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記者会見大臣発言要旨(平成14年1月8日)

(大臣)小泉総理外2名の閣僚の方が海外出張されます。明日から、片山総務大臣が中国に、遠山文部科学大臣が欧州にそれぞれご出張になります。小泉総理の代理は福田官房長官が、片山総務大臣の代理は森山法務大臣が、遠山文部科学大臣の代理は扇国土交通大臣がそれぞれお務めになります。
 副大臣8名、政務官21名お替わりになることが決定になりました。また環境省幹部職員の人事について、内閣の承認を得ることについての決定がなされました。
 福田内閣官房長官と国家公安委員会委員長から交通事故防止対策の推進についてお話がありました。


(質問)年頭ということで、新年の抱負をお聞かせください。
(大臣)一言で申しますと、今年の課題は実行する年であり、新たなチャレンジを更にしていくことだと思います。昨年12月にもお話いたしましたが、昨年1年間は環境省1年目ということで、礎造りが出来たのでないかと思います。礎というのは、国内、国際両面であるのですが、国内的には、「21世紀『環の国』づくり会議」を開き、全閣僚のご出席の下で、今後の環境行政としてやっていくべきこと、環境省がやっていくべきこと、他の省庁に環境を正面に据えてやっていただくことを議論し、そのような体制を作ったことがあります。去年の暮れの政府予算案において、自然再生予算が組み入れられ、これを今年実行していくことになります。自然再生というのは、ただ単に自然を再生するという意味だけでなく、今後の日本を考えるうえで、もっと深い意味合いのある仕事だと思っております。環境保全について生態系の保全を正面に据えたことから、例えば川の工事をする際にも単に川の工事をするだけでなく、環境省が生態系を保全するためにはどうすればいいかという視点を各省連携する中で強く出していくことだと思います。自然再生のほかには、小泉総理も推進していただいているゴミゼロ社会についても、かなり進展がありました。安心と安全という意味で言うと、ポリ塩化ビフェニール廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法いわゆるPCB法や自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法いわゆる自動車NOx・PM法が成立し、また環境ホルモンの研究など様々な進展があり、それらを礎にして、今年は実行していくことになります。国際的には、今年ヨハネスブルグのサミットがありますが、国内同様、礎造りという意味では、京都議定書の実施ルールの合意や生態系ミレニアム・プロジェクトがあります。生態系ミレニアム・プロジェクトについては環境省も予算をとって実行する体制になっています。先に申し上げたことと関連しますが、環境の保全あるいは持続的開発を行うなかで生態系が保全されることが重要であり、どこがどれくらい傷み、どのくらい傷んでしまうと再生が不能になってしまうだろうかといった観点から勉強していくということになります。一昨年の北九州でのエコアジアで、当時でいう有識者会合という枠組みをつくることに合意し、今後のことを国際的に考えていくことにしましたが、これに関する初めての会合が近々バンコクであります。これも礎造りだと思います。今、有識者会合と申しましたが、現在の名称で申しますと、アジア太平洋地域環境開発フォーラムとなります。また、仕事のスタイルで申しますと、わかりやすい環境省、地球大で活動する環境省、共に歩む環境省ということで、NGOや市民グループ、産業界の方と一緒に取り組んでいこうというスタイルをとっております。このことは、環境の保全は政府だけでなく国民全員で取り組んでいかなければならないことから、特に必要なことであると思います。共に歩むという意味では、昨年、MOEメールを開設し、タウンミーティングや、NGOの方々による政策提言フォーラムを行いました。今年はそれらをすべて継続し、本格化していく年だろうと思います。新しいチャレンジという意味では、「環の国日本」という表現をしましたが、これを「環のくらし」、「環の地球」というように内と外に広げていかなければならないと思います。環境を「くらし」という観点から考えた場合に、自分たちのくらしの在り方の多様性を尊重できる「環のくらし」にしていくことが大事であると思います。それを押し進めるために、昨年末、地球温暖化防止国民生活推進室を新設しました。「環の地球」という意味では、環境の保全は経済との関係で語られることが多かったのですが、それだけではなく、政治との絡み、安全保障との絡み、様々な国の様々な文化との絡みで総合的にとらえる必要があるのではないかと思います。それに関して、アジア太平洋地域環境開発フォーラムの場で議論し、さらにはヨハネスブルグサミットを含め様々な国際的な場で新しい提言をしていくことが重要だと思っています。今日で太田前事務次官から中川事務次官に替わり新しい体制になりますが、昨年の段階で太田前事務次官に御尽力いただいて、基本的な路線は引かれております。環境省としてはそれを実行していくということです。そういう意味で、実行と新しいチャレンジの年と位置づけたいと思っています。

(質問)事務次官を始め幹部の方がお替わりになり、どのようなご感想をお持ちですか。
(大臣)基本的に何をやらなくてはならなくて、どのようなスタイルでやっていくかということについては、昨年1年間太田前事務次官を始めとして職員一丸となって体制を作ってきたので、その動きがスムーズに実行されていくものと考えています。副大臣、政務官もお代わりになりますが、昨年1年間、一緒に活動してきて、私が政治家ではない点など、非常にうまく補っていただいて大変ありがたいと思っています。お二人の昨年の活動に感謝申し上げたいと思います。これからも環境省の外から応援していただければと思います。

(質問)アジア太平洋地域環境開発フォーラムにはご出席されるのですか。
(大臣)バンコクでの会議には出席したいと思います。また中国北京で行われるASEM環境大臣会合にも出席する予定です。

(質問)今日、カルタヘナ議定書に関連して中央環境審議会野生生物部会が開かれますが、カルタヘナ議定書には日本政府は署名していません。ヨハネスブルグサミットに向けて、批准についての大臣のお考えを教えてください。
(大臣)議定書も含め、どの国際条約の場合もそうなのですが、国内法の精査をし、条約の取り決めていることと異なることを定めている国内の法律があるかどうか、また条約の定めていることで国内法の担保していないことがあるかどうかを確認する作業が必要になります。その作業を今までやってきています。出来るだけ早くその作業を終わらせ、それが出来た段階で先に進めると思っています。

(質問)批准に向けた準備を進めているということですか。
(大臣)そうです。

(質問)京都議定書について、経済界からは米国の不参加のままでは不十分ではないかという意見が依然として強いですが、今後の日米の協議など日程は立っていますでしょうか。
(大臣)日米の協議をいつ、どこでやるかということについては昨年暮れから話し合いをしていますが、現時点では決まっておりません。しかし、日米双方ともこの枠組みは高く評価し、取り組んでいきましょうといっております。閣僚レベルでは通常国会が始まり、国会の承認が必要になることもあり、日程の調整は若干難しくなるのではないかと思いますが、事務レベルの協議は昨年9月に行いましていい成果が出ております。


(了)