環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年2月18日)

(大臣)本日の閣議は、一般案件が3件、国会提出案件が1件、人事案件が2件ありました。環境省関連はありません。
 閣議に先立ちまして、本日7時30分から日本経団連と懇談会を行いました。懇談会では、地球温暖化対策の問題、廃棄物リサイクルの問題、環境と経済の両立の問題などについて率直に意見交換ができたと思っております。今、抱えております様々な環境問題は、
ライフスタイルや通常の事業活動、産業活動などに根ざしていることが多いわけですから、
経済界の方々と意見交換をすることは、大変意義のあることですし、今日も大変有意義な会合ができたと思います。
 今日は限られた時間の会合でしたが、今日に限らず、これからも環境省と経済界の定期的な意見交換を行い、政策課題について共通の認識を持つことが大切だと思いますので、私から、このような会合を今後とも持った方が良いのではないかというご提案をいたしました。これに対し、即答はございませんでしたが、先方も前向きに検討するとのことでした。できれば、その方向で進むことができればいいなと思っております。また、そこでは、単なる議論の場としてだけではなく、個別の政策についても一定の方向が打ち出せるような、そういう成果が得られる懇談の場にできたら良いと思っています。


(質問)先週、大臣が会見で表明された環境税の早期導入のお考えについて、今日の懇談会で先方から何か意見が出ましたでしょうか。
(大臣)環境税については、初めに税導入ありきということはおかしいのではないか、いろいろな経済的手法を検討すると地球温暖化対策推進大綱にも書いてあるではないかというご指摘がありました。そして環境税を検討するにあたっては、今の深刻な経済状況、産業の国際競争力、産業の国内空洞化と雇用への影響などに十分配慮して検討して欲しいというお話がございました。
 環境省からは、温暖化対策はステップ・バイ・ステップで進めていくということを申し上げた上で、2004年という第1ステップが終わる節目の年に、今までの対策の進捗状況をレビューして、必要があれば環境税を導入するという、従来からのスケジュールがあると申し上げました。それにしても環境税を導入するとなれば、それぞれ勝手なイメージで検討するのではなく、やはり具体案をお示しして議論をする必要があり、そういう意味でも、今回、具体案の作成に取り組むとお話いたしました。いずれにしても先般来申し上げておりますように、環境税導入となれば、国民の皆様の理解を得なければなりませんし、直接関連のある産業界の理解も得なければいけないわけですから、十分に意見交換を行い、関係方面との連絡を密にしながら検討を進めていきますと申し上げたところです。

(質問)環境税以外の経済的な様々な手法について、奥田会長から例示などございましたでしょうか。
(大臣)ありませんでした。様々な経済的手法について地球温暖化対策推進大綱に書いてあるということで、その中の環境税だけを取りだして、初めに環境税ありきではおかしいのではないかというご指摘でした。

(質問)2003年度からエネルギー特別会計が見直され、そこでも石炭課税などが盛り込まれています。既に環境税が導入されているのではないかという趣旨の話はありませんでしたか。
(大臣)そういう趣旨の話はありませんでした。本日は先程申し上げたような議題について、総論的な話をいたしました。環境税の導入が初めにありきではおかしいのではいか、もう少し配慮して検討して欲しいということでした。特にエネルギー特別会計とからめての話はありませんでした。

(質問)環境と経済の両立の問題や、廃棄物・リサイクル問題については先方から何か注文がありましたか。
(大臣)先方からは廃棄物・リサイクル問題と地球温暖化対策について注文がありました。廃棄物・リサイクル問題については、廃棄物処理法について、今後の製品製造者の責任の在り方と不適正処理の防止についてご指摘がありました。今回の廃棄物処理法の改正案については、これまでも環境省と経済界とで連携をとって進めてまいりましたので、全体的には評価していただいたと思っておりますが、今回ご指摘をいただいた点については、更に引き続ききちんと調整して欲しい旨のご発言がありました。我々といたしましても、産業界やその他の関係者と今後とも十分な意志疎通を行い、相互理解を得たいと思っておりますので、その旨の説明をいたしました。

(質問)温暖化対策については、地球温暖化対策推進大綱の中で原子力発電施設の増設が示されていますが、現在、多くの原子力発電が止まっている状況です。これについて何か話が出ましたでしょうか。
(大臣)原子力発電の重要性について、特に地球温暖化対策に関しては重要であるというご指摘がございました。環境省からは、とにかく今は安全性が大前提になっているので、安全性の回復のために行政も尽くさなければいけないし、産業界としても信頼性の回復のために全力を尽くして欲しいと申し上げました。

(質問)温暖化対策として原子力発電が重要だという発言は奥田会長がおっしゃったのでしょうか。
(大臣)奥田会長は冒頭のご挨拶だけでした。後はそれぞれのご担当者が発言されました。
(官房長)原子力発電関係は秋元日本経団連資源エネルギー・対策委員長がご担当で発言されました。環境税や民生部門対策関係は山本日本経団連環境安全委員長がご担当でした。

(質問)初めに環境税ありきはおかしいというご発言は奥田会長ではないのですか。
(大臣)違います。山本環境安全委員長のご発言です。

(質問)奥田会長のご発言はありましたか。
(大臣)奥田会長は冒頭のご挨拶だけでした。内容は、経済活動における環境配慮ということが、今や極めて重要な要素になっている、そういう中で環境省と意見交換することは大切なことですという趣旨でした。

(質問)大臣から経済界との懇談会を定期的なものにしたいとご提案されたそうですが、
大臣のイメージとしては、年に何回くらいの定例的枠組みをお考えでしょうか。
(大臣)今日の懇談会の設定も大分時間がかかってしまいまして、また、7時30分からということで、こちらも閣議があったので50分ほどしか話せませんでした。先方のご都合もあるので、なかなか月に1回というようなことは難しいと思います。そういうことも含め少し事務的に詰めて決めたいと思います。今日も先方からは継続的にやりましょうという明確な回答はございませんで、相談させて下さいとのことです。ただ、前向きに検討していただけるということです。

(質問)もしこの懇談会を定期的に行うとすると、「環境と経済に関する懇談会」との関係、違いはどうなるのでしょうか。
(回答)今後、中味を詰めますが、この経団連との懇談会は、必ずしも環境と経済の両立の問題だけを取り上げるのではなく、その時々の個別の施策についても意見交換をしたいと私としては考えております。環境と経済に関する懇談会の方は、環境と経済に限定した問題を取り上げていきたいと思っています。今回、提案した経団連との定期的な懇談会については、もう少し幅広いものをイメージしています。

(質問)幅広いものというのはどういうものでしょうか。
(大臣)環境と経済に関する懇談会は限定的なもので、環境と経済に関する理論・哲学や、来年度予算要求で取り上げられるものなどについて検討しようとことでスタートしています。経団連との懇談会は、今日も取り上げたように、温暖化の問題や廃棄物の問題など、いろいろな問題についても懇談できる場所をイメージしています。

(質問)今日のメンバーのような、トップ同士の定例的な懇談会を考えておられるのでしょうか。
(大臣)はい。事務レベルでは極めて日常的に接触はしているわけですので。
(官房長)今日のような形と全く同じになるかはまだ決まっていません。やり方も含めこれから調整させていただきたいと思っています。

(質問)本日の閣僚懇談会で古川副長官から構造改革特区の各省の検討状況の報告があったと聞いています。環境省の関係で何か総理から指示はございましたか。
(大臣)ありませんでした。小泉総理からは、構造改革特区についてどうしたら実現出来るのか各大臣とも検討してやって欲しい、やってみてうまくいかなければ撤退すればいいし、うまくいけば全国に広げればいい、とにかくやってみることが大切である、そのために各大臣、懸案として残っている問題にしっかり取り組んで欲しいという趣旨のお話がありました。

(質問)大臣としては、環境省の特区案件については、昨日、中川次官からお話のあったような方針でいくということでしょうか。
(大臣)そう思っています。

(質問)その中で、国立・国定公園内の風力発電施設の設置に関し、新たなガイドラインを策定されるとのことですが、事業者から結論の先延ばしではないか、どういうガイドラインが示されるのか、自分たちの意見が反映されるのかなどの声があり、もう少しはっきりして欲しいという意見があるやに聞いています。その辺についてどうお考えでしょうか。
(大臣)なかなか難しい、悩ましい問題があります。一つの仕組みのようなものでしたら、やってみてうまくいかなければ、仕組みをやめたり元に戻すなどできますが、風力発電の施設などを国立公園の中に構築しますと、その後、問題が出てきても撤去できるかというと撤去できないこともあろうかと思います。今回、新しいガイドラインを示すということは、いわゆる規制緩和の面から言えば、前向きな方向でガイドライインを示す訳ですから、ある意味妥当な結論だったと思います。

(質問)先日、毎日新聞に、各自治体の廃棄物担当者が被害や脅しなどをうけている調査結果が出ました。あれをご覧になってどうお感じになりましたか。
(大臣)率直に言って、現場では大変なことになっているんだなという思いを新たにいたしました。やはりそういうことに対する対応をきちっとやっていかないと、先日の鹿沼市の事件のようなことに繋がってしまうという気がいたします。
 法律的には、平成9年の法改正で暴力団による不当な行為等の防止等に関する法律が出来て、これに違反して罰金以上の刑罰を受けた者は、廃棄物処理業につけないということになっていますし、平成12年の法改正では、暴力団員及び暴力団員でなくなってから5年を経過しない者や、実質的に暴力団員が支配する法人などは廃棄物処理業の欠格要件に加えました。しかし、行政だけでは脅かされるなどということに対しては限界があるのかなという気がします。やはり廃棄物担当部局に警察官などに出向してもらうようなことで、各都道府県と都道府県警とが十分連絡を密にしていくことが大切だと思っています。
 また、環境省と警察庁と海上保安庁とで環境犯罪関係省庁連絡会議を作っています。こういう場も活用し、関係省庁と連携して毅然とした対応をとっていくことが重要だと思っています。

(質問)今度の廃棄物処理法の改正が行われると、各都道府県の権限が強化されます。権限が強化されれば当然トラブルも増えることが予想され、安全を担保することが必要だと思いますが、今大臣がおっしゃったことの他に安全の担保について何か考えておられますか。
(大臣)警察からの出向については、環境省からも折々依頼をしておりまして、現在では全都道府県で警察からの出向、受け入れがあります。人数も149名になっているということです。平成9年度は北海道と他15県に19名の出向・派遣しかなかったということですから、そういう意味では警察と廃棄物処理担当部局との連携は密になっていると思います。ご指摘のとおり更に進める必要があると思います。昨日も環境省の担当課長が警察庁に出向きまして、県警と県の連携を密にすることと、今後とも県への派遣や出向が得られるように依頼しました。やはり一義的にはそういう対応が重要だと思います。

(質問)今日の経団連との懇談会で、環境税についての経団連側の意見を受け、大臣としては環境税は2005年度以降導入することが必要であるというお考えは変わりませんか。
(大臣)環境税を導入するかどうかの最終的な判断は、2004年の見直しで全ての対策の進捗状況を見直した時に、初めて導入するかどうかが決定されます。私個人のいろいろな思いはありますが、きちっと決めるのは2004年の見直し以降だと思います。従いまして、そういう場合には、従来我々が持っておりますスケジュールでは2005年以降の早い段階でということになっていますので、そのためにも夏までには具体案を示して国民的議論をしていただくのが大切だと思います。今日、日本経団連から環境税について先程申し上げたような考えが示されたので、正にそういう考えを持っておられる経団連のお立場で、夏に示される具体案について検討して頂きたいと思います。また我々も、いろいろご説明をするつもりです。いよいよこれから作業が始まるということです。


(了)