環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年7月1日)

1.発言要旨
 おはようございます。
 本日の閣議は、一般案件が1件、国会提出案件が5件、公布が5件、政令3件、配布4件、環境、沖・北関連はございませんでした。
 閣議で中川経済産業大臣から白書の話がありました。南野法務大臣から、7月は法務関係の月間であると話がございました。そして、ITERの報告もありました。
 閣僚懇で、棚橋科学技術担当大臣から、前の閣僚懇での小泉総理からの雨を降らせる技術はないのかという質問に対しての科学技術的な可能性について話がありました。そもそも雲がないと何をしても雨は降らないということから、技術的な可能性はいくつかあるが、うまくいくかどうかわからないという話でした。渇水対策として技術的に雨を降らせるという発言の後に、村田防災担当大臣から、今の豪雨の状況について報告がございました。
 私から閣僚懇の中で、尼崎の石綿の問題について、クボタがいろいろ対応をされていますが、今後クボタだけではなくて、この石綿、アスベストの問題は、建物の老朽化に伴っての解体作業などもあり、既にさまざまな規制をかけておりますが、今後の不安を取り除く意味もかねて、関係省庁がきっちりと連携をして今後の不安防止、必要な対策で連携をとるべきではないかと提案させていただきました。
 クボタについては、労災関係のこともあろうかと思いますので、厚生労働省とよく相談し、連携をとりながらやっていこうと、私は考えております。そのようなことを閣僚懇で申し上げたところです。
 それから、麻生総務大臣から5月の全国完全失業率の報告がございました。全国は4.4%。沖縄県の5月完全失業率は7.8%で、前月比で0.5ポイントの上昇ということですが、前年同月比0.1ポイントの低下。尾辻厚生労働大臣からは、5月の全国の有効求人倍率0.94倍という報告がありました。沖縄県については、5月は0.45倍、前月比で0.01ポイント、前年同月比で0.06ポイントそれぞれ上昇ということです。
 一言で言うと、まだら模様というか、急に良くもなっていないし、悪くもなっていないという踊り場的な状況ではないかと思っております。
 私からですが、4月に3Rイニシアチブ閣僚会合を開いたわけですけれども、バーゼル条約関連でE-waste(電気電子機器廃棄物)対策の必要性が3Rの会議のときにも確認されました。
 バーゼル条約事務局では、アジア太平洋地域でのE-wasteを最小限化すること、資源の有効再利用、さらには環境上適正な処理を確実にすることを目的としたプロジェクトを、2005年から2008年の期間で実施することとしており、3R閣僚会合に先立って、日本に対して、協力を求めてこられたところであります。
 日本としても、中古利用目的も含めて相当数の電子・電機機器を途上国向けにも輸出をしております。そういった意味で、当事国としてE-waste問題に取り組む必要もあろうかと考えまして、プロジェクトのキックオフとなるワークショップを環境省がホストして東京で開催したいと考えています。平成17年11月21日の週の後半、2、3日をかけて開きたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答
(問)アスベストの問題ですけれども、大臣の地元ということもあって、改めて感想と、今後の方針を具体的にクボタのことに関連してお願いしたいんですが。

(答)クボタの件については、環境省の部局でクボタと兵庫県の担当者から、電話で報告を受けております。事実関係を把握していくというのがまず第1段階であります。
 実際に、クボタの責任者の方から直接、状況把握のためにお話を伺い、事実確認を踏まえた上で、環境省としてどういう対応をしていくかを考えたいと思っています。
 できるだけ早い方がいいと思いますので、来週早々にもクボタの担当者の方には上京していただこうと思っています。
 また同時に、兵庫県の担当者の方とも連絡を取り合っています。まずは事実確認が重要と思っています。
 それから、石綿の問題で、私は、以前からラルフ・ネーダーさんと友達で、彼が自動車産業の次に、石綿、アスベストの問題をとらえて、大統領選まで出るわけですけれども、この問題は使い勝手のよさと後始末が大変ということが共通しているわけです。石綿の問題については、解体工事なども含めて、どのようにして不安を起こさないかを総合的に見ていきたいと思います。
 基本的な規制の問題や解体作業をするときの注意事項等は、既に存在していると聞いていますが、一度これを総合的にとらえた方がいいのではないかと私は考えています。

(問)被害に遭われたとされる地域の住民ですけれども、いわゆる公害として認定してほしいというようなことを主張されているようですが、いかがお考えでしょうか。

(答)今回、住民の方3人にクボタが対応されていると伺っていますが、どのような環境の状況にあって、クボタが結論を出されたのかも含めて、聞きたいと思っています。
 また、環境省で言うと公健法があり、その対象は相当範囲にわたる著しい大気汚染などの影響による疾病に対して汚染原因者の負担による補償給付を行うことが、この法律の骨子でありますけれども、今回のアスベストでの周辺住民への健康被害の問題について、先ほどから申し上げていますけれども、基本的な情報収集を行った上で、必要に応じて、法の趣旨に合致するのかどうかを慎重に見定める必要があろうかと思っています。

(問)このアスベストの問題ですけれども、これまで環境省は余り自分のマターというよりも、もう少し労災とかそういうところでとらえ方が多かったと思うんですけれども、今日、大臣が各省庁に連携を呼びかけたときの、その他の省庁の反応はどうだったんですか。

(答)それぞれうなずいておられました。厚生労働大臣とは直接お話しましたが、例えば調査をする際もダブらないよう、うまく情報を共有していくような形をしていけばどうか、そこは連携とりましょうねということで私からお話をしています。

(問)特に環境省としては、どこと連携してというところはあるんでしょうか。

(答)まずはクボタです。クボタは今回、労災でこれまでいろいろなことをやってこられました。プラス周辺の住民の方ということで、範囲を広げておられるわけです。いずれにしても、まだ事実関係よくわかりません。ですから、そのあたりはきっちりと正しい情報をクボタから伺うということになろうかと思います。
 ちなみに兵庫県の報告で、クボタの工場には規制対象施設が設置されていましたけれども、平成7年に既に廃止されました。その前の平成2年6月に兵庫県がこの工場に立入りをして、敷地境界の4カ所で濃度測定をしています。
 そのときのアスベスト濃度が0.33から0.73本/L、敷地境界基準を大きく下回っていたということ。それから環境省が平成7年度に全国調査ですけれども、環境大気中のアスベストモニタリング調査を行った結果では、アスベスト製品事業所などの散在地域で0.26本/L、道路沿線で0.33本/L、住宅、商工業、農業地域で0.18本/L、全体で0.28本/Lということです。敷地境界での濃度基準はリッターで10本とされていますけれども、平成7年のアスベストモニタリングでは大幅に下回っているという調査結果が出ています。
 いずれにしても事実関係をきっちりとらえるということで、関係のあるところに事情を聞くことから始めたいと思っています。

(問)神栖町の調査報告書がまとまりまして、大臣はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

(答)今回の神栖のことについては、これまで住民の方々も大変不安に思ってこられて、ずっと掘り続けていたらコンクリートのような塊が出てきたということで、こういった流れを踏まえて、これまでの調査や実態などの集約整理をして中間報告書を取りまとめたということです。
 その中で、別の汚染源が存在する可能性というのは完全に否定することはできません。しかし、投棄されたコンクリートのような塊が神栖地域の地下水汚染の汚染源である可能性は高いということが整理できたわけです。ただ、汚染メカニズムが完全に解明されたとは思っておりません。あくまでも中間報告だと考えておりまして、これからもその汚染メカニズムの解明の取組については継続していきたい。また健康被害対策として実施している緊急措置事業ですけれども、これについては引き続き着実に実施をしていきたいと思っていますので、その点で住民の皆さんが不安にお感じになることは避けたいと思っています。
 いずれにしても報告書は公表しましたけれども、健康被害対策、汚染メカニズムの解明については、引き続き最大限の努力は続けていきたいと思っております。

(問)コンクリートを一体だれが捨てたのかというような事実解明の部分については、何としても続けて廃棄物処理法ということで行政の手法で事実解明するということなんですが、おのずから限界が、見えるかと思うんですが、その辺についていかがでしょうか。

(答)これまでの調査は引き続き行いますが、だれが捨てたのかについては、茨城県警と連携をして進めていきたいと思っております。時効の壁とかあるようですけれども、住民の方々の安心を得るためには時効はないので、茨城県警にも調査の継続、捜索ということにしっかりと対応してもらえるように、これからもお願いしていきたいと思っています。

(問)先ほどの関係省庁で連携をとるようなことをおっしゃっていたんですけれども、今回の省庁連絡会議とかそういった予定とかはもう決まっているんでしょうか。

(答)今回は閣僚懇で自由に話させていただきました。ぜひそういった形がとれるように、これから事務方で話をしていただきたいと思っています。

(問)全く話が違うのですけれども、大臣が環境庁長官と環境大臣、通しで在務期間が最長になったという話を聞いたんですが、御感想を。

(答)あっという間の1年9カ月で、環境大臣として最も長いということを聞いて、びっくりしているぐらいです。ただ、私は1年9カ月させていただいて思うのは、予算案を作って、執行して、うまく活用して効果が出ているのか、思ったような効果を上げていないのか、そういった計画、立案、実施そしてチェックと、まさにPDCAサイクル、これが俯瞰できることについて、この1年9カ月という時間を与えられたことはよかったと、ありがたいと思っています。
 また、環境行政というのは、継続してやっていかなければならないことが多いので、その意味でこの時間を与えてもらっている、その時間を有効に大臣として使って、より効果的な環境行政ができるようにしていきたいと思っています。
 やはり、小泉改革の中の一つで、その分、回転が悪いと思われるかもしれませんけれども、時間を与えていただいている分、仕事ができているのではないかと思っています。ただ長ければいいわけではないので、その中ではしっかりメリハリをつけた形でこれまでも取り組んできましたし、これからどれくらい時間を頂戴できるかわかりませんけれども、大臣である間にやるべきことはやっていきたいと思っています。

(問)石綿の話に戻るのですが、あの事件について環境省に第一報が入ったというか、それか第一情報を入手されたのは、昨日の報道からでしょうか。

(答)事務方にいつ入ったかは、承知をしておりません。ただ私の友人がずっとあれを追っているんです。朝日放送の石高さんという方がやっていて、そこから若干情報は私自身には来ておりました。
 石高さんは、北朝鮮の問題もずっと一緒にやってきている仲間ですけれども、そういった調査報道のベテランです。

(以上)