環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年5月27日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が3件、国会提出案件が6件、法律の公布が11件、政令が5件、人事案件が1件ありました。環境省関連はありません。
 閣議の後に、総理に会い、サンクトペテルブルグでのプーチン大統領との首脳会談において、京都議定書の発効に向けて、京都議定書批准に対する働きかけを総理の方から強くしていただきたいという旨の話をさせていただきました。総理からは、これも極めて重要なことであるし、自分もそのように認識しているという旨の話がございました。
それから、三月から林野庁、環境省で検討してまいりました、世界自然遺産候補地に関する検討会の最終回が昨日開催されまして、学術的見地から現時点で要件を満たし得る地域といたしまして、知床、小笠原諸島、琉球諸島の3地域が選定されたわけであります。これら3地域につきましても、今後様々な条件整備をしなければならない残された課題もございますので、今、直ちに世界自然遺産として推薦できるという状況にはないわけでありますけれども、今後、関係省庁、関係地方自治体ともよく調整をいたしまして、保護管理措置の検討などを行って、その中で条件が整った地域については、その後に、世界自然遺産候補地としての推薦に向けて、必要な手続きを進めていきたいと思っております。また、今回の検討は、あくまで世界自然遺産のものさしでそれに合わせて検討をしたということでありますので、3地区以外の詳細に検討した地区、地域、これをはじめといたしまして、その他にも我が国には、大変豊かな自然、世界に誇りうる自然地域が多数存在をするということが改めて浮き彫りにされましたものですから、これを機に今後とも優れた自然遺産を有する地域の保全、管理の努力を進めてまいりたいと、そのように思っているところでございます。私からは、以上です。


(質問)京都議定書の関係ですが、今度総理がロシアに行かれれるようですが、大臣ご自身がこの問題でロシアを訪問する予定は今後あるのでしょうか。
(大臣)今のところはありません。先のG8の環境大臣会合の際にオソキナ次官とお会いし、ロシアに対しては直接働きかけをいたしました。EUのヴァルストローム委員ともお話をさせていただきまして、今後EUと日本が共同して働きかけていこうというということであります。それから、総理がその後ギリシアに行かれて、EUとの協議の場があったわけですが、そこでもそうした認識が話し合われたと、このように承知しております。今後、環境省としても働きかけは強めていきたいと思っております。これはまだ未確定のことですので、申し上げるのがいいかどうかわからないのですが、国会が終わりましたら、望月大臣政務官がロシアの議会関係に働きかけをするということも、ひとつ今、案件になっております。

(質問)総理がプーチン大統領にサミットの中で話すということですか。
(大臣)その前のサンクトペテルブルグで会談をする時にです。

(質問)サンクトペテルブルグで直接、強く要請するのですか。
(大臣)はい。

(質問)今年1月の日露首脳会談の中で、批准の準備を進めるという話だったと思いますが、さらに踏み込んだ形の話になるのですか。
(大臣)1月の行動計画の中でもそういったことに言及されているわけでありますが、当初6月にもというような、その時の情勢がありましたが、それが現実にまだ進んでいないわけですので、継続しての働きかけということです。

(質問)いつまでにというようなことになるのですか。
(大臣)私としては、年内ということが日本としてはふさわしいと思います。

(質問)年内に発効にするということですか。
(大臣)ロシアが決めてから3ヶ月かかりますから、時期によっては実際には年を越えてしまうかもしれませんが、ロシアの年内批准を働きかけていくということだと思います。

(質問)総理には年内と言っているのですか。
(大臣)特に年内にということは言っておりません。早期の批准を働きかけてほしいということです。

(質問)SARSの問題で、野生動物のハクビシン等について、厚生労働省から輸入の自粛や飼わないようにという通達を出したようですが、これについて環境省は何か対策をとるのですか。
(大臣)今のところは、報告を受けておりません。

(質問)ロシアの批准の件ですが、ロシアが経済的な見返りを要求してきたときに、日本側として応じる考えはあるのでしょうか。
(大臣)それは、直接的に言えば、排出権取引の排出権の取引価格の問題であるかと思いますが、それについては今、コミットメントする段階ではないと思っております。オソキナ次官と会った時も申し上げたのは、そうしたような考えが政府内にあるということであるけれども、やはり地球温暖化対策というものは、全人類的な話であって、取組が1日遅れれば、それを取り戻すために更に多くの日数がかかるということもひとつ考えてほしいと、もうひとつは排出権取引のことをおっしゃっているけれども、そもそも京都議定書に加わらなければ、排出権取引も何もないわけですから、そういうような総合的な立場で是非進めてほしいということは申し上げました。オソキナ次官からは、政府内には、そのような経済的な利益を重視する意見があって、という説明はございましたが、ご本人はそのことについては言及しておりませんでした。

(質問)世界遺産についてですが、日本は知床もそうですが、海域の保全が非常に弱いということです。北方領土やロシアでは、漁業規制も含めて厳しい保全対策がありますが、そういう意味で知床も課題がたくさんあるように思いますが、海洋・海域保全について、あるいは漁業の調整ということについて、今まで環境省も水産庁に遠慮してあまりしてこなかったと思いますが、その点についてはいかがですか。
(大臣)とりあえず今の段階では3地域が選ばれて、今後どのような保全措置をしていくのか、網をどのようにかけるとか、様々な社会的条件を整備していくわけでありますので、その中であわせて、そうした海域も含めたものが必要かどうか、必要であればどのような網をかけていくのかというようなことが議論になるかと思います。その辺は問題意識を持って検討をする必要があるのではないかと思います。

(質問)そういう意味で商業捕鯨の再開等いろいろ聞きますが、知床でもイルカや鯨を捕っていると思いますが。
(大臣)知床と捕鯨の話は関係ないと思います。

(質問)昨日、経済産業省で産業構造審議会環境部会第15回地球環境小委員会が開催されましたが、温暖化対策について中間とりまとめ案が出たそうです。その中で、企業毎にキャップをかけてCO2、温暖化ガスを削減するという仕組みではなくて、いろいろな業界毎、セクター毎に削減をしていくという案を示したのですが、それについて環境省ととしてどのように対応していくのでしょうか。
(大臣)いろいろな考え方がいろいろなところから出されています。今はひとつの政策を打ち出していく、例えばキャップをどういう形でかけていくのか、いろいろと議論があるかと思います。今まだ、こういう方針・方向でやるべきだということをきちんとして、まだ環境省として方針はないと承知をいたしております。いずれこれから国内対策、第二ステップに向けて第一ステップのレビューについていろいろ進めていくわけでありますので、そういう中でだんだんと考えが一つに収斂されていくのではないかと思っております。

(質問)昨日、茨城県神栖町の毒ガス等の問題について説明会を開かれて、その席上、ヒ素が4年前に検出されたということについて、もっと早いうちに対策を講ずるべきではなかったかという、そういったことを住民側から出されたわけですが、そのあたりについて、どのような見解でしょうか。
(大臣)その時期にヒ素が0.4いくつかの値が出たということは、私も報告を受けました。ただその時の話では、自然界にもあり得る数字だったということと、自然界にあるとは言えど、県において、直ちに水道の敷設をして、結局その後は井戸から実際に住民の方は飲用には使われなかったということで、そういう対応をされたという経過は、承知をしております。自然界にもあり得る値だということで、おそらくその時に何かこれが自然界ではなくもう少し今回疑われております毒ガスとの関係というところになかなか結びつかなかったのではないかと、それはある意味では、結果としてみれば、残念だったとは思いますが、しかし、自然界にもあり得る値だということになりますと、やむを得なかった側面もあるのかなと私は思います。

(質問)住民の方の被害の補償問題ですが、研究費で健康被害に対応するようなことなんですが、厚生労働省のSARS問題ですと、例えば、入院の疑い例、可能性例とかで、今まで、かかっていないけれど入院して下さいと頼んでいた人に、バタバタした一定期間はそれは自己負担ですよということで、そのままにしておいたんですが、結局遡って、今まで入院していた人たちはみんな国として費用は負担しますということになりました。弾力的な新感染症法の枠組みの中で、法律体系も違うと思いますが、先ほどの4年前もそうですが、今実際にいろいろ障害が出ていたりとかいう人たちのどれくらいの範囲で、遡らないでということであれば、パッと聞くと何でなんだという気持ちが先走ってしまうので、予算の年度の問題もあるかもしれませんが、その辺をもう少し弾力的にできないのかなあと思いますが。
(大臣)神栖町の飲用井戸によります健康被害のことにつきましては、まず、普通ですと、因果関係が明らかになった後に様々な支援措置をとるということになりますが、官房長官からの指示もあって、そういう因果関係の解明を待たずに支援措置をするということは、一つの大きな前進だったと思います。私自身も今後、そうした環境中の調査をして、原因を解明するだけでは収まらない、何らかの救済措置が必要だということを申し上げてきたところですので、そういう形になるということは大きな前進だと思います。今後は、どういう中身にするかということになりますが、御承知のとおり、省内にもプロジェクトチームでを作りました。昨日は、与党・自由民主党の環境部会の先生方が現地に行って来られて、いろいろな当面の申し入れをされました。今後部会を開いて党としてもいろいろ詰めていくということでございまして、中身については、いろいろ考え方もありますけど、これからそうした与党の意見も聞きながら、せっかくそういう形を作るわけですから、住民の方にも評価されるようなものにしていく必要があるのではないかと思います。中身についてはこれからです。いろいろな意見があることは、承知しております。橋本茨城県知事からも要請いただいております。そういうものを勘案して、これから決めていきたいと思っております。

(質問)過去に遡らないと決まったわけではないのですか。
(大臣)それも含めてこれから検討いたします。

(質問)研究費の枠内でということであると、自ずとその辺は決まってしまうのではないでしょうか。
(大臣)いろいろな考え方があると思います。積み上げ方式の形で過去を遡って医療費がいくらぐらいかかったということでその何割かという考え方もあると思いますし、例えば一時金のような形でお渡しするような形もあるかと思いますし、いろいろなことが考えられるかと思いますが、それについても今こうするということは検討を始めたところですから、いろいろな方面のご要請・お考えを聞きながら決めていきたいと思います。

(質問)研究費の枠組みもだいたい決まっているのですか。
(大臣)ひとつの考え方だと思います。

(質問)けんもほろろみたいな現地の報道もありますが。
(大臣)そんなことはないと思います。白紙だというのは、白紙という言葉の捉え方だと思いますが、まだそこが決められたものがありませんという意味で、別にそれを否定したものではないわけです。現に我々はそういうところも含めて検討しようとしているわけです。


(了)