会事務所と、それからもう一つ、紗那の郵便局に訪問いたしました。
  水産会事務所の方は、かなり老朽化して、しっかり建っているのですけれども、余り中にどっと入っていくと床が抜けるのではないかということで、外から見るだけにとどめたのですが、紗那の郵便局は、今も現役の郵便局として使われておりました。
  今回、訪問団で御一緒した元島民の長谷川さんは、60年前の8月15日まではそこで働いていて、貯金係をしていたそうです。今回、自分が座っていたいすに60年ぶりに座って非常に感無量といったところを見るにつけ、この60年間の時の流れの速さと同時に、これからの訪日が決まっているプーチン大統領との日露首脳会談に向けて、やはりこういった方々の思いに応えてあげられるように、私としても、今後、啓発運動をさらに加速させていきたいというふうに思っております。
  ただ、ずっと船でしたので、今も何となく体がふわっと揺れている感じで、何となく落ち着かないですね。船酔いというのではないんですけれども、何となく揺れている感じで。

(問)茨城の神栖町の毒ガスというか有機砒素の問題で、健康被害を訴えていらっしゃる住民の方が、来月、告訴状を提出するというようなことをおっしゃっていることについて、一方で国側の対応に焦れてというところがあろうかと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。

(答)これは、コンクリートを投棄した者であるとか、それから埋め戻しに関わった業者、今回そういった方々が告訴の対象になっているわけでありますけれども、住民の方はやはり不安を感じておられるということにほかならないと思います。
  環境省としては、不法投棄なのだから、そこからは何もやらないということではなくて、引き続き健康調査などについては、今後とも変わることなくやってまいりたいと考えておりますし、また、そういった形で住民の方々の不安に応えていきたいと思っております。

(問)沖縄では、今朝から都市型戦闘訓練施設で銃声が聞こえているということで、訓練が開始されたのかなと思うのですけれども、その報告は大臣の方に入っていますか。

(答)報告は来ておりません。
  訓練が開始されたかどうかは未確認です。ただ、6月27日以降の訓練開始ということで、既に米側からの連絡があったということでありまして、確認とれておりませんけれども、これは以前から申し上げている通り、米側において、地元の方々のお気持ちに配慮して、安全にはくれぐれも注意をしていただきたいと、このように考えておるところであります。

(以上)