記者会見大臣発言要旨(平成13年9月11日)

(大臣)本日の閣議では環境省関連の案件はありませんでした。質問主意書が7件ございました。柳沢金融大臣から破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告を国会に提出することについてお話がありました。本年1月6日以降7月31日までの間に政府が講じた措置の内容に関して取りまとめ、本閣議で決定いただいた上で国会に提出するということです。塩川財務大臣から平成14年度概算要求額について、片山総務大臣から平成14年度機構・定員等の要求についてそれぞれご報告がございました。石原行政改革担当大臣から特殊法人等改革と平成14年度予算の概算要求についてご発言があり、特殊法人等に係る概算要求額は昨年度予算額に対し約5,831億円の減額要求となっているが、これについては総理のご指示に基づき、今般の特殊法人改革の趣旨に合致しているかどうか検証を行うこととしているとのことでした。私からは米国への出張のご報告をさせていただきました。
閣僚懇談会で武部農林水産大臣から狂牛病について昨日、対策本部を設置し、病気の牛が出た牛舎の牛を隔離するとともに、本日専門家による技術検討会を行うというお話がありました。まだ最終的に狂牛病に決まったわけではないですが、ほぼ間違いないであろうということで、徹底的に原因を究明するとのことです。竹中経済財政政策担当大臣から構造改革の工程表を完成するにあたり、国民の皆様にわかりやすく見えるように工夫をして欲しいとのご発言がありました。竹中大臣は昨日、環境省へもお見えになり、国民に分かりやすく理解しやすく工程表を作成したいので環境省としてもご協力をお願いしたいとのお話がございました。私からは、それは大事なことなので努力をいたしますと申し上げました。

(質問)米国への出張の閣議でのご報告についてお聞かせ下さい。
(大臣)9月の4日から9日にかけてニューヨークとワシントンに出張し、米国の政府関係者等と京都議定書についてのお話をしてまいりました。ワシントンではホイットマン米環境保護庁長官、ハバード経済諮問委員会委員長、リンゼー経済担当大統領補佐官、コノートン環境諮問評議会議長、ドブリアンスキー国務次官にお会いしました。それから共和党のヘーゲル上院議員と民主党のリーバーマン議員にもお会いしました。日本についてのお話としては3つお話しました。1つは京都議定書の2002年発効をめざし、COP7で最終合意に達するべく最大限の努力を引き続きしていくということ、2つ目は京都議定書の目標を達成するために、国内制度の整備に総力で取り組むということです。3つ目は全ての国が1つのルールで行動することが重要であり、米国を含めた合意が形成されるよう引き続き最大限の努力をするということです。米国に対しては、米国の提案を活かすためにはCOP7より前に具体的な提案を出していただくことが重要であるとお話いたしました。米国は引き続き閣僚レベルでの政策レビューを精力的に進めているという印象でした。政府の外のシンクタンクや議会、企業も含めて、国際的な枠組みに米国が参加するための案についてかなり熱心に議論が行われているという印象もございました。具体的にどういう提案をどういうタイミングで出してくるかということは、米国内の様々な事情もあり、どのような判断が今後なされるのかは明かではありません。日本としては先程申し上げた3点について努力していく。以上のことについて閣議でご報告いたしました。
(質問)米国は京都議定書に反対しているわけですが、今回そのニュアンスの強さなどについての変化をお感じになりましたか。
(大臣)様々な方々が様々な形で、米国が温暖化防止に向けて国際的に取り組んでいくことが大事だという発想を持って検討しているという強い印象はあります。その内容についてはそれぞれの立場で様々あるという印象もあります。それが最終的にどのような形でどういうタイミングでまとまった形で出てくるかということについては、今の段階では分からないわけです。様々な動きがあるので、動態的に捉える必要があると思います。今の時点の静止画をもって全部だと判断すると間違うだろうと思います。
(質問)まだ色々な動きがあるということですか。
(大臣)はい、あると思います。
(質問)ボン合意を受け入れることができるかどうかについてはどうでしょうか。
(大臣)米国政府としては京都議定書に反対であるという基本的な立場はなんら変えたわけではないということです。
(質問)COP7までには仲間である日本に米国の代替案を先に出すというような話はありませんでしたか。
(大臣)様々なオプションを米国政府内で議論しているというフシは見えます。ただ最終的に閣僚レベルの会合で米国としてどういう判断をするかは明らかになっていません。
(質問)日米ハイレベル協議は今月下旬に開かれる予定でしょうか。
(大臣)今月下旬に開催する方向で米国と調整中です。
(質問)米国が代替案を出すということは改めて確認できたが、いつ出すかについてわからないということでしょうか。
(大臣)代替案を出すかどうかも含めて明かではないということです。様々な検討をしているという感触は強くあります。ただ、それを米国が出してくるかということは明らかでない、いつ出すかも明らかではない、出さないだろうと言っているのではなく、明らかでないということです。
(質問)以前は、米国が代替案を出すということは共通認識だったのではないでしょうか。
(大臣)以前から何人かの閣僚が出すとおっしゃっておられますので、否定されたわけではありません。私たちは出してくると期待しています。ただ、これは先程も申しましたようにダイナミックなコンテクトで捉える必要がある、時間的に変わっていくコンテクトで捉える必要があると思っています。
(質問)変わったということではないですね。いつ出すかということが分からないということですね。
(大臣)政府として公式にいつ出すというお話はなかったということです。
(質問)先程、日本としてはCOP7での最終合意を目指すとおっしゃいましたが、最終合意というのはボン合意の更なるものだと思いますが、これが難しくなるというような状況は何かあるのでしょうか。
(大臣)COP7でやろうとしているのは、COP6再開会合の第2週目の作業の続きで、政治的な合意をテキストに移し翻訳していくという作業です。それを完成させる必要があります。難しいと言えば難しいですが、COP6終了後、それを困難にすることが新たに出てきたかどうかというご質問であれば、そうではありません。
(質問)では、米国の提案が出てくるかどうかは最終的に合意には関係ないということですか。
(大臣)それはよくわかりません。米国がどういうことを言ってくるかわからないので、関係あるかもしれませんし、ないかもしれません。私どもとしては、ボンの合意があるのでそれを米国には尊重して欲しいと言っています。
(質問)日米ハイレベル会合はワシントンで行われるのですか。
(大臣)今、ワシントンで行う方向で検討中です。まだ最終的には決まっていません。
(質問)ハイレベル会合は大臣と米国側はホイットマン環境保護庁長官ですか。
(大臣)まだ米国側が誰になるかわかっていません。ハイレベル会合の前に、今週から来週にわたり、事務レベルでの会合を行う予定です。前回のハイレベル会合で市場メカニズム、途上国問題、研究技術開発の3つの議題を決めましたので、それぞれについての事務レベル会合を東京ないしワシントンで行います。
(質問)狂牛病については、環境省として対策に関わる部分はありますか。
(大臣)環境省の仕事としては特にないと思います。ただ、私個人として閣議の前に武部農林水産大臣に申し上げたことがあります。それは、例えば、牛乳は大丈夫と言われていますが、消費者としては何故大丈夫なのかという説明があって安心する訳です。安全と安心ということでは、できるだけはっきりと説明していただいたほうがいいのではないかと申し上げました。
(質問)農林水産省の説明が不十分だという認識でしょうか。
(大臣)農林水産省では説明しているかもしれませんが、今日の段階でテレビや新聞で出てくる範囲ではその辺りが明確でないので、国民に対し何が大丈夫で何が大丈夫でないか、その理由は何だということをできるだけ説明した方がいいのではないかと思います。それは、環境大臣ではなく、私個人としての意見です。


(了)