記者会見大臣発言要旨(平成13年6月19日)

(大臣)閣議案件は、環境省関連の法律でポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の公布の決定、環境事業団法の公布の決定、フロン法の公布の決定がございました。政令は環境省関連は3件で、下水道法施行令の一部を改正する政令、ポリ塩化ビフェニルの適正な処理の推進に関する特別措置法の施行期日を定める政令、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令が決定されました。それから質問主意書で福山参議院議員他3名から提出された「政府部内で交わされる「覚書」の国会提出に関する質問」に対し内閣官房の答弁書と、川内衆議院議員提出の「諫早湾干拓事業の再評価に関する質問」に対する農林水産省の答弁書が決定されました。他に平成12年度科学技術の振興に関する年次報告がございまして、遠山文部科学大臣からご発言がありました。また、中谷防衛庁長官のご出張に伴い代理が村井国家公安委員会委員長ということでした。閣僚懇談会では竹中経済財政政策担当大臣から政府のタウンミーティングについてご発言がありました。「様々な意見があった、どこにどのような施設を造るかは実際にその施設を使う地方の住民が決めるべきとの意見、一流の田舎にするという発言があった」などです。タウンミーティングについては閣議前などに皆さんがお話されております。既に参加された閣僚から、どの会場も大変な熱気である、質問が絶え間がない、ある会場ではマイクの奪い合いのような状態であったなどの発言がありました。私も環境省のタウンミーティングで同じ印象を持っています。

(質問)田中外務大臣がパウエル米国務長官との会談で京都議定書に戻ってきて欲しいと発言され、これに対しパウエル米国務長官は京都議定書には戻らないと答えたと報道されています。更に、数値目標や目標年次について米国の立場を明かにしてほしいという点についても、パウエル米国務長官は京都議定書に変わるものはないと明言したということです。これにより日本政府の立場は変わってくるのではないでしょうか。
(大臣)新聞やテレビで見ただけですから、細かいことはきちんと聞いてみないとわかりません。ただ、パウエル米国務長官が「ない」とおっしゃったのは、「今ない」とおっしゃったんだろうと理解しています。ブッシュ大統領の声明でも、今後いくつかの原則をベースに産業界やNGOや友好国などの意見を聞きながら考えていきたいと言っています。ですから、新しいことを言っているのではないと思います。細かいことは公電などで確認してみないとわかりません。
(質問)少なくとも京都議定書に対しては戻らないと明言しています。30日の日米首脳会談もありますが、日本として京都議定書を批准するという態度表明はいつになるのでしょうか。
(大臣)日本政府の立場は同じです。最期の最期まで米国を説得するということです。ブッシュ大統領が声明で言った原則のうちいくつかは京都議定書と合い通ずるものもあります。京都議定書はありますがその実施のための運用ルールはこれから決めて行くわけです。これを話し合って米国の言っている原則、これは民主党政権の時から言っていますが、フレキシビリティーを入れるとか、市場の価格メカニズムが生きるものであるとかは、我々の主張と合い通ずるものです。そういった形で合意をしていくというのが、これからボンでのCOP6再開会合の段取りでもあります。米国の説得は最期の最期までやります。
(質問)EUが今週、代表団を日本に派遣するということですが、EUが日本に対し態度表明を迫ってくる可能性もあると思います。どのようにされますか。
(大臣)EUは代表団を送ってくるということをまだ公式には言ってきていません。今週来るのであればもう日程も決まっていなければならないはずですが、何も決まっていません。
(質問)来るかもしれないわけですから、その場合はなんらかのメッセージは出さざるを得ませんよね。
(大臣)日本の政府の方針をきちんと話すと言うことです。
(質問)それ以上は言わないということでしょうか。
(大臣)もちろん、EUの考え方、米国とEUの会合の内容はきちんと伺いたいと思います。今後の段取りについても意見交換したいと思っています。いろいろ意見交換をすることはありますが、日本の立場を説明してお互いに理解しあうことが大切だと思います。ただ、今週来るという話もきていませんし、そもそも代表団が来るという話も正式にきていません。
(質問)先日、米国とEUの会合で高官級の話し合いというようなことが言われたようですが、これはどういう性格のものでしょうか。
(大臣)それも私たちは関心を持っていますが、よくわかりません。報道では高官と出ていました。私は、「エキスパートレベル」であるとも聞いています。専門家レベルということですね。誰が話し合うのかによって性格も変わってくるわけで、よくわかっていません。
(質問)バルストロムEU委員がブリュッセル市内で講演し、7月に再開されるCOP6再開会合で京都議定書の交渉妥結は無理だとの見方を示したそうです。EUも全体の雰囲気が悲観的になってきたようですが、これに関してどうお考えでしょうか。
(大臣)来週会合がありますので、EUの方とはできるだけ2国間会合をしたいと思っています。最近はコンタクトがないのでどういう感じになっているかよくわかりません。私としては、米国も参加して1つの枠組みを作る、京都議定書に米国が入れるようにするためには、運用ルールの点でEUが柔軟になってくれることが必要だと思います。そういう働きかけをしたいと思っています。
(質問)ハーグで行われる非公式閣僚会合の主な議題は何でしょうか。
(大臣)非公式閣僚会合の性格はプロンク議長にアドバイスするというもので、交渉する場ではありません。というのは全部の国が参加しているわけではないので交渉しても参加していない国は受け入れないわけですから。たとえば、ニューヨークでの非公式会合では米国が3月に出した声明の評価をしました。それからプロンクペーパーについてそれぞれが思うことを言ったという感じです。ハーグでは情勢の分析や今後どういうふうに進んでいったらいいのかなどが内容ではないかと推測しています。
(質問)プロンク議長の新提案が議題でしょうか、それとも米国の参加問題でしょうか。(大臣)各国が好きなことを言えるわけです。何を皆さんが言いたいと思うかでしょうね。そこで顔を合わせて意志の疎通を図るということが非常に大事だと思います。
(質問)国連のロビー外交のような形式があるのでしょうか。
(大臣)2国間の話し合いも重要だと思います。また、会議では各国の相場観というのがわかります。そういうことでしょうか。

(了)