環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


-経済財政諮問会議出席後の会見-(平成14年11月15日)

(大臣)朝の閣議後記者会見でも申し上げましたが、エネルギー政策の見直しということで、具体的には経済産業省からエネルギー特別会計の見直しの提案がありました。環境省の仕事とも関わりがありますので、本日、平沼経済産業大臣とお目にかからせていただき、いろいろ協議をさせていただきました。最終的には、お手元に資料をお配りしておりますが、一定の合意、確認ができましたので、形として残した方がいいということで、それぞれがサインをした文書を2通作成したところでございます。
 私から申し上げた確認点は、今回のエネルギー特別会計の見直しは、あくまで従来から申し上げております、第1ステップの特別会計のグリーン化であるということ、そして、今出されている見直し案と、温暖化対策税は性格から言っても別物であるということ、第2ステップの2004年の見直しにおいても、今回行われるエネルギー特別会計の見直しで創られるものも含め、あらゆる関連する施策について、進捗状況等の検討をし、新たなステップにおける追加的なものを考えていくということです。決して今回のエネルギー特別会計の見直しが、温暖化対策税の導入に際しての障害になるものではないということが、確認できたと思っております。
 私どもといたしましては、この第1ステップにおけるエネルギー特別会計のグリーン化等の両省の協力だけではなく、第2ステップにおいても、両省の温暖化対策の協力ができるように、「エネルギー政策・環境政策連携会議」を設置することを提案し、了解を得たところでございます。
 その後、経済財政諮問会議がございまして、私も正規のメンバーではありませんが出席をいたしました。その場では、平沼経済産業大臣からエネルギー政策の見直しについてご説明がございました。私からは地球温暖化問題に関しその現状と課題について説明をするとともに、2004年の評価・見直しの結果、第2ステップにおいては、石油特別会計のグリーン化に留まらず、更に一歩進めて温暖化対策税のような本格的な政策の導入が必要ではないかということを申し上げました。私の印象では、経済財政諮問会議の委員の方々も、地球温暖化対策の重要性というものを大変感じておられて、それを実現するための1つの有力なツールとしての地球温暖化対策税についても、非常に前向きに捉えていただけたという印象を受けました。
 平沼経済産業大臣と私の発言の後、委員の方々からいくつかご質問を受けました。多くは、今回のエネルギー特別会計の見直しについての平沼経済産業大臣への質問でした。私に対する質問は概ね3点でありました。1つは第2ステップで考える温暖化対策税の導入というものに対し、今回のエネルギー特別会計の見直しが障害にならないかというものです。私からは、両省間の協議の結果、文書を交わしたわけで、第2ステップで今回の見直しも含めあらゆる関係施策の見直しを行うときちっと確認したので大丈夫だと申し上げました。
 2番目は、やはり温暖化対策の中で遅れているのは民生部門である、また、地方公共団体等が一所懸命取り組んでいるので、こういうところに対するてこ入れが必要なのではないかというご質問でした。これに対しては、今回のエネルギー特別会計の見直しが認められて財源にコミットできるようになれば、こうした民生部門あるいは地方での取組に対する支援を考えているとお話いたしました。
 3番目として、いろいろな不祥事の中で、原子力発電が進まない状態である、そういうことを踏まえて、何か別の温暖化対策を考えなければいけないのではないかというご指摘でした。これについては、今の地球温暖化対策推進大綱の進め方が、長期エネルギー需給見通しに基づいて組み立てられているので、もしその計画が変更されることになれば、大綱の見直しもあり得べしとお答えいたしました。
 繰り返しになりますが、経済財政諮問会議においては、環境省の取組、その中での温暖化対策税に対する評価について、前向きの評価をいただいたという印象を持ちました。

(質問)温暖化対策税については、大臣自身のお考えとしては、2005年に導入するということでしょうか。
(大臣)その時点で、例えば温暖化効果ガス削減の進捗や、第1ステップでの効果が上がっている部分、上がっていない部分の見直しなどをしなければいけません。印象としてはやはり第2ステップの早い時期に導入するのが必要ではないかと思っています。

(質問)その基本となる現状認識についてですが、合意文書にもありますが、どのような現状認識をされておられますか。
(大臣)CO2の排出量が、基準年から8%増えています。そして基準年の6%を削減しなければいけないので、実質的には14%の削減が必要です。これは率直に言って並大抵のことではないですが、しかしやらなければいけないと思っております。大変厳しいというのが認識であります。

(質問)非常に厳しい中で、今回の共管というのが1つの対策だと思いますが、第1ステップはこういった見直し、グリーン化だけで留まるのでしょうか。もう少し第2ステップでと言われているような対策を早期にとらないと、今の並大抵ではできないということをやるには難しいのではないでしょうか。
(大臣)第1ステップの強化策として、今回のエネルギー特別会計のグリーン化が行われるわけです。これだけでいいのか、今後、別の対策をするべきではないかというご指摘ですが、とにかく今あるものを着実に進めていくことではないかと思います。地球温暖化対策推進大綱の第1ステップでも、項目はいろいろ決まっておりますが、その裏打ちとなる財源が必ずしもきちっと決まっていないものもあるわけです。ですから、そういうものについて、今回の見直しでは、歳出のグリーン化もあるわけですから、その中で財源の裏打ちをしていくことになれば、対策が進んでいくことになると思います。そういうことも通じて着実にやっていかなければならないと思っています。

(質問)先程の、経済財政諮問会議でのご発言について、もう一度確認させていただきます。環境税の導入と現状認識についてどう発言されたのかお聞かせ下さい。
(大臣)資料に基づいて環境省の立場を説明をさせていただきました。ステップ・バイ・ステップで対応をしていく、その前段で14%の削減があるので大変だという話もさせていただきました。経済産業大臣からの今回のご提案は、第1ステップにおけるエネルギー特別会計のグリーン化ですということを明確に申し上げて、第2ステップにおける見直しの際には温暖化対策税が必要である、その必要性について強く訴えたということです。

(質問)経済財政諮問会議で、大臣が経済財政大臣との合意に基づいて報告された事項は、総理を初め委員の方々に基本的には了承されたということでしょうか。
(大臣)経済財政諮問会議の運営の仕方と位置づけがよくわからないのですが、今日の議論の結果、あの場で政府としてOKになったのかということがちょっとわかりません。いろいろご指摘はありました。例えば、電源立地の部分では実質的には余っているではないかというご指摘がございました。平沼経済産業大臣がお答えになっていましたが、私から、平沼大臣のお答えを、ここで責任を持って詳細にお話できません。特別会計についてはいくつかのご指摘がありました。

(質問)小泉総理からは何か発言がありましたか。
(大臣)議論中はございませんでした。最後に、環境保全と経済の発展は両立させなくてはいけない、従って、これからも環境省と経済産業省で良く連携をとりながら進めて欲しいというご発言がありました。

(質問)産業界には、今回の見直しが増税というとらえ方があります。先程、大臣がおっしゃた第2ステップでの温暖化対策税の導入が実現されれば、今回の見直しとダブルで増税ということになり、反対する意見があります。この不況の中、今回増税し、また上乗せで増税するというのは不可能だと思いますが、大臣はどういうご認識でしょうか。
(大臣)今、いろいろな世論調査を拝見しますと、温暖化対策税のようなものには、一般的国民の皆さんには比較的肯定的な意見があるような認識をしております。しかし、実際にいざこれを導入するとなると、一般論ですが、税については、相当な国民的合意がなければできないと思っております。一般論的な答えで申し訳ありませんが、温暖化対策税の必要性を理解していただく努力がなお一層求められると思います。
 それから、上乗せというご指摘ですが、我々としては今日の合意にあるように、エネルギー特別会計の見直しも含め、見直していくということですから、2段重ねになるということではないと理解しています。

(質問)今回の見直しは、端的に言えば化石燃料課税です。化石燃料課税であり、聞くところによると、石炭への課税が石油などより安いということです。炭素排出を抑制すると言っても、極めて矛盾する構造だと思いますがいかがでしょうか。
(大臣)今回のエネルギー特別会計の見直しについては、新たな石炭課税も含めその税率をどうするのか、私の聞いているところでは、いろいろな調整があり、相手方もあるので確定的なことは聞いていません。

(質問)では、税率の決定には、環境省は関わらないということでしょうか。
(地球温暖化対策課長)税率も含め、今後、協議に関わっていくことになります。
(大臣)今日は、エネルギー特別会計と、我々が進めていこうとする施策との位置づけや、枠組みの段階で、具体的なことはまだ聞いておりません。

(質問)原子力についてお尋ねします。地球温暖化で一番、CO2を減らしているのは原子力発電です。エネルギー特別会計について共管ということで合意したのであれば、環境省も原子力政策に関する特別会計を使って原子力政策の仕事をするということでしょうか。
(大臣)それは違うと思います。
(地球温暖化対策課長)今回の見直しは、石油特別会計について環境省が共管するということです。原子力は電源促進特別会計ですから、今回、環境省が関与する部分については原子力は含まれません。

(質問)両大臣がサインされた合意文書の最後の方に、今後のことに関して、両省で第2ステップに向け、あらゆる対策・施策を講じていく所存である、ということがありますが、これはつまり、第2ステップの、環境省がこれまで準備を進めてきた温暖化対策税の制度構築も両省で検討するという意味を含んでいるのでしょうか。
(大臣)今日の話の中では、我々の基本的な考え方に理解をいただいたと思っています。これは、政府で決めた大綱に基づく進め方ですので、当然そういうことだと思います。

(質問)2004年の見直しの結果次第では、2005年からの地球温暖化対策税を諦めるという選択肢もあるのでしょうか。
(大臣)理屈の上では、一つの達成のための手段ですから、何かの事情で非常に削減が進んだということになれば、他の対策で達成できるということも、理屈の上からだと思います。理屈の上というか論理の上ではということです。

(質問)2004年の実績評価についてですが、きちっとした物差しは今のところないと思います。今の段階で、追加対策がいる場合といらない場合の区別をする際、大臣ご自身の基本的な2004年の実績評価についての考え方というものはいかがでしょうか。
(大臣)これは今おっしゃられたとおり、極めて技術的なものをどういう評価をするかというのは、感覚でやるわけにはいきませんので、科学的、技術的な評価というものは必要だと思います。そうした技術的な面については、今日、この会見が終わった後、事務方から補足的に説明させます。

(質問)先程の原子力の質問ですが、エネルギー特別会計だけで、電源開発促進特別会計については今回共管しないということですが、大臣ご自身はどうですか。例えば原子力問題について、エネルギー特別会計の共管とは別に、両省が地球温暖化防止のために原子力を共に進めるような政策を構築するようなお考えはありますか。
(大臣)今この新しい提案について、両省できちっと合意をしたところですから、きちっと合意をされた中でやっていくというのが、政策的にも、姿勢としても正しいと思います。

(質問)経済財政諮問会議の中で、原子力発電の計画が思った通り進まない場合、別の対応があるかという質問が鈴木大臣にあったということですが、平沼経済産業大臣はこれについて何か応えましたか。
(大臣)直接その質問に対してではありませんでしたが、原子力発電についての質問があって、それについて平沼経済産業大臣もお答えしていたと思います。私は平沼経済産業大臣の発言を責任持ってお伝えできません。

(質問)同じ質問でしたか。
(大臣)同じ質問ではありませんでした。私に対しては、大綱の見直しが今から必要なのではないかというような質問がありました。平沼経済産業大臣には、別の、まさにエネルギー政策に対しての質問がありました。

(質問)最近の不祥事で原子力発電がストップして石油、石炭がバックアップしていますので、2002年度の排出量が相当増えると思います。このように排出量が増えることが予想される中で、追加的な対策というものをどこかで考えなければならないと思いますが、何かお考えはありますか。
(大臣)第1ステップの具体的なメニューも相当細かいものがありまして、それをしっかりやるというのが基本的な考え方です。先程申し上げましたとおり、長期エネルギー需給見通しとか、要するに今回の大綱を立てていく前提のものが変わってしまうということになれば、当然それは見直しをしなければならないと思います。

(質問)それはステップ・バイ・ステップにとらわれずにということですか。
(大臣)時期にもよると思います。例えばステップ・バイ・ステップの2004年というものが近づいていれば、その時に行われると思います。その辺については、今後検討することになります。

(質問)エネルギー政策・環境政策連携会議の場では、どういったことをやるのですか。(小林審議官)合意文書の6にありますように、省エネルギー・代替エネルギー施策や地球温暖化防止施策が両省の幅広い連携の下でますます効率的に展開されていくようなことを目指したものです。環境省の提案により、両省の担当局長クラスが参加することになっています。
(質問)具体的になにをやるかというのは。
(小林審議官)これからです。

(質問)合意文書で、来年度の額は数十億規模を目指しているということですが、新しい特別会計のスタイルの財源規模は、おそらく700億ぐらいあると思います。そうすると、共管と言っていたわりには数十億というのは少ないと思いますし、釣り合わないと思いますが、その点どうですか。
(大臣)数十億というのは、初年度の始まる時期の問題です。

(質問)初年度でも半分になるという、経済産業省とイーブンだという理解ですね。
(大臣)そうです。

(質問)経済産業省との合意の中で、第2ステップの環境税については、何らかの特別会計なのか、財務省の所管する一般会計に行くのか、その辺はどうなりましたか。
(大臣)それはまだです。

(質問)大臣の所見を聞きたいのですが、話がまとまり合意されまして、産業界について、結果としてこれは、エネルギー特別会計の温存に繋がってしまったのではないかとも言われています。環境省が共管に入ったということでそれなりに進んだと思いますが、そういう側面が強いのではないかという声が、あると思いますが、それに対して大臣はどうお考えですか。
(大臣)今朝の会見でも似たようなご質問があったと思いますが、確かに、特別会計の存在が、財政の硬直化を招くという意味でのご意見がいろいろあるということは承知しています。ただ私は、特別会計の是非というものではなしに、やはりそういう見直しが具体的に経済産業省からなされたという時に、環境省として、環境省が考えている温暖化対策というものをきちっと計画通り進める上で、今回のエネルギー特別会計をどう位置づけるかとか、将来を目指す温暖化対策税との関係で、これが障害になってはいけないだとか、そういった環境の観点から申し上げたところでございます。従って特別、エネルギー特別会計の延命に手を貸したとか貸さないとか、そういったことではありません。

(質問)今回の合意で大幅に温暖化対策の額としては増えるのですが、2004年の見直しの時期までに、どういう方針で温暖化対策をしていきたいと思っていますか。
(大臣)この枠組が認められれば、環境省として、この特別会計の中で使える部分が出てくるということであります。それについては早く、こういう形だということを財政当局に出さなければならないと思います。まだ確たるものはありませんが、例えば民生部門に対するてこ入れとか、それから地方公共団体の取組に対する支援とか、そういったものに使うことを考えています。

(質問)今回の合意は、第1ステップの中でのグリーン化の中の、ごく一部なんだという文書なのですが、2004年の見直しまでに、温暖化対策ということで見ると、これは一部なわけでありまして、温暖化対策の見直しまでに、どのように進めていくということですか。
(大臣)先程から同じ答えになってしまって恐縮ですが、ステップ・バイ・ステップの第1ステップの中で、かなり議論がなされて、その内容が細かく決められているわけです。ですから、それを着実に進めていくということが基本だと思います。今回、それを加速化するという意味合いで、第1ステップの対応を強化するという意味合いでグリーン化することにしたわけでありますが、これによって、ある程度の財源が期待できると、第1ステップのやるべき中にも裏打ちが無かったものもありますから、こういうもので裏打ちもできるということで着実に進めていくということです。何かこの他に次々と新たな政策をとっていくというよりも、あれだけ十分な議論の中で決められた項目を着実に進めていくことが大切だという認識でございます。

(質問)環境省は、経済産業省とエネルギー特別会計のグリーン化を共同で実行するということですが、経済産業省には特殊法人や公益法人がたくさんあります。例えばNEDOだとか、新エネルギー財団だとか、それを環境省と共管するということは考えられますでしょうか。
(大臣)直ちに検討項目に上がっているということではありません。

          (了)