環境省大臣記者会見・談話等


-水俣病関西訴訟最高裁判決に係る「環境大臣談話」-(平成16年10月15日)

 本日、水俣病に関する損害賠償請求訴訟として唯一継続していた、いわゆる水俣病関西訴訟について、最高裁判所の判決が言い渡されました。判決では、一部原告による国、熊本県に対する請求は棄却されたものの、国及び熊本県には、いわゆる水質二法及び熊本県漁業調整規則に基づいて対策を講じる義務があったにも関わらず、それを怠った責任があるとされました。

 私は、この判決を厳粛に受け止め、水俣病を発生させた企業への対応に長期間を要しその被害の拡大を防止できなかったことについて真摯に反省し、このような悲惨な公害を決して再び繰り返してはならないとの決意を新たにしております。また、苦しみと無念の思いの中で亡くなられた方々に改めて深い哀悼の念をささげ、本訴訟の当事者の方々をはじめ、多年にわたり筆舌に尽くしがたい苦悩を強いられてこられた多くの方々に対し、誠に申し訳ないという気持ちで一杯であります。

 水俣病問題に関しては、平成7年の与党三党による政治解決により、高度の政治的判断の下で最終的かつ全面的な解決が図られ、多くの方々が苦渋の決断によりこれを受け入れられました。政府としては、この大変に重みのある政治解決に沿って、長きにわたり心身の労苦を堪え忍んでこられた方々が地域社会の中で心豊かに安心して暮らしていけるようにすることが、行政の責務であると考えています。このため、将来にわたって、水俣病総合対策医療事業やチッソ支援を含む地域振興のための施策を着実に実施するとともに、「もやい直し」などの水俣病の関係地域の再生と融和に向けた取組を支援してまいります。

 同時に、これからも水俣病の教訓を後世に伝え続け、日本で、そして世界で二度とこのような悲惨な公害が起きないようにすることが政府の使命です。再来年には、水俣病が公式に発見されてから50周年を迎えます。この機会に、改めて水俣病の教訓を国内外に発信してまいります。