環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年3月18日)

(大臣)本日の閣議は、一般案件が4件、国会提出案件が3件、法律案が2件、政令が12件、人事案件が5件ありました。法律案のうち1件が環境省関連で、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律案」が決定されました。これは先週、国会に提出されたカルタヘナ議定書に対応する国内措置として、併せて国会に提出される法律案です。国内的にもきちっとした対応をして参りたいと思っております。
 閣議後の閣僚懇談会で、小泉総理からイラク情勢についてご発言がありました。イラク問題が緊迫していること、我が国は平和的な解決を求めて努力をしてきており、ぎりぎりまでその努力は続けること、しかし、間もなくブッシュ大統領の演説が行われることになっており、イラクが平和の道を選ばない限り、武力行使もやむを得ないとの決意を示すものと予想している、こうした情勢をしっかりと踏まえて、それぞれの大臣においては対応をきちっとするようにという旨のご発言でした。また、国民の安全確保に向けて、防衛庁長官、国家公安委員長、国土交通大臣はじめ関係大臣は対応をきちんとするように、特に内外の経済に混乱を引き起こして、国民に不安を生じさせてはいけないので、財務大臣、経済産業大臣、経済財政・金融担当大臣は引き続き、為替、原油、株式などの経済金融市場の動向に十分注意をすること、不測の事態が起きないよう、日本銀行など関係当局と密接な連携のもと、万全を期するようにという旨のご発言もがざいました。閣議については以上です。
 先般、日本経団連と環境省の懇談会を行いましたが、その後の動きについてご報告いたします。とりあえずは、事務方による勉強会を開催することになりました。そして、その勉強会での議論を整理して、必要であれば、奥田会長はじめ幹部の皆さんとの懇談会を行いたいと考えております。事務方の勉強会については、3月26日に第1回目の会合を行うことにしております。環境と経済について議論をします。日本件段連には、奥田ビジョンにあります環境立国に関する考え方をお伺いし、環境省からは、環境と経済活動に関する懇談会での検討状況について説明をして、議論をし、論点を整理してもらいたいと思っております。今後は、いくつかのテーマを扱いながら議論を進めていくことにしております。


(質問)閣僚懇談会で、大臣ご自身はイラク情勢について発言されましたか。
(大臣)していません。

(質問)10時からブッシュ大統領が演説をするということですが、この件について大臣
として一言お願いいたします。
(大臣)最後まで平和的な解決を望んでおりました。それはイラクの能動的、協力的な対応にかかっていたと思います。米国がイラク周辺に展開し、プレッシャーをかけたことで、
最後にやや小出し的に、ミサイルの廃棄などが行われましたが、それは今までの年月を考えると、国連の査察に対する全面的な協力とは言い難いと思います。結果において、国際
世論が分裂したというのは大変残念でありましたが、日本としては、日米同盟を基本とした対応が、東アジアでの現実の脅威などを考えた場合には、国益にかなうのではないかと
私は思っております。

(質問)国連決議なしでの武力行使についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)新たな決議をした上でということが望ましいのは、総理もそうおしゃっておりました。私もそう思っておりますし、それが日本政府の立場であったと思います。ただ、ロジックで詰めて参りますと、今回の1441決議が守られないとなると、それ以前に戻って、戦闘に入ることは可能だという話も聞いております。しかし、新たな決議がなされることが望ましかったとは思っております。

(質問)国際世論が割れている中で、イラクが不穏な動きをしているわけでもないのに、
何故、今のタイミングで攻撃するのか、大臣としては、もう少し慎重に見守っていくようなお考えはなかったでしょうか。
(大臣)ここまで長い年月がかかっているわけです。この間、イラクには何度もチャンスがあったわけですし、こういう長い長い年月において、国際社会の大量破壊兵器の廃棄という求めに、イラクは真摯な対応をして来なかったわけです。こういう状況は今年になって始まったことではなく、数ヶ月でこういう状況に突入するということではありません。やはりこれまでの経緯を考えなければいけないと思います。

(質問)戦争になった場合の環境省の役割について、どのような対応が考えられるのか整理してお話しいただけますか。
(大臣)今はすぐお答えできませんので、整理しておきます。

(質問)昨日、国土交通省の交通政策審議会で、宮崎港等5港の港湾計画の改訂が上呈されました。うち那覇港については、絶滅危惧の藻類があるので慎重に対応して欲しいという環境省の意見が出されましたが、これについてのご所見をお聞かせ下さい。
(大臣)これは開発と環境保全ということで、重要な課題です。今回は、国土交通省から
マスタープランが示されました。それに添って、個々の具体的な計画が作られることになりますが、やはりマスタープランの段階から環境保全の重要性、今回は特に、希少生物の
関係がありますので、きちんと意見を言わなければいけないと思います。マスタープラン
に盛られたからといって、すぐに具体的に事業家されるかどうかはわかりませんが、やはりマスタープランの段階でも明確に意見を申し上げることが大事だと思います。また、これから具体的な計画になれば、環境省として改めてきちんと意見を申し上げるつもりです。

(質問)現在の那覇港の移転予定地について、縮小を求める、或いは移転場所の再考を求める必要があるということでしょうか。
(大臣)那覇港湾については、カサノリなどの貴重な藻類が生育しているということ、また、サンゴ、干潟等の多様な生態系が分布していることなどから、それらの保全に万全を期すようにという意見書を提出させていただきました。それを受けて、実際に具体的な計画がたてられるに当たっては、公有水面埋立の手続きが必要になって参ります。そこでも原則50ヘクタール以上については環境大臣の意見が求められますので、どういう計画が
出てくるのかにもよりますが、環境保全という見地からきちんと意見を申し上げたいと思っております。

(質問)水行政についてお伺いします。橋本元総理が中心となって、水基本法という水の
憲法のようなものを作ろうという動きがあります。この動きや水行政の一本化についてどうお考えでしょうか。
(大臣)国会の委員会でも各議員の方々からご質問をいただいております。昨日も予算委員会でご質問がありました。水問題というものは行政的にも多岐に亘っておりますので、今おっしゃった水基本法のようなものの必要性について、ご指摘をうけております。現在、
水基本法のためということではありませんが、各省において水に関する検討の場がございます。そこでの議論がどういう形に結実していくか明確ではありませんが、とりあえず各省で議論を進めることが今の段階だと思っております。

(質問)3月20日にPRTRのデータの公開が行われます。環境省としてそのデータをどう活かしていくのかお聞かせ下さい。また、当初、昨年末に公開の予定が、ここまで遅れたことや、今後、毎年行われる見直しについてどうお考えでしょうか。
(大臣)情報をオープンにして多くの方々に利用していただくことが大切だと思います。
今回、初めて公開するということで、実際にやってみて運用上、改善すべきことは改善していくことになろうかと思います。
(質問)今日から環境委員会で公健法の審議が始まりますが、未認定者の対応を含め被害者の救済について、何か新たなことを始められることがあれば教えて下さい。
(大臣)大気汚染による健康被害については、昨年、板橋区の大和交差点を視察しました際、患者さんとお会いしました。症状が出ると大変つらいというようなお話も伺っており
ます。なんとかしたいと思いますが、そこが悩ましいところです。患者さんのつらいお気持ちは痛いほどわかりますが、やはり、国として救済措置を作るためには、大気汚染の状況とぜん息の疾病との因果関係について、科学的にきちんと明らかにしなければならないと思います。良い例かどうかわかりませんが、例えば私の田舎の岩手県では、どの観測地点でも環境基準を超えているところはありません。全部環境基準以下ですが、ぜん息患者さんの率は東京都よりも多いんです。そういうこともありますので、現在やっております
大気汚染と疾病の調査について、遅いというおしかりも受けておりますが、しっかりとした調査を一日も早くやることが大事だと思います。その結果をもって判断するということ
だと思います。


(了)