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記者会見大臣発言要旨(平成14年2月15日)

(大臣) 本日の閣議で環境省に関係するものとして、法律案が2件、一般案件が1件ありました。
 土壌汚染対策法案を閣議決定しました。これまで土壌汚染一般に対応する法制度はございませんでしたが、この法律が成立すれば、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等、典型7公害に対応する規制法が全て揃うことになります。
 本法案につきましては、検討会、審議会といった検討段階より様々な角度からご意見をいただきましたが、環境省としても、制度導入後の円滑な運用を確保するために、規制だけでなく様々な支援措置を同時に推進する必要があると考えています。
 本法案に基づく指定支援法人による助成につきましては、制度が定着するまでの経過的なものとして、政府の補助は平成24年度を終期としておりますが、あわせて、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。
 大臣就任最初の法案がこのような重要法案となり、今日法案を提出することとなり、うれしく思っています。国民の皆様をはじめ、産業界、関係各省その他関係各位の方々の格段のご協力をお願いしたいと考えております。
 自然公園法の一部を改正する法律案を閣議決定しました。内容を具体的に申し上げますと、第1に、国立・国定公園の特別地域等において許可を要する行為として、土石等の物の集積、貴重な昆虫類等の捕獲、貴重な湿原等への立入り等を追加することとしました。
 第2に、国立・国定公園の風致景観の維持とその適正な利用を図るため、利用調整地区を指定し、利用者数の調整を図ることとします。
 第3に、地方公共団体、公園管理団体等が、土地所有者等と風景地保護協定を締結し、自然の風景地の管理を土地所有者等に代わって行うことができることとします。
 第4に、環境大臣等は風景保護協定に基づく自然の風景地の管理業務等を行う民間団体等を指定する制度を整備いたします。
 これらの改正により、自然公園の生態系の保全と質の高い公園管理の実現を図って参ります。
 グリーン購入法に基づく環境物品等の調達の推進に関する基本方針の一部変更について閣議決定しました。政府が率先してグリーン購入に取り組むことは、循環型社会の構築を実現する上で重要であると考えています。本年度はグリーン購入法に基づく調達を開始した初年度であり、昨年2月に閣議決定した基本方針に基づき101品目の環境物品等を中心にグリーン購入法に基づく調達を推進して参りました。今回の基本方針の改定により新たに50品目を環境物品に追加し、品目数は5割増しとなります。来年度は、国をはじめとする各機関において、今回改正された基本方針に基づいて一層のグリーン購入を推進することになります。
 ブッシュ米大統領が気候変動政策に関する米国案を発表しました。ブッシュ大統領訪日前に米国案について検討する時間がもてることもあり、米国案を発表したこと自体は評価しています。今回発表された政策は、京都議定書と異なったアプローチを取っていますが、国内的にどのように解決するかについて含まれております。温暖化防止の活動に関し、今後も随時米国との意見交換を進め、協力出来るところは協力して参りたいと考えています。以前より行っていました日米ハイレベル会合などのバイ会談、4月にカナダで予定されているG8環境大臣会合、8月末から9月にかけて行われるリオ+10、ヨハネスブルグサミット等を活用し、日米の意見交換、政策の調整を図っていきたいと思っております。

(質問)ブッシュ大統領が気候変動政策に関する米国案を発表したことについて、好意的に受けとめていますか。
(大臣)発表された内容というよりは、ブッシュ大統領訪日前に米国案を発表したこと自体について評価しています。

(質問)発表された米国の気候変動政策の実効性についてはいかがですか。
(大臣)内容については、米国から発表されたテキストを読み、必要に応じて米国から説明を受けて検討したいと思います。またブッシュ大統領訪日の際にも、米国の対策について何らかの話があるのではないかと思っています。今回の発表について外務省、環境省からコメントを発表しますが、官邸でも日米首脳会談に備え、準備されると思います。

(質問)米国の温室効果ガス削減目標については定かではありませんが、米国の対策を検討した結果、温室効果ガス排出量の伸びは抑えるものの、1990年時と比して、削減するまでには至らないということが明らかになったとしても、一定の評価をするということでしょうか。
(大臣)米国が対策を発表したこと自体に対して評価しているということです。内容面では大いに満足出来るということではありませんが、米国が気候変動問題に関して努力しないということではなく、科学技術の研究開発、発展途上国に対する支援も今回の発表には含まれています。仮に京都議定書の外にある枠組みであっても、京都議定書の枠組みと並行して取り組むことが出来るものもあるかもしれませんので、これから勉強していきたいと思います。

(質問)気候変動政策に関する米国の対策の目標が、京都議定書に定められた温室効果ガス7%削減とかけ離れたものであった場合には、日本側からより一層の対策を求める何らかの働きかけを行うのでしょうか。
(大臣)米国の考えていることをよく理解して判断する必要があり、現段階でそれ以上のことを申し上げることは出来ません。実効性については、米国の経済成長率や科学技術の発展具合など実効性を計算する上での不確定要素が多く、それらを検討する必要があります。また、GDPの成長と同程度にCO2排出量も増加する訳ではないと、一定の努力をすることを示しておりますので、具体的にどのような成果が上がりうるのかを日本としても検討し、必要に応じて米国との話し合いも行いたいと思います。

(質問)今回の米国の対策では、経済成長と温室効果ガス削減をリンクさせて考えていく姿勢が見られますが、この点についてはどのようにお考えですか。
(大臣)温暖化対策を考える上で温室効果ガスの削減と経済成長は実態として当然に関連するもので、これを無視することはできません。米国でも、日本と同様に産業部門、民生部門の自主的な取り組みを尊重しながら政策を進めていくことになります。経済成長と温室効果ガス削減との関連性を政策としてどの程度密接に結びつけるかは国ごとに違いがあると思いますが、これを無視して政策を進めることは出来ないと思います。

(質問)京都議定書は温室効果ガス削減の総量規制であり、経済とリンクさせて温室効果ガス削減を考えるのはその趣旨に反するのではないでしょうか。
(大臣)温室効果ガス削減と経済成長は実態として関連しておりますので、温暖化対策を行うに当たって、まず温室効果ガスの削減ありきだけで経済と関係なくこれを行うというものではないと思います。京都議定書にしても経済的手法も盛り込まれております。米国の対策は京都議定書とはアプローチが異なるものの、経済と温室効果ガス削減をリンクさせて考えることが即京都議定書に反するとは考えていません。

(質問)今回発表された気候変動政策に関する米国の対策と京都議定書とを併合させることはあり得ますでしょうか。
(大臣)米国は1997年の京都議定書の採択国であり、京都議定書の枠組みの中に戻って欲しいですが、それが直ちに出来ないとしても話し合いを続けることは可能だと思います。

(質問)ブッシュ米大統領の訪日の際、首脳レベル、外相レベル、環境相レベルでどのようなことを話し合われるのでしょうか。
(大臣)日米首脳会談でどのような議題が話し合われるのかも全て聞いているわけではありませんが、今回米国の対策が発表されましたので、気候変動対策について前進が見られるようにしたいと思います。

(質問)米国の対策について、内容面で満足できないのはどのような点でしょうか。
(大臣)現段階での見通しとして、米国の対策では京都議定書に定められている温室効果ガス7%削減が果たせない可能性が強いという点があります。しかし、科学技術の発展により、温室効果ガス削減は出来うるかもしれません。

(質問)米国の対策が訪日の前というタイミングで発表されたことについてどのようにお感じになりますか。
(大臣)米国がアジアの主要国である日本との協力関係を重視していることの表れだと思っております。

(質問)今回の米国の対策については、いつ頃、どのようなルートで知らされたものでしょうか。
(大臣)数日前に様々な外交チャンネルや、私の環境大臣就任のお祝いを頂く際に米国の対策の準備状況を聞くなどして、知りました。

(質問)日米首脳会談で、今回の米国の対策の内容について日本政府から言及はされるのでしょうか。
(大臣)日米首脳会談での議題は環境問題だけではなく政治問題、防衛問題もあり、限られた時間の中で、どの問題にプライオリティを置き、どれだけの時間を割けるかについては現在調整中です。

(質問)今回の米国の発表で京都議定書に関する国会の手続きに影響はありますか。
(大臣)2月13日に行われた地球温暖化対策推進本部の会議で示された今後の方針の中で引き続き今国会での条約の承認と国内法の成立について努力することになっておりますので、国内法に関しては今国会に法案を提出し、条約に関しても、COP7で内容が確定していますのでその承認が得られるよう手続きを進めていきます。

(了)