環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年12月5日)

(大臣)閣議の御報告をさせていただきます。一般案件1件、国会提出案件2件、政令案件が17件、人事が、私の海外出張を含め3件、叙位・叙勲がありまして、ここで今回のイラクの奥さん、井ノ上さんの叙位・叙勲が決まりました。
 私の方からの御報告ですが、御承知のように、気候変動枠組条約第9回締約国会議が、1日から始まっています。閣僚級会合が、10日,11日の両日に開かれることになっておりますので、私自身、イタリアのミラノにまいります。今回は、京都議定書の早期発効、そして、条約や議定書に基づく取組を国内で進めることの重要性を訴えてまいりたいと思います。それから、そのCOP9の閣僚級会合が終わりましたら、中国の北京にまいります。これは、13日(土)・14日(日)に開催される第5回日中韓三カ国環境大臣会合に出席するためです。中国は、解振華(シエ・ゼンホア)国家環境保護総局長、そして、韓国は、韓明淑(ハン・ミョンスク)環境部長官とお会いする予定となっておりまして、こちらでは、気候変動問題等の地球環境問題、その他、地域的には、黄砂、酸性雨、海洋汚染など北東アジア地域の環境問題に、今後3ヶ月でどう取り組んでいくかを議論してまいります。韓国の代表とは、ミラノでも御一緒することになっております。 
 私からは、以上です。

(質問)ロシアの高官が、京都議定書について否定的な発言をされたり、一方では、また、別の方が、今までの流れ通りだという風に発言されてますが、このCOP9に併せてのロシア側の一連の発言について、どのようにお考えでしょうか。
(大臣)前にいったり、後ろに下がったり、その日によって発言が異なっているということで、日本の受け止め方は、基本的には、何も変わっておりません。まだまだ決まってないということもあるのでしょうし、また、間もなく下院議員選挙も開かれるというなかで、決められないというような事情もあって、聞く人によって、発言が異なっているのではないかと思います。


(質問)先日、大阪で温暖化対策税に関する集いに出席されて、一般の方達と意見交換されたと思いますが、その感想と今後の議論の進め方についてお考えがあれば、教えて下さい。
(大臣)パネリストの皆さま方も、明確にそれぞれの意見を述べていただきましたし、また、一般の参加者の方々も、大変環境問題に熱心に取り組んでおられる方、私どもが、案として説明させていただいた環境税についての考え方等直接の対話ができて良かったと思っております。また、こういうことを通じて、関心が高まっていくことが、私どもが望むところですし、また、各地で続けてまいりたいと思っています。


(質問)COP9についてですが、大臣として出席されて、改めてどういったことを、特に日本として訴えていかれるのか、それと、ロシアとのバイの会談が予定されているのかどうか、その辺りのことをお願いします。
(大臣)御承知の通り、京都議定書の早期発効を日本が言わずして、どこが言うのだということですから、それを、貫いてまいりたいと思いますが、一方で今後のことも含めて幅広な会話、対話ができるように、今、おっしゃったバイの会談を含めて、各国の責任者の方々と人間的な関係も構築すると共に、積極的に日本の立場を述べ、そして、相手側の考え方なども伺っていきたいと思っています。ロシアとのバイの会談については、今、調整中で、まだ、決まっていませんが、今回の議長国のハンガリーを含めて、その他主要国の方とのバイの会談が、今、着々と決まりつつあります。ロシアは、調整待ちの状態です。


(質問)できれば、やりたいということですか。
(大臣)こちらからも、それを希望しています。


(質問)ロシアのどなたと調整をとっていますか。
(地球環境局)ベドリツキー気象モニタリング庁の長官になります。


(質問)バイについて、他に決まってることがありましたら教えて下さい。
(大臣)今のところ、ハンガリー、アメリカ、ドイツ、EU、韓国、モロッコ等です。


(質問)アメリカとは、どのようなお話をされますか。
(大臣)ドブリアンスキーさんですから、私は、アメリカのスタンドポイント等を伺ってまいりたいと思います。


(質問)もし、ロシアとの会談が決まりましたら、どういったことをお話しされますか。
(大臣)勿論、鍵を握っているのは、ロシアですから、情報としては、いろいろな意見を聞いてますが、直接担当者から考え方を伺うということになります。国益に沿わないと駄目とか、いろいろなニュアンスが伝わってくるところを自らお話しすることによって、より明確なロシアのサインを受け止めてきたいと思っています。


(質問)改めて、COP9の意味合いについて、お考えをお伺いします。この1年間、殆ど温暖化の交渉は進展がないまま、ロシアの批准を待ちながら今回の会議を迎え、それで、来年は国内的にも、大綱の見直しとか重要な節目の年だと思いますが、そういうことを考えた上での今回のCOP9の意味合いをお願いします。
(大臣)基本的に今回は、途上国と前回、いろいろなやりとりがあったわけですが、それを踏まえて、もう一度、一種の仕切直しの部分があると思います。隊列の乱れの部分、それは、各国の事情があっての乱れですが、それを、改めてもう一度、隊列を組み直すというようなモメンタムになればいいと思っております。いわゆる南北問題のような亀裂ではなくて、もう一度、同じテーブルについて考えてみようよというようなきっかけになればいいなと思います。今回は、新たに各国が切った、張ったのやり取りをして、がちがちと詰めるというよりは、もう一度、整列して、考えてみるという意味で、私は、重要な会議になるのではないかと思います。あと、私は、先だってのASEMの会議で、実際に各国の担当者の方々とお会いすることによって、本当にこの国、この人は何を考えているのだろう、どんな人なんだろうというのを理解するには、直接会うことが、大変意味のあることだと思いました。だから、その意味で、人間関係の構築と、「Yurikoの言うことなんだから聞いてやろう」というような国がでてくるぐらいになればいいなと思います。


(質問)そういう意味では、共同議長をお務めになるテーマについて、どのようにお考えになり、どのように会議を進行していこうとお考えですか。
(大臣)今、考え中です。議長というのはやはり、あまり自分の考え方を前にドカンとだすと議長でなくなってしまいますので、その辺のところは、テクニックも含めて、そして、私自身が、最初の理念のところでどういう風なプレゼンをした上で、皆さんの活発な議論を誘導していくのか、誘い込んでいくのかというのを、今、練っているところです。


(質問)前日の講演についての概要をお教え下さい。
(大臣)前日に、日本としてのプレゼンテーションを行うのは、日本としてのスタンスであるとか、今、日本が進めている、又は、各企業が進めているものを、まず、世界に知ってもらおうという考え方です。私自身がプレゼンテーションをするのは、初めてのことだと思います。よくばらばらに、いろいろなことが伝えられるのを、日本としてという切り口で、総合的に伝えてまいりたいということです。今、日本が地球温暖化に対して、どういう政策で進めているのか、その成果はどうなのか、そしてまた、何を目指していくのかということが、各国の方々に分かり易く伝えられるように、パワーポイント等も使って説明していきたいと思っております。御承知のように、COP9の場合、会議では、100を超える国々が集いますし、実際の会議の場は、数分間しか各国の発言時間がないということを考えると、まとめてお伝えをする機会がないということを踏まえて、自ら場を作って、プレゼンをするという方法を今回とることにしました。


(質問)時間は、どのくらい予定されてますか。
(大臣)1時間30分ぐらいです。


(質問)そのプレゼンには、各国の閣僚も参加されるのですか。
(大臣)いろいろ声は掛けて、出席していただきたいと思います。


(質問)昨日のCOP9に向けてのNGOとの面談では、どのようなやり取りをされましたか。
(大臣)京都議定書の早期発効に向けて各国を促す、それから、国内的にも地球温暖化対策をしっかりとっていく。それから、NGO側からいろんな要望を伺わせていただいたところです。各NGOも取組の切り口なども、それぞれ、独自性を持ってやっていらっしゃるので、非常に参考になりました。COP9にも、NGOの方々皆さんいらしてるので、日本として、政府とNGO協力して、日本の環境の取組が伝わればいいなと思います。
NGOの方々は、今回のCOP9だけでなく、温暖化対策税の取組などについても、それぞれの考え方などについてお話しをしていただきました。私は、NGOとかNPOが、非常に大きな力になると思っていますので、今後とも、皆さん方とうまく連携をとれる形で進めていきたいと思います。


(質問)プレゼンテーションでは、温暖化対策税の検討状況等のアピールをするようなことになるのでしょうか。
(大臣)それについては、今、日本が何を考えているのか、ということをお伝えするので、環境税にスポットライトを当てるものではありません。


(質問)今日、PCBの問題について、総務省から勧告を受けたと思いますが、それについて大臣の御意見をお願いします。
(大臣)事業場の実態、保管状況の届出及び、保管方法についての調査を行い、その結果、もう少ししっかりするようにと勧告を受けたわけですが、まずは、内容をよく調査して、どのような形で確実かつ適正な処理がスムーズに行うことができるのか、しっかり取り組んでいきたいと思っております。各都道府県等に、その辺のところはお願いをするという形になろうかと思います。


(質問)日中韓三カ国環境大臣会合についてですが、中国がこれから温暖化について重要な鍵を握ってくると思いますが、中国とどのような話し合いを御予定されてますか。
(大臣)これから詰めていきたいと思ってますが、まずは、今回、トキのことでも、日中間でいろいろと協力関係がありましたし、また、それに対して、お礼を言わなければいけないと思っています。また、中国が様々なODAにも絡んで、いろいろな温暖化対策に絡んだ案もあることですし、日本として中国とどのような協力関係ができるのかということなども、これからの模索の一つになろうかと思います。おっしゃるように、中国の経済発展が、今後の地球温暖化という大きな問題のなかで、非常に、比率を占める割合は大きくなることが確実ですから、日本の経験、技術等もそれを見越した形で、中国と日本とが連携できる、そういう場ができないものかということも探っていきたいと思っています。

(了)