環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成14年5月10日)

(大臣)本日の閣議では環境省に関する案件はありませんでした。閣議後の懇談会では、藩陽の話が外務大臣からご説明がありました。藩陽の総領事館、日本大使館、東京でそれぞれいろいろ対応しているという話だったのですが、閣議後懇談会では、少し対応がおかしいのではないか、明らかに進入しているところを積極的に阻止するとか取り戻すという努力をしていないのではないかというコメントがありました。
 法律上の問題ですが、皆さんは主権の侵害と言っておられますが、主権の侵害ではなく不可侵権の侵害だという説明がありました。大使館なり総領事館は、その場所を借りているわけで、日本の領土になっているわけではないのです。だからそこに勝手に入ってはいけないということが、私は不可侵権だと思っています。この辺のことはだんだん外務省から出てくると思うでしょうから、これはご参考までに申し上げます。
現在国連事務総長の特使になったプロンク氏に、これからのヨハネスブルグ・サミットに向けて各国と調整を行っているということで、昨日会いました。川口外務大臣も会われました。
プロンク氏の言っていることは、ヨハネスブルグ・サミットに向けて、まずバリで第4回準備会合がある、6月の後半にはG8のサミットもあるという日程をみて、必要なことをやっていかなければならないということでした。またプロンク氏は、3月、モントレーの資金に関する非常に大事な会議があり、ブッシュ大統領やシラク大統領など、首相ないしは閣僚級がかなり来たのになぜ日本は閣僚級が来なかったのかということを言っていました。アメリカはすぐにではないが、2004年2005年頃にODAの額を増やしていくというようなことを言ってますし、ヨーロッパもだんだん増やしていくというふうに言っているので、日本もそれに見合ったことを言ってくれという話もありました。そういうプロンク氏の意向は小泉総理にも伝えておきますということを言いました。
 もう一つ、京都議定書について、日本は間に合いそうだがロシアがはっきりしないということで、時期をみて間に合うようにロシアに申し入れしたらどうかということを言っていました。小泉総理に伝えるつもりです。
ヨハネスブルグ・サミットに向けていろいろな文書を交渉していますが、本当に間に合うのか、そろそろまとめていかなければならない、ということを言っています。ヨハネスブルグ・サミットでは政治的宣言のような非常に短い文章と、各国やいろいろな団体が行っていく項目が出てくると思います。後者については、インドネシアのサリム氏が準備会合の議長をやっていますので、その指示をうけていろいろな人が分担して文章を作っています。政治的宣言はできるだけ短いものを作ろうということなので、バリの準備会合で終わりではなくヨハネスブルグ・サミットまで持ち込まれるかもしれません。どっちのペーパーにしろ、日本として、今までに議論になっている多くの項目のうち何を重点的に考え主張していくのか、目下外務省や関係各省と調整中です。
 カナダのG8の会議に小泉首相は行かれます。G8の会議でヨハネスブルグ・サミットの問題がどこまで出るかわかりませんが、少なくともG8環境大臣会議でまとめたヨハネスブルグ・サミットに向けての提言を各国の主脳に渡すということになっていますので、ある程度の議論は行われるのではないかと思います。私としても小泉総理がカナダのサミットに行かれるための準備として小泉総理に説明していかなければならないと思っています。

(質問)ヨハネスブルグ・サミットへの小泉首相の出席はどうなのでしょうか。
(大臣)今のところ行っていただくつもりで準備をしています。アメリカもモントレーの資金会議の時には行かれましたし、ブッシュ大統領としても準備を進めていると理解しています。アメリカの対応はヨハネスブルグ・サミットに向けて変わってきていて、今まで以上に前向きになってきたとプロンク氏も言っていました。
(質問)ヨハネスブルグ・サミットには川口外務大臣も行かれるのでしょうか。
(大臣)ヨハネスブルグ・サミットだけでなく、その前のバリの準備会議に誰が行くのかも決まっていません。
(質問)プロンク氏との話の中で資金の話が出ていますが、日本のODAが減っていく中どのようにして貢献していこうと思いますか。
(大臣)今年日本はODAを抑える方向にありますが、環境に関しては重点項目として比重を増やしてもいいのではないかという議論もありますと答えました。それに対してプロンク氏は今年だけの話でなく、アメリカやヨーロッパのようにむしろ先を見越して前向きな姿勢を出すということが大切だと言っていました。これから財務省とも話していかなければならない問題だと思います。
(質問)ヨハネスブルグ・サミットのまとめていく文章のなかで京都議定書に対してのくだりがあると思いますが、日本政府としては2002年内の発効という文章の明記を主張していくおつもりでしょうか。
(大臣)カナダでのG8環境大臣会合の時は、全部やるというコミットはできないが、なるべくヨハネスブルグ・サミットのことも頭に置いて早くやるようにするといった文章にしました。しかし現実にはG8全部の国がすぐに批准できるかといったら、正直そういう状況ではないので、できるところはきちっとして、あとは努力するということになりました。今度のカナダのG8首脳会議やヨハネスブルグ・サミットでどのような文章になっていくのかというのは、これからの状況によります。ロシアが入れば計算上はEUと日本とロシアで発効要件を満たすということになりますから、各国の努力も必要だということです。
(質問)総領事館の件ですが、閣僚懇談会で大木大臣は何か発言されましたでしょうか。
(大臣)はい。昔は大使館と総領事館では国際法での扱いが違いました。大使館は一種の治外法権がありましたが、総領事館はありませんでした。慣例として、相手国の配慮として権利を認めていたということです。
 しかし、今日の外務大臣のご説明では、そもそも主権ではなく不可侵権であるということです。大使館でも総領事館でも同じということです。
(質問)特に、対応についてのご意見はおっしゃいましたか。
(大臣)私を含め、皆さんが口を揃えて、あれは対応がおかしいのではないかと言いました。中国側が言っているように怪しい者が侵入するのを阻止したというようには見えません。そういう理屈は通らないと外務省もはっきり言っているはずです。
(質問)対応がおかしいというのは、現場の中国側の警察の対応でしょうか、その後の
中国政府の対応でしょうか。
(大臣)まずは、総領事館の対応がおかしいということです。それから中国側の対応がおかしいということです。
(質問)総領事館の対応については、職員が傍観していただけではないかという批判が出ています。対応がおかしいというのはそれも含めてでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
(大臣)それも含めてです。外務大臣のご説明では、一般的には中国側の対応はおかしいが、現地で総領事館がどう対応したか詳細はわからないので、調査中であるということです。また、たまたま大連の飛行機事故のため、総領事以下幹部が当日現場にいなかったということもあったようです。
(質問)大部分の職員は建物の中で電話連絡をしていたという話ですが。
(大臣)皆、報道された映像を見て、それをもとに得た知識で話していますから。それでも見た限りでは、怪しい者が飛び込んできたから阻止したというようには見えないと皆言っています。外務大臣もそう言っています。
(質問)大臣ご自身もハワイ総領事でいらっしゃいましたが、このようなことはありましたでしょうか。
(大臣)火事などで相手国が入ってくることはありえる訳です。ただ、あくまで総領事館側の同意を得て入ってくるわけです。
(質問)亡命を求められた経験はありましたか。
(大臣)直接亡命を求められたことはありませんが、知識として事例は知っています。
(質問)中国外務省当局は、日本の引渡要求を無視するような発言をしているようですが。
(大臣)怪しい者が入るのを止めたと言っています。そうしますと、どう怪しい者であったのか説明する必要があります。今後、中国側がどう説明するかでしょう。
(質問)背景に、中国にいる多くの北朝鮮の人が亡命しようとしているというのがあります。これについてどうお考えですか。
(大臣)環境大臣としてではなく、元外務省職員として申しますと、そのような情報があるのなら、ある程度対応を考えておく必要があったと思います。既に、昨日だけでなく他の国の領事館にも亡命者が入っているようですから。
 中国には、北朝鮮から逃げてくる人達を助ける、おそらく韓国人でしょうが、NGOがいます。地理的に朝鮮半島と繋がっていますから。亡命の話はきのう突如起こったわけではないでしょう。平生からきちんと対応を考えておくべきでしょう。
(質問)先日、プロンク特使が、ロシアに対し共同で申し入れをする提案をしました。日本としてどうお考えですか。
(大臣)何らかの形でロシアに申し入れをするのが良いと思います。共同ならなお良いとは思います。ただ、日本の批准手続きが終わっていないと言えないので、早く手続きを終了してからの話でしょう。
(質問)検討すると言うことですか。
(大臣)どうするか検討すると言ってあります。


(了)