記者会見大臣発言要旨 (平成13年5月11日閣議後)

(大臣)閣議案件で環境省関連はありませんでした。一般案件では、産業構造改革・雇用対策本部の設置が行われました。総理大臣が本部長で、経済産業大臣、厚生労働大臣、財政政策担当大臣、財務大臣、官房長官が副本部長となり、残りの大臣が本部員ということになります。環境大臣も本部員になります。また月例経済報告に関する関係閣僚会議の構成員の変更で、科学技術政策担当大臣がメンバーに加わりました。環境大臣はこのメンバーではありません。
 水俣病関西訴訟の関連ですが、4月27日に判決がございましたが、これまで法務省等とも相談しつつ検討を行ってきた結果、最高裁に対し上告することといたしました。水俣病問題については、これまでの長い経緯の中で、政府としてはその時々においてできる限りの努力をしてきたものであり、これを国の賠償責任という点に関して見た場合、当時の水質二法に基づく権限を行使しなかったことについて賠償責任があるとの判決については、その根拠として示されているこれらの法律の解釈及び適用に関し納得できないものがあります。また、判決にいうメチル水銀中毒症の認定に関しても、これまでの水俣病対策が依拠してきた医学界の定説とは全く異なる判断が示されております。国としては、これら判決の内容とその意味するところ、行政への影響等を慎重に勘案した結果、上告し最高裁の判断を仰ぐ必要があるとの結論に至ったものであります。本日、法務省より上告手続きを行う予定であり、手続きがとられたとの連絡がありましたらお知らせするとともに、必要があれば担当部長より詳細を説明させることといたします。

(質問)既に最初の提訴から一九年近く経っていますが、さらに長期化することに関しまして、原告が高齢になっていることも含めてどのようにお考えですか。
(大臣)先日、原告の方々とお会いしましたが、高齢になっておられ、健康上の問題も抱えていてお気の毒に思いますと、その時も申し上げました。審理ができるだけ早く進むように望み、願っております。
(質問)病像論に関して、国として今回の判決に対し反論する材料や今後の研究の必要性等についてはいかがお考えですか。
(保健部企画課長)これまで水俣病、メチル水銀中毒に関しては多くの知見がありますから、それに基づいた判断として今回の上告となりました。これからの研究要素としては、水銀の低濃度汚染の影響などが研究課題として存在すると思います。
(質問)上告の理由の中で、行政への影響があるとおっしゃいましたが、具体的にはどのような影響があるとお考えですか。
(大臣)国家賠償責任との関係で、裁量権の非常に広い事案でどのような判断をしたかという点に関して、広い意味での影響が考えられます。
(質問)水俣病の認定基準にも影響があるとお考えですか。
(大臣)平成7年の政治的解決は、非常に重みがあると受け止めています。その枠組みや認定基準などに関しては、変えるべきではないと考えています。
(質問)平成7年の政治的解決においては、対応が遅れたことには問題があっても法的責任には言及しないという形で決着していますが、その認識に変化はありませんか。
(大臣)全く変わっていません。
(質問)国と同様に被告になっている熊本県及びチッソとの足並みはいかがですか。
(保健部企画課長)国と県は同様の事由で敗訴しておりまして、連絡を取り合っています。チッソに関しましては純粋に民事の部分がありますので、コメントを控えさせていただきます。
(質問)上告手続きの時間のめどはたっていますか。
(保健部企画課長)午前中にもということですが、時間ははっきり分かりません。 

(了)