環境省お知らせ大臣記者会見


WSSD大木環境大臣・川口外務大臣共同記者会見要旨

平成14年9月4日
於:ヨハネスブルグ・コパノン・ホテル

  1. 冒頭説明

    【大木大臣】皆さんご存じのように、最近こんな大きな規模の国際会議というものはなかったと思いますが、主催国の南アフリカにとってもまあまあ無事に会議を終えることができて、ご同慶の至りであります。また日本代表団もそれぞれに頑張って頂きまして、最後まで一所懸命、いろいろな意味で努力をしてそれなりに日本としての存在感もある程度認識させることが出来たと思いますし、幸いであったと思っております。そのような意味で私としても、川口大臣からいろいろコメントがあるかもしれませんが、日本代表団としても一所懸命頑張っていたなということだと思います。
     今度の会議を振り返ってみると、1972年のストックホルムの会議頃から、sustainable development或いは地球環境というようなことが言われてきたわけですけれども、72年のストックホルムから92年のリオ、そして今度の2002年のヨハネスブルグということで、やはり私は、今度の会議の成果とか或いは、いろいろ考えるときもそういった30年の流れの中でひとつ評価をして頂きたいと思います。最近環境省の立場から言うと、環境と経済の二つの対立をどう両立させるというような議論が多かったんですけれども、今度の会議の少し前から、経済と環境と社会の3つを並べてそれをそれぞれsustainableという言葉でくくって、そしてそれぞれ3つをこれから上手に発展させていくためのいろいろな基礎的な条件ということが考えられています。その場合に3つを上手にやっていくためには、その基盤として貧困というものをどうしてもこれから解決していかなければなりません。経済と環境と社会があってその3つの下に、共通に貧困というものがあって、貧困を解決するためにこれからいろいろな分野で施策を施して行かなければいけないということだと思います。
     国際社会はやはり今はまだまだ、いろいろな国際問題を解決する場合に国というのがひとつの基準になっています。各国の国というものの主張というものがいろいろなところでぶつかり合う、それをどうやって調和するかという問題があるのですが、今回、或いは最近の傾向として必ずしも政府ばかりでなくて、政府の他にもNGOや、地方のローカル・ガバメント、日本で言えば都道府県だとか市町村だというものがありますし、もっと小さなコミュニティまで行くわけですが、そのようなものがやはりそれぞれの国のなかで、また環境或いはsustainableな経済社会というものについて、いろんな意見を持つということになってきたということころが非常に特色ではないかと思います。そういったなかで、リオからの10年を振り返ってみると、リオでは包括的な目標というか構想というものが沢山ならんだ訳ですが、これまでに実現出来た物もあるし、ほとんどまだ出来ていないではないかという見方もある分野もありますけれども、しかし私は10年の中で発展というものを考えてみてますと、まだまだ努力をしなければならない分野と、とにかく具体的に10年でよくここまで進んだなというようなものがあると思います。それはそれぞれの評価だと思いますが、私としては国際社会がこれだけ全部、約190の国がとにかく全部集まって会議をやって目標を立てる、それだけ話し合いが出来るという体制はできたのではないかと思っております。その意味ではそれだけの進歩があったという風に考えて良いのではないかと思っております。
     それから日本としてどのようなところで貢献したか、或いはこれから貢献していくべきかということですが、私はやはり環境というものは日本のこれからの外交にとっては、良い分野、言葉は悪いがトランプで言えばプレイするときに切れる良いカードだという感じがしています。これは上手に使って行かなければなりません。小渕さんだと思いましたけれども日本の外交の姿勢として、「富国有徳」ということを言いました。日本は平和な国だが、それだけでは平和だというだけでは何もしないのではないかという感じになるので、それでは具体的に貢献できるというところでは、日本としての、モラルという言葉になってきます。日本として世界に向かっての単なる利益追求ではなくて、日本としての一つの理想といいますか、そのようなものを打ち出してゆく一つのものに環境がなるのではないかという感じがしています。そのようなものが環境という分野の中で、或いはもうすこし広げて、今我々が追求している社会、環境、経済というものを持続的にみんなで強めていこうということになるのではないかと思っております。
     そのようなことで具体的には、日本としては、例えば京都議定書については、おかげさまでこの会議の前で批准することが出来ました。その点については、私は京都会議で骨組みだけは作ったが、その後は川口大臣に仕上げをして頂きまして、一応京都議定書としての中身のあるものを日本としても、国際社会として作ることができて、それを批准することが出来ました。今度の会議でも、まだ批准していない国に対して、批准している国が批准しなさいということを強く呼びかけるという文言が入りましたし、ロシアとかカナダとかといったかなり主だったところもいずれ批准するというようなことを言ってまいりましたから、そのような意味では力強く踏み出しているという感じがしております。
     その他、個別的なところでは、今回も環境との関連で議論になっている、水という問題がありますが、水につきましては衛生と一つの項目として、とにかく前向きに行くということで文言のとりまとめ等につきましては日本も積極的に参加しました。京都議定書の文言も、これは南アフリカのムーサ環境大臣の要望もあり、外務省も一生懸命やってくれて、とにかく日本が中心になってまとめました。
     いろいろなところで、日本はまとめに大いに奔走したという感じを持っています。総体としては会議も全体としては最後のPolitical Declarationまで作ることができましたし、日本としてもそれなりに活躍したと言ってよいと思いますので、皆さんの協力もありましたし、おかげさまでどうやらここまで来ました。皆さんにご協力ありがとうございましたと申し上げます。

    【川口大臣】この会議は史上最大と言われる国際会議でして、それが先程成功裏に終わって、とても良かったと思います。最後にムベキ大統領が挨拶の中で、"Spirit of Human Solidarity"、つまり、人間としての連帯の精神でとおっしゃったのですが、本当にそういった連帯の精神がよく感じられた会議だったと思います。この会議を成功に導いたムベキ大統領をはじめとする、南アフリカ政府の関係者の方々に厚くお礼を申し上げたいと思います。それからこの場所から会議の情報を日本にきちんと送ってくださったプレスの皆様にもお礼を申し上げたいと思います。
     首脳レベルの会議の開会式が2日にありまして、そのときに子供達が出てきて、単に挨拶や演説やそういったものではなくて、「実行を」、「行動を」ということを言いました。口約束だけではなくて行動をと言いました。考えてみるとリオから10年間、そういった行動を十分にしきれていなかったなと思いながら、会議でいろいろな交渉をしながら、子供達の期待を裏切ってはいけないと私はずっと思っていました。今日の新聞でイギリスの環境大臣のマーガレット・ベケットさんが同じようなことを言っていて、この会議は、将来振り返ったときに新しい歴史のページを開く会議になると確信しているとおっしゃったわけですが、本当にその通りだと思いました。日本の代表団の中で仕事をしながら、いくつかこの会議について思ったことを申し上げたいと思いますけれども、まず先程大木大臣のご発言にもありましたが、この会議が成功裏に終わったという中で日本の代表団の役割というのはそれなりに大きなものがあったと思います。日本の主張をするということだけではなく、会議全体をどうしたら成功に導くことができるかという、成功への日本としての貢献という観点から、いくつかの点については日本側が回ってまとめたということもありましたし、南アフリカ政府と連携を取りながら会議を動かすひとつの大きな力になったということは、私はとても良かったと思います。
     それから小泉総理が演説をなさったときに、小泉イニシアティブといいますか、アフリカ支援のプログラム、教育とか保健とかオーナーシップとかおっしゃって、そのとき会場から大きな拍手があったわけですけれども、日本がアフリカに対して、様々なことをやろうとしているということを、それがきちんと発信されて、また我が国は1993年からTICADをずっとやっていて、アフリカの支援ということで働きかけを行ってきていた訳でして、そういったアフリカに対する我が国の姿勢が評価されたということではないかと思います。小泉総理への拍手、その後、席に戻られてから大勢の代表が小泉総理に対し、握手を求めていましたが、それを見ながらそのようなことを思いました。
     それから、3番目に私自身は、29日にここに来る前にエチオピアとアンゴラに行きまして、そこでアフリカの現実・現状をつぶさに見て、また、アフリカの国々から、我が国のアフリカの国に対しする支援が大変に評価をされているということを政府の人だけでなく、アフリカの人達から強く言われた訳ですけれども、そういったアフリカを見たときのその思いといいますか、感覚というのが、ずっとこの会議に参加しながら私の心の中にあって、そういう意味で自分の心と、自分の言っていることが非常にうまく結びつく形で会議に出席できたことは私としては、自分でも非常に嬉しく思いました。
     会議でも発言がたくさん出ていましたが、大事なことはこれから行動していくことですから、今日本のODAについてなかなか厳しい状況もありますけれども、エチオピアで行った小児マヒの子供達のためのリハビリの施設の事業ですとか、アンゴラで見た地雷の除去の作業の現場などを思いながら、教育やアフリカのオーナーシップや保健や水やそういった課題に対して、我が国として一生懸命にやっていきたいと思っています。

  2. 質疑応答

    【問】両大臣とも今回の会議は大変成功とおっしゃられたが何がどう成功であったのかもう少し詳しくご認識をお聞かせ願えますか。
    【大木大臣】やはり共通の問題について、これだけ各国の首脳クラスが集まってとにかく議論しました。議論のための議論ではなくてプログラムを作って実施しようということですね。それを自分たちの共通の問題として取り上げて、約190の殆どの国が来て、首脳が100人くらい集まりました。それだけ熱心に、我々の地球というものを守っていかなければならないということを共通の課題と認識して、それだけの時間と労力を費やしてプログラムを作ったということですから、それが成功だと思います。よいスタートができた、或いは、リオの前から考えれば、また新たに十年、二十年動き出すための一つのきちっとした目標ができたと言うことでは成功であると思います。
    【川口大臣】私も大木大臣と同じように、これだけの数の世界の首脳の人たちが集まって、またNGOの人やこの持続可能な開発に関心を持つ人が集まって、この問題の重要性を認識して発信をした、それからこれからやりましょうということで共通の意思としてそれを持ったということが非常に意味があったということが一つ。それからもう一つは今回の会議というのは非常に行動指向的な会議であるということですね。実施文書、plan of implementationというのに合意をして、これには目標や目標年次が入っている部分がかなりあるわけですし、それから各国が「これをやります」という、タイプ2と言われる文書ですけれども、それをどんどん発表していった。今日日本も私とパウエル長官と一緒に水についての日米共同イニシアティブというのを発表しましたけれども、そういったことがどんどん出てきているというのが特色であったと思うんですね。そういう意味で非常によいサミットであったということです。

    【問】行動指向であったと川口大臣がおっしゃりましたが、実施計画のとりまとめに当たっては日本として飲めない、反対して盛り込まれなかった部分もあると思いますが、実施計画については、数値目標や実施年限の面で後退したとの批判もありますが、このサミットを受けての日本として飲めない項目についても取り組んでいかなければいけないと思いますが、このサミットを受けて日本としての課題はどのようなところにあるか、両大臣のお考えをお聞かせ願います。
    【大木大臣】数値目標乃至目標年限については、はっきりとそれに向かって前進することがいいものについては、半減するとか、何年までにやるとか、きちっと数字で出していますから、今まで以上により具体的になったと思います。それから、実現できないような数字を掲げて、数字を出しただけ、書くだけで安心しているよりは、むしろもっと現実的な書き方がいいと思うものもあります。それから数字について、なにをやるかという中身が国によって、現実に厳密に規定できないとなると、それに対する数字もなかなか作りにくいわけですから、そういうものはこれから詰めていく問題であると思います。
     10年、20年に1回のこういう会議はそうたくさんあるわけではないが、いろいろ関連の会議があるんですね。砂漠化についても砂漠化の条約があるし、京都議定書についても毎年会議があるし、数字は10年とか20年の一回の会議ばかりでなく、毎年の会議の中で詰められるものについては詰めていけばいいと思います。
    【川口大臣】この実施文書に盛り込まれた目標年次については、日本としてはこれをきちんとやっていくということです。具体的に、実際の行動に翻訳しにくいことがありますよね、たとえば2010年に生物多様性の劣化を反転させる、これは世界中の国で努力する話なので、日本としてそのために何をやるかということについては、例えば、大木大臣がおっしゃったように、これからそれぞれ考えていく必要がある部分もあると思います。これは、今後、国際的な場でレビューをしていきましょうということですから、日本なりに日本のプログラムを作ってやっていくということだと思うんですね。
     それから、その関連で再生可能エネルギーの数値目標について日本が反対したではないかというお話があると思いますが、日本として反対したのは、一律の数値目標ということがエネルギー政策の性格からいって合わない、おかしいということから反対したわけで、我が国として、たとえば再生可能エネルギーについて何年にどのぐらい増やしましょうというそれなりの計画は持っているわけですから、我が国は我が国としてそういう数字を持ってやるということです。あの場で反対したのは、それが全部の国に一律に、たとえば先進国は2パーセント増とか、世界全体として15パーセントとか、それが問題だと言ったと、そういうことです。

    【問】大木大臣に質問です。この会議の後半、欧州連合は、京都議定書を批准していないロシアに対して、近く正式な代表団を送って協議をすることを検討していることを明らかにしましたが、大木大臣にお聞きしたいのは、批准国が未批准国に対して批准を呼びかける、代表の派遣など具体的な方法でロシアなどに批准を呼びかける計画はおありでしょうか。
     また、川口大臣には、会議から外れて大変申し訳ないのですが、本日再び不審船の事件が日本近海で起こったわけですが、特に小泉総理が訪朝を控えている今ということを踏まえて、この事件に対する大臣及び外務省の対応を聞かせてください。
    【大木大臣】ロシア等に対する呼びかけについては、例えば皆で一緒に大挙して呼びかけるということではなくて、きちっとそれぞれの立場から説明できればいいと思います。例えばカナダで開かれたG8の場でもロシアに申し入れていますし、だんだんにいろいろなところから申し入れはしているし、強く申し入れています。必ずしも全部一緒に呼びかけなければいけないということではなくて、日本は日本の立場でロシアに対して、こういうことで早くやったほうがいいですよと説明を尽くして申し入れることはずっとしています。私も今回こちらへ来る前にロシアに寄って、日本のロシア大使とも話をして状況を聞きましたし、今回またロシアの首相が来て、その進行状況について一所懸命やっていると説明しています。また、例えば京都議定書について言いますと、またCOP8もあるわけですから、あらゆる機会をとらえて強く申し入れをしているということでいいと思います。みんなで一緒に行ってプレッシャーをかけることが果たしていいかどうか、こういうものはものの言い方もあるしやり方もあります。私も環境大臣として、向こうの環境省と、やはりロシアも早く批准をした方が京都議定書に基づいていろいろな協力が進められるわけですからロシアにとっても経済的にプラスになるということは何回も言っています。そのことは向こうも否定してません。ただ、ロシアについて時間がかかるのは、国内事情もあります。政府部内ですぐやるけれども立法府の手続にちょっと時間がかかる。しかし、年内に、いつ批准できるかという見通しははっきり言えるんじゃないかということは、私もロシア側のいろんなところから聞いています。
    【川口大臣】もう一つのご質問についてですが、おっしゃったように今日、不審船の疑いのある船が発見されたということで、その確認を今やっているということです。この船は、発見されたときには我が国の排他的経済水域の外側にあって動いているということでした。したがって我が国の排他的経済水域の中で我が国の法律に違反するということをやったということではない。私はずっと会議に出ていましたが、今の時点でもおそらくまだ確認作業をやっている、見ている状況が続いていると理解しています。
     小泉総理の訪朝との関係ですが、不審船の疑いのある船ということで、我が国としてそれを確認できたわけではないということでして、訪朝については粛々と準備を進めるということです。

    【問】先ほどの再生可能エネルギーについてもう一つ聞きたいのですが、これについてはアジェンダ21に書きぶりは別として同じようなことが書かれているわけです。今回は行動志向ということであれば、数値目標の設定というのがある意味で理想的な姿の一つではないかと思うのですが、先ほど川口大臣は一律の数値目標には反対といわれましたが、日本が再生可能エネルギーに対する取り組みを積極的にやっているということも理解した上での質問なのですが、であればこそ日本としての新たな提案というのがあるべきではないかと、それが環境外交でのリーダーシップを発揮するということではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
    【大木大臣】日本政府全体として考えなければならない問題であると思うのですけれども、先ほども川口大臣がおっしゃいましたように、一律ということについては、各国はエネルギー事情が非常に違っており、先進国だけではなく途上国の間でも議論がありました。それぞれの国が自主的に計画を作ってそれを進めるということでいいのではと思います。日本でも国内的にはいろいろと作っています。各国ともEUの国を含めて、いろいろな意味でエネルギー政策を見直しているところですから、それはそれで見直した上で、またきちっと国内的に数値目標を立てればいいと思います。いろいろな数字をたくさん作ってそれが各国の政策を促すと言うことではなくて、自主的にきちっとしたものを作っていればいいと思います。renewable energyということは、京都議定書との関連で強く言われていることですが、京都議定書については各国が数値目標を持っていますから、それはそれでいいと思います。しかし、エネルギー政策は完全に環境だけのことを考えて作れるものではなく、各国の産業政策とも関連あるわけですから、それを無視して作るわけにもいきません。京都議定書の目標はそれぞれについて議定書の中で設定されていますから、それをできるだけ早くやるということでいいのではと思います。実は日本の場合も、計画を作っていますが、2年あるいは5年経ったら計画自体を見直す、いろんな施策についても見直すことになっています。その成果も見ながら、これでは不十分ということであれば、今のrenewable energyばかりでなく、いろいろな経済政策、例えば税制の見直しとかそういうことも含めてやっていくことになります。各国が自分の実情に応じて、しかし全体としては前向きに、ということを実施計画の中で言っています。ただ数値は必ずしも具体的には示されなかったということはあります。あくまで、前向きにやるということ、もう一つは、京都議定書で少なくともCO2の排出量といった大きなところでは数字が出ているわけですから、その中でやっていこうということだと思います。
    【川口大臣】今大木大臣がおっしゃったことを数字の面で補足させていただきますと、経済産業省の総合資源エネルギー調査会というところで、長期の需給見通しを日本は作っているわけです。その需給見通しの数字ですと、再生可能エネルギーは1999年で4.9パーセントですから5パーセント近い数字になっていまして、それを我が国の計画、見通しでは、2010年に7パーセントにしようと、そういう計画といいますか見通しを持っているわけです。それはちゃんと我が国として数字を持ってやろうという意志があるわけです。
     それから、現に太陽光発電の発電量でいきますと、世界の太陽光で発電された電力の4割以上は、実は日本でやっているわけですね。ですから我が国の再生可能エネルギーのコミットということについては、非常にはっきりとしたものがあります。これは各国もそれはよく分かっていますし、ですから文言が、今大木大臣がおっしゃったように、英語ではsubstantially increaseとなっているわけですが、増やしていこうという姿勢をきちんとそこで出しているわけです。
     先ほども言いましたように、各国一律というのはおかしいでしょうということを言っている、それは、エネルギーをここで議論している所以というのは、エネルギー政策を活用して、あるいはエネルギーへのアクセスを途上国ができるようにすることによって、貧困をなくすことにつなげましょうということが考え方であるわけですけれども、そのときに、では、各国、たとえば太陽が燦々たる所もあれば、風力発電がいい所もあれば、水がいい所もあれば、あるいは省エネルギーをやることが非常にいいという所もあれば、そういうふうにそれぞれの資源の賦与状況ですとか、エネルギーへのアクセスの容易さその他によって、政策が違うんですね。一律の政策というのをやることが決して途上国が貧困を削減するための政策として適切ではないということなんですね。いろんなエネルギーの種類がある中で、再生可能エネルギーだけそういった国情の違いを無視して一律に数字を課すということは、実際に論理的にも正しくないし、実際にやっていくという意味でも難しい。そういうような目標は実際に長続きしないでしょうということであって、前向きに再生可能エネルギーが大事でそれを技術開発も含めてやっていきましょうということについては賛成をしているし、我が国自体はきちんと数字を持ってやろうとしています。


    (了)