環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年3月11日)

(大臣)本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が3件、法律案が13件、政令が4件、人事案件が4件ありました。法律案のうち2件が環境省関連で、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案」と「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」が決定されました。閣議については以上です。 私の今後の日程についてお話しいたします。3月13日の木曜日、朝8時から経済同友会の小林陽太郎代表幹事、福井俊彦副代表幹事他、幹部の方々と懇談会を行います。これは、経済同友会がこの2月に「森林再生とバイオマスエネルギー利用促進のための21世紀グリーンプラン」をまとめられ、先方から環境省と懇談したいとの要請がありましたので、大変良い機会だと思いまして、意見交換をさせていただくことになりました。森林再生や温暖化対策などについて率直な意見交換をしたいと思っております。懇談会の結果については、懇談会後にまた報告させていただきます。
 それから、3月22日から23日にかけて京都と名古屋へ行って参ります。京都では、3月16日から開催される「第3回世界水フォーラム」に出席いたします。水問題については、深刻な水不足や水質汚濁問題に直面する途上国も含め、各国と協力して具体的な行動を起こそうということであります。環境省では、今回の水フォーラムを機に、アジア地域での水環境管理に係る情報の共有を目指した「アジア水環境パートナーシップ」、合併処理浄化に係る技術移転、アジア太平洋地域の鳥類及びその生息地の保全協力プロジェクトなどを打ち出したいと思っております。私は、22日に開催される閣僚レベルの会合に出席します。
 3月23日は、名古屋に参りまして、環境省、国土交通省、OECDが共同して主催する「交通と環境に関する名古屋国際会議」に出席いたします。この会議は、OECDが提案している「環境面から見た持続可能な交通体系」の政策ビジョンについて、アジアにはアジアの事情があるということで、今回、アジアにおいて交通関係者が一堂に会する初めての会議です。アジアの実情は、交通インフラが限られている中で深刻な大気汚染等が発生しているということでありますから、車両メンテナンス対策、インフラ投資、交通需要管理等々の政策手段を講じることが必要です。今後は、こうした問題に対する政策対話や実証調査、更に情報交換、情報収集などを進めていければと思っております。
 また、今回、名古屋を訪れる機会を活かして、国設藤前干潟鳥獣保護区の視察をいたします。交通関係の会議に出席することもあり、燃料電池車で視察したいと考えております。
藤前干潟は、昨年11月にラムサール条約湿地として登録されましたので、是非、今回視察したいと思いました。ちょうど、季節も春の大潮に近い時期であり、シギ・チドリなどがたくさんいるということで、観察できるものと期待しております。環境省では、この地域の保全をすることが大切だと思っておりますが、保全と併せて賢明な活用をしていくことも重要だと考えており、環境学習や保全調査のための拠点整備をすることとしています。そうした施設整備の候補地も見たいと思います。


(質問)経済同友会との会合では、環境税についてはテーマに上がっておりますでしょうか。
(大臣)今回は、先方が取りまとめられた「森林再生とバイオマスエネルギー利用促進のための21世紀グリーンプラン」についてが主な議題になります。ただ、温暖化対策にも関連がありますので、その中で環境税について話題に上ることは排除するものではありませんが、環境税を取り立てて会談をするということではありません。

(質問)水フォーラムでは、分科会には出席されないのでしょうか。
(大臣)浄化槽のセッションに弘友副大臣が出席します。私は閣僚クラス会合の中の「水質汚濁防止と生態系の保全についての分科会」に出席いたします。

(質問)どのようなお話をされる予定でしょうか。
(大臣)閣僚級会合は、それぞれの省庁に関連するテーマがありますが、環境省としては、先程も申しました「水質汚濁防止と生態系の保全について」が関連テーマです。正にその標題が示すことについてお話させていただきます。

(質問)水行動集に、環境省として出すものを何か考えておられますか。
(大臣)今、準備をして取りまとめをしているところだと思いますが、環境省からは8つの主要なプロジェクトを出す予定です。アジア水環境パートナーシップ、短期間設置・低コスト型汚水処理技術の移転、アジア太平洋地域の鳥類及びその重要生息地保全に係る協力プログラム、その他プロジェクトを含め8つです。これについては、本日16時から詳しい内容を担当者から説明いたします。

(質問)交通と環境に関する名古屋国際会議では、環境省としてどんなことを話されるのでしょうか。                                  
(大臣)先程申しましたとおり、OECDでガイドラインを作っているんですが、それぞれの地域により事情が違います。アジアにおいては、道路のインフラが未整備の中、自動車がどんどん増え、また自動車のメンテナンスも悪いので、大気汚染が起こるというような状態です。そういうことから、まず、第1回目として、アジア地域で集まり取り組むということが大変意義有ることだと思います。今後は、とりあえず政策対話を通じ、環境面から見た持続可能な交通体系の実証調査をする、それから、この問題に対する情報交換、情報収集を進めていこうということです。このような内容について、最終的に「名古宣言」をまとめたいと思っております。

(質問)藤前干潟の視察は、どういったところに重点を置いて見られますか。
(大臣)ラムサール条約湿地に指定されましたが、私もまだラムサール条約指定の湿地というものを見たことがないので、まずどういうものか見たいと思います。重要なのはきちんと保全していくこと、もう一つは重要な湿地を賢く利用していくことがこれからの大切な課題だと思います。環境省としてもいろいろな施設を造ろうということもございますので、とにかく現場をしっかり見てきたいと思っております。

(質問)ラムサール関連では、沖縄の漫湖や泡瀬干潟もあります。ジュゴンの問題等もありますが、そちらの方面を視察されたいというご希望はございませんか。
(大臣)国会開会中でもあり、法案も抱えておりますので、日程的に難しいということはありますが、関心はつねに持っております。

(質問)機会があれば是非行きたいということでしょうか。
(大臣)全国にいろいろ行きたい所はありますので、その行きたい所の一つです。

(質問)イラク情勢が緊迫化していますが、緊急時の政府の対応について、閣議の中で話が出ませんでしたか。
(大臣)イラク問題については、閣議後の閣僚懇談会で、川口外務大臣から直近の状況について説明がありました。しかしそれは、事実関係についてのご説明で、対応については特にお話はありませんでした。

(質問)各閣僚に、禁足令は出ていませんか。
(大臣)出ていません。

(質問)空爆が始まった時の段取りなどについても説明はありませんでしたか。
(大臣)ありません。最近の情勢について川口外務大臣からお話がありました。

(質問)どんな内容でしょうか。
(大臣)8日に、査察団の報告が安保理へなされたということ、決議案の修正案が出されましたが、日本はそれに対して指示をするということ、小泉総理が、いくつかの国々の大統領等に電話で、修正案支持のための働きかけをされていること、また川口外務大臣も、いくつかの国の外務大臣に電話で働きかけをしていることなどのご報告がございました。

(質問)米国の姿勢を支持していない、不戦というような世論調査もあります。国連が割れている中で、あまりにもに日本が米国寄りではないか、慎重に対応すべきではないかという意見は、閣内でありませんか。
(大臣)閣内ではありません。国際協調主義と日米同盟を基本に考えていくんだということで、予算委員会等で総理や外務大臣がおっしゃっている姿勢どおり、閣内は統一されています。

(質問)大臣ご自身もそう思っておられるということですか。
(大臣)そう思っています。

(質問)米国は安保理の決議がなくても攻撃すると言っていますが、それで良いということでしょうか。
(大臣)修正案について、今日採決する予定が延期になるなど、今まさに、各国がそれぞれの立場で働きかけを行っているところですから、結論がどうなるかまだわかりません。

(質問)水フォーラムでは、いろいろなテーマがテーブルに上がっている思います。環境省のコミットメントとしては、アジアとのパートナーシップを第一に掲げるということでしょうか。
(大臣)先程申しました8つのプロジェクトも、ほとんどアジアとのパートナーシップが軸になると思います。ただ、渡り鳥のことなどはオーストラリアなどが関係してきます。

(質問)廃棄物処理法の改正案が、今日、閣議決定され国会に提出されます。先に提出された、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案とセットで審議されることになると思いますが、あらためて大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(大臣)今国会は、廃棄物問題について大変重要な国会だと思っております。先に提出した新法は、過去の負の遺産を10年間で一掃しようということで、その取組みのための法律だと思っております。また、過去の負の遺産を一掃しても、また新たに不法投棄などの状況が発生しては困りますので、未然防止と適正なリサイクルを推進することを盛り込んだ改正案を、今回提出するということです。2つがセットで施行されることが大切だと思います。

(質問)アゴヒゲアザラシのタマちゃんのことですが、外国の保護団体が、保護のために捕獲するという話があります。これについて何かお聞きでしょうか。
(大臣)聞いておりません。が、タマちゃんは、ある意味自然現象で、誰かが飼っていたものが逃げたということではありませんので、川にいることも自然現象だと思います。私としてはそのまま見守ることが良いと思います。

(質問)もともと、寒い環境にいる動物なので、暑くなったり水質が悪化したりして、生息環境が悪くなると、死んでしまうかもしれません。それもいかがなものかと思いますが。
(大臣)そうなると困りますが、ただ、自然にやって来たので、暖かくなったら、自然に生息できる所へ移動することもあるのではないですか。

(質問)東京湾は閉鎖性水域なので、あれだけ注目されている動物ですから、何か適正な生育環境を考えた方が良いのでないでしょうか。
(大臣)いよいよ、弱ってくれば、適切な対応をしなければいけないとは思います。

(質問)そういう場合は環境省の所管になるのでしょうか。
(野生生物課長)行政的には今日現在はどこの所管かはっきりしていませんが、鳥獣保護法を全面改正しまして、海棲ほ乳類も鳥獣の中に含めることにしました。この施行が4月16日からですので、その後は捕獲については鳥獣保護法の手続きが必要になります。ただ、法律上の手続きがいるいらないに関わらず、関係の県・市と話しておりまして、専門家の意見によりますと、現在は決していやがってはいないようである、太ってきてもいるということです。引き続き様子を見ようということであります。


(了)