記者会見大臣発言要旨(平成13年6月8日)

(大臣)閣議案件で環境省関連は2件ありました。1件目は環境省組織令の一部を改正する政令で、地球環境審議官の設置に伴って、大臣官房に置かれる審議官の定数を4人から3人にし、また参事官を廃止します。2件目は水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令です。人の健康に害を与えるおそれのある物質に[1]ホウ素及びその化合物、[2]フッ素及びその化合物、[3]アンモニア及びアンモニウム化合物、[4]亜硝酸化合物及び硝酸化合物を加えるということです。また、閣議前に7時20分から第7回の代替施設協議会が1時間ほど行われました。内容については官邸の方から説明があると思いますが、環境省からはジュゴンの保護とそのエサ場としての藻場の保全、サンゴ及び生活環境の保全に十分留意する必要があると考えており、基本計画の策定及び環境影響評価の実施に当たっては、これらの点を勘案していただく必要があるということを申し上げました。また、基本計画の策定とは別に、政府と地元が協力して全般的なジュゴンの保護対策を検討する必要があると考えており、そのために関係省庁と沖縄県が協力し、沖縄周辺海域においてジュゴンや藻場の広域的な調査を実施してはどうでしょうかという提案をしまして、それを進めてくださいというお話を頂きました。

(質問)閣僚懇談会での発言はありましたか。
(大臣)どなたからもありませんでした。また、代替施設協議会で、防衛施設庁から藻場の移植の検討が必要との話が出たこととの関連で、田中外務大臣から藻場の移植が重要だが、過去にその事例があるのかという質問がありました。藻場の移植の実験を行うのは防衛施設庁で、環境省は助言を行う立場なのですが、私に質問がありましたので、国内では関西国際空港で前例があり、環境省としても関心を持って慎重に対応していきたいというお話をしました。また田中大臣の方から関西国際空港と沖縄では生態系も異なるのできちんと対応しなければならないとのご指摘がありました。私もその通りだと思います。

(質問)ジュゴンの広域調査には環境省も参加するのですか。
(大臣)環境省が中心となって、関係省庁や沖縄県と連携して行っていくということです。

(質問)時期的なメド、具体的な内容はどうでしょうか。
(大臣)どういう項目をどういう方法で調査するかについてはこれから検討していきますので、それが決まっていない状況ではどのくらい時間が必要かも分かりません。

(質問)広域的調査実施の意味は、代替施設の建設によってジュゴンの生育環境が危うくなる可能性があるからということでしょうか。
(大臣)代替施設の件とは別に、ジュゴンをどのように保護すればいいかという視点から行うものです。

(質問)藻場の移植を含めて検討されているのでしょうか。
(大臣)内容についてはこれから検討していきます。農林水産省や文部科学省、内閣府などの関係省庁や沖縄県とも検討をしていかなければならないと思います。

(質問)種の保存法の希少絶滅種に指定してジュゴンの広域的な保護対策を行っていこうという前提のもとに、今回の調査を行うわけでしょうか。
(大臣)種の保存法における絶滅種に指定するには調査が必要で、その調査は、以前から行っています。関係していないわけではないですが、指定をするために今回の広域的調査をするというわけではありません。

(質問)広域的という意味は場所的な意味でどのあたりを含むのでしょうか。
(大臣)それも今後検討していきます。少なくとも辺野古の地域だけではないということです。沖縄全島が視野に入ってくると思いますが、具体的にどのあたりまでということについてはこれから検討していくことになります。

(質問)今日協議会に提案して、その場で了承されたということでしょうか
(大臣)そうです。

(質問)いつ頃から調査が開始されるのですか。
(大臣)これから検討します。調査項目や方法論を詰めていかないと調査には入れないですから。

(質問)ジュゴンの国内希少種の今年度の指定に向けて準備を始めたということでよろしいですか。
(大臣)指定に関して時期的にいつと申し上げられるかどうかはわかりませんが、準備、調査は始めているということだと思います。いつ頃までにそれが終わるかと言うことに関しては、はっきり決まっているわけではありません。

(質問)ジュゴンの指定については農林水産省との調整はとれているのでしょうか。
(大臣)谷津前農林水産大臣の国会での発言もあり調整は進んでいると思います。
(野生生物課長)農林水産省と事務的に整理しています。

(質問)ジュゴンに関しては今でも天然記念物として保護されているわけですから、実際的には漁網に引っかかるということが問題になると思いますが。
(大臣)地元の漁民の方々の協力とどのようにしたら漁網の問題をクリアできるかという研究はとても重要になります。そういうことが可能になるような技術への取り組みも大事だと思います。アイデアはいくつか出ているようですが、実用になるかはまだ分かりません。しかしこの問題は非常に重要だと考えています。

(質問)プロンクCOP6議長から新しい提案がなされるようですが、どのような期待をされていますか。
(大臣)私は何も余断は持っておりません。いかなるペーパーが出てきたとしても、それは議論のベースであって、それをもとに交渉していくということに変わりはありません。問題点と考えている部分がどのように変わったかということについて見ていきたいです。またプロンク議長が前々から言っていたことですが、交渉はプロンク議長とするわけではなく、全ての国々と行うわけです。

(質問)米国とEUとのサミットで米国の提案について方向性が示されるという話がありますが、それに関連して米国から日本に対し報告はありませんか。
(大臣)報道では米国とEUとのサミットで米国から何か発表があるだろうとされていますが、私もこのサミットで米国が現在の検討状況や考え方をEUに説明することが大事だと考えています。日本としては、今の時点では米国から何も聞いていません。

(了)