環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成14年11月08日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が2件、政令が7件、人事案件が1件ありました。政令のうち2件が環境省関連です。1件は土壌汚染対策法の施行期日を定める政令、もう1件は土壌汚染対策法施行令です。
 閣議の後の閣僚懇談会で、低公害車の導入、とりわけ燃料電池自動車の導入についてお話がありました。福田官房長官から、燃料電池自動車の第1号車の納車式を、小泉総理出席のもと、12月2日に官邸において行うとのご発言がありました。私からも、環境省として燃料電池自動車を率先して導入する、12月2日の官邸での第1号車の納車式に合わせ、環境省においても燃料電池自動車を率先導入すべく手続きを進めている旨発言いたしました。環境省で導入する燃料電池自動車はトヨタのもので、今月末に正式に契約するよう調整を進めたいと思っています。12月2日に環境省に納車される際には、私も立ち会いたいと思いますし、報道関係の皆さんにも是非取材をしていただき、広く国民の皆さんに低公害車の導入を報道していただければありがたいと思っております。
 10月29日に判決が出ました東京大気汚染訴訟についてですが、関係省庁と協議をし、国として控訴をすることにいたしました。本日、法務省から東京地方裁判所に対して所要の手続きを行う予定であると聞いております。環境省としては、そういう法的手続きをとりましたが、大都市の大気環境の改善のため、今後とも関係省庁と連携して、総合的な対策を一層推進しなければならないと思っております。また、主要幹線道路沿道等の局地的な健康被害に関わる調査研究を早く進めなければならない、結果が早く出るように最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

(質問)控訴の理由は何でしょうか。
(大臣)最終的には法務省の方で取りまとめるわけですが、環境省として意見を申し上げたのは、やはり、ぜん息疾病と大気汚染との因果関係について、我々国の立場と判決が異なっている点について問題ありということです。

(質問)調査研究をできるだけ早くとおっしゃいましたが、具体的には決まっていますか。
(大臣)今日まで遅れていた理由も、一所懸命努力はしておりますが、新しい調査なので調査手法から組み立てなければならないということで、技術的にクリアしなければならないことがございます。今、明確にいつ頃ということは言えませんが、とにかく関係の皆さんに頑張ってもらって、一日も早く調査結果が出るよう督励したいと思います。

(質問)17年度から、本格調査を開始と聞いていますが、前倒しも含めた意味でしょうか。
(大臣)技術的に前倒しができればいいですが、今聞いている話では、やはりそこまでかかってしまうということのようです。

(質問)患者側が求めている新たな救済制度については、どうお考えでしょうか。
(大臣)昨日、参議院の環境委員会でも質問を受けましたが、私としましても、ぜん息で大変苦しんでおられる方々については、お気の毒であるという気持ちを強く持っております。昨日もそういう患者さんが傍聴されておりました。しかし、国として制度を仕組む以上は、お気の毒だからという理由で、例えば経済的な救済をするというのは仕組めないわけです。そこには今の大気汚染とぜん息等の疾病との因果関係について、科学的な裏打ちがなければいけないと思います。残念ながら今はその知見がないわけですから、今の段階では新たな救済制度の創設は難しいと思います。従って調査を早く進めたいと思っております。

(質問)昨日の環境委員会での質疑で、平成9年の環境庁の報告で、排出ガスとぜん息の因果関係を認めたものがあるという指摘がありました。これについてはどうでしょうか。
(環境管理局長)その調査は断面的な調査で、NO2について、年平均値0.03ppm以上の地域とそれ以下の地域との間で有症率の差があるというものです。この点をとらえて、因果関係を認めたとのご質問でした。しかしこの調査は同時に、新規発生率の追跡調査も行っており、新規発生率の追跡調査では、大気汚染との因果関係が認められないという結果でした。片方はなんらかの関係があったが、片方は関係がなかったということです。これは、未然防止をしていくということでは大きな資料になりますが、今議論をしている、大気汚染がぜん息疾病の主因であるという因果関係を認めた調査ではないと思っています。昨日は質問者が因果関係を認めたと解説され、それに対する答えを求められなかったので、このことをご説明する機会がなかったということです。

(質問)因果関係を認めたものではないということですか。
(環境管理局長)はい。大気汚染が主因であるかどうかの因果関係を議論しているわけですが、その因果関係があるとの考え方を支持するところまで言っているとは思いません。

(質問)閣僚の資産公開がありましたが、ご自身の資産公開について一言お願いいたします。併せて、土地価格など実勢価格と違うということや、昨今の国会議員の秘書による口利き疑惑がある中で、秘書の資産は公開の対象になっていないなど、資産公開の制度のあり方についてどうお考えかお聞かせ下さい。
(大臣)私の資産については、同級生には民間会社の部長をしている人もいますが、その方々に比べれば少し多いかなという感じです。多いかどうかは世間の皆さんがどう思うかということだと思います。それから制度そのものについてですが、この制度の趣旨は、閣僚在任中に職務権限等を行使して、蓄財をするようなことがあってはならないということで、就任時、退任時に資産を公開するということだと思います。実際は、内閣の申し合わせで、在任中は株も信託することになっていますし、家も建てないことになっているなど、そういう蓄財などできないことになっています。国会議員としての資産公開もございますので、何と申しますか、屋上屋を架すというようなところがあるのかなという気がします。ただ、家族の資産も公開することになっていますので、そういう点は良いと思います。
 秘書まで対象を拡大していいかどうかという点は、どうでしょうか。秘書の口利きなどが問題になっていますが、私は、そういう事件は異例中の異例だと思っています。今直ちに、そういういくつかの異例をもって、秘書の資産を公開するのは、プライバシーもあるので、必要ないと思います。

(質問)借入金が奥様名義で800万円ありますが。
(大臣)妻が個人的に借り入れたものです。

(質問)自宅は?
(大臣)自宅は盛岡にあります。父の土地に私が自宅を建てています。妻の資産は、ほとんど妻の父親の遺産です。

(質問)東京大気汚染訴訟の件ですが、国の立場と裁判の結果が異なっているとおっしゃいました。他の大気汚染訴訟でも何度か因果関係が認められているわけで、今回の判決も含め、国の主張と異なった判決が5回続いているという原告の主張ですが、それでもまた上告するということでしょうか。
(大臣)過去4回の判決についても同じ理由で上訴し、その結果、和解しているという状況です。その対応は今までも一貫しています。

(質問)石原東京都知事が控訴しないと表明しています。この点についてお考えをお聞かせ下さい。
(大臣)東京都も被告としておられるわけで、被告たる東京都のご判断だと思います。国は国としての立場で今回控訴したということです。

(質問)今回、控訴することを決められたわけですが、国の中で協議した際に、控訴すべきでないという意見はありませんでしたか。
(大臣)最終的に法務省でまとめられたわけです。環境省としては、意見を求められたので、先程申し上げた点で、問題ありと申し上げました。他の省の意見についてはわかりません。

(質問)資産公開の件で、盛岡の自宅は借地ということですが。
(大臣)父の名義の土地に私名義の家を建てております。

           (了)