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記者会見大臣発言要旨(平成14年1月11日)

(大臣)本日の閣議は、一般案件として、国会の招集について決定されました。1月21日の月曜に開会されます。それから皇太子殿下のオランダ国訪問について了解がされました。質問主意書が1件ありました。原陽子衆議院議員(社民)提出の長良川河口堰などの住民訴訟に関する質問ですが、国土交通省と総務省が担当で、環境省は関連ございません。政令が5件ありました。うち1件が環境省主管の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令です。内容は昨日、事務次官から説明いたしましたとおり、コンクリートくずを産業廃棄物として明確化するなどのものです。また、私を含め閣僚4人が海外出張をすることについて了解をいただきました。私、環境大臣の臨時代理は武部農林水産大臣になりました。塩川財務大臣から、ラオス・カンボディア出張についてご報告がありました。
 
 

(質問)今日から、バンコク・北京へご出張されますが、北京では、オリンピック開催などを控え、京都議定書に関する環境政策について何か大臣から働きかけをされるご予定はありますか。
(大臣)中国では、ASEM環境大臣会合に出席します。その他、中国の政府要人と会談する予定になっています。16日にトキの担当部局である国家林業局の周生賢局長、地球温暖化問題の担当である外交部の王光亜副部長、劉江国家発展委員会副主任とお会いする予定です。中国は今環境保全について非常に熱心になっているので、私としてはその現状を伺いたいと思っています。それから、解振華環境保護総局長とはASEM環境大臣会合でお会いするほか、個別に会談できるよう調整中です。いずれにしても、中国の環境保全の現状について、現地で勉強したいと思います。また、中国は地球温暖化の問題についても、石炭から天然ガスへの転換を一生懸命やっています。日本はそういう状況についてもっと国際会議で発言されたらどうかと言ってきた経緯があります。地球温暖化についても今後の見通しなど意見交換をしたいと思います。

(質問)米国が京都議定書に参加しない理由の1つとして、途上国が参加していないということを上げています。今回、中国に対し、今後是非、京都議定書への行動を起こして欲しいというような要望をする予定はありませんか。
(大臣)中国に対し、京都議定書についての具体的な取組を話せるかどうかはわかりません。ただ、日本がどういう方針であるかはお話します。日本を含め先進国は、発展途上国がいずれ、どこかの段階で国際的な枠組みに加わってくることが大事だと考えています。それについては、今までも発展途上国のグループであるG77と中国に伝えています。今回も同じラインのお話をするつもりです。中国の環境保全に携わっている方々とは、解振華さん以外あまり面識がありません。今回はお互いに知り合うことが第1歩だと思いますので、そこに力を入れたいと思います。また、中国が環境保全を一生懸命やっていることの実情や考え方について、私なりに頭に入れて感覚を持ちたいと思います。

(質問)中国が行っている環境保全対策について、情報公開をして欲しいということを提案するお考えはありませんか。
(大臣)情報公開というか、どういうことをやっているのか、国際社会でおっしゃったらどうですかとは助言したことがあります。中国も、昨年のいくつかの地球温暖化関係の国際会議の席上で、実際に国内環境保全対策について発言しています。その後、どうなっているか教えていただくとか、あるいは日本として中国にどのような協力ができるかなど、話し合わなければならないことが沢山あります。

(質問)バンコクではどのような話をされますか。
(大臣)バンコクでのアジア太平洋地域環境開発フォーラムは、第1回目の会合になります。一昨年、北九州でのエコアジアにおいて日本が提案して準備会合を何回かやってきたものです。橋本元総理が議長で、私はオブザーバーとして出席いたします。当面は今年開催されるヨハネスブルグ・サミットに向けていくつかのテーマを議論する予定です。テーマは東京での準備会合で決定した「資金」、「貿易と環境」、「淡水保護」、「再生可能エネルギー」の4つです。その議論をまとめてヨハネスブルグ・サミットに向けて特別提言を行う予定です。参加者はUNEP、ESCAP、アジア開発銀行など、アジア太平洋地域における環境問題に関心のある国際機関の方々も参加されます。

(質問)この会議で、日本としてヨハネスブルグ・サミットに向けて何かインプットしたいことがあるのでしょうか。。
(大臣)日本としてヨハネスブルグ・サミットに向けどう対応するかは、これから政府内で議論していきます。昨年11月にカンボディアで会議があった際には、非常に広い形で日本の意見を申し上げています。「こういう提案をします」という形での議論にはまだなっていません。環境問題だけではなく、より広く経済、文化、社会的安定などにも広く係わってくる問題です。これから日本政府の中で良く考えることが必要だと思います。持続可能な開発といっても、今まで何ができて何ができなかったのか考える必要があります。国によっては、環境のガバナンスや資金の問題を、またある国は、水問題、感染病の問題、森林などいろんな問題を提示しています。

(質問)アジア太平洋環境開発フォーラムとしての提言はいつまでにとりまとめられますか。
(大臣)次回はインドネシアで5月に会合を行う予定です。それまでにヨハネスブルグ・サミットに向けた提言をとりまとめたいということです。

(質問)中国との会合ですが、日米で行っているような地球温暖化に関する継続的な会合にする提案はされますか。
(大臣)日米で行っているような枠組みによる会合を、今回中国に対し提案するつもりはありません。いずれはいろいろな可能性があると思いますが、今回は、お互いに良く知り合い、実情について認識し合うことが第1歩だと思っています。解振華環境保護総局長とは昨年の日中韓環境大臣会合でお会いし、3つの国の環境大臣が同じ考えであるということで意気投合した関係ではあります。他の方は面識がないので、これからということになります。今回、日中韓3カ国の環境大臣の非公式会合も行う予定です。

(質問)諫早湾の干拓工事が再開されました。一方で農林水産省は第3者委員会の提言した調査についてはっきりとした態度を示していませんが、これについて大臣はどうお考えでしょうか。
(大臣)第3者委員会の調査についての提言は最大限尊重されるべきだと思っています。
これについては、関係者の方々で議論がされていると思っています。農林水産省が昨年出された方針と矛盾するものではないと思います。


(了)