記者会見大臣発言要旨(平成13年5月29日)

(大臣)閣議案件で、環境省関係は環境白書の国会提出の決定についての1件です。この他に、質問趣意書が3件ありました。うち1件が共産党の小沢和秋衆議院議員外1名の提出による有明海再生と漁民等の生活を守る緊急対策に関する質問に対する答弁書がありました。これは農林水産省が担当しています。環境白書につきましては、「今回の白書で取り上げましたように、「地球と共生する『環の国』日本」を目指していくことは21世紀の重要課題となっております。中でも、我が国の役割といたしましては、簡素で質を重視する循環型社会、「環の国」日本を実現するとともに、これまでの環境面の実績を通して国際社会に貢献していくことが必要です。そのためには、社会経済活動のあり方を地球の有限性に対応したものに変えていくとともに、環境について様々な主体の間でコミュニケーションを充実させていくことが重要です。閣僚各位におかれましては、こうした方向に沿った各分野での取組を進めていただくよう、より一層のご協力をお願い申し上げます。」と私から発言しました。付け加えて、前々から白書を短くすることが大事だとの意見が出ており、私も大賛成でした。今回、環境白書を作成するにあたっても、短くするよう指示し、ページ数を3分の1位減らしたことを話ました。今は、細かい資料についてはインターネットなどで見ることができるので、考え方を書くことが大事で、なるべく短く作成することが良いと思います。また、白書としては初めて、「です。ます。調」で記述したものであることも話ました。外に、田中外務大臣からアジア欧州会合(ASEM)第3回外相会合出席についてのご報告がありました。京都議定書の重要性について発言をしたとおっしゃっていました。それから、厚生労働大臣から5月31日の世界禁煙デーとその後の1週間の禁煙週間についてご発言がありました。厚生労働省では禁煙週間の期間中、全事務室内を禁煙にし、近いうちに全局に分煙コーナーを設置するとのことです。環境省では、既に全事務室内は禁煙であり、喫煙室を設けて分煙を実施しています。先般の小泉総理の所信表明にありました「小泉内閣メールマガジン」について、配信希望者のメールアドレスの登録を6月9日(土)より、創刊号の発刊を6月14日(木)より開始し、その後、毎週木曜日に発刊すべく、現在、内閣官房において準備を行っていると内閣官房長官からご発言がありました。各閣僚にもメッセージを書いて下さいとのお話もありました。私も希望をしてみようかと思っています。官房長官からは「タウンミーティングー小泉内閣の国民対話ー」についてもご発言がありました。第1回目は6月16日に青森県及び鹿児島県で、同17日に岩手県及び熊本県で開催されるそうです。タウンミーティングには各閣僚が分担して出席しますが、今回は私は出席しません。
閣議終了後、高齢社会対策会議がありました。

(質問)大臣がかねがね意欲を示しておられました自然修復型公共事業のあり方について具体的な政府の方針が報道されていますが、これについて首相や政府関係筋から何か聞いておられますか。
(大臣)政府の方針として決まったとは聞いておりません。ただ、私は非常に大事なことだと思っております。再任後の記者会見でも申しました。今、事務方に指示をし検討してもらっており、関係省庁と具体的に話を始めています。私からも官邸にお話をしています。どこかの時点で正式な形で発表したいと思っております。
(質問)環境白書が閣議で了承された日でもありますので、自然修復型公共事業と白書の関連についてお聞かせ下さい。
(大臣)環の国日本作りというのが今回の環境白書の大きなテーマです。21世紀を見通して環の国を作っていくということですが、環の国の意味は単にリサイクルや廃棄物の処理という狭い意味ではありません。壮大な哲学でもありまして、循環の環だけでなく、人と人との環、人と自然の環、日本と他の国々の環など全部に広がる概念です。自然の再生・修復や、自然に影響を与える公共事業について環境保全部分をもっと大きくしていくということは、正に環の国作りの一環だということです。
(質問)資産公開についてですが、今回のご自身の資産公開についてどのような感想をお持ちかお聞かせ下さい。
(大臣)感想ですか。資産公開は今回で2回目ですが、私は政治家ではないので、プライバシーを公開するのは気分的には良いものではありません。ただ、国の制度としては透明性を持つという意味で良い制度だと思っています。
(質問)現行制度では、不動産は課税標準価格で、株は額面価格による公開であって、市場の実勢価格を反映していないという意見もありますが、どうお考えですか。また、資産公開制度で何か改善すべき点があるかお聞かせ下さい。
(大臣)いろいろプラス・マイナスあります。バブルの時のように株価が上がっている時もありえますが、逆の場合もあります。たとえば、公開した時に、購入した後の経済変化を織り込んで理解をすべき部分と実質的に増えた部分と区別が付きにくいという問題点もあります。プラス・マイナスありますが、今はこれで動いているのでやり方を変えるのであれば様々な検討が必要ではないでしょうか。公開する方から言いますと、株は額面なら簡単ですがある時点での株価ということになると面倒だということはあります。沢山、株を持っている方は相当な作業になるのではないでしょうか。
(質問)では、今のままでということですか。
(大臣)当面はこれでやっていくということでしょうか。おかしいのではないかという意見があれば、皆で検討していく姿勢が必要だと思います。
(質問)特に他にも変えるべき点はないということですか。
(大臣)私のような立場の者から言いますと、これから女性が閣僚になることが増えていった場合が想定されます。私と私の夫は別に仕事をしており、それぞれの資産があります。たまたま私の夫であることで、私とは関係なく自分が働いて貯金をしてきたことまでも公開しなければならないわけです。専業主婦というケースでは資産公開する夫と一体でという考え方もあるかもしれませんが、本来なら関係のない夫のプライバシーまで全部公開するのは非常に夫に対し申し訳ないと思います。
(質問)やめたほうがいいということですか。
(大臣)一概には申しません。いろいろなケースがあるでしょうから。たまたま、私の場合は民間におり、この世界とは違うところでやってきたということもありますので。
(質問)検討していく余地がある、検討していってほしいということですか。
(大臣)私の気持ちとしては、夫には非常に申し訳ないと思っています。
(質問)旦那さんからも一言ありましたか。
(大臣)今回は諦めたようですが、前回はエーッという感じでした。
(質問)恐縮ですが、前回の資産公開と比較して貯金が若干減っているような気がしますが、大臣になって持ち出しが多いとかで減っているのでしょうか。
(大臣)前回資産公開をして、圧倒的に定期預金が多かったので、分散すべきかなと思い分けたところと、大臣に就任して今までの普通の暮らしと違う境遇になったので、別にアパートを借りたり、人を雇ったりしています。それらの支出があります。
(質問)就任した時に比べて有価証券の証券投資信託及び貸付信託等の項目が増えていますが、これは在任期間中に購入したということですか。
(大臣)先程も申しましたように資産を多角化するということで振り替えたものです。
(質問)それは、実際には投資信託ですか。
(大臣)投資信託を買っています。
(質問)株式投信ですか。
(大臣)それはいろいろ混ざっています。
(質問)これは、国務大臣在任期間中は有価証券等の取引をしないという申し合わせ事項に抵触するのではありませんか。
(大臣)内閣の見解として抵触しないと聞いております。
(質問)内閣の見解ですか。内閣府ですか。(大臣)内閣総務官室です。
(質問)投資信託は、有価証券の取引は自粛することとするということについて抵触しないという内閣の見解ですか。素直に読むと、取引、売買購入をしてはいけないという意味ではないでしょうか。
(大臣)私は確認したところ、抵触しないということを聞いています。いろいろな考え方があるということであれば、制度をどう作っていくかという中で義論していただくことではないでしょうか。
(質問)確認したというのは、内閣府に確認したのですか。(大臣)内閣総務官室です。
(質問)申し合わせ事項というのは閣議の中で申し合わせたことであり、内閣の事務方が決めたのではないので、大臣自らはどう考えていますか。有価証券の取引についての申し合わせに抵触しないと思っていますか。
(大臣)私は抵触しないと思います。抵触すると思ったら買いません。(質問)国務大臣等在職中は株式等有価証券は取引を自粛すると書いてあります。投資信託は有価証券にあたるのではないでしょうか。
(大臣)私がどう思っているかということであれば申し上げますが、私はそう思っていません。株式は、閣僚になった時に取引を自粛する対象となる株式があれば、それは信託します。株式は信託をすると決まっています。問題は国務大臣の地位を利用して不正に蓄財をしてはいけないということです。そういう観点から見て、投資信託という、市場で売られているものをファンドマネージャーが売買をするものが不正に蓄財をするものに当たるとは私は考えません。
(質問)投資信託というのはご自身でこういうものをと指定できるものもあります。たとえば、組合せについて環境分野の銘柄を指定することもできます。そうすると、大臣がそうしているということではないですが、可能性としてはご自身の発言で株価が動きます。そういう疑問の余地は少なくとも理論上あるのではないですか。
(大臣)私はエコファンドは持っていません。ダイバーシファイをして個人が買えるようにしているのが投資信託です。私はそう思っているということですが、中味の議論については、この制度をどうしていくかということについては、もっと改善をしたらいいとか、明確にしたらいいとか、全体として制度をより明確にしていく議論をしていけばいいと思います。内閣のご意見をいただいた上での私の判断では、これは抵触しないと思っています。私がそう思っていることと、そちらの見方が違うということですが、今後わかりやすいよう明確にしていくことが大事です。たとえば、投資信託はいけないとか、いいとかはっきり書くことは実態の判断です。今後、そういうことも含め制度の改革を検討していくという話ではないでしょうか。私の考えを聞かれれば、問題があると思えば当然やっていませんし、問題がないと思います。
(質問)地球温暖化対策大綱で、原発推進を掲げられています。原発推進や環境税の必要性についてももう少し環境白書で踏み込んだ記述をした方が良かったのではないかと思いますがどうお考えですか。
(大臣)原発については、先程言い忘れましたが、プルサーマルの住民投票について閣僚懇談会で平沼経済産業大臣がご発言されました。住民投票の出口調査で反対に投票した7割の方が安全性に問題があるとの意見だということです。安全性についてもっときちんと理解をしていただくための活動を今後ともする必要があるとのご発言でした。別の閣僚もおっしゃっていましたが、日本の電力需要、エネルギー需要を考えた時に原子力発電は必要であるということ、今、4割近くなっていますし、フランスは7、8割近くになっています。必要であるということを国民の方々に認識をしていただくことも必要です。私も同意見です。温暖化に対応するということを考えれば、原子力発電はきちんと位置づけられています。安全性の確保は必要でそれを確保しながら、国民の皆さんのご理解を得る努力をして位置づけていくべきだと思います。環境税については、今、中央環境審議会でも議論されておりますし、政府税調でも自民党の税調でも議論されています。温暖化防止の観点から幅広く議論を深めていくべきことだと思っています。前にも何度も言っていますが、国内措置をきちんとすることが国際社会での交渉で発言していく観点でとても重要です。これは、議論をしてやっていくべき話だと思います。
(質問)大臣は公人中の公人ですよね。資産公開についてプライバシー云々をいうのは適切ではないのではないでしょうか。
(大臣)感想はと聞かれたので、資産公開は必要であるということも申し上げた上で、個人として、感情を持っている人間ですから、夫への迷惑も含めて、気持ちを正直に申し上げたということです。資産公開が必要がないということを申し上げているわけでは全然ありません。


(了)